消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

栄養成分表示なるもの

2017-02-28 20:41:07 | 表示に関する話題
食品表示法が出来て、一般消費者に販売される食品には栄養成分表示が義務付けられました。
食品事業者勤務でない知人に話したら、「やったー、楽しそう!」と言われました。
消費者団体などのキリッとした消費者と、私の身近にいる消費者の温度差は割と大きいのですが、私だけでしょうか。

さて、栄養成分表示についても、なんやかんや変遷があります。

まず、事業者が適当にしていた時代があります。
栄養がたっぷり、みたいに書いていても、具体的にどれだけ入っているかは書いていない、とかそういった頃です。
近代の表示を知っている人にはウソみたいに聞こえますが、事実です。
某麦茶メーカーのCMで「ミネラ~ルむ、ぎ、茶♪」という歌がありましたが。
当時「麦茶にはミネラルが多く含まれるから」という理由で多分あんな宣伝を打ってたんだと思います。
実際にミネラルを測定していたのか?と言われると…多分やってなかったんじゃないかな、昔は。
CMの主演?をしていた松島トモ子さんがライオンとひょうに襲われたのが1986年なので、私も流石にそんな前の事はどうだったか覚えてないです。
まぁ他にもレモン果汁を少々入れてビタミンたっぷりとか、そういった宣伝手法は取られていました。

それではイカンということになったのかどうなのかわかりませんが、栄養成分を強調するときの基準などが決められました。
含む、とか、多い、とか、低い(減塩など)とか、ゼロ(カロリー、糖質など)、とか。
そして、強調している成分とともに、主要な栄養成分の量を表示しなさい、と定めました。
その際に、表示を行うのであれば、その値について、誤差20%程度に納めなさい、という決まりができました。(項目によって許容範囲のパーセンテージは違います)
誤差範囲に収まらない場合は、○~○といった範囲表示でもOKとされています。
成分を強調していなくても、任意で表示することは可能ですが、その場合も「任意だから誤差範囲を超えてよい」ということはなく、この決まりに従って表示をおこなうこと、となっています。
この法律は最新の食品表示法ができる一つ前の法律なので、食品表示法に対応しきれていない人々はこの決まりに従うことになっています。

この決まりには問題点がありました。
誤差範囲についてですが、余りにも値が小さい時は、20%の誤差、が非常に小さい値になってしまいます。
つまり、当局が設定している誤差範囲の合理性が低いのです。
よく見かけるのが、ナトリウム0~○○㎎、というものですが、ナトリウムの値が低い中で変動するものを、誤差範囲を越えないようにわざわざ範囲表示にしている訳です。
範囲表示も、範囲に収まっていれば良いという訳ではなく、不当に幅広にしたらだめ、という決まりもあり、一層困難です。
この決まりが出来たばかりの頃は、範囲から外れているとわかれば違法ですので、事業者が表示をするには、計算し、またはサンプルをいくつか分析し、色々考慮して違法にならないよう細心の注意を払っていた訳です。
お金が無い事業者たちは、違法になっても嫌だし、コストはかかるし、ということで、表示には消極的なところが多かったです。

しかし、やがてまことしやかに「栄養成分表示が義務化されるらしい」という情報が流れます。
確かに義務化されるのですが、大体義務化の前に噂が流れます。
意見募集とかがあるんでしょうね。
そして、義務化されるなら、急に対応するのも難しいから、任意で表示をしちゃおうぜ、任意だったら誤差範囲から外れたってそうそう怒られないよ!どうせ誤差範囲も合理性ないし!義務化されたら条件も緩和されるんじゃない?みたいな発想(すみません、結構妄想です)だと思うんですけど、割と適当っぽい表示があちこちでなされ始めます。
そして、ここ十年くらいの間に、世の中の製品の多くに、特に栄養成分の強調をしていなくても、栄養成分の表示が行われるようになったのです。
違法かもしれない表示も多く見受けられますが、正直当局的にも、強調表示をしていないならいっか!みたいな雰囲気があるのかな、と思います。
特に厳しく取り締まられている様子はないです。
栄養成分が多少おかしくても、直ちに健康被害につながる訳でもないですし、普通の栄養成分表示によって何かを著しく優良に見せる、とかいうこともなく、義務化が控えていることもあって、黙認、というところでしょうか。

さて、新しく食品表示法ができましたが、そこで栄養表示の方法は二つ設定されました。表示の法律の概要について書いた時にも書きましたが。
・従来の保証型(誤差の許容範囲あり)
・推定値(合理的な根拠があれば誤差があっても仕方ない、推定値だという記載が必要)
栄養成分を強調表示したりする場合は、保証型でないとだめです。
普通に表示する場合には恐らく「推定値」となります。
表示の下に「推定値です」とか書いてあればそれは推定値ですので、誤差が何パーセントだろうと根拠さえあれば合法です。
従来の「任意だから取締られないだろう」という考えから、栄養成分を強調しようが何しようが雰囲気でやっていた企業もあるかもしれませんので、きちんと線引きをされたということは、ある意味、意義があることかもしれません。
推定値許すまじ、みたいな記事を見かけたことがありますが、過去の表示も「推定値」と書いていないだけで実態は推定した値で、同じものが表示され続けている場合が多いはずですから、いまさら感があります。
一応、合理的な根拠が求められるようになった分進歩したと思われます。


ここで、改めて考えてみたい課題が一つあります。
果たして栄養成分にいったいどれくらいの意味があるのか。

流石にビタミン何㎎、とか、鉄分何㎎とかいった表示にはある程度意味があるのかな、と思います。
と言っても、その鉄分の含まれ方による吸収率が違う、とか色々あるのでしょうが。
当局がひたすらに推してくる基本項目については、正直何か意味があるのかなーと思ってしまします。
主要項目とは、エネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質、食塩相当量、の5つです。

