消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

目には確かに見えぬ認証

2017-05-31 22:36:17 | 表示に関する話題
さて、現代では「オーガニック」や「有機」は認証されているのが当然、となっています。
「オーガニック」や「有機」と書かれた商品には必ず「有機JASマーク」がついています。
外食は…ちょっとどうですかね???オーガニックカフェ、とか言っても、確かに有機野菜とか使っているかもしれませんし、その辺のおばちゃんが作った野菜をなんとなくふわっとオーガニックとか言ってたりするんじゃないのってちょっと疑ってます。

有機JASマークが出来るまでは、全く有機でもなんでもない商品にやたら「オーガニック」をつけて売る商法がありました。
えー、またまた、そんなこと言って、TKNさんて本当にビッグマウスなんだからー、という人もいるんですけど。
実際2000年より前位はそういう混沌とした時代でした。
「何がオーガニックだ!」と言いたくなるような添加物モリモリの食品を「オーガニック○○」として売ってみる、とかやりたい放題でした。
が、売り手がやり過ぎた結果、すげえ農薬使ってるのに有機とかいったいどういうことだってばよ!みたいな状態になって、規制が入りました。
あれですよね、新しいキーワードを見つけて、よっしゃこれで売ってみよう!→他の業者が真似する→訳わからん商品増える→規制
この流れは鉄板ですよね。
最近では「グルテンフリー」が目を付けられていますが、早めに下火になっておいた方が身の為だよ!と思うんですけど、囚人のジレンマ的な何かで皆引くに引けないのでしょうか。

有機には、畑から育てる部分の認証や加工するときの認証、輸入するときの認証など様々あります。
正直私は全部は把握してないです。
畑の場合は生産記録とか実地検査とかですかね?
加工の場合は原料がきちんと有機認定されているのかとか仕入の帳票記録から生産ラインの検査とかですかね???
輸入とか…混ざらんようにしろよ!とか、変な加工してないだろうな?とかそういうイメージですかね?
なんかふわっと。ふわっとしたイメージです本当にすみません。

購入する側は…信じるしかない…認証が正常になされていると…。

農産品そのものであれば、使っていないはずの農薬が検出されたぞ!とかで判明する可能性もありそうですが。
加工食品になっちゃうと、有機かどうかって判別できるんですかねぇ???

ただ、企業はあのマークを貼る事で付加価値をつけるとともに、責任も持たされている訳ですから。
特別な価値を求める消費者はそれなりの対価を支払って購入する選択肢を持っている訳ですよね。
目には確かに見えない価値がそこにあるのが「認証」というものかなぁと思います。(いや、マークとして目に見えてるんですけどね)

トクホ有効成分が足りない事件

2017-05-22 19:35:50 | 表示に関する話題
トクホの抜き打ち調査で有効成分の不足がある製品が出ました。
まぁ、数日前位の話だと思うんですけど。
片方はまさかの製薬メーカーの商品です。

儲かるかなって健康食品に手を出す製薬メーカーもいるようですが。
その管理の程は、やはり医薬製品ほどではないんじゃないのかなっていう…ことを…感じます。
素人感覚的には、「医薬品メーカーが何か体にいいって言ってるんだから信用できる」みたいなネームバリューを感じる気がしますが。
うっかりすると、その会社の医薬品の信用が落ちると言う諸刃の剣であるように思えますね。

製薬メーカーの名前や大手企業の名前があっても、実際は健康食品を受託契約で製造するメーカーが作っていたりすることも多かったりして。
製薬メーカーだから安心(委託)みたいな…。
私の存じ上げている某メーカーでは割と委託先に厳しい検査を課していましたが。
正直、コスト半端ないんだろうなぁという感想を抱いていました。

しかし、実際のところ、大手が実直にやっても売れないのが健康食品の世界です。
真面目なメーカーもいます!
と宣言しますが。
不真面目なメーカーも多分います…。
そして多分不真面目なメーカーの商品の方が売れやすいのがこの世の運命。
あいつらは「怒られたら撤収」みたいな感覚で広告うってきたりしますからね。
やはり広告の力は凄いですよ。
ステマとかダイマとか、真面目なメーカーが検査にかけるお金を広告にかけた方が売れて当たり前ですよね!っていう。

