消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

アイスの賞味期限

2020-02-11 23:24:44 | 表示に関する話題
某企業でアイスクリームに賞味期限を表示する、というニュースを見ました。
コメント欄には、「これでまだ食べられるアイスを捨てるやつが出てくる」「フードロスをなくす動きに逆行する姿勢」「食育の意味を勘違いしている」などの辛辣な言葉がありましたが。
正直言うと、私は良いと思いますよ、アイスの賞味期限表示。


なぜアイスに賞味期限がないか、といえば「省略してよい」規定があるからです。
なぜ省略してよいという規定ができたかといえば、冷凍保存されているため、腐敗しない、品質の劣化も少ないということからと考えられます。
が、おそらくこの規定ができたころに想定されていたのは「消費期限」なのでしょうね。
確かに、きちんとした容器などが設定され、正しく保管されていれば、食べられない程度にアイスの品質が劣化するまでには相当時間がかかるでしょう。
それならば傷んだものを食べて健康被害が出るのを防ぐために設定される「消費期限」を表示義務とする必要は低くなるでしょう。
ただ、「賞味期限」はあくまで「おいしく食べられる期間」です。
そう考えると、割とアイスクリームは劣化しますので、設定するほうが消費者の利益になるのではないか?と私は思います。

ちなみにこれまでの人生の中でびっくりするほど劣化していたアイスクリームは、昔住んでいた家の近所にあった安売りスーパーで50円で買った箱アイスです。
アイスの棒や、周りのコートとアイス本体の間に隙間がたくさんできていて、とても食べようとは思えないレベルの劣化でした。
理科で習った方も多いことかと思いますが、氷は低温状態で、水を経ることなく気化する、昇華という現象がありますが、それが起こったためだと思います。
氷なども、冷凍庫に放置し続けると縮んでいきますよね?
そこまでの劣化でなくても、なかなか売れなさそうな知名度若干低めの高級アイスを地方スーパーで買ったときに若干の味の違いを感じたことがあります。
舌がきくらしい知人の話によると、乳製品はどうしても風味が劣化しやすいとコメントしていました。(私にはよくわからない)

また、家庭の冷凍庫でいつまでも保管された場合に、冷凍庫の開閉の影響で温度が上がったり下がったりするために劣化が起きやすいです。
おいしいうちに食べられたらファンになってくれたかもしれない客がクレーマーになってしまったのでは企業も浮かばれませんし、買って食べるのを楽しみにしていた消費者も悲惨です。
おいしくないからと捨てられたり、クレームが上がって企業に返送されれば調査ののち廃棄ですから、食品ロスにもつながりかねません。
結局きちんとおいしく食べられる期限を表示し、それをもとに消費者がきちんと計画的に購入し、賞味期限の意味を正しく理解して適切に消費することが全員の利益につながるしロスも減るということになっていくと思います。