なぜ意味があるのかな、という事ですが。
これらの項目がどうやって導き出されているか、というのを知っているか知っていないかで大違いなので、どうやって導き出されているかを書いてみましょう。
栄養成分については、主に二つの考え方があります。
一つは、計算、主に文科省推しの日本食品標準成分表(現在は七訂)を利用して計算したものです。
もう一つは、分析ですが、分析方法は消費者庁の食品表示法で示されています。

どうして意味があるのかな、という発想になったかというと。
まず、分析の方から話をしたいと思う。
分析をするならば、その値は妥当性しかないように見える、一見。
そう、分析という言葉には一定の魔力があります。
実際表示の妥当性を調査するときも分析を行うので、分析で表示を決めるということの合理性は決して低くないのですが、それが消費者にとって意味があるのか、と言われると、私は疑問です。
なぜか。
分析法自体が、どうなんだ、と思うからです。
まず、たんぱく質の分析法を見てみましょう、まあいくつかあるんですけど。
メインの方法は、窒素の量を計って、そこからたんぱく質の量を推定します。
「推定します」というところが重要です。
多分相当ざっくりした値が出ているんだと思います。
私が思っているたんぱく質と違う!みたいな量が出ている可能性もあるのでは、とビクビクします。
ていうか、もはやたんぱく質、という項目自体適切なのか、という疑いすら出てきます。
脂質は油に溶ける分を計っている、水分は蒸発していった分だけ、となりますが、それって脂質・水分という名の何か別のものも交じってますよね…みたいな気持ちになります。
教育上仕方ないのかもしれませんが、この分類、実は相当ざっくりしていて意味がないんじゃないのかな!と思い始めます。
そして、炭水化物。
名前から私が想像するものは、炭素・水素・酸素で構成されるもの、です。
が、実際分析方法を読んでみると、何という事でしょう。100から他の分析成分(たんぱく質、脂質、水分、灰分)を引いたもの、それが炭水化物の正体です。
差し引き計算で残ったものは全て炭水化物と呼ばれているとかがっかりですよね。
私が思っている炭水化物とイメージが違います…。
因みに世の中のダイエッターの皆さんが親の仇のように嫌う「糖質」は、このように差し引かれただけの値である炭水化物から、分析された食物繊維の値を引いただけの、やっぱり差し引き計算で残ったものです。
糖質!糖質!と躍起になって見ているものが、実は他の成分から計算されたただの残渣みたいなものだって知ったら、ちょっと切ないですね。
こんな状態で、20%の誤差は許さないとか言われても、実際栄養なんて採った形態や人の状態で吸収率も変わってくるのにいったいどれだけの意味があるんだ…と思ってしまう訳です。
食塩相当量、つまりナトリウムの量を表示するのは、高血圧の方向けには良いと思いますけどね。

次は計算値について。
七訂が出たときに、ひじきの栄養成分が話題になったことをご存じでしょうか。
「昔は鉄なべで調理していたから鉄分が多かったが、最近は鉄なべで調理していないから、そんなに鉄分がないという結果になった」
嘘…だろ…。鉄分目当てでひじき食べてたのに…。自分で鉄なべ使えばひじき食べる必要なんてなかったんだ…!という衝撃が一般人の中に走りました。
そういうことです。
日本食品標準成分表は合理的な根拠です!と言っている割に、なんとなくサンプルを分析してみて推測した結果みたいなもんだと思います。
一般論であり、表示しているその食品が本当にそうか、と言われると、微妙。
ただ、いちいち分析していたら社会的コストが合わないので、仕方ないかな、という程度、

で、七訂を出すにあたって、追加された項目のうちに、「利用可能炭水化物(単糖当量)」というものがあります。
六訂にあたる日本食品標準成分表2010で追加された「アミノ酸組成によるたんぱく質」というものもあります。
この二つは、先に分析値の話で私が述べた「たんぱく質や炭水化物の分析値ってどうなの?」という疑問と真っ向対決してくれます。
つまり、
窒素の量からたんぱく質を推定するなんてナンセンスじゃない→過去は分析技術が低かったからね!今はアミノ酸組成を正確に測ることが出来て、アミノ酸組成によるタンパク質を計れるよ!
差し引きで炭水化物を出すなんてナンセンスじゃない→でん粉、単糖類、二糖類等を直接分析又は推計して、利用可能炭水化物を出したよ!
うん…やっぱり…あんまり現代の「たんぱく質」や「炭水化物」っていう項目は意義がないのかな、と切なくさせてくれます。

しかし、利用可能炭水化物やアミノ酸組成によるたんぱく質を、企業レベルで分析するのはコストが嵩んで仕方がないのかも。
現在の分析方法でもお金がかかって仕方ない訳ですから、より新しい技術の分析はお金がかかって仕方ないように思いますし。
無いよりは、技術水準が低い値でもあった方がまし、ということでしょうか。

ちなみに食品表示法に於いては「計算する場合最新のデータベースを利用」と書いてあります。
現在七訂が出ている日本食品標準成分表ですが、おおむね5年ごとに改訂されているため、5年後には再計算を強いられるのでしょうか。
この、どれ位意義があるのかわからない数字を5年ごとに計算しなおすコスト、プライスレスですね。
消費者の皆さんも、このコストは人件費として商品の価格にダイレクトアタックしますので、他人事ではありません。
社会に顕在化させにくいコストの怖いところは、説明がしづらいから、直接の値上げがしにくい→何らかの値上げに伴って便乗値上げを行うか、中身をコストダウンして補うかの二択、となり、見えにくい形での値上げになるところです。
暫く食べていなかった商品が、マイナーリニューアルを重ねられた結果、コストダウンでめちゃめちゃ不味くなってたとかたまにありますからね…。
そんな表示要らないから安い商品頼む、って思ったりしますが、その辺は海外とのハーモナイゼーションとか言い出されて抹殺される定めの意見なんですよね。

