消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

豆乳マヨネーズなるもの

2019-08-21 23:30:25 | 表示に関する話題
先日ヴィーガンメニューを食べる機会があり、料理に入っていた豆乳マヨネーズを初体験しました。
思った以上にマヨネーズ感がないんですね…。
最初何を意図した食品なのかわからず、「このソース?変わった味がするなぁ」と言ったら連れのラクトベジタリアンが一口食べて「豆乳マヨネーズじゃん」と当然のような反応をしていたので驚きました。
そう、これが豆乳マヨネーズというのは、ベジタリアンたちが食べたら普通にわかることなのか…とびっくりしました。

豆乳マヨネーズは卵アレルギーの子供たちに対して提供されることが多いと聞いたことがあって、
「ほかの子が食べられるものが食べられない」
「ほかの子と違うものをたべなきゃいけない」
といった気持ちを緩和すると聞いたことがありますが。
そこはメイン原料の一つである卵黄が使えないことや、味よりも健康重視でできるだけ添加物は使わないとかいった配慮もおそらく加わって、味の再限度は低いんだろうなぁと思いました。
味の感覚は言葉だけではなかなかうまく伝えることができないから、食べたことのない人に全然違う味だということが伝わることはないんだろうから、それで良いのだろうと思いつつも、なんだかモヤモヤしました。

豆乳マヨネーズ=マヨネーズと育った子供たちが成長した結果なのか、「マヨネーズ」と表示があっても「卵を使っているとは思わなかった」と言って食してしまう事案が多発したらしく、「当然この食品には〇〇が入っている」ということを前提に改めてアレルギーを表示しなおす必要なしとされた「特定加工食品」ルールが消されたということが記憶にあります。

いつも思うんですけど、アレルギーの子供に不自由な思いをさせたくない、という気持ちは立派だし大切なことだとは思うんですけど。
そういうことをしたならば、それ相応の教育でフォローをすることが必要だと思うんですよね。
全員にもれなく害がある毒物などとは違い、アレルギーについては、表示を行う代わりに、入っているから罰せられるものでもないし、命に係わる内容ではあるけれど、個々人が自分の体と相談して選択しなければならないことなのですよ。
最終的には「食べる人」(食べる人が判断能力がない場合は代わりに判断する人)が命を守る選択をしなければならないんですよね。
そのために「このような食品には通常アレルギーのあるものが使われている」とかそういった知識をかなぐり捨てて「ほかの人と(見た目は)差がないような環境を準備する」というのは、後々の選択肢を誤らせて命を危険にさらす可能性すらあるように思います。

昔のように代替の食品がなかったころは、我慢する必要があって、我慢したからこそ、記憶に残ることも多かったでしょう。
懲罰的なものの覚えさせ方はよくない、我慢させたくない、という気持ちはわからないでもないですけど。
毎日三食くらい常に食べ続ける中で、代替食品が出てくるけど、一般的には食べられないことが多い、なんて内容を、いちいち教えつづけるよりは、根本的にその食品を避けるように教育したほうがその子のためなのではないか?と思います。
どんなに取り繕っても「食べられないものがある」「いつかは自分で対象のアレルギーを排除して選択をしなければならない」というときに、いちいち細かい表示を見に行かなくても、ぱっと見である程度判断できるように避けるべき食品を教えてあげるのも親の愛情じゃないのかなと思います。
タピオカミルクティーにイカスミ色素が使われているとは思わずアレルギーをノーチェックで飲んだという人がいましたけど。
全部が全部チェックするのは大変なことなので、急いでいる時だけでも、その時まで避けてきた経験上で見た目だけでザックリ避けつつ食べたいものの候補を絞った時点でアレルギーを詳しくチェックする、みたいにしたほうが、全量チェックするよりも見落としが減ると思います。

企業もアレルギーの部分だけ文字を目立たせたり、お菓子の個包装にアレルギーだけ表示したり、といろいろな工夫をしていますが。
見てもらえなければどうしようもないですから…。

アレルギー乳でチョコレート回収

2019-08-08 00:45:18 | 表示に関する話題
ロッテ チョコレート40万個自主回収 アレルギー物質が基準値超
アレルギー物質の乳成分が基準値を超えたということで、チョコレートが自主回収だそうです。
原因はラインの洗浄不足だそうです。
珍しく健康被害がでたようですね。7人。
つか、健康被害の無いアレルギー表示ミスってどうやって発覚しているんですかね?謎。
以下、引用内容を赤字にします。(引用元は同じパラグラフのリンク先を参照ください)

ニュースによると、「2018年11月に、消費者から健康被害の連絡が入ったものの、社内連絡が不十分で調査が行われず、2019年4月の定期検査で発覚した。」とのこと。
4月には本格的に発覚したのに、今回収なの????健康被害も出ているのに遅くない?

