轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

プジョー 5008

2013-03-22 18:48:19 | PEUGEOT
助手 「プジョーの5008ってどう思います。」

所長 「ああ、なんか新しいミニバンが出たそうじゃな。」

助手 「で、どうですか。」

所長 「別にいいんじゃないか。プジョーにはミニバンはなかったじゃろ。」

助手 「3列シートなら308SWがありますけし、あと本国には807ってフィアットと共同開発したのがありますけどね。」

所長 「そういえば、そんなのがあったのぉ。じゃがサイズも違うじゃろうし、より売れる市場に投入しようってコトじゃろうから、問題ないんじゃないか。」

助手 「ま、そうでしょうね。」

所長 「うん、なんか気にいらんのか。」

助手 「いや、気にいらないってコトはないんですけど、どうも名前が引っ掛かるんですよ。」

所長 「なんじゃ、また名前の話か。ここんトコ名前の話ばっかりしとらんか。」

助手 「確かにそうですね。でも気になるモンは仕方ないでしょ。」

所長 「で、名前の何がイカンのじゃ。ワシはプジョーの名前っていいと思うけどな。戦前からずっとおんなじやり方で名前を付けとるじゃろ。ずっとやり続けるのって簡単なようでなかなかできんコトじゃぞ。」

助手 「名前の付け方自体はボクもいいと思うんですよ。例えば206って下から2番目の大きさの6世代目ってすぐにわかりますからね。」

所長 「じゃろ。これが例えばカローラじゃったら、どの時代のカローラの話をしとるのかわからんしの。仮に7代目って言われてもすぐにピンとこんじゃろ。」

助手 「ですね。型式で言えば区別はつきますけど、それも日頃から聞き慣れてないとわかりませんよね。カローラだったら80系を基準にして次の次の型とか、考えますね。その点プジョーだと名前とカタチがすぐに一致しますよね。」

所長 「ルノーやシトロエン、あとフィアットなんかも昔はモデルごとに名前が違っとったんじゃが、いつの間にかやめてしもうたの。」

助手 「プジョーは1929年の201から今のネーミングになったそうですけど、あとあとのコトまでちゃんと考えて付けたんだとしたら凄いですよね。」

所長 「まったくじゃの。で、お前はどこが気にいらんのじゃ。」

助手 「今度の5008ってサイズから考えてシトロエンのC4ピカソのプジョー版に当ると思うんですよ。」

所長 「詳しくは調べとらんが、そんなモンじゃろうな。」

助手 「C4ピカソって名前の通りC4がベースじゃないですか。シトロエンのC4ってCセグメントですし、プジョーで言えば308でしょ。なのに5008はないんじゃないかって思うんですよ。」

所長 「ああ、そういうコトか。じゃがすでに3008は別のクルマに使っとるしの。」

助手 「そうなんですよね。308ベースのクロスオーバーが3008ですよね。で、その上の4008は三菱のRVRベースのクロスオーバーに使ってるんですよ。」

所長 「ああ、確か4007がアウトランダーじゃったのぉ。」

助手 「で、もうひとつ上の5008になったんだと思うんですけど。」

所長 「ま、いいんじゃないか。高く見えるように豪華にしとけば。」

助手 「でも508って言ったらプジョーのフラッグシップでしょ。それも先代に当る407が上級移行しての508なのに、308ベースのクルマがあっさりと5008を名乗られたらたまったモンじゃないでしょう。」

所長 「うーん、それも一理あるの。乗り比べて安っぽく感じてしもたら、似たような名前の508の価値まで下がってしまいそうじゃの。」

助手 「でしょ。それにミニバンやSUV、クロスオーバー、モノスペースと多岐に展開してるのに、どれもおんなじ名前にしようっていうのが、すでにダメなんじゃないですか。ま、日本でも以前はRVってヒトくくりにしてましたけどね。」

所長 「ま、そうかもしれんの。じゃあどんな名前じゃったらいいんじゃ。」

助手 「そうですね。ボクだったらミニのようにしますね。308のシリーズでくくって、ベースの308の派生車としてクロスオーバーは308クロスオーバーとして、ミニバンは308MVとか。ほらっ、今でもワゴンの308SWとか、オープンの308CC、あと406クーペとかありますよね。」