散々批判してみましたが、これからの高齢化社会、持病のある独居老人が増えてくると、「購入した食品の栄養成分を見て、食事コントロール」みたいなシーンも出てくるかもしれないので、長寿社会にはやはり必要な表示になってくるのかもしれませんね。
その頃には老眼で、「文字が小さくて見えないんじゃー、面倒くさいー」ってなっていそうな私ですが。
そのうち、スマホアプリで栄養成分表示を撮影するだけで、一日の摂取カロリーとか色々計算してくれるようなやつとか出てくるかもわかりませんし…。
事業者が一番出しにくい「ざっくりした値でもいいから!」を実現した推定値は、ある意味凄い存在かもしれません。

因みに最初の頃に述べたミネラル麦茶ですが。
この前の夏、ペットボトルを買ってみたところ、栄養成分表示がされていました。
時代の流れを感じて胸が熱くなりますね。

春になると出現する、薬機法違反商品たち。

2017-02-27 23:18:03 | 表示に関する話題
はい、もうすぐ春、もう春?でしょうか。
Spring has come.
これを「バネ持ってこい」と訳した人がいる、というのはいつからある都市伝説なのでしょうか。

春といえば、むずむずの季節ですね。
むずむずの季節、と言うだけで、誰もが花粉症を連想するでしょう。
そう、そういった連想を用いた薬機法に抵触するかも?表現がウォッチングできるいい時期です。
花見ならぬ、花粉症対策食品見(長いですね)。

薬機法とは、オフィシャルな略称「医薬品医療機器等法」、本名「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」旧「薬事法」、お薬を主に司る法律です。
薬機法は基本的に医薬品や再生医療・医療機器に関する法律を定めています。
何故食品に関わってくるか、というと、効能効果を標ぼうした場合、ただの食品が違法医薬品とみなされる可能性を秘めているからです。
健康食品などで、効果効能っぽいことを言っている商品がありますが、割と法律のギリギリゾーンをついている(つもりも含む)だったり、一部悪徳な事業者は指導されたら撤回しようと考えている会社もあるかもしれません。
小さな会社に至っては、社名を変えて逃げればいいじゃないとか思っていそうな気さえします。

正直私は健康食品に対し、あまりいいイメージを持っていません。
マルチに勧誘されたときに「がんが治る!」とか言われて、「何言ってんだこいつ」となったからです。
マルチの運営企業のお客様相談センターに、あなたのところのディストリビューターさんが、薬事法に違反するような事を言ってましたよ、どういう教育してるんですか、と聞くと「弊社ではそのような効能効果は標榜していません(=末端が勝手にやっていることです)」と仰るので、ブチギレそうになりました。
完全に私怨ですが、仕方がない、腹が立った商品やその類似品は買いたくなくなるのが人間の悲しい性質。
というわけで、当ブログは所謂健康食品の一部に対し、非常にあたりが強いですが、私怨ですので、あまり深く追求しないでください。

さて、閑話休題。
効果効能的な何かを標ぼうするためには、何等か申請したり届出したりが必要になります。
医薬品はそもそも、医薬品の製造業の許可を取らないといけない訳ですが、その後、医薬品を製造販売するに当たっては「承認申請」という手続きが必要です。
効果効能、成分、摂取量、毒性試験などなど、莫大なデータを厚生労働省に提出し、許可を得ることによって製造し、販売することが出来るようになります。
とはいっても、医薬品もピンからキリまでありますので、研究から生まれたてホヤホヤの新薬と、既に何社も同じ成分が出ている市販薬などでは、だいぶ扱いは違うと思いますが。
しかし、どのような「効果・効能」を標ぼうできるかは、管理されており、それ以外の効果・効能を標ぼうすることは出来ません。
どこかのテレビ番組で、糖尿病に処方薬の睡眠薬を推奨する番組があったそうですが、ちょっと良識とか色々疑ってしまいますね。
実際には、市場に出た後に、思わぬ副作用、ならぬ、別の疾病への効果が発見されることもありますが、きちんと申請しないと、既に販売している医薬品だからといって、別の効果を言う事はできません。
そのテレビ番組で突然糖尿病への使用を推奨された製薬メーカーはいったいどんな気持ちだったでしょうか、多分割と迷惑な気もします。

因みに、ネーミングセンスが秀逸な某製薬メーカーさんの、ダジャレ系商品名を見て「ずるい!薬事法違反だ!」と言った食品会社の方がいましたが、商品名も含めて申請されているはずですので、違反ではありません。
アットノン、とかうっそだろ、と思うようなネーミングですが、「きず・やけどのあとの~」という効果効能がありますので、アットノンOKなのでしょうね。
因みに私はアットノンと同じ成分の薬を処方薬で貰いましたが、アットノンマジアットノン!ってなりました。
本当はいけないんでしょうが、処方されたのと別のあざにも使ったのですが、古い痕はあまりアットノン!てなりませんでした。根気が必要なのかもしれません。

再び閑話休題。
つまり、申請し、承認された効果効能以外を言ってはいけない!という決まりがある訳です。
これは「医薬品」として販売されているものに限らず、食品にも適用されます。
食品は基本的に「効果・効能」が無い物が殆どですので、食品について「病気が治る」とか言うのは、この薬機法に抵触する可能性が高いのです。
トクホや機能性食品など、一部「保健機能」を標ぼうできる食品も存在しますが、それらも申請や届け出が必要です。
また、一部栄養成分については、一定量含有することで、例えばカルシウムであれば「骨や歯の形成に必要な栄養素です。」といった記載が可能です(届出不要)。
これらは範囲が決まっており、それを越えると、表現によっては薬機法、健康増進法、景品表示法など、さまざまな法律にひっかかる無限の可能性を秘めています。
ぶっちゃけて言うと、景品表示法が唯一企業に金銭的なダメージを負わせることができるため、実は薬機法より景品表示法で検挙される方が辛いかもしれません。
まぁいずれにしろ、公に叱られると、会社のイメージダウンにつながる、と言えなくもないですが、多分現代ではあまり気にされていないんだろうなあと思うこの「効果・効能」の分野です。
事業者サイドは現代でも気にしていると思いますが、消費者サイドはあまり興味ないんじゃないかなぁ…気のせいかなぁ…と思います。
許可が出ているものに目移りしている状態なのかもしれませんが。