と言う訳で、詳しい事を知るべく消費者庁のリコールサイトへ。
何故かチョコレートで検索かけると出ないので、アレルギーで検索かけました。
「対応開始日 2019年08月07日」 遅い…遅くない?
アレルギーで健康被害発生したなら、昔でいえば食品衛生法関連、衛生事項なので、誇大表示などと違って早急な対応が必要ですね。
少なくとも数日以内には社内の意見をまとめて遅くとも1-2週間かそこらで回収に持って行かないと危なくないですか。
だって食べたらやばいんですよ?のどかにしているその瞬間もアレルギー患者が知らずに食べてしまう可能性があるんですよ?
電話の他に24時間インターネット受付をしているのは好感持てますね。
こっちだって忙しいのに平日の昼間とか電話してられないし、雇われるコールセンターの人のストレスもマッハでしょうからね。
「対象の特定情報 自主回収対象品
⑴ポリフェノールショコラ<カカオ70%> JAN4903333279913
⑵乳酸菌ショコラ カカオ70  JAN4903333243440」
中略
「賞味期限:(1) 2019.06~2020.06 、(2)2019.07~2020.06」

対象の製品はほぼ一年分ですね。
定期的な検査が年1だから、その間の製品とかそんな感じでしょうか?
ていうか、もう一部賞味期限切れてるじゃないですか。
もしかして本当は6月ごろ発表する予定が何らかの事情で遅れちゃったけどそのまま対象賞味期限だしちゃったとかじゃないですよね(邪推
まぁ、消費期限じゃないから、取っておいて食べて健康被害とか起こったらこまりますもんね。

企業の告知も見てみます。
「平素は弊社商品をご愛顧頂き厚く御礼申し上げます。
さて、弊社が製造・販売しております下記商品の原材料に乳成分は含まれておりませんが、乳成分を含む製品と同ラインで製造している為、商品裏面には『本品は卵・乳成分・小麦を含む製品と共通の設備で製造しています』と記載しております。
 この度、弊社にて自主検査を行ったところ『乳成分』が弊社基準値を超えて検出されました。乳アレルギーをお持ちの方は当該商品をお召し上がりにならないようにお願いいたします。弊社といたしましては、ここにお知らせするとともに、当該商品を自主的に回収することといたしましたので、ご協力をお願い申し上げます。」
(以下略)

最初はまず「乳がでました、すみません」じゃないの?
いきなり「ラインで使っているとは言ってます」という言い訳から始まるあたり、ちょっとどうなん?と思います。
ちょっと前に読んだクレーム処理の文章では、最初にお詫び、経緯や対応を説明し、最後に再びお詫びが良いみたいにかいてありましたが、最初にこれが来ると「注意喚起をしてるんだから食べたお前が悪いみたいに言ってるの?」とイラッとしそうですね。
あと、「後日、当該商品を引き取りにお伺いし、あらためて商品代金相当のQUOカードをお送りさせていただきます。」これがワカラナイ。
直接取りに来るの?着払いでええやろ。買った人間だって暇じゃないんやで。なんなん。しかも返金は後日なの?意味がワカラナイヨ…。
昔某企業から誤ファックスが届いた時に、「機密を含むのでどうしても現物を直接回収しなければならないので訪問させてください」と言われたときは、まぁしゃあないと思いましたけど、いやー、クレーム品つかまされた上、家に取りに来られるの待つとか、罰ゲームかな?
お詫びに、という気持ちならば、返金のQUOカード位その時持ってきても良いような気がしますし…。
一応、企業側としては賞味期限を特定しているのだから、製品がどれ位あって、とか位はわかっているでしょうから、凄い勢いで回収の連絡が来るはずがないとわかってやっているのかもしれませんが。
全国津々浦々現品を回収して回るとしたら、交通費もバカにならないでしょうし、数が多ければ客から客に回ることになるでしょうし、クレーマーみたいな人が混じっていてスケジュール通り回れなくなるとかトラブルの臭いしかしないんですが…。
あ、ちなみに謝罪は文章の最後にあります。「お客様には、多大なご迷惑をおかけいたしますこと深くお詫びするとともに、今後はより一層管理体制を強化し再発の防止に努めて参りますので、何卒ご理解の程、お願い申し上げます。」

