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消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

肉の生食、これを禁ず

2017-02-18 00:32:03 | 表示に関する話題
世の中で、肉の生食が禁止されるようになってきましたね。

さて、食べて良い生肉食べては駄目な生肉があります。
まぁ、食中毒絶対ヤダな人とか、免疫力の低い子供、高齢者、妊婦さんなどには肉の生食はお勧めしないです。
ただ、まぁ、食べても直ちに健康に害はない場合もあります。

それはそうなんですけど、
生食は文化だー!
と言ってやたらめったら生食するのはやめましょう。
食中毒起こしたり何か寄生されたり肝炎を起こしたりとか、重篤な健康被害の可能性もありますので、手当たり次第の生食はやめましょう。
どこかの野球選手が「どんな環境にあっても負けない精神力を作る」?とかなんとか言って腐りかけの食品とか生肉とか食べまくっているらしいですが。
後から腹の中からぶわーって寄生虫が出てきたり、筋肉の下からぶわーって寄生虫が出てきたり、脳からズバーンて寄生虫が出てきたり。
豚の生食でE型肝炎とかになると、もう一生ものだったりします。
どこかのお偉い先生が、肉の生食をむやみに禁止するのはいかがなものか、と言いつつ、自分は絶対豚肉食べないけどそういうのは個人で判断すること、とか仰っていましたが、現代では「豚の生食ダメ」とか失われた智慧なんですよねぇ…。
智慧が失われたなら規制するしかないじゃない。

生食用の肉、という区分は、昔は存在しませんでした。
何となく、雰囲気で自己判断で生食していた人々が存在していただけです。
私は子供の頃家庭科で、鶏、牛は生でも大丈夫だけど、豚はダメ、絶対、と教わった記憶があります。
今は何でもかんでも生食禁止みたいに見えますが、実際に「生食用食肉の規格基準」というものが存在し、生食用の生肉、という区分が出来ました。
これは、焼肉屋のユッケで深刻な食中毒事件が起こった影響ですね。(うろ覚え)
生食用の肉であっても、飲食店であれば次の2つを表示しなければなりません。
1)一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあること
2)子ども、高齢者などの食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えること
結局、食うなよ、食うなよ、という姿勢が透けて見えます。
スーパーなどで容器包装に入れて販売される場合は、上の2点に加え、「生食用」と記載されるようなのですが(他にも決まった表示があるようです)。
見かけた記憶がないです。

私の知っている某地方では、当然のように鶏刺しを売っている店が鬼のように存在します。
当然「鶏刺し」というからには、皆さん生食してます。
買ってきてもらったその肉を見たところ、白い発泡のトレーに肉がもりっと乗っていて、ラップがかかっています。
以上です。
表示…?(困惑)
というのは冗談で、予め包装されている訳ではなく、おそらく、対面販売で、その場で容器に入れてくれる方式なのでしょう。
多分…絶対…おそらく…。

因みに私はその鶏刺しを食べてカンピロバクターによる食中毒を起こしています。
症状としては一週間くらい軽い下痢が続きまして。
特に辛い、というほどでもないけれど、念のため病院へ行って検査をするときちんと食中毒です、とわかりました。
薬を飲んで割とすぐに治りましたが、生食用として売っているから安心という訳ではない、ということはお分かりいただけましたでしょうか。
因みに医師からは「乳製品はお腹にやさしいというのはガセ情報なので、あまりとらないでください」と言われましたが、これもガセ情報である可能性が否めない疑心暗鬼です。

さて、まぁ、危ない身近な生肉No1はやっぱり豚肉です。
豚肉の何が危険って、E型肝炎ウイルス、有鉤条虫、旋毛虫等の寄生虫が怖いです。
世の中ではSPF豚は無菌だから生でも食べられる、等と述べる人もいますが、ダメです。
アイツらもE型肝炎の可能性を秘めています。
豚は何であろうと良く火を通しましょう。
あと、豚の親戚のイノシシとかも同様な危険があるので、「ジビエ」とか言って生だったりレアだったりで食べるのはやめましょう。
普通にカンピロバクターやサルモネラなどの危険もありますが、健康な人であればある程度治療をすれば助かる可能性も高いですが、正直寄生虫と肝炎は完全にアウトです。