地図すらも表示

2017-05-07 23:54:23 | 表示に関する話題
食品表示においては、消費者が誤認するような表示が禁止されています。
実は、地図も表示と見做される可能性を秘めています。
景品表示法、告示「商品の原産国に関する不当な表示」です。

うーん、これは、その昔、イタリア産とかスイス産が国内産よる素晴らしい!みたいな内容から始まったような感じがするので。
国内産なのに、海外で生産されたと誤認されるような、云々~みたいな内容になっていますね。
今となっては食品だと国産の方が嬉しい消費者が多いでしょうから、若干違和感があるかもですが。

端的に言うと、国内で生産されたものに、例えばスイスの地図だの国旗だのをつけて、さもその国で生産しました、みたいに誤認させるのは不当表示、ということです。
時計とかだとイメージしやすいですかね。

まぁ、告示が出た、ということは、昔頻出した問題だったのでしょうね。
食品で関係ありそうな告示はこの原産国と、「無果汁の清涼飲料水等についての表示」です。
後者については「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」でより詳しく業界内では取締っていますが、告示では乳飲料や粉末飲料、氷菓などもカバーしており、幅広く、ざっくり言えば「無果汁」か低果汁の場合果汁の割合を書くこと、という決まりがあります。

ざっくりではなく、まじめに解説すると「無果汁」とか低果汁の場合に果汁の割合が無い場合、下記のようなことが禁止されます。
「一 当該清涼飲料水等の容器又は包装に記載されている果実の名称を用いた商品名等の表示
二 当該清涼飲料水等の容器又は包装に掲載されている果実の絵、写真又は図案の表示
三 当該清涼飲料水等又はその容器若しくは包装が、果汁、果皮又は果肉と同一又は類似の色、かおり又は味に着色、着香又は味付けがされている場合のその表示」
一、は、つまり、メロンソーダ、とかそういった感じですね。
二、は、メロンの図とかそういったことですね。
三、は、何を言ってるんだ、と一瞬なりますが。
つまり、色とか香りとか味からその果物っぽいなーと思わせる場合は、商品に書かなくても消費者が果汁を使っていると誤解するだろ、という話のようです。
メロンっぽい味の商品を設計した時点で、無果汁なら「無果汁」、低果汁なら果汁の割合を書かないとアウト、ということですね。
もう三だけでいいんじゃないかな、と思いますが。

話がそれましたが。
地図については、告示で出ているのは、国内産のものを海外産と誤認させるような事案ばかりでしたが。
景表法自体が消費者が誤認する表示を禁止する、ということを考えると、逆の例として、海外で生産した商品に日本の地図をつけて、さも日本産であると誤認させるような表示もアウトになりかねない、ということかな、と思います。
景表法については、「程度問題」というのがあるので、日本の地図を載せようが国旗を載せようが、でかでかと「※中国産です」と記載しておけば問題ないとかそういうことはあるかもしれません。
(小さい文字だとやっぱりアウトかも?)

景表法については、告示等できちんと示されていない分については、本当に「総合的に判断する」という部分が大きいので、いざとならないとOKかNGかはわからない部分がありますが。
一応、「地図まで…!」というインパクトはあるかな?という気がしたので。
広告会社とかデザイン会社を悪く言うつもりはないんですが、彼らはそういった法律に対してのプロではないので、メーカーや販売者はきちんと自分たちで見極めてデザインの修正などを指示する責任がありますので。
悪気なく雰囲気を出すために地図の図案のようなものを配置されたことにより、他の色々と相まって誤認を招く、ということもありますので、パッフィングの域を超えないように気をつけないといけないところです。

消費者の方々は事業者の「ずるい」表示を見て、イライラすることも多いかもしれませんが、多方面にわたる法律を色々見て事業者も広告やパッケージをひねり出しています。
すみずみまで良く見てみると楽しいですよ。

栄養計算の正体

2017-05-04 11:58:05 | 表示に関する話題
さて、食品表示法に於いて、栄養成分の表示が義務付けられましたが。
栄養成分値の表示については一部企業から大きな反発がありました。