うーん、まぁ、前々から気になっていた内容ではあるんですよね。
「同じラインで○○を含む製品を使っています」という表示。
これってどういう意義があるのかなって。

まずね、アレルギー表示の大前提として、以下のようなことがあります。
実際色々規制は多いですが。
・入っている「かもしれない」表示不可(アレルギー患者の選択を狭めるから)
・数μg/mLもしくは数μg/g以上含む場合を表示対象とする(かなり微量でも表示義務あり)
・洗浄等頑張ってもコンタミネーションの可能性が排除できない場合「同じラインで○○を含む製品を使っています」といった注意喚起表示ができる(義務ではない)
・絶対コンタミネーションする場合は原材料としてアレルギーの表示が必要

まず、実際に健康被害が発生したときに、この表示があれば多少は許されるのか?
ということですが、残念ながら私が見たネットニュースではそもそもラインでのコンタミネーションに関する注意喚起表示に触れているところはありませんでした。
あと、今ちょっと外交関係がアレなので、ネットニュースのコメント欄が別の意味で荒れていたので、どのような反応になるかはちょっとわかりませんね。

次に、この注意喚起を見てアレルギーを持つ人は購入を避けているのか?
実際どれ位のアレルゲンが含まれていたかの情報がないので何とも言えませんが。
健康被害が7人出ているとのことなので、そこまで気にせず買っている人も多いということでしょうか。
表示の境目になっている数μgは概ね10μgという説がありますが、それより少なくても発症するケースもあるらしいので、そういう過敏な方だったら避ける、という感じなのかなと思いました。
そういった過敏な方の発作を無事防げているかの把握は出来ないですからね、注意喚起表示の効果をはかるのはちょっと難しいですね。

アレルギーの管理は本当に難しいんですよね。
器/具をわければいいじゃないか、とお国は簡単にいいますが、任意の品目を無視して義務表示のものだけでも7品ありますよね。
/で、複数入っている製品はもちろんですが、複数入っている原材料もあります。
それを考えると、7種類の原材料を含むそれぞれの組み合わせ(1種類のみ、2種類、3種類…)、127通り???(あっているかわからない…)無理ですね。
製造順序をアレルギーを含まないものからにすればいい、とかも聞きますけど、7種類の原材料を、少ない順にって言っても…。
また、気にしないといけないのはアレルギーだけではありません、生産効率もそうですし、効率が落ちると利益が減るだけではなく、ライン上で問題が起こって品質不良が起こる場合もあります。
こまめに洗浄、と言っても、洗浄で水を使えば、水の影響で菌が増えやすくなるケースもあるなど、衛生面で問題がでる可能性もあるのです。
製造工程において大事なことは、綺麗に水などで洗えばいいと言った問題でもないのです。
そして、アレルゲンの調査キットはお高いので、バンバン検査するのが難しかったりします…。
さらに言えば、アレルゲンの調査キットは、いくつか種類があって、別の原理の検査を組み合わせてやると信頼性があがるとか言われています。
なので、比較的安い検査キットを日常的に使い、定期的に高いキットで検査することを提案しているのを見たことがありますが、そんなお金どこから出るんですかねェと思った記憶があります。

今回のケースで言えば、モノがチョコレートですので、うーん、まぁ難しいと思いますよ。
お菓子作りをするときに、チョコレートを湯煎でとかして、その時に水が混じると大参事!とか聞きますけど、工場でも水が混ざると品質が落ちるような気がしますので、種類を変えるごとにゴシゴシ水洗いとかは出来ないんじゃないかなぁと…。
ちょっと調べてみたところ、アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブックにチョコが実例として載っていました。わーお。
P19
「<コンタミネーションの事例>
例1)落花生入りのチョコレートを製造した後、プレーンのチョコレートを製造した場合、油脂分の多いチョコレートは水でラインを洗浄せずにチョコレートで製造ラインを洗浄します(共洗い)。しかし落花生の油脂分を除去することは難しく、ライン切替後もしばらく、ごく微量ですが、プレーンチョコレートに落花生の油脂分が混入することになります(時間とともにその混入は減少)。ただし、常に数μg/g以上ある場合には、アレルギー表示が必要です。
注意喚起表示例:「本製品の製造ラインでは、落花生を使用した製品も製造しています。」」
要するに、製品用に製造する前段階で、チョコレートを使って前のチョコレートを押しだす!みたいな感じですね。
チョコレート勿体ないですが…仕方ないね…。
共洗いの話は昔本で読んだことがあって、実際共洗いをラインでやってみて(その時はチョコではなく、何かの生地(ドウ)だったのですが)流したドウの量と残存アレルギーの量を何回か調べて、適正な押し流す量を決めるとかそういった話でしたね。
消費者にとっては沢山流せば流したほど安心かもしれませんが、コスト的にも製造のパフォーマンス的にも安全かつ経済的な最適量を導く必要がありますね。
一旦設定した後も日常的に、定期的にモニタリングして…と結構手間をかけてアレルギーの管理を行うことが推奨されます。

