
助手 「スズキからSX4が発売されましたね。」
所長 「そうか。ヨーロッパでは先に売っとったから、ようやく出たって感じじゃけどな。」
助手 「スポーツ・クロスオーバー・ハッチバックと言うことですけど、結局何なんですか、このクルマは。」
所長 「ま、コンパクトカーにオフロードの風味を加えたということじゃろう。コンセプト自体は別に新しくもなんともないわ。初代RAV4や日産のラシーン、あと三菱のRVRなんかがすでにあったじゃろ。」
助手 「いわゆるライトクロカンと言うヤツですね。」
所長 「ライトクロカンと言われてしまうと少し抵抗があるんじゃがな。」
助手 「どう違うんですか。」
所長 「ライトクロカンは、当時流行っとったパジェロなんかのクロカン四駆の無骨さをじゃな、デザイン的な要素として手軽に楽しめるようにしたモンなんじゃ。グリルガードに背面タイヤ、ルーフレールなんかがそうじゃ。」
助手 「流行ってましたね。」
所長 「で、今のクロスオーバーと言われとるクルマは、発想としては逆なんじゃ。つまりオンロード主体のステーションワゴンなんかに悪路を走れる機能をプラスしたモンなんじゃ。判りやすい例が最低地上高の確保とか、オールシーズンタイヤの装着なんかじゃな。」
助手 「レガシィのアウトバックなんかがそうですね。」
所長 「そうじゃ。昔のライトクロカンが格好重視じゃったのと違って、見掛けを控えめにしとるところが知的に見えるんじゃろうな。金持ちウケがいいんじゃ。で、本格的なSUVもどんどん乗用車的なデザインになってきて、今ではクロスオーバーが主流になって来とるんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「で、それをコンパクトカーに取り入れたのがSX4と言うわけじゃ。ま、出来上がったモンはライトクロカンとなんら差はないんじゃがな。」
助手 「そういうことですか。」
所長 「特にヨーロッパでは小型のSUVの需要が多いんじゃ。フランスなんかでは何年も前からRAV4なんかがベストセラーじゃしな。」
助手 「そう言えばHR-Vがヨーロッパで人気が高いって聞いたことがありますね。」
所長 「じゃろ。プジョーとシトロエンが三菱のアウトランダーをOEMで販売するのも、そういう理由じゃ。」
助手 「そう言えば、SX4もフィアットと共同製作らしいですね。」
所長 「ま、共同と言ってもつくっとるのはスズキじゃけどな。フィアットはデザインなんかの企画だけじゃろう。何と言っても圧倒的に日本が強い分野じゃからな。確かフィアット版はセディチとかいう名前じゃったはずじゃ。」
助手 「そうなんですか。でもこれは楽しみなクルマが出来ましたね。」
所長 「じゃろう。今のところライバルらしいライバルも見当たらんし、ジウジアーロが噛んどるデザインも、どこから見てもこのクルマじゃとわかる個性的なモンじゃ。」
助手 「えらい褒めようですね。これは販売も楽しみですね。」
所長 「うーん、どうじゃろう。」
助手 「あら、なんかトーンダウンしましたが。」
所長 「日本では正直難しいじゃろうな。ヨーロッパではかなり期待できるんじゃが。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「何度も言っとるように、国内の小型SUVの市場は散々たる状況じゃから、クロスオーバーと言ってもなかなか受け入れられんじゃろうな。それとこのクルマ、全幅が1700を僅かに超えとるから3ナンバー登録になるんじゃ。輸入車ならまだしも、国産車で3ナンバーのコンパクトカーと言うのは、3ナンバー・イコール取り回しが悪い、贅沢品という固定観念が残っとるユーザーにとっては、ネガティブな要素なんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「スズキも、はなっから国内は期待しとらんようじゃけどな。確か年間目標台数が1万5千台じゃし、月当たりに直すと1,250台じゃ。アウトランダーやRAV4、ビーゴ・ラッシュの月2,000台と比べても控えめな数字じゃろ。」
助手 「そうですね。」
所長 「情けない話しじゃが、この手のクルマを受け入れられる懐の深さが日本には欠けとるんじゃ。何かが流行ればそればっかしじゃしな。」