例えば、旬の食品は栄養が豊富、とか言うじゃないですか。
この季節の魚は脂がのっている、とか。
そういった季節変動が大きい原材料をメインに使っている食品をとりあつかう企業にとっては、「範囲で表示してもいいけど、その範囲が過剰に広いとNG」と言われても、その範囲をどうやって設定するのか途方に暮れる訳です。
また、頑張って範囲表示にしたとして、結局幅広い結果が合理的な範囲である何らかデータを持っていたとして、果たして消費者に利益があるのか?という反発もありました。

栄養成分表示義務化の予感に晒された多くの企業が任意表示を始めていましたが。
事業者も大変だし消費者にそこまでメリットないし、どうなん?という食品も存在した訳です。
まぁ、でも「じゃあ、こういうのは例外として表示しなくていいよ」というのを、あまり広く設けてしまうと、なんやかんや理由をつけて表示しない人が増えてしまうのも事実。
という訳で、水とかみたいに、栄養成分が全部ゼロとか微量みたいな食品や、レシピが短期間で変わるようなものは表示を免除されましたが、季節変動が大きかろうが表示しろ、という結果になりました。
全部ゼロのやつはゼロって表示させたらいいんじゃないの?と個人的には思いますが。
消費者的には「なぜ表示が無いんだろう」って思うでしょうし、常識的に考えてゼロでしょう、って言われても、そうなの?みたいな人もいるかもしれません。

まぁ兎も角、殆どの業者が何らかの形で表示が必要となった時に、じゃあ、法律で決めてある誤差範囲を越えても許しましょう、ということで、
合理的な根拠があれば「推定値」である旨記載すれば、いざ、国がその商品の栄養成分を分析して表示とかなり違う値が出ても、許しましょうとなりました。
その表示、果たして意味あるの?と思う方もいるかもしれません。
が、実際問題として、1回分析しただけの値って、その程度の値、という考え方もあります。
季節が変われば、原材料の魚の個体が変われば、かなり違う値が分析したとき出てくる可能性も高いのです。
なので、一回こっきり分析しておかしいじゃんと結論づけるのもおかしいじゃん、っていう話です。
日々食べる焼き魚は自分で素材を買ってきて作ってるんだから兎も角、加工食品の焼き魚は加工されたものを買っているんだから、きちんと栄養成分を示してほしい、と言われても…
消費者は「加工食品」となると、加工度合いがそれほど高くなかったりしても、加工されたんだから、という、恐れや過剰な期待をもっているように感じます。
加工食品は、時代とともに消費者への情報提供などの義務付けが増えて、負担が大きくなっていますが、価格がなかなかあげられない状態で過ごしています。
「便乗値上げ許すまじ」みたいな声もありますが、時代の流れとともに増えた見えない負担や消費者の謎の期待に応えるために、企業も色々な何かを削られているけど値上げする機会が無い、というのも現状でしょう。

なんか話がそれましたけど。
栄養成分が義務付けられて、推定値と表示しようとした事業者は二つの方法を選ぶことが出来ます。
分析をするのか、栄養計算をするのか。

栄養分析は、実は凄い値段です。
自社で栄養分析するような事業者がいれば、相当金持ちか、何か別途栄養分析の事業を持っている会社だと思います。
大体外部に分析を依頼しますが、凄い高いです。
1検体何万レベルです。
商品の価格が1個数百円だったりするのに対し、何万レベルです。
大手企業なら、とも思いますが、大手企業でも多種の商品を全て分析に出して、となると、結構な費用負担です。

というわけで、多くの企業が計算による表示を行っていると思います。
栄養計算をするために使うのが、7訂栄食品成分表な場合が多いわけですが…。
自分たちが使っている原材料が載っているとは限らないんですよ。
データベースと言うからには壮大な量のデータが載っていそうですが、確かにそこそこ量はありますが、全ての企業が使っている原材料を全て網羅できる程かと言われたら、それほどではありません。
昔は載せていなかったけれど、メジャーになってきた安いエビを載せる、とか拡充してはいますが。
あくまで「ある程度メジャー」なものであり、マイナー原材料については載っていないのです。
食品添加物も載っていません。
よって、7訂食品成分表だけに頼れば、食品添加物由来のナトリウムが増えようが反映されなかったりします。
そこは添加物協会かどこかが、食品添加物の栄養成分のデータを提供していたりするようですが。
国が「公的なデータベースなどを使え、例えば7訂食品成分表とか」と言うほど、7訂食品成分表は事業者にとって充実していないのも残念ながら事実なのです。