もしかしたら、回収に来たロッテの社員さんに聞けばどういう管理をしているかとか教えてくれるかもしれませんね。
お菓子会社のクレーム対応は非常に丁寧な印象があったので、今回のイキナリ言い訳告知には少々度肝を抜かれましたが。
ペヤングのマルカ食品やはごろものG混入に対する反応とか、割と初期対応を誤る食品会社はあったと思うので、お菓子会社だからというのは偏見ですかね。
以後気を付けたいと思います。


2019/8/8記事を一部編集しました。
企業が謝罪した旨追記と、余計な話の中に説明不足な点があったので補足しました。

景表法、課徴金よりもお金返してほしい気持ち

2019-08-04 13:52:18 | 表示に関する話題
景表法(通称。景品表示法とも。正式には不当景品類及び不当表示防止法)による、課徴金制度が導入されてからしばらくたちまして。
ちょこちょこと小さいニュースで課徴金を取られている会社が出てきているようです。
大きなところではマクドナルドのローストビーフバーガーの件でしょうか。
リンク先の消費者庁の発表によれば「あたかも、対象料理に使用されている「ローストビーフ」と称する料理には、ブロック肉(牛の部分肉を分割したもの)を使用しているかのように示す表示をしていた。」にも関わらず「成形肉(牛赤身のブロック肉を切断加工したものを加熱して結着させて、形状を整えたもの)を使用していた。」とのことでした。

成形肉については度々問題になっていますね。
最初は2005年くらいでしたかね。フォルクスでステーキと言いながら成型肉を出していたという。
まぁ、当時外食産業で「ステーキ」についての明確な定義もなく、安くステーキを提供するにはどうしたら、と、肉をつなぎ合わせてステーキっぽくして出した結果、それをわざわざ書かなきゃいけないとは思わなかった、というのが当時のお話だったと思います。
一瞬問題になった時は他の企業も頑張って気にするっぽいんですが、ある程度経つと忘れられて別の会社が問題を起こす、ということがしばしばあるような気がします。
全く同じ間違いは流石にないと思うんですけど、マクドのイメージCMみたいなものとか、商品設計などなど、色々なアプローチで問題が起こります。

閑話休題。
景表法で問題になった企業は課徴金を課されます。
それを見て「国に納めるんじゃなく、被害者である消費者に返せよ!」と怒っている人をみました。
じつは、消費者に返金をすることで、課徴金を減額する制度があります。(さらに言えば返金額が課徴金を越えたら課徴金を取られなかったはず)
罰金を作って抑止すればいい、ということではなく、消費者を救済しようという考えが盛り込まれているんだと思います。
が、実際は返金しないで課徴金をずばっと払って終わりにしているんじゃないかなって思います。

消費者への返金を行うにしろ課徴金を払うにしろ、お金が出ていくことに変わりがないなら、消費者の心理への働きかけとして返金を行った方がいいのでは?という気がします。
だが、実際そういった企業は多分今後も殆どでないでしょう、なぜか。

まず、返金作業そのものが面倒くさい。
課徴金を減額してもらうにあたっては、制度に沿って返金手続きを進めなければならないので、計画・報告など面倒が考えられる。
返金をするにあたり、対応が遅ければ却って消費者の不興を買う恐れがあるため、それ相応の人員を確保する必要がある。
個人情報等を扱うことになるため、それなりの行動が必要になる。(来たばかりのバイトにやってくれ、では済まされない可能性が高い)
返金するのにクオカードなどを使う可能性もあるが、振り込みなどにするのであればもっと手間がかかる。
多数の問い合わせなどが発生するので対応窓口を準備しなければならないし、窓口で多くの苦情を受けて対応要員のストレスが半端ない可能性が高い。
対応の些末な内容にでも問題があれば更に消費者の反感を買う恐れもある。
(クレーマーみたいな人に対して、うっかり末端の人間が迂闊なことを発言したらSNSで炎上などなど・・・)
と、ちょっと素人が考えただけで壮絶な面倒さ&イメージ回復に失敗・むしろ追加で問題が発生する可能性まで秘めている。