鶏肉、牛肉は割と大丈夫だったりします。
とは言え、最近よく見かけるタレ漬け肉などは完全に生食には不向きですので、「あらかじめ処理してありますので中心部まで十分に加熱してお召し上がりください」という表示がどこかにある場合は素直に従いましょう。

私は子供の頃よくスーパーで買ってきた鶏のささみを湯引きにして食べさせられていましたが、こういうのは正直完全に自己責任の世界です。
ていうか、子供だったので、親の責任で食べさせられていました。怖いですね。
まぁ、スーパーで売っている生食用でない肉を食べるやつの神経がしれない、と言われたことがありますが、普通に外側を加熱して内側は完全に生の状態でよく食べさせられていました。
私がよくお腹を壊していたのはそのせいかもしれませんが、豚の生は出てきたことがないためか、特に寄生虫が出てきたこともないですし、肝炎になったこともないです。
運よく、なのか、食中毒が劇症化して云々、ということもありませんでした。
免疫力が低い人や運の悪い人は、カンピロバクターなど症状が緩い食中毒菌でも酷い病気になることがあるため、QOL(クオリティーオブライフ)が大切な人は火を通すことをお勧めします。

世の中には、生食肉を提供している店もあります。
焼肉屋でユッケが一度は禁止されましたが、規制がかけられて再開されました。
コスト的に高いので、あまり頼む人はいないかもしれませんね。
一度食べたことがありますが、目の前までパックに入った状態でもってこられて目が点になりました。
一緒に行った皆さんは「生肉久しぶりだー!」「少ししかないけど美味しい!」などと感動に打ち震えていましたが。
自己責任で割と生っぽい牛肉を食べている私は「こんなお高い店で私の分も頼んでいただかなくても良いですよ…」とこっそり思ったものです。
その日は偉い人のおごりだったのですが、なんだかみなさんのように美味しく食べられなかったのが非常に申し訳なかった思い出。

知人とご飯を食べに行った際に「何かこのとんかつ、生ぽい」と述べたところ
「散々生肉食べてきた人が何言ってるの」と笑うので
「豚なめんなよ」と答えてドン引きされた記憶がありますが。
皆さま、くれぐれも豚の生食はしないように!
お店で豚の生肉が出てきたら、そこはもぐりの店です!
飲食店だから、プロのはず、と信用していると酷い目にあいますよ!

一時期秘密クラブのように豚レバーを提供していたお店があったとか聞いたことがありますが。
いや、こっそりやるにしてもせめて牛レバーにしておけよと思った記憶がありますが。
それを肉生食推進派の知人に話したところ、「まぁ、牛レバーは高いからね。ただ、豚レバーを高い金出して食ってた人達の気はしれない。」などと述べていました。
フグの肝をどうしても食べたいんだ!という人が世の中に居るように、生のレバーをどうしても食べたいんだ!という人もまた、存在するようですが。
ブタ・イノシシあたりは本当に危ないから自己責任でもやらないでください!と思います。

なにもかも規制して禁止すれば、確かに被害者は減るのかもしれませんが。
リスクの度合いを把握していない人々の脱法行為が始まった時に、割と悲劇が起こりがちですので、ある程度許容できる範囲は許容しておいた方が全体的に幸せな気がしました。
という訳で、豚・イノシシの生食は駄目!絶対!
鶏・牛・馬は場合によるので、自分の免疫とお肉の質と相談して決めましょう!
表示に「生食用」とあっても、自分の体調と十分相談の上食べるかどうか判断しましょう。

賞味期限との戦い

2017-02-15 21:37:45 | 表示に関する話題
はい、食品業界のリコールで割と多いのが「賞味期限印字ミス」です。
そんな大事なものを間違えるなんて!と憤慨されそうですが、実際よくある間違い
「2017.5.10」→「2107.5.10」
お気づきになったでしょうか…。
割と、100年近い違いです。
昔の小さな商店だったら「ハイ、おつり一千万円!」「もー十円じゃない、やだー!おじさんたら」みたいなギャグ?ですまされそうなこの話題。
残念ですが、現代社会の巨大流通網の中では回収案件です。
健康被害が出てからでは遅いので仕方ないですね。