助手 「確かにそういうところはありますね。」
所長 「あと、海外生産モデルの写真を先に見てて、格好いいと思っとったんじゃが、国内モデルを見てなんか違うような気がしたんじゃ。」
助手 「え、そうなんですか。」
所長 「で、見比べてみたらサイドの黒いモールがなくなっとるのと、フロントグリルまわりのデザインが違うんじゃ。」
助手 「黒いモールはわかりますけどね。日本はボディ同色信仰が強いですから。」
所長 「フロントグリルの方は、海外向けは彫が深くって日本では馴染みにくいという見解なんじゃろうな。」
助手 「アクが強いと販売に影響しますしね。」
所長 「新しいカテゴリーをつくり出そうとするんなら、今までの価値観で判断するより、少々アクがきつくても新鮮味がある方がいいと思うんじゃがな。」
助手 「そうですね。そんなに数が出るクルマじゃないんですし、もっと冒険して欲しいですよね。」
所長 「そうじゃな。あ、それとSX4なんて言う名前が覚えにくくていかんわ。オートバイじゃあるまいし。」
助手 「そうですか。スポーツクロス四駆の略でしょ。僕は結構いいと思いますけど。」
所長 「記号の名前もMR2やCR-Xが出たころはインパクトがあったんじゃが、ホンダなんかが連発したせいで、ややこしくてタメじゃ。マニア向けにはいいかもしれんが、一般のお客からしたらどれがどれのことかわからんじゃろう。」
助手 「そんなモンですかね。」
所長 「そうに決まっとる。だいたい愛着が持てんじゃろう、こんなアルファベットを並べただけのモンでは。」
助手 「そうですか、僕はそうでもないですけど。所長、年のせいじゃないですか。」
所長 「うるさいわ。また年寄り扱いしよってからに。お前なんかより、よっぽど頭はしっかりしとるわ。」
助手 「ま、そういうことにしときましょ。」
参考資料
スズキ SX4(スズキ株式会社)
スズキ SX4海外生産車(スズキ株式会社)
フィアット・セディチ(Fiat Auto S.p.A)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
所長 「そうか。ヨーロッパでは先に売っとったから、ようやく出たって感じじゃけどな。」
助手 「スポーツ・クロスオーバー・ハッチバックと言うことですけど、結局何なんですか、このクルマは。」
所長 「ま、コンパクトカーにオフロードの風味を加えたということじゃろう。コンセプト自体は別に新しくもなんともないわ。初代RAV4や日産のラシーン、あと三菱のRVRなんかがすでにあったじゃろ。」
助手 「いわゆるライトクロカンと言うヤツですね。」
所長 「ライトクロカンと言われてしまうと少し抵抗があるんじゃがな。」
助手 「どう違うんですか。」
所長 「ライトクロカンは、当時流行っとったパジェロなんかのクロカン四駆の無骨さをじゃな、デザイン的な要素として手軽に楽しめるようにしたモンなんじゃ。グリルガードに背面タイヤ、ルーフレールなんかがそうじゃ。」
助手 「流行ってましたね。」
所長 「で、今のクロスオーバーと言われとるクルマは、発想としては逆なんじゃ。つまりオンロード主体のステーションワゴンなんかに悪路を走れる機能をプラスしたモンなんじゃ。判りやすい例が最低地上高の確保とか、オールシーズンタイヤの装着なんかじゃな。」
助手 「レガシィのアウトバックなんかがそうですね。」
所長 「そうじゃ。昔のライトクロカンが格好重視じゃったのと違って、見掛けを控えめにしとるところが知的に見えるんじゃろうな。金持ちウケがいいんじゃ。で、本格的なSUVもどんどん乗用車的なデザインになってきて、今ではクロスオーバーが主流になって来とるんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「で、それをコンパクトカーに取り入れたのがSX4と言うわけじゃ。ま、出来上がったモンはライトクロカンとなんら差はないんじゃがな。」
助手 「そういうことですか。」
所長 「特にヨーロッパでは小型のSUVの需要が多いんじゃ。フランスなんかでは何年も前からRAV4なんかがベストセラーじゃしな。」
助手 「そう言えばHR-Vがヨーロッパで人気が高いって聞いたことがありますね。」
所長 「じゃろ。プジョーとシトロエンが三菱のアウトランダーをOEMで販売するのも、そういう理由じゃ。」