昔は「がんが治る!」とか言う食品を信じて医者にかかる機会を逸して亡くなる人なども居て、それなりに厳しく運用されていましたが。
その甲斐あってか、最近は過激な効果効能の宣伝は殆ど見かけなくなりました。
昔はただの食品を「がんに効く」とか言って売りつける過激な商品がある一方で、こつこつ体にいいとされる成分を入れた食品を開発し、うすらぼんやり仄めかす企業等も多くありました。
実際に論文発表などがされていて、根拠資料があっても、効果効能を標ぼうすれば、昔は直ちに「薬事法違反」でしたので、根拠資料は内部資料として、外部には出さないけど、何か実は効くと言われてる成分入れてます!この論文は使えませんが、何か花粉症売り場の近くに展開してください!周りにマスクとかおいてください!敏感な季節に!とかそういう感じでやっていた訳です。
ただ、「この人は割と真面目っぽいから許してやろう」とかお目こぼしをしているとろくなことになりません。
お役所は次々表現を規制していきます。
事、ここへ来て食品事業者も「根拠があっても言えないなんて…」みたいになり、なんやかんやでトクホが誕生します。
これでまぁ、食品でも体にいいんだ!と書きたい人は書けますよ!という環境を整えたわけですが、いかんせんお金がかかって仕方がないので、無申請の「いわゆる」健康食品の跋扈は無くならず。
先の食品表示法で更に規制を緩和して、届け出すれば事業者の責任で一定の保健機能っぽい何かをかけるんだよー、みたいに機能性食品が誕生しました。
この機能性食品、既に問題起こりまくりですが、その件については、また別記事で。

という訳で、届け出により保健機能が言えるかも!となったものの、一定の論文集めなど中小企業にはハードルが高い…というほどでもないかもしれませんが、まぁ低いハードルではないようです。
スーパーなどにいって、飴のコーナーなどへ行くと、「むずむずの季節に」「鼻が」などなど、トクホ誕生直前のピリピリムードだったら「気は確かか」と言われそうな商品が陳列されています。
流石に現代社会で、名も知れぬ業者の飴に花粉症を抑える力などないだろうと常識的に消費者は判断できるようになった今の時代、取締るほどでもないのかもしれませんね。
まぁ、プラセボ(偽薬、有効成分を含まない薬)と自分でわかっていても、服用することで効果が得られるという説もある位ですので、然程高額でもない飴で気休めを得られるならば、それも良いのかもしれません。

因みに、トクホだからって調子に乗り過ぎてバンバン承認内容を越えた広告をうった業者が薬事法違反で叱られたという事件がありましたが。
どんなに小刻みに段階を踏んで、頑張れば効果を言ってもいいよ!とかただの食品はそこまでだ!と格差をつけようとも、各々そのカーストの中で上限を突破してしまう事業者が出てくるものだなぁ…と思います。
広告におけるパッフィングの限界に挑戦してしまう、事業者の悲しい性質なのでしょうか。
トクホが出たばかりの頃は、トクホでもない緑茶飲料にトクホっぽいゆるーいマークをつけて、ヘル○アの恩恵にあずかろうとした事業者が居たり、同業他社がトクホを出したころに「トクホウ!」とさもトクホっぽく普通の飲料のTVCMを打ってみたり、割ととがった感じのことも行われていましたが。
現代は下火になりましたね。
機能性食品で堂々ととがった感じの商品を出していこうという感じでしょうか。

ただ、市場にはまだまだゆるーい感じの花粉症対策食品が売っています。
時間があるときに、ウォッチングしてみてはいかがでしょうか。

因みに身体の一部をなんやかんやするような表現は薬機法の規制対象になるので、「鼻スッキリ」などはNGだと思われますが。
「のど飴」はOKです。
不思議な話だと思いますが。
昔からなじみがあるから、効果があるとは思わないだろう、という理屈みたいですが…。
まぁ、Yah○○知恵袋で「のど飴というからには喉に効果があるのか」などという質問が立つくらいなので、アウト領域に移行しても良いんじゃないかしら、と思ったりします。
「せきのどあめ」とか「はなのどあめ」とかはアウトだと思うんですけど…。
最近は多くのメーカーから「はなのど飴」が出ているようで、一種の一般名称みたいになりつつあるんでしょうか…。
しかも栄養機能食品だったりすると、「ビタミンCで粘膜関係をフォローしつつ、他の訳わからん謎エキスを推し、はなスースーとか…花粉症対策ですって言ってるようなもんだろ!栄養機能食品はこういう売り方したらNGじゃなかったの?!緩くなったな!」などと思い、感慨深いです。

歌は世につれ世は歌につれ、じゃないですが、表示は世につれ世は表示につれ、というのもあるのかもしれません。
赤信号、皆で渡れば怖くない、と思わせておいて、景品表示法では数社一斉検挙などもありましたので、まだまだ予断を許しませんが、他社に出し抜かれっぱなしというのも厳しいのでしょうね。