舌を出した可愛い女の子がマスコットの某製菓メーカーが、賞味期限切れの牛乳を使用していたとか。
北の大地の白いラングドシャクッキーを売っていた某製菓メーカーが、賞味期限の改竄をしていたとか。
賞味期限に関する「嫌な事件」は割とありますね。
前者はちょっと衛生的にまずいレベルで菌が繁殖していたりしたようなので、ちょっとアレですが。
まあ、大規模な食中毒事件が出る前に、内部告発した人は勇気があったと思います。
内部告発した者は不利益を受けないように、と法律で定めたり、コンプラ部門が社員に伝えたところで、会社自体が傾けば自分の給料が下がることも想定できますので、自分が行動を起こしたところで利益があるかと言ったら利益はなかなかないと思います。
手土産に転職でもできればいいですが、企業では割と「臭いものにふた」はどの業界でも定番だと思いますので、内部告発したことがばれれば次の会社も採用を躊躇しそうです。
悲しい日本社会。
後者については、うーん、そもそも、あいつの本当の賞味期限って、どれ位だったんだろう…?という疑問があります。

大体、賞味期限って、製造者が勝手に設定できるんですよね。
もちろん、保存して、菌の検査して、とかしたりもしますけど。
長期間もちそうだな、と思っても、賞味期限を短めに設定したところで、例えば「ここまでのデータしか持っていない」のであれば、それ以上もつという保証もないので、まぁ仕方ないとも言えます。
長期間品質が保てるかどうかを検査するのは、実は非常に時間がかかります。
負荷をかけることによって、おおよその目安をつけることなどもできますが、本当のところを厳密に調べたければ、やはり実際その温度で置いておくしかない訳ですが、商品が沢山あれば、置いておくスペースだけで大変なことになります。
「置いておくだけならただじゃない」と思うかもしれませんが、自社ビルだって固定資産税がかかりますし、賃貸なら猶更、スペースが惜しいものです。
「空間」も無料ではありません。
レンタルスペースなどを想像していただくとわかりやすいかもしれません。
更に、冷蔵、冷凍となると、冷やすための電力もかかります。
モデルとなる製品を一つ試す、といっても、割と苦労がかかりそうです。

また、例えば「冷蔵」や「冷凍」の場合、消費者の冷蔵・冷凍庫内が適正な温度に保たれ続ける保証もなく。
ある程度安全を見込みたいのがメーカーです。
賞味期限が長くなればなるほど、容器の破損による品質劣化なども増えると思いますので、常温であっても、ある程度の短さに設定しておかないと怖い、ということもあるかもしれません。

色々な事情を勘案すると、「長期間の賞味期限を設定するには実は色々な困難がある」という結論が出てきます。
すみません、何か当り前ぽい感じで。
以前某カップラーメンのメーカーさんが、10年間もつカップラーメンを発売したことがありますが、容器の密封が保たれないということで、回収の憂き目にあっていました。
つまりそういうことです。

経済論から言えば、賞味期限が長すぎると商品がはけない、といった議論もあります。
まぁ、現代は商品の寿命が異常に短いので、商品入れ替えに伴う安売りによって「はけない」という問題は殆どなくなっているのでは、とも思いますが。
この手の、製造者や販売者の思惑で賞味期限が決められている、という理屈を聞くと、なんだか損をさせられたような気持ちになる不思議現象が起こりますが。
実際、家電などでも、スイッチなどを意図的に壊れやすく設定して買い替え需要を発生させる、とか、破れないストッキングを開発しても売上が下がるので販売しない、などの都市伝説があります。
家電の話は、だがしかし、スイッチなどが壊れることにより、致命的な故障を起こす前に商品を買い替えさせる、という作用もあります。
昔の商品は頑丈だ、と言いますが、逆に言うと、致命的な部分が故障して死人が出たりするまで使われ続けた結果、凄く旧型の家電などの回収広告がいつまでも流れ続ける、という事態も生じています。
食品も、うっかり破損からの腐敗、などが起こる前に捨てて貰える方が、命にかかわらないのかもしれません。
容器包装にも寿命がありますからね。

