パナソニックが次世代Eneloopを発表
なぜパナソニックの充電池が「エネループ」ブランドに統一されたのか? - PC Watch
PanasonicがEneloopブランド製品(第5世代Eneloop・第3世代Eneloop Lite)を発表し、重複していた充電式Evoltaとブランドの統一を発表したそうだ。
大河原氏の記事は基本的に、事実と時系列の前後関係を述べたものなのでライターに非はないのだが、思うに、記事を読んだ多くの一般的な読者にとっては実に馬鹿馬鹿しい内容ではないかと思う。
筆者個人としては「なぜ日本人は暖簾の商売を止められないのか?」「買収後10年経ってようやくか」という呆れに近い感情を覚える。消費者/顧客視点を置き去りにした企業側の自己満足的な行動に思えるからだ。
そもそも、三洋電機がEneloopを発売したのは2005年だがWikipediaでは同社の経営再建の項は2004年から始まっている。思うに、Eneloopを発売した時点では三洋電機は負け組でポジティブなブランドイメージは薄かったに違いなく、「Eneloop」ブランドの人気は三洋電機ブランドに依らない独立性の高い人気だろう。「Eneloop」ブランドの独立性の高さを考慮すればEneloopのラベルをPanasonicに書き換えたとして「買収した側が買収された側のブランドのコントロールを奪った」という企業側の自己満足以上のメリットの無い行為に思える。それは露出度低下による「Eneloopブランドの棄損」であり、一部消費者の意識を逆撫でする「Panasonicブランドの棄損」であろう。
だから、最初から「Panasonic Evolta」と「Eneloop」で併売すればよく、もし将来的にシナジー効果を求めるにも中身の設計や製造を共通化してラベルだけ別にすれば良かったのだ。それを一方のブランドを台無しにした上でブランドの棲み分けに失敗し、10年経って「統一しました」などと言われても経営陣の「ブランド」に対する認識の非常識さがアピールされるだけである(記事中にあるこのスライドなど失笑ものである)。
実際に同一製品を2ブランドで併売している代表例がWestern DigitalとSanDiskだろう。前者はPCユーザーに馴染み深く・後者はデジタルカメラユーザーに馴染み深い、つまり客層が異なることから中身が同じ製品を異なるブランドで併売している。ちなみに、買収したブランドを残すやり方は世界的に見てもごく一般的である。スイス時計のSwatchなど10を超える時計ブランドを買収後も維持している(こちらの場合はさすがに製品自体も別物だが)。これもカジュアル・低価格なSwatchとラグジュアリーブランドのOmegaやBreguet等とでは客層もブランドイメージも異なるのだから当然だろう。
経営や営業の観点からみて、PanasonicとWestern Digital・Swatchとどちらの方が客を見ているだろうか?
個人的にはPCWatchのコラムは読者が気になっている全内容を網羅していないと思う。製造面への言及が欠落しているからだ。
そもそも、三洋電機時代のEneloopは旧 三洋エナジートワイセル、Panasonicによる三洋電機買収後はFDKトワイセルが製造してきた日本製である(恐らくFDKの高崎工場製)。これに対し充電式Evoltaは2008年の初登場時から中国製だった( 恐らく中国 江蘇無錫新区のパナソニック エナジー無錫製)。もっとも、FDKトワイセルは中国(恐らく厦门FDK)などにも工場があり、海外展開を強化していた2015年には中国製Eneloopが存在していたようだが。
個人的に気になるのは、第5世代EneloopはFDK製か?Panasonic製か?という点ではないかと思う。Eneloopブランドに統一したからといって旧Eneloopを踏襲した設計・製造とは限らず、蓋を開けてみれば中身は旧充電式Evolta後継だった、なんて可能性もゼロではない(個人的にはFDK製だと思うが…)。
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