薬事法関連の厚労省周りの人々は、まぁ本業の医薬品の方が忙しいでしょうし、機能性食品も怪しい動きをしていますし。
健康増進法は…。やはり機能性食品に引っ張られてそうですし。
消費者庁は新しい表示法とか、色々忙しいでしょうから。
今が一番、一般食品の、いわゆる健康食品がやりたい放題できる時期なのかもしれませんね。

当り前が失われるこの世界で

2017-02-25 14:38:08 | 当り前が失われるこの世界で
新しいカテゴリを追加しました。
「当り前が失われるこの世界で」(作成日現在)
世の中の常識とは移ろいゆく運命。
今まさに失われていく「ちょっと前までの当り前」と食品についてのトピックスを書いていきたいと思います。
可能な限り表示の話も絡めていくので、暇な時の箸休めにどうぞ。

技術の進歩によって人は色々なものを手に入れました。
開発者の多くが「良かれ」と思って開発したものでしょう。
一部は消費者に受け入れられ、一部は受け入れられずに淘汰されていきました。

例えば「コピーいくら」
個人的には技術的にも高度な工夫がみられるように思いますし、高級食材をある程度割安に食べられるならそれでもいいんじゃないの?と思っていましたが。
「皮が固い」「本物に比べて味がいまいち」などなど。
また、「本物だと思って買ったのに偽物をつかまされた」など、評判はあまり芳しくなかったように思います。
製造者も別に騙そうと思ったわけではなく、一定の時期にしか採れない食材を、ある程度お安く気軽に食べれたらいいのでは?と思ってのことではと思うんですが。
生物資源保護という点からも、良かったのではと思います。
親を殺して卵を取る、ということは、その「親」は来年卵を産むことはできませんし、卵という無数の命の可能性を握りつぶす行為ですからね。
当時「生物資源」という考え方があったのか?と言われるとわかりませんが、そういうことを漠然とでも考えていたなら、時代が追い付いていなかったと言えるかもしれません。

事業者が何か模倣したような食材を提供してくると、「騙されているんじゃないか」という思いが働くのが消費者というものでしょう。
消費者からのクレームとして「いくらの皮が固い、人造いくらではないか」というクレームがどこかに持ち込まれていましたが、結果は天然のいくらでした。
天然のいくらも、とった季節がシーズンの終わりになると皮が固くなります。
これは生筋子を買ってきて、いくらしょうゆ漬けを作ることがある私が思う経験則ですが。
多分いくらを取れる季節の初期は、まだお腹の中でも卵が柔らか目で、このころが「美味しい時期」なんだけれど、卵がお腹の中で育つにつれ、世に出たときの為固くなっていき、シーズン終わりに駆け込みで取られた分はこの「固い」いくらになってしまうのかなって(推測)
スマホのネタアプリなどでも見分け方が載っていますが、お湯に漬ける、お湯の中で潰す、などすると、白濁するのが自然のいくら、白濁しないのが人造いくらです。
ただ、現代では病院などでの流通が殆どで、人造いくらが市場に出回ることはまずなさそうな雰囲気です。
正直人造いくらの製造方法から推測するに、技術的にコストがかかりそうですので、偽装したいならもっと楽な商売がありそうな気がします。
人造いくらを自然のいくらです、と偽装して売ることについては、製造コストも社会的コストも割にあうものではないでしょう。

インターネッツの海でみた感じですと、自然もののいくらの輸入品などの価格が下落して、人造いくらの流通が無くなっていった模様です。
体感的に今年の生筋子の値段がお高くあまりスーパーなどで見かけなかったので、またいくらの値段も上がってくるのかもしれませんが、それでも人造いくらで代替しようという人はあまりいないでしょうね。
昔は「回転ずしなどは、安いからって人造いくらを使っているんだ」という風評被害がありましたが(使っていた時代もあったのかな?知らないけど)、現代でそれをやると、多分景品表示法にひっかかると思います。
バナメイエビを芝エビとして提供した、とか、成型肉をステーキとして提供した、など、問題になったことがあったのをご存じの方も多いと思います。
現在では景品表示法で取締られる内容です。
外食業界のメニューの表示も適切さが求められますので。
人造いくらを「いくら」として提供することは、やはり適切ではない、という判断が下されると思います。
やるとしたら、「コレステロールが低い人造いくら!」とか、誘引する方向での表示が行われるような予感もします。
ロハス(?)な人達に向けて「生物資源を保護する魚卵を捕らないいくら」とかそういうのもありかもしれません。
小売り店で出されるものについても、人造いくらについては「いくら」という商品名が認められず「いくら風加工品」(?)とかいったなぞの名称がつかわれるかもしれませんね。
かにかまぼこの商品名で「ほぼかに※かにではありません」といった、じわじわする商品名を考えた会社があるのですが、人造いくらも頑張ってほしい。
自然のいくらは原材料にまず「いくら」が出てくるでしょうが、人造いくらは「植物油、…」などとなりいくらが出てこないので一目瞭然でしょう。
添加物だけ表示するような販売形態の場合でも、まぁ恐らく商品名で見分けがつくようにされるのと、添加物が「調味料(アミノ酸等)」「ソルビトール」など自然いくらに対し、人造いくらは「アルギン酸ナトリウム」や「カラギーナン」など、人造皮に使われる増粘多糖類が出てくるのが特徴でしょうか。

人造いくらについては、なぜか皆さん凄い負のイメージを持っているような気がします。
私としては、現代、ほとんど人造いくらの流通が無いにもかかわらず、「人造いくらではない、自然の美味しさ!」とかいって自然のいくらを売っている業者を見ると、最近人造いくら売ってるの見たことありますか?
人造じゃないですって書かないと人造いくらを使っていると思われるような雰囲気を作る商売は、業界全体にとって良くないんじゃないの?と思います。
持病で娯楽的に魚卵などが食べられなくなってしまった人のために、多少高価でも市販してくれてもいいんじゃないのかなぁ、などと個人的に思うのですが。
これだけ負のイメージがついてしまうと、なかなか難しいですね。