因みに賞味期限を表示する義務が無い食品というものがあります。
ガムや冷菓、アイスクリーム、氷、砂糖、食塩などなど…。
ガムなどは、香料をつかっていそうなので、風味が劣化しそうな気がしますが、その辺は気にならないのでしょうか。
義務が無い、というだけなので、多くの事業者は自主的に表示しているような気がします。
氷菓・アイスクリームについては、実は私は苦い(?)思い出があります。
昔住んでいた家の近所に非常に怪しげなスーパーがあり、発芽しまくったジャガイモや根がでてきている玉ねぎ、など、割とびっくりするような品質のものを格安で売っていました。
そこで、格安のアイスを買ったのです。
6本入り50円とかそういった程度の、投げ売りでした。
50円なら…と思い、購入して家に持って帰って食べた結果。
棒アイスだったのですが、棒の周りがスッカスカになっていて、とても食べられた品質ではありませんでした。
氷を冷凍庫に入れておくと、水分がとんでいって、縮むことってありますよね。(科学的に言うなら「昇華」でしょうか)
あれがアイスでも起こったものかも?と思いました。
一体どれほどの時が過ぎていたのか、それとも容器包装が余程だめだったのか。
やはり安いものには理由があるのだなぁと思い知ったものです。

因みに世の中の「賞味期限」は「開封前」の条件ですので、開封後は速やかにお召し上がりください。
常温においてあったものも、開封後は要冷蔵、など、保存条件から変わるものもあります。
また、冷凍庫に入れる物は安心、と思いがちですが、一度開封してしまうと、臭い移り・乾燥等の劣化があります。
逆に、生食用の卵の賞味期限は「生で食べられる」賞味期限です。
保存条件によっては、賞味期限が切れても、加熱をすれば食べられます。
保存条件によっては、というのは、まぁ、冷蔵庫に入れておく、とか、割れないようにしておく、などなどですね。
因みに割れた卵は即刻消費、いつからヒビが入っていたかわからないヒビ入り卵は廃棄した方が無難です。
卵は割ってしまうと菌が増えやすいので、割った後は保存できません。
卵の殻が頑丈な容器包装、割ってしまうと開封後、といった趣ですね。
因みにゆでてしまった卵も日持ちしません。
賞味期限が切れそう、ゆで卵にしちゃえ!という対応は実は間違いですので、気をつけたいですね。(生のまま保存し、食べるときにしっかり加熱、がベターです)

中国産の米を魚沼産コシヒカリに混ぜる案件が発生

2017-02-13 23:50:09 | 表示に関する話題
とある業者によって魚沼産コシヒカリに中国産の米が混ぜられ、いわゆる「偽装」が行われているかも?という疑惑が発生しました。
うーん、以前、事故米を流通させた騒ぎがあったために「米トレーサビリティー法」なる法律がわざわざ作られたというのに、どうしてこうなったのでしょうか。
狡猾に偽装されたのか?
それとも米トレサ法自体が実はザル法なのか?(すみません、米の流通状況については割と無知なので、米トレサが果たしてどれだけ実効性があるのかさっぱりわかりません)
はたまた部下が勝手にやったんです系なのか?

米については…実はあまり詳しくないです。
あまり、というか、全く詳しくないです。
加工食品ばかり勉強してきて、生鮮系はさっぱりなんですよね…。

一応、知っていることとしては。
・国産の米については、産地と銘柄がセットで登録されている
・米トレーサビリティー法により、伝票等に書くこととかが決められている(米単体だけでなく、一部米加工品も産地管理が必要)
・銘柄を検査する機関?みたいなものが存在するが、DNA検査などはめったにしないで、主に目視でおこなわれている
とかそういった雰囲気のことあたりです。

1番目はあれですね、魚沼産+こしひかり、というか、北海道+きらら377とか、新潟県+こしひかりとか、県ごとに銘柄が認定されている、みたいなシステムですね。
昔はこれが厳しくて、こしひかりを作っているけど、県がこしひかりと連動していないからこしひかりとして売れないんじゃー!とかいう悲劇も起こっていた記憶がありますが。
現在は相当登録が増えて、消費者ももう、何がブランドなんだかわからなくなりそうな勢いで増えているようですね。
「まっしぐら」とか猫がぴゅんとしそうな名前や、「萌えみのり」とか萌えキャラにいそうな名前など、一覧を眺めているだけで楽しいものです。
製造業の人達は地獄なのかもしれませんが…。