所長 「なるほどの。確かにそれなら無限に車種を増やせるの。」

助手 「でしょ、でしょ。」

所長 「じゃが向こうの感覚ではセダンやワゴンがクルマの本質で、ミニバンやクロスオーバーはあくまでも別モノの存在って感じがするんじゃがな。」

助手 「どういうコトですか。」

所長 「つまり高い走行性能を携えたモンがクルマ本来の姿で、荷物を積んだり、荒地を走ったりするために、走行性能を犠牲にしたモンは一段低く見とるような気がするんじゃ。ま、ステーションワゴンまでが許せる範囲かのぉ。」

助手 「確かにそういう感覚はわかる気がします。」

所長 「じゃからお客が求めとるし、売れるからつくるんじゃけど、本当はつくりたくないんじゃないかのぉ。じゃから3列シートを持つミニバンよりもモノスペースの方をつくりたがるし、本格的なオフロードじゃなくってクロスオーバーになるんじゃないか。どれも国産車に比べて走行性能にチカラをいれとるじゃろ。」

助手 「それはあるかもしれませんね。この5008も国産車のように利便性に富んだ電動スライドドアじゃなくって、普通のヒンジドアを採用してるのもそういった理由かもしれませんね。」

所長 「じゃろ。じゃから今度の5008も308のシリーズには入れたくないっていうのが本音なんじゃないかのぉ。」

助手 「かもしれませんね。」

所長 「ま、そうは言っても今度の5008、なかなかいいトコを突いとるんじゃないかのぉ。国産のミニバンよりも趣味性は高いし、快適性や安全性の面から見ても3列目までしっかり使えるようになっとるんじゃないか。もちろん走行性能にこだわるモンには持ってこいじゃろ。フォルクスワーゲンのトゥーラン、C4ピカソとかあるんじゃが、どっちも出てから結構経っとるし、今買うんなら5008がいいんじゃないか。」

助手 「それが調べてみたんですけど、C4ピカソは販売を終了してるんですよ。トゥーランは、何度か整形して生きながらえてますけど、デビューは2003年の10年選手ですからね。ま、もっとも5008にしても向こうでは2009年発売ですし、決して新しいクルマとは言えませんけどね。」

所長 「セダンやハッチバックのような売れ筋のクルマに比べるとモデルサイクルは長いんじゃろうな。ま、同列に扱っとる日本が珍しいのかもしれんが。」

助手 「かもしれませんね。で、5008ですけど、正直ボクはあんまり売れない気がするんですよ。」

所長 「うん、どうしてじゃ。」

助手 「プジョーのような海外ブランドに求められてるモノと、ミニバンって合わない気がするんですよ。」

所長 「ほぉ、で。」

助手 「日本で売れてるのってワーゲンのゴルフにポロ、BMWの3シリーズ、ベンツのCクラス、あとミニなんかじゃないですか。」

所長 「ま、そうじゃな。」

助手 「ポロは別にして、あとのクルマってどれも日本市場で売れてるカテゴリーとは言えないじゃないですか。ゴルフはCセグメントのハッチバックですし、3シリーズやCクラスに至っては不人気の代表格のオーソドックスなセダンでしょ。」

所長 「ミニはポロとおんなじコンパクトカーじゃろ。プレミアムかなんか知らんが。」

助手 「でもミニって壊滅状態の3ドアじゃないですか。つまり輸入車の場合、日本で大きな市場がないカテゴリーでも売れるってコトでしょ。ようは求められてるモノが違うってコトじゃないですか。」

所長 「国産の場合、低価格や利便性なんかが優先されるんじゃが、外車の場合はそれよりもステイタスや所有する喜びみたいなモンが求められるんじゃろうな。」

助手 「そう考えると5008が日本で人気のミニバンでも、プジョーを買う層と一致しなければ売れないと思うんですよ。」

所長 「それは、そうじゃろうな。」

助手 「でしょ。」

所長 「外車の販売台数ってどれぐらいか知っとるか。」

助手 「えっ。」

所長 「輸入車で一番売れとるゴルフで年間2万から2万5,000台、あとさっき言っとったミニやポロ、3シリーズ、Cクラスなんかで1万から2万台ぐらいなんじゃ。」

助手 「はぁ、それが・・・。」

所長 「お前の言うように外車に求められとる要素を満たしたモンじゃと、それぐらい売れとるんじゃけど、プジョーって全部合わせてもここ数年は5、6,000台ってトコなんじゃ。206がよぉ売れとった頃は1万5,000台ぐらいあったんじゃがな。」