助手 「そう言えば、SX4もフィアットと共同製作らしいですね。」
所長 「ま、共同と言ってもつくっとるのはスズキじゃけどな。フィアットはデザインなんかの企画だけじゃろう。何と言っても圧倒的に日本が強い分野じゃからな。確かフィアット版はセディチとかいう名前じゃったはずじゃ。」
助手 「そうなんですか。でもこれは楽しみなクルマが出来ましたね。」
所長 「じゃろう。今のところライバルらしいライバルも見当たらんし、ジウジアーロが噛んどるデザインも、どこから見てもこのクルマじゃとわかる個性的なモンじゃ。」
助手 「えらい褒めようですね。これは販売も楽しみですね。」
所長 「うーん、どうじゃろう。」
助手 「あら、なんかトーンダウンしましたが。」
所長 「日本では正直難しいじゃろうな。ヨーロッパではかなり期待できるんじゃが。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「何度も言っとるように、国内の小型SUVの市場は散々たる状況じゃから、クロスオーバーと言ってもなかなか受け入れられんじゃろうな。それとこのクルマ、全幅が1700を僅かに超えとるから3ナンバー登録になるんじゃ。輸入車ならまだしも、国産車で3ナンバーのコンパクトカーと言うのは、3ナンバー・イコール取り回しが悪い、贅沢品という固定観念が残っとるユーザーにとっては、ネガティブな要素なんじゃ。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「スズキも、はなっから国内は期待しとらんようじゃけどな。確か年間目標台数が1万5千台じゃし、月当たりに直すと1,250台じゃ。アウトランダーやRAV4、ビーゴ・ラッシュの月2,000台と比べても控えめな数字じゃろ。」
助手 「そうですね。」
所長 「情けない話しじゃが、この手のクルマを受け入れられる懐の深さが日本には欠けとるんじゃ。何かが流行ればそればっかしじゃしな。」
助手 「確かにそういうところはありますね。」
所長 「あと、海外生産モデルの写真を先に見てて、格好いいと思っとったんじゃが、国内モデルを見てなんか違うような気がしたんじゃ。」
助手 「え、そうなんですか。」
所長 「で、見比べてみたらサイドの黒いモールがなくなっとるのと、フロントグリルまわりのデザインが違うんじゃ。」
助手 「黒いモールはわかりますけどね。日本はボディ同色信仰が強いですから。」
所長 「フロントグリルの方は、海外向けは彫が深くって日本では馴染みにくいという見解なんじゃろうな。」
助手 「アクが強いと販売に影響しますしね。」
所長 「新しいカテゴリーをつくり出そうとするんなら、今までの価値観で判断するより、少々アクがきつくても新鮮味がある方がいいと思うんじゃがな。」
助手 「そうですね。そんなに数が出るクルマじゃないんですし、もっと冒険して欲しいですよね。」
所長 「そうじゃな。あ、それとSX4なんて言う名前が覚えにくくていかんわ。オートバイじゃあるまいし。」
助手 「そうですか。スポーツクロス四駆の略でしょ。僕は結構いいと思いますけど。」
所長 「記号の名前もMR2やCR-Xが出たころはインパクトがあったんじゃが、ホンダなんかが連発したせいで、ややこしくてタメじゃ。マニア向けにはいいかもしれんが、一般のお客からしたらどれがどれのことかわからんじゃろう。」
助手 「そんなモンですかね。」
所長 「そうに決まっとる。だいたい愛着が持てんじゃろう、こんなアルファベットを並べただけのモンでは。」
助手 「そうですか、僕はそうでもないですけど。所長、年のせいじゃないですか。」
所長 「うるさいわ。また年寄り扱いしよってからに。お前なんかより、よっぽど頭はしっかりしとるわ。」
助手 「ま、そういうことにしときましょ。」
参考資料
スズキ SX4(スズキ株式会社)
スズキ SX4海外生産車(スズキ株式会社)
フィアット・セディチ(Fiat Auto S.p.A)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
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