2番目は…自分で言っておいてなんですが、コメ関係本当に疎くてですね。
一応生産者から農協から加工品の工場から店舗から何から何まで米という米に伝票とかをつけて管理しているくらいの漠然とした知識しかないですね。
お店とかで「国産米使用!」と書いているのは、別にアピールでもなんでもなくて、米トレーサビリティー法のなせる業だという程度の認識しかないです。
トレーサビリティーと言っても、最終的に消費者へ届ける情報は「国産」程度でOKということです。
国産程度、といいますが、多分それが消費者にとっては非常に重要な情報だし、県名まで表示しろと言われたら事業者側も大変なのでしょう。
先に書いたように、事故米事件があってからできたものという認識でいましたが、国産でも事故米ってあるんじゃあ…?とか思うけど気にしたら負けな気がしました。
県まで書け、でも使ってない産地を書くのは駄目だ、とか言われると、その年台風で大打撃を受けた県がある、とかいう度に包装資材を変えたりしないといけませんから、コストが割高になって商品価格もぐんとアップしそうです。
何事もバランスが大切です。
因みにこの前オムライス食べた店では、米トレーサビリティー法に対応していなかったような気がしますが、あまりにも小規模な店に法律論をかざして乱暴に立ち入っていくのも可哀想なものがあるのでそっとしておきます。
法律は「知っていないと罰せられるけれど、誰も教えてくれない」というのは、誰かが言っていましたが、私の座右の銘です。

3番目は割と最近興味を持ってたまたま調べていたことです。
参考にしたサイトはネットの海でみつけたもので、ちょっと元ネタが見つからないんですが。
やはりDNA検査とかはお金がかかるんでしょうね。
多分タレこみとかがあった時にやるんじゃないでしょうか。
大体目視みたいなことが書いてあって「目視!」と思った記憶があります。
まぁ、それと生産記録とか伝票とか状況証拠も勘案するのでしょうけど。
因みに今回の事件?は安定同位体から産地を調べる方法が使われているとのことで、誰かが産地偽装をタレこみした結果行われた検査ではないかな~と個人的に妄想。

今回のような件に対して表示を行う人間がまず真っ先に思い浮かべるであろう法則は、おそらく、遺伝子組み換え食品の表示にある文章でしょうね。
「意図せざる混入」
これを言うと法律論に疎い消費者の方からは「そんなん詐欺じゃないか!」と思われるかもしれませんが。
遺伝子組み換えには三つの区分があります。
1.組み換え=間違いなく遺伝子を組み換えました!という作物。
2.不分別=一応遺伝子は組み換えていないつもりだったりするけど、特に組み換えたものと区別してないよ、という作物。
3.非組み換え=遺伝子組み換えしていないし、組み換えた作物が混ざらないよう特別な管理をしています!という作物。
遺伝子組み換え反対派の消費者の方は当然3をご所望な訳ですが、3には「意図せざる混入」として「5%以下の遺伝子組み換え作物が結果として混ざってしまっていても、きちんと管理していれば非組み換えと言える」というボーダーラインがあります。
混ざっているのか!ふざけんな!と思われるかもしれませんが、やはりそこは農作物、頑張っても頑張っても、黒いあの虫のように意図せざる何かが発生するものです。
因みに、意図してなくても5%を越える混入があるとNGですし、5%以下でも意図して混入させるとNGです。非組み換えとは名乗れません。

