集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

潜水夫研修よもやま物語(その3)

2015-05-14 20:42:50 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 映画「サルウミ(仮称)」のせいでけっこう有名な言葉になりましたが、研修になると、2人1組のバディというものを組まされます。
 これはもともと、うちの会社の潜水夫研修ができるときにモデルとした、海自さんのスクーバ課程の丸パクリだと思うのですが、そのあたりは私も詳しい歴史を知りませんので、知っている方は教えてください。

 それはともかく、私のバディになったのは、宮城県の塩竃支社から来たAさんという人でした。

 士官学校を出てまだ1年のピチピチの若者。将来はトッキュウ鯛に進み、レスキューの真髄を極めたいという、絵に描いたような潜水夫研修希望者でした。
 研修が始まる時の自己紹介で、「志望理由は?」と教官に聞かれて「業務命令です」と堂々と言っていた私とは、えらい違いです。
(私の回答は恐ろしいことにシャレでは処理されず、教官が後日、部内誌にまとめた「潜水夫研修の考察」という論文の「研修の志望動機」なるコンテンツで、本当に私が「業務命令だ」といったことが記事として入っていた。まあビックリ(笑))

 これでもし、Aさんがそうした希望理由だけを外に向かってガチャガチャ叫んで、しかも実力が全く伴っていなかったら、私もブチ切れていたかもしれませんが、Aさんはそういうことは日頃は全く内に秘め、与えられた課題をしっかりこなして、きっちり自分のものにしていくというタイプでしたので、研修中、衝突することも喧嘩することも全くなく、終始のんびり、まったりしたバディでした。
 そういえば、8バディにいたE木という若い奴は、そういうことを恥ずかしげもなく言っていたので、私はものすごく嫌ってウザがっていましたっけ。
 研修では1~8バディまでが組まれ、私たちは6バディだったのですが、6バディはプール・海を通じて課題をほぼ一発で決めており、達成率がかなりよかったので、けっこう余った時間を自主トレにさせてもらいました(余った時間を自主トレに当ててくれたのは、当時のバディ教官であったSさんの配慮も大きかったです。いまでもSさんにはとても感謝しています)。
 小さな自慢ですが(汗)、きちんとクリアできなかった課題は、慣海実習のときのコンパスナビだけです!
 
 課題を一発で決めるコツは、と言えば・・・まあわたし的には、「課題は一発で決めないと、体が辛くなってどんどん体力を消耗するだけ。体力を損耗した状態で何回も同じことをしてもクオリティが下がるだけ」というのを、当時所属していた泉州支社の訓練で嫌というほど味わったので、課題は最初の一発で極める!という覚悟をもって訓練に臨んでいただけで、なんのタネもしかけもありません。
 逆説的に言えば、映画「サルウミ」なんかで出てきますが、研修の課題をクリアできて泣いて喜んでいるようじゃ、はっきり言って話にならん体力と覚悟であるとしか言えません。
 それはさておき。

 バディのAさんとは、本当にいい関係を保って研修を修了。結婚式にも呼んでもらいました。
 そしてAさんは、研修終了後からわずか数年で、本当にトッキュウ鯛に行ってしまいました。
 Aさんが鯛の鯛員(笑)になったのをいいことに、私が東京派遣されたとき、忘れ物をしたときには、羽田にいるAさんを訪ね「ちょっとアレ貸して~」なんてお願いしていましたっけ。迷惑なヤツですね。
 Aさんはその後ビジネスマンとしても大成功を収め、現在は、うちのさらに親会社に出向しちゃいました。スゲエ。ちなみにAさんが働いているところの現在の大親分は、詳しくは言いませんが、テレビにもよく出てくる「スガ」という人です。(  ̄▽ ̄)スゲェェェ

 休みの日には焼肉食ったり、カラオケ歌ったり、朝まで遊んだので、寮が開くまで近くの浜で寝たり(!)しましたが、まあ、いい思い出です。
 優秀なバディAさん。ぐうたらな相方は、ただただ感謝するばかり・・・・