助手 「207や308はあんまり売れてませんからね。」

所長 「例えば5008が206やゴルフ、ミニみたいに売れるかと言ったら、そりゃ無理じゃ。じゃが今のプジョーの販売台数を押し上げるコトは可能なんじゃないかのぉ。そりゃ206みたいな稼ぎ頭がいるに越したコトはないんじゃが、そうそうヒット車が生み出せるワケもないしの。」

助手 「うーん、それもそうですね。」

所長 「じゃから1車種に社運を賭けるよりもバラエティに富んだ車種構成にして、台数を稼ぐ方が安定するワケじゃ。そういう意味では今までなかったミニバンは有効じゃと思うぞ。」


参考資料
プジョー5008(プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社)
プジョー3008(轟クルマ文化研究所)

Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ボルボ V40 | トップ | スズキ・スペーシア »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひでゆき)
2013-03-25 18:28:13
 今や「ミニバン=スライドドア」が一般的な日本では
大当たりはしないでしょうね。

 もう少し昔だったら、オデッセイが売れていたので
便乗で売れたかもしれませんが。
返信する
Unknown (宇垂)
2013-03-25 19:51:41
ひでゆきさん

> 今や「ミニバン=スライドドア」が一般的な日本では
大当たりはしないでしょうね。

ですね。
スライドドア便利ですしね。便利だけでクルマの良さは測れないんですけどね。
返信する
猫足5008 (306乗り)
2013-06-05 09:59:20
いつも楽しく読ませてもらってます。

99年型プジョー306ブレーク(ワゴン)乗りです。大口プジョーに馴染めず、いつの間にやら14年経ってしまいました(笑)。

さて、先日5008Cieloに試乗してきました。以前のプジョーの猫足のイメージ(独特のしなやかさがある走り)に近いもので、かなり好印象でした。

リアのブッシュにオイル入りの物を使っているらしく、姉妹車のピカソ(こちらはエアサス)と比べても、乗り味に差があるようです。

大口プジョー(とその乗り味)に馴染めず、私のように古い車を乗り続けていたり、プジョーを見限って離れていった人も多いと思います。

そんな人達に改めて試乗を勧めてみたい1台でした。
※プジョーの猫足がどんなものかを知りたい人にもね。
返信する
Re:猫足5008 (宇垂)
2013-06-06 20:50:16
306乗りさん

>99年型プジョー306ブレーク(ワゴン)乗りです。大口プジョーに馴染めず、いつの間にやら14年経ってしまいました(笑)。

306ってもう14年も前のクルマになるんですか。ちっとも古く見えないですね。

>さて、先日5008Cieloに試乗してきました。以前のプジョーの猫足のイメージ(独特のしなやかさがある走り)に近いもので、かなり好印象でした。

プジョーにお乗りの方が好印象って、プジョーにとっては一番の宣伝ですね。こういう情報って案外見当たりませんよね。
是非、あちこちで・・・(笑)

>リアのブッシュにオイル入りの物を使っているらしく、姉妹車のピカソ(こちらはエアサス)と比べても、乗り味に差があるようです。
>大口プジョー(とその乗り味)に馴染めず、私のように古い車を乗り続けていたり、プジョーを見限って離れていった人も多いと思います。

そういうヒトって多そうですね。デザイン、乗り味、サイズとユーザーがプジョーに求めているものとのギャップが大きかった気がします。販売台数にも如実に表れてますしね。
508から路線が変わりましたし、また盛り返してくれば嬉しいですね。

>そんな人達に改めて試乗を勧めてみたい1台でした。
>※プジョーの猫足がどんなものかを知りたい人にもね。

これは試乗しなくてはいけませんねぇ。
返信する

コメントを投稿

PEUGEOT」カテゴリの最新記事