つまり、遺伝子組み換えだって5%の混入が許されているんだから、米もその程度の許容範囲なのではあるまいか!と応用的に考える人が一定数います。

しかし私はそうは思いません。
遺伝子組み換え作物における混入と米の混入は割と性質が違うと思います。

まず、米で起こりうる混入としては、銘柄に関して言えば、もう農家レベルから割と混入が起こると思います。
なので、銘柄混入は5%より比率が高くてもやむを得ないように思います。
遺伝子組み換え作物を作るような海外の広大な農場と違い、日本の家族経営的な米作では、隣の畑の米が混入するとか、そういったものを厳重に管理するのは無理だと思います。
遺伝子組み換え作物であれば、農場が広大であればあるほど、畑での混入率は低いですし、広大な農場であれば、遺伝子組み換え作物とそうでない作物の機器を分けることも容易でしょう。
しかし、日本の狭い田んぼで作られた米が、何等か隣の田んぼの米と混ざらないようにするような工夫をしているようにも見えませんし、米トレサで伝票管理等はしているとはいえ、それほど目くじらたてて絶対混ざら無いように、と管理しているようにも思えません。
実際銘柄の検査では「うっかり」で別の銘柄だったり、ということもあるようです。うん、うっかりさん。

次に、生鮮食品として、袋詰めにされて売られている精米された米の場合を考えてみると、外国産の米が混ざるのはそもそも「なぜ?どのタイミングで?」と思います。
日本では外国産の米を探す方が難しいですからね…。
確かに一定量輸入されているみたいなのですが、買おうと思って探してもなかなか見つからないという代物です。
スーパーは国産米一色、飲食店なども米トレーサビリティー法に対応している店は大抵「国産米使用」の文字。
農家では海外の米を運び込む必要はないでしょうし、玄米が農家から精米工場へ持って行かれたとしても、通常ルートでは殆ど国内に流通しない外国産の米をわざわざその工場で精米することがあるのか疑問ですし。
一度包装されてしまえば、中に混ざる可能性は限りなく低くなるでしょうし。
まぁ、農業は「若者が参入してこない」と嘆く割に間口が狭くて謎が多いので、私も何が起こっているのやらさっぱりなのですけれども…。
良くも悪くも米トレーサビリティー法の影響で、加工食品を取り扱う業者も、外国産の米を仕入れるメリットが偽装の場合を除き低いように思います。
わざわざ表示に「国産・A国産」と書いて管理しなければならない面倒と、客の反応を考えると、海外産を使わないメリットの方がずっと大きいでしょうから。
外国産の米が5%以下、といった低い割合で混ざる理由がいまいち想像できません…。
私の認識不足でしたらコメント頂けると幸甚です…。

遺伝子組み換え作物については、遺伝子組み換え作物が商業生産されていない国については、そもそも管理するような定めはありません。
遺伝子組み換え作物が商業販売されている(=ある程度大規模に生産されている)国においては、IPハンドリングという厳格な管理をしています。
遺伝子組み換え作物が作られている国から来た遺伝子組み換え作物が別の国の同じ作物に混入する、といった事態は多分想定されていません。
5%の意図せざる混入、も、この「IPハンドリング」の中で起こることが恐らく想定されています。
つまり、同じ国の中で、厳重にわけて管理しているものが何らかの要因で混ざってしまって許される量が5%。
なので、国産の米にどれだけ海外の米が混ざっていた、とか、さして厳重に管理していない別のブランドの米がどれだけ混ざっていた、というのを、遺伝子組み換えにおける意図せざる混入と並列で語るのはあまり意味が無いように思います。

まぁ、その「食品」ごとに個別の事情があるので、原料原産地とか、ブランドとか、そういったものを表示するときに、何パーセントまでの混入なら許されるのか?という議論はなされてはいないと思うんですよね。
勿論製造側はわざと消費者を騙すような意図で別の産地のものを入れるつもりなどない場合が殆ど(わざと混ぜる場合は割合表示)ですが、じゃあ100%って何?と言われると、う~ん?という。
例えば流通途中で取り違えられたり、加工された原材料の中に微量に産地を表示しているのと同じ原料が含まれていたり、アレルギーばりに同じラインで別の産地の原材料を使っていたり…?
事業者の苦悩は技術の進歩と共に深まるばかりですね。

何をどうしようと、偽装する人は偽装を続けるし、取締れば頑張っている小さな事業者も潰れかねない、世知辛い世の中ですね。(という誰も得をしない終わり方)

遺伝子組み換え表示拡大に係る誇大妄想

2017-02-07 22:22:54 | 表示に関する話題
A「た、大変です、消費者庁によって遺伝子組み換え食品の表示拡大が検討されているそうです!」
B「な、なんだってー!」
A「これまでは、8作物、それを主要原料とする33食品が対象だったから、なんとか表示なしでしのげましたが…」
B「そうだな、これ以上、拡大されると流石に難しいかもしれない…」
C「ははっ、何を言っているんだ、君たちは」
B「お前こそ何を言っているんだ、正気か、もう駄目だ、おしまいだー」
C「全部『不分別です』って表示すればよくなるだけだから、却って簡単だろ!」
AB「「な、なんだってー!」」

という訳で、私の妄想物語が始まります。
今回は「消費者庁が遺伝子組み換え表示を拡大を検討しているらしい、というところだけ、ニュースで見たので、多分本当ですが、あとは私の下種の勘繰りですので、時間が惜しい方はここでブラウザを閉じてください。

まず、遺伝子組み換えの表示ですが。
現行では、8作物、それを主要原料とする33食品が表示対象です。
とうもろこし、大豆、じゃがいも、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、と、指定の33食品(先の8品目を主原料とするものですが中身は割愛)。
この、33食品、どういった理由で決められたか、というと、組み換えDNA、又はこれによって生じたたんぱくが残存すると考えられる食品、という観点でした。
かつ、これらが食品中の原材料として、重量順に水を除いて上位3位以内かつ5%以上である場合のみ、表示義務対象です。
また、表示義務があるのは、組み換え・不分別(組み換えを意図して使っていないけれど、非組み換えのものだけ選りすぐって運んだりしていないので混ざりたい放題)の場合。
非組み換えの場合は任意表示です。

これ、なんていうか、凄い、ざっくりしているなぁ、というのが私の感想です。
例えば、コーングリッツとかゴリゴリとうもろこししている原料と、ほとんどでん粉であろうコーンスターチが、同じ5%で表示義務ありなんですよ?
すりつぶしただけのものと、でん粉部分だけさらったものとか、色々加えて加工済のものが同じ比率から突然表示義務ありになるっておかしくないですか?
豆腐とかも33食品に含まれますが、大豆そのものを5%使った場合と豆腐として5%が同じ取扱いってどうなんですか。
作物として5%、ならわかりますけど、そうじゃないんですよね。
突然すぎて訳がわからないです。
技術的に5%程度入っていたら検出できるから、とかそういうことですか?
大体その食品の表示をみても、どの原料が5%以上入っているか、にわかにはわからないんじゃないですか。
検出できるか否か、だけの判断で、DNAとその結果物のたんぱくだけにターゲットを絞っているみたいですが、DNAがたんぱくを作って、その結果なんやかんや起こって、何かができるとかそういうものはまるっと無視ですかそうですか。
とかいった謎めいたシステムなのです。

まぁ、でも、表示って割と、「ここで区切りマース!」みたいなことがあるので、深く気にしたらダメだ、と思っていました。

が、今から考えると。
まずは暴動が起きない程度に、遺伝子組み換え不分別のものも流通させつつ、消費者の「組み換えDNAの食品を食べたくない!」という夢をかなえるため、一部の事業者に犠牲になって貰おう、というのが、第一弾の考え方ではなかったのか。
つまり
当局の表向きのスタンス「もう、本当にダイレクトに影響するやつはきちんと表示させますんで!ホラ、一気に全部やると事業者も大変だしさ!」
当局の内心「まぁ、とりあえず、味噌とか豆腐とか、日本人にはこれがないと、って食品も表示の対象にしたし。そのうち、不分別、とか、組み換え、て表示が出始めて、消費者も徐々に慣れてきて、文句言わなくなるだろ。そんで食経験を作って、不分別のものでも、食べ続けて問題なかったじゃん!って言って、おいおい堂々と不分別だの組み換えだの表示できるようにしよう」

しかし、予想外に日本の事業者たちは頑張った。
味噌業界も、豆腐業界も、製粉業界も、植物性たんぱく質業界も、みな「非組み換え」の商品を繰り出してきたのである。
これにはさすがの当局もがっかり。
これじゃあ遺伝子組み換え食品が国民に馴染まないよ…。
途中でいくつかの事業者が「遺伝子組み換え食品は安全性も確認されている。これからの世界的な食品供給の問題などを考えると、遺伝子組み換えや不分別の食品も流通させるべきだ!」と発売するも、撃沈。
内心当局の面々も渋顔になっていたのではあるまいか…。

しかし、全てを解決してくれるのはやはり時間だったのか。
大手総合スーパーのプライベートブランド商品などで、任意の表示が始まる。
例えば「果糖ぶどう糖液糖:とうもろこし(不分別)」
いっけん食品表示を知る者には、意味が無いこの表示。
これが、当局にとって一筋の光となる…!

大手総合スーパー「うちは公明正大っぽい感じで推していきたいから、不利益っぽい表示もどんどんやっていきますよ!不分別とか書いちゃいますよ!消費者が求めているのは情報なんですよ!」
本当かどうかはわからないけど、実際にそれで売り上げが落ちる事は多分あんまりない。
だって安さが売りのプライベートブランドだから!
買う人たちが求めているものは、味でも、安心感でも、情報でもなく、多分そこそこのお値段でそこそこの品質のもの。
果糖ぶどう糖液糖の原料であるとうもろこしが不分別であろうと気にしない人々なのだ。

しかし、そういった動きや、たまに衝撃的な題名で人々を煽るニュース記事などにより、世の中に「意外と不分別のもの食べさせられてるんだ」疑惑が徐々に浸透していき。

期は熟した。
そろそろ「不分別って言っても買うしかない」と消費者も腹をくくる時代が来ただろ!
という消費者庁の判断により、表示拡大が検討され始めたんじゃないかな!
初期に非組み換え作物対応をしなければ生き残れなかった味噌業界、豆腐業界、製粉業界、植物性たんぱく質製造業界は犠牲になったのだ!
遺伝子組み換え食品を消費者に慣れさせるための犠牲にな!

という壮絶な誇大妄想。

まぁ実際今まで私達消費者はそれと知ってか知らずか、いずれは「不分別」だの「組み換え」だのと表示されるかもしれない食品を既に食べてきている訳で。
第一次表示義務付けの際は事業者が頑張って表示を出さなくて済むようにしましたが。
拡大の状況によりますが、多分次の表示義務付けの時に表示を出さなくて済むように出来るほどの体力はもう企業には残っていないんじゃないのかな。
今更不分別を表示義務から外す、っていうことは、消費者が許さないでしょうから、これまで気にしなくて良かった少量の原料まで管理しないといけないとか、これまで対象外だった油や醤油も全部管理しないといけない、となると、諦めて不分別です!という方向へ進まざるを得ないのではないかなあ。
だってこれまで売ってきたものですし。消費者も食べてきたものですし。(まぁ、豆腐も味噌も昔そうだったんでしょうけども)
消費者も一社だけなら出来る不買運動も、事業者が横並びでやってしまったら、多分出来ないでしょう。
まぁ、多分「非組み換え」がウリのメーカーも出てくるでしょうか、多分価格帯が上がるでしょうね。

コンピュータやインターネットが普及して、情報がタダ、とか、管理が出来て当たり前、の世界になってきましたが。
でもそれらは無料ではないものです。
コストをかけて管理するならば、価格は上がって当然ですし、今までと同じ価格で高度な管理をし続けろ、というのは難しい。
原材料の値上がり等もあって、企業もコスト上昇を飲み込めるほどの余力もない。
当局の思うつぼかもしれませんが、まぁ、仕方ないんじゃないかなぁと思います。(いや、妄想なんですけどね

個人的に、遺伝子組み換えがすごく盛り上がった時に思ったことがあるんですが。
無理やりな交配とか、接ぎ木とかによって行われている品種改良については、誰も気にしないのは何故なんだろう?というところです。
昔から人間は品種の改良を行ってきていますね。
例えば、南の方の品種から甘さを、北の方の品種から耐寒性を、ということで、本来出会うはずがない品種をかけ合わせたりして、甘くて寒さに耐える品種を生み出そうとしたりしています。
ていうか、市場に出回っている、いわゆるF1世代の種、というのはそういうものもあると思います。
不自然ですよね。
また、特定の品種のなかから、選り抜きで特定の傾向が強い個体を選び出し、そればかりを増殖させたりしています。
人間だと近親交配が続くと問題があるけど、農作物ってどうなんですかね?とか。
フグ毒とか