実際食品成分表は表示作成を目的に作られている訳でも無いとおもいますので、仕方ないんですけど。
あちこち歪みまくった中で、まぁ事業者も頑張っているんですよ、多分、きっと…
誰が悪いという訳でも無いんでしょうけど。

嫌われ者タール色素の哀愁

2017-05-01 14:35:35 | 直接表示じゃないけれど
タール色素、というと、多分多くの人が嫌な顔をすると思います。
「石油から作ってるんでしょう…?」
「○○と一緒にとるとだめだとか」
「認可されてるけど、注射した結果異常が発生したって」

こんな風に嫌われているタール色素ですが。
医薬品では結構使われています。
結構、というのは量的な問題ではなく、頻度的な問題ですが。
消費者が大好きないわゆる「天然」色素は確か使用できないんじゃないかと思います。

石油から作ったから嫌、っていうのは完全にフィーリングの問題ですね。
まぁ石油よりカイガラムシから抽出した色素の方が嫌、って思う人もいるし、価値観は人それぞれです。
いやいや、石油なんて危ないじゃん、というのであれば、石油からなんやかんやして高度に精製されて元の成分が殆ど残っていないような状態で何が危険なのか冷静に考えた方が良いような気がします。
不安なのは仕方ないですが、安心できないからと言って安全じゃないとは言い切れません。

○○と一緒に取るとだめだとか。
まぁ、正直、食品のほとんどが、食べ合わせについては科学的に検証されていないと思うので、化学物質っぽいものだけ取り上げて、「アレとアレを一緒にとるとだめらしい」というのは、わかっているから避けられるだけ幸運なんじゃないかと思うんですよね。
インドで子供がライチを食べたせいで死んだ、みたいな事件がありましたが、なんやかんや条件がそろうことによって食品も危ない物に変化します。
全ての何か安全を確認する科学技術はまだないですし、食品そのものが本当に問題ないのか、他のものとあわせたときどうなのか、など知らずに食っているもんです。
一つ「○○と一緒に食べるとダメ」みたいな話で、全部だめ、みたいにしたら、食べる物が無くなる可能性もあるように思います。
チーズと風邪薬は一緒にとったらダメ、とか、果てしなく日常にあるもののNG組み合わせはあると思います。

認可されているけど、注射した結果異常が発生した、これは本当に良くある話ですね。
毒性を論じるときに「こういう論文が出ている!」と根拠を出してくる人がいます。
が、論文が全て正しいか、と言われたら、反証の論文を出している人もいたりしますし、時代が過ぎればその論文がそもそも評価に値しない、とされることもあります。
注射した結果の毒性を、注射薬のデータとして出すのはアリですが、食べ物として食べた場合のデータとごっちゃにするのも???です。
通常摂取すると思われる量の何十倍もの量を直接体に注射器で入れた結果と、毎日ちょっとしか食べない、しかも消化吸収の間に色々変化する結果とを同列に語るのはナンセンスです。
極端な話をすれば、食べても消化吸収しないでそのまま排出されるものを、血管に注射すれば無理やり体内の臓器等を通されることになります。
流石にいきなり人に食べさす訳に行かないので、培養した細胞で試験を行うとか、注射剤に使用したくて試験を行うとか、色々な条件で試験が行われますが。
それを引っ張り出してきて「だから食品に入っていたら買うのは避けるべき」というのは恐怖を扇動したい人なのかなぁと思います。

まぁ、もちろん、実際毒性のあるタール色素もあるかもしれませんが、
食品添加物として使った範囲でも問題ある、となれば、使用が禁止されると思いますし。

しかし、実際問題として、食品添加物とかよりも、食中毒とかの方がずっと人の命を脅かしているような気がします…