同じコピー商品でも、かにかまは広く受け入れられているのに、人造いくらはなぜダメだったのでしょう。
個人的に思うのは、ある意味クオリティの高さが災いしたのかもしれませんね。
カニかまが出来た初期はかにもどきではなく、完全に「カニかま」という何か、になっていました。
消費者は「騙される危険が無い」コピー商品だと認識したのでしょう。
しかし、コピーいくらはその出来栄えの良さ故に、うっかり間違えて手にとりかねない、騙される、というイメージなのかもしれません。
代替となる食品を、似せれば似せるほど反感を買うというのも、悲しい話ですが、コピーいくらは生まれた時代が悪かったのかもしれませんね。

現代は表示の規制が厳しいですから、きちんと表示を見れば人造いくらに騙されることは無いとは思いますが。
まぁ、安く売ることが出来る程度の商品でもないので、市場で再販されることはないのかなぁと思うと、ちょっと残念です。

添加物の表示は意外と複雑なんですよ。正直説明するのが面倒ですが、何か説明を試みてみます。

2017-02-21 20:33:48 | 表示に関する話題
添加物の表示については、食品業界に勤めている人ならばなんとなく皆知っているような気がしていましたが、そんなことはなかったぜ!ということにいつからか気づきました。

さて、まあ、本格的な食品添加物の表示については、「食品添加物表示ポケットブック」を見るとわかりやすいです。
信頼の政府刊行物。
割とコンパクトですが、お値段なんと2500円(平成28年度版の場合)。
個人で買うにはお高いですが、基本を全部学ぶときにはやはりこれが一番わかりやすいのかなと思います。

さて、でもそんなお高い本を買うより、あやふやな私の情報を選ぶぜ!という方はここから先をどうぞ。

添加物の表示方法はみっつあります。
・物質名表示
・一括名表示
・用途名併記

物質名表示、はその名の通り、物質名を書くものです。
グリシン、とか、炭酸水素ナトリウム、とかそんな感じです。
一番単純ですね。

一括名表示は、いくつかの物質をまとめて書くことでOK、としているものです。
例えば、香料やベーキングパウダー。
いくつもの添加物の組み合わせで構成されていて、物質名を全部書くとやたら長くなるし、そもそもこの添加物の中の物質名にそんなに消費者興味ないだろという前提で、一括名での表示が可能な緩いやつらです。

用途名併記は、用途を書いて、そのあと括弧で物質名を書くというものです。
甘味料(ソルビトール)とか保存料(ソルビン酸)とか。
これが一番厳しいやつですね。
物質名だけではだめだ!何のために使っているのかきちんと書きなさい!ってことですね。

まぁでも、実際のところ、食品業界の人間ですら混乱するのが括弧がついてくる添加物の表示です。
上の文章を見ると、「括弧がつくってことは、用途名併記ってやつじゃないの?」と一見思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
実際、混同しているふしが見られる人が割と居ますが、括弧がついているからと言って、カッコ内が全て物質名とは限りません。

では、実際に例を挙げてみましょう。
1)リン酸塩(Na、K)
2)調味料(アミノ酸等)
3)ゲル化剤(増粘多糖類)

全て括弧が付きますが、
1)は物質名表示
2)は一括名表示
3)は用途名併記
です。
Na、K、アミノ酸等、を物質名のように話をしてくる人が実際いますが、添加物の物質名としてこれらはありません。

そんなことは常識じゃん、と食品表示を生業とする方は思うでしょうが、消費者側で、添加物を気にする人達でも、表示方法まで詳しく網羅している人がどれほど居るのかわかりません。
情報化が進み、文字列として「危険な添加物」のリストが手に入れば、どのような法則で表示されているかなど、興味の外なのかもしれません。
因みに私も一時期食品表示を生業としてきましたが、自分が手がけたことのないような食品分野の添加物の表示については疎かったりします。
ライムを購入したときに「防かび剤(イマザリル)」という表示を見たときはときめきました。

さて閑話休題。

1)のリン酸塩(Na、K)ですが。
これは、例えばピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、などのリン酸塩を複数使ったときなどにできるおまとめ表示です。
「おまとめ表示なら『一括名表示』ではないのか?」と思うかもしれませんが、あくまで「物質名」を「まとめた」ものです。専門っぽく書くなら同種の塩、か同種の酸と塩を纏められますという程度です。
「リン酸」の「塩」(塩、というのは、ナトリウムとかカリウムとかと引っ付いている状態、まぁ若干語弊がありますが、そんなイメージで)という物質をまとめて表示したのが「リン酸塩(Na、K)」です。
一括名表示は割と異なる分野からの物質を集めて、その用途的な集合名(私の造語です)を表示するものですので、幅広く一括できます。
物質名おまとめ表示には酢酸(Na)とか、リン酸塩(Na)などがあります。
化学の力でまとめているだけの表示というところですかね。

次は2)調味料(アミノ酸等)ですね。
調味料だけですかね、一括名表示で括弧がつくのは。
違ったらすみません。
他の一括名は、先に例にあげた「香料」や「ベーキングパウダー」のようにあっさりしたものが殆どですね。
ただ、調味料だけは、系統を後ろに括弧で書きます。
「後ろに括弧で書くって、それは物質名とは違うの?アミノ酸だし」という人もいますが。
調味料にはアミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の4つの系統があります。
それぞれ沢山の種類が登録されていて、それを組み合わせて味に深みを出すわけですが。
どの系統を使っています、というのを書いているのが後ろの括弧の中身なのです。
物質名そのものではない、というところがポイントでしょうか。
因みに、複数の系統を使っている場合は、一番多い系統の名前を書いた後に「等」をつけます。
例えば、アミノ酸だけを使っている場合は「調味料(アミノ酸)」、核酸を沢山、有機酸を少し使っている場合は「調味料(核酸等)」となります。
一つだけだと一層用途名併記感が増しますが、アミノ酸はあくまで物質の総称ですので、物質名とは違います。
全部書くには多すぎるけど、さすがに何系を使っているか位は興味があるかも?という参考情報なのでしょうか?ちょっと意図までは知らないです…ご存じの方いたらコメントください。