次に、課徴金を課された企業が消費者のイメージをそもそも気にしないパターンが割と多く存在する、ということです。
大きな企業の場合は報道が大きいですが、小さな企業の場合はそもそも報道自体が殆どされていません。
また、訳のわからないそもそも根拠が無いような健康食品を聞いたことのないような名前の企業が売って、その際に問題があって課徴金が課された場合に、そもそもその企業が失うものは相当少ないでしょう。
信頼と信用で成り立っている大手の食品会社とは違い、そういう悪徳な企業も存在しうると思います。
昔はTVCMや街頭ポスターなどの、やり始めるのも差し替えるのもお金がかかる広告媒体が多かったですが、今はウェブで簡単に差し替えられる広告も多いですし、ウェブ上の広告の取締は相当難しいでしょう。
現代はウェブで過激なウソ広告をして売り逃げる企業が多いのではないかなと思います。
そういった企業が、課徴金を課せられた途端に自社のイメージを気にして返金対応するか?と言えば、しないと思います。
見つかったら運が悪かった程度に思って、さっとお金を払って対応を終わらせる企業が一定数存在するように思います。

最後に、課徴金を命じられた際に不服がある、というケースが一定数あるのでは、と思います。
課徴金を言い渡された場合に、不服を申し立てることが出来ます。
裁判で一審有罪になったからと言って諦めず、控訴する、みたいなものですね。
因みに不服申し立てによって、課徴金の取り消しが発生した企業が実際あったようです。(因みに景表法は食品業界だけの話ではないので、食品業界の現状はわかりません・・・)
不服申し立てが認められず、課徴金の取り消しが発生しない場合でも、企業として「自分たちはきちんとやったはず」という状態であれば、消費者に対して返金を行うというのは難しいと思います。
悪いと思っていないのか、と思われる人がいるかもしれませんが、科学的な内容というのは、簡単に白黒つけられる状態でも無い、ということが多いです。
例えば、小さな試験管の中では同じ現象を繰り返し安定的に発生させることは可能かもしれませんが、実際の暮らしの中で使われる商品の効果を確かめるにあたって、実験の条件が適切であったか?みたいな議論になると、判断が難しい状況は沢山出てくると思います。
例えば、先のステーキの例でいえば、「定義がないものについて、消費者がどういうイメージを持っているのかを誰が決めるのか」というのもありますね。
昔から行われていることについても、どこまで古ければ慣例として認められるのか、などもあるかもしれません。
消費者へのイメージを気にする程度の大きな企業であれば、日頃から消費者に誤認させないような根拠の収集や調査を行っている企業も多く、指導されたときにすんなり「違法だったと思います」と言うような内容ならそもそも出さないことが殆どではないでしょうか。
そういう意味ではマクド何やっているんだと思いました。


まぁ、本当に消費者の救済を掲げるのであれば、課徴金は返金が上手く動かなかった場合に課す、補助的な制度にするという考えもあったのかもしれませんが。
理想論は兎も角として、結局ある程度の実効性がないと難しいというのは、どの法律でも言えるのかなと思います。

これからしばらくはネットでやりたい放題やっていた小さな企業がターゲットになっていくような気がしますが。
それらが一通り落ち着いたあと、危なくなるのは、最近健康食品に手を出し始めた製薬会社かなと思ったりします。
というのも、食品会社は昔散々エビデンスがあっても効能効果が言えない、という状況を味わってきて、そこからの様々な健康食品制度の発展を見てきているので、ある意味、ある程度のノウハウ、みたいなものが蓄積されていると思うんですよ。
一方製薬メーカーは、健康食品に対応するための成分を探したり、該当成分に関する論文などの収集能力は食品メーカーより高い可能性はあります。
しかし、そこから先の、広告手法などについては、食品業界の企業よりも認識が足りない可能性もありますし、健康食品関係の業界団体などとのかかわりもそこまで深くなくて、敢えて誰もやらないところを踏み抜いてしまいそうで怖いですよね。
既に「製薬メーカーだから」「製薬メーカーが手がける」みたいな、自社の地位を推していく宣伝手法がオッケーなのかしらと個人的には思うんですけど…
実際には健康食品を作っているのは健康食品のOEMを手掛ける企業が殆どでしょうし、多くの健康食品でない企業が手がける健康食品には、健康食品専門のコンサル企業がついていることが多いのでしょうから、大手でそんなヘマをやらかす会社はそうそうないはず、とも思うんですけどね。
(因みに製薬メーカーは、薬事法の改正によって、業許可関係が厳しくなったので、ある程度資金力がない企業は軒並みつぶれたりしていた時期があったはずで、あまり細々した会社は生き残れなかったはず)