最後に3)ゲル化剤(増粘多糖類)、これはちょっと特殊ですね。
あからさまに物質名でない様相を見せている増粘多糖類ですが、お察しの通り増粘多糖類は物質名そのものではありません。
一定の多糖類を混ぜて増粘剤、ゲル化剤、安定剤といった用途に使う場合には「増粘多糖類」とまとめることが出来ます。
まとめているなら一括名表示じゃん!とおもうかもしれませんが、ここでのポイントは「使用目的と物を明らかにすることが目的」という用途名併記の志です。
増粘安定剤として登録されている「多糖類」という物質たちを括弧内でまとめて表示しています。
ゲル化剤(増粘多糖類)であれば「ゲル化剤」という用途のために「増粘安定剤として登録されている多糖類」という物質を使っていますよ、ということです。
調味料(アミノ酸等)などとは志の方向性が違うということでしょうか、説明していて私も意味がよくわからないですがフィーリングで乗り切ってください。
なんなら増粘目的の場合は「増粘剤(増粘多糖類)」となって増粘が被るので、「増粘多糖類」だけで良いとされています。
括弧が消えた!
もう一括名表示にしか見えないですが、「増粘」目的のために、「増粘安定剤として登録されている多糖類」という物質を使っていますよ、ということです。

ちなみに用途名併記については、もう一つ特殊な要素があります。
それは、着色料です。
用途名併記の原則から言えば、用途名に括弧して物質名、なので、着色料(紅麹)となりますが、これは紅麹色素と表示することも許されています。
またもや括弧が消えました。
物質名表示じゃないか、と思うかもしれません。
確かに物質名だけになっていることは事実ですが、「色」という文字が入っていることで、着色目的で使用していると明示できるとされています。
なので、前に書いて括弧をつけても、後に「色素」をつけても「着色目的」という用途を表示している、と見做されるのです。
ただし、気をつけなければならないのは、「着色料()」を必ずしも書かなくて良い、という思い込みから、単に「紅麹」や「カラメル」と書いてしまう人が稀にいますが、これはアウトです。
食品のカラメルと勘違いされる、といった可能性があるので、着色目的であれば必ず「色」をどこかに入れなければいけません。
何なら「着色料(カラメル色素)」と書いても問題ないですが、文字数が多いのであまり実行している人はいないと思います。

用途名併記の大事なところは「何が目的か」とどんな物質を使っているか、を併記することです。
テンプレ的に言われる、目的を書いて括弧で物質名を書く、というのは、わかりやすいですが、本質までを説明していないですね。
ただ、全てを説明すると、ざっくり知りたい人には詳しすぎてわからないよ!ということもあるので、端的に言うと、そういうものが多い、という説明としては「用途名の後に括弧をして物質名を書く、例外として~」という記載がわかりやすいと言えばわかりやすいのでしょうね。

添加物表示は割と応用が多いので、現場の人間も恐らく混乱し、小さな店などでは間違いも散見されますね。
応用が多い理由としては、少ない文字数で必要な情報を伝える事、を重視した結果なのかもしれません。
添加物だけの表示の頃は良かったかもしれませんが、今は法律も複雑化して、新しく覚える人たちは大変ですね。
ただ、実際表示は文字数との戦いが多いので、見やすくするためにも文字数を減らしたりする工夫は本当は大切なんだと思います。
表示文字数が多くなって、フォントに長体がかけられて細長くなっているのをみると、見づらい!と切実に思います。

肉の生食、これを禁ず

2017-02-18 00:32:03 | 表示に関する話題
世の中で、肉の生食が禁止されるようになってきましたね。

さて、食べて良い生肉食べては駄目な生肉があります。
まぁ、食中毒絶対ヤダな人とか、免疫力の低い子供、高齢者、妊婦さんなどには肉の生食はお勧めしないです。
ただ、まぁ、食べても直ちに健康に害はない場合もあります。

それはそうなんですけど、
生食は文化だー!
と言ってやたらめったら生食するのはやめましょう。
食中毒起こしたり何か寄生されたり肝炎を起こしたりとか、重篤な健康被害の可能性もありますので、手当たり次第の生食はやめましょう。
どこかの野球選手が「どんな環境にあっても負けない精神力を作る」?とかなんとか言って腐りかけの食品とか生肉とか食べまくっているらしいですが。
後から腹の中からぶわーって寄生虫が出てきたり、筋肉の下からぶわーって寄生虫が出てきたり、脳からズバーンて寄生虫が出てきたり。
豚の生食でE型肝炎とかになると、もう一生ものだったりします。
どこかのお偉い先生が、肉の生食をむやみに禁止するのはいかがなものか、と言いつつ、自分は絶対豚肉食べないけどそういうのは個人で判断すること、とか仰っていましたが、現代では「豚の生食ダメ」とか失われた智慧なんですよねぇ…。
智慧が失われたなら規制するしかないじゃない。

生食用の肉、という区分は、昔は存在しませんでした。
何となく、雰囲気で自己判断で生食していた人々が存在していただけです。
私は子供の頃家庭科で、鶏、牛は生でも大丈夫だけど、豚はダメ、絶対、と教わった記憶があります。
今は何でもかんでも生食禁止みたいに見えますが、実際に「生食用食肉の規格基準」というものが存在し、生食用の生肉、という区分が出来ました。
これは、焼肉屋のユッケで深刻な食中毒事件が起こった影響ですね。(うろ覚え)
生食用の肉であっても、飲食店であれば次の2つを表示しなければなりません。
1)一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあること
2)子ども、高齢者などの食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えること
結局、食うなよ、食うなよ、という姿勢が透けて見えます。
スーパーなどで容器包装に入れて販売される場合は、上の2点に加え、「生食用」と記載されるようなのですが(他にも決まった表示があるようです)。
見かけた記憶がないです。

私の知っている某地方では、当然のように鶏刺しを売っている店が鬼のように存在します。
当然「鶏刺し」というからには、皆さん生食してます。
買ってきてもらったその肉を見たところ、白い発泡のトレーに肉がもりっと乗っていて、ラップがかかっています。
以上です。
表示…?(困惑)
というのは冗談で、予め包装されている訳ではなく、おそらく、対面販売で、その場で容器に入れてくれる方式なのでしょう。
多分…絶対…おそらく…。

因みに私はその鶏刺しを食べてカンピロバクターによる食中毒を起こしています。
症状としては一週間くらい軽い下痢が続きまして。
特に辛い、というほどでもないけれど、念のため病院へ行って検査をするときちんと食中毒です、とわかりました。
薬を飲んで割とすぐに治りましたが、生食用として売っているから安心という訳ではない、ということはお分かりいただけましたでしょうか。
因みに医師からは「乳製品はお腹にやさしいというのはガセ情報なので、あまりとらないでください」と言われましたが、これもガセ情報である可能性が否めない疑心暗鬼です。

さて、まぁ、危ない身近な生肉No1はやっぱり豚肉です。
豚肉の何が危険って、E型肝炎ウイルス、有鉤条虫、旋毛虫等の寄生虫が怖いです。
世の中ではSPF豚は無菌だから生でも食べられる、等と述べる人もいますが、ダメです。
アイツらもE型肝炎の可能性を秘めています。
豚は何であろうと良く火を通しましょう。
あと、豚の親戚のイノシシとかも同様な危険があるので、「ジビエ」とか言って生だったりレアだったりで食べるのはやめましょう。
普通にカンピロバクターやサルモネラなどの危険もありますが、健康な人であればある程度治療をすれば助かる可能性も高いですが、正直寄生虫と肝炎は完全にアウトです。

鶏肉、牛肉は割と大丈夫だったりします。
とは言え、最近よく見かけるタレ漬け肉などは完全に生食には不向きですので、「あらかじめ処理してありますので中心部まで十分に加熱してお召し上がりください」という表示がどこかにある場合は素直に従いましょう。

私は子供の頃よくスーパーで買ってきた鶏のささみを湯引きにして食べさせられていましたが、こういうのは正直完全に自己責任の世界です。
ていうか、子供だったので、親の責任で食べさせられていました。怖いですね。
まぁ、スーパーで売っている生食用でない肉を食べるやつの神経がしれない、と言われたことがありますが、普通に外側を加熱して内側は完全に生の状態でよく食べさせられていました。
私がよくお腹を壊していたのはそのせいかもしれませんが、豚の生は出てきたことがないためか、特に寄生虫が出てきたこともないですし、肝炎になったこともないです。
運よく、なのか、食中毒が劇症化して云々、ということもありませんでした。
免疫力が低い人や運の悪い人は、カンピロバクターなど症状が緩い食中毒菌でも酷い病気になることがあるため、QOL(クオリティーオブライフ)が大切な人は火を通すことをお勧めします。

世の中には、生食肉を提供している店もあります。
焼肉屋でユッケが一度は禁止されましたが、規制がかけられて再開されました。
コスト的に高いので、あまり頼む人はいないかもしれませんね。
一度食べたことがありますが、目の前までパックに入った状態でもってこられて目が点になりました。
一緒に行った皆さんは「生肉久しぶりだー!」「少ししかないけど美味しい!」などと感動に打ち震えていましたが。
自己責任で割と生っぽい牛肉を食べている私は「こんなお高い店で私の分も頼んでいただかなくても良いですよ…」とこっそり思ったものです。
その日は偉い人のおごりだったのですが、なんだかみなさんのように美味しく食べられなかったのが非常に申し訳なかった思い出。

知人とご飯を食べに行った際に「何かこのとんかつ、生ぽい」と述べたところ
「散々生肉食べてきた人が何言ってるの」と笑うので
「豚なめんなよ」と答えてドン引きされた記憶がありますが。
皆さま、くれぐれも豚の生食はしないように!
お店で豚の生肉が出てきたら、そこはもぐりの店です!
飲食店だから、プロのはず、と信用していると酷い目にあいますよ!

一時期秘密クラブのように豚レバーを提供していたお店があったとか聞いたことがありますが。
いや、こっそりやるにしてもせめて牛レバーにしておけよと思った記憶がありますが。
それを肉生食推進派の知人に話したところ、「まぁ、牛レバーは高いからね。ただ、豚レバーを高い金出して食ってた人達の気はしれない。」などと述べていました。
フグの肝をどうしても食べたいんだ!という人が世の中に居るように、生のレバーをどうしても食べたいんだ!という人もまた、存在するようですが。
ブタ・イノシシあたりは本当に危ないから自己責任でもやらないでください!と思います。

なにもかも規制して禁止すれば、確かに被害者は減るのかもしれませんが。
リスクの度合いを把握していない人々の脱法行為が始まった時に、割と悲劇が起こりがちですので、ある程度許容できる範囲は許容しておいた方が全体的に幸せな気がしました。
という訳で、豚・イノシシの生食は駄目!絶対!
鶏・牛・馬は場合によるので、自分の免疫とお肉の質と相談して決めましょう!
表示に「生食用」とあっても、自分の体調と十分相談の上食べるかどうか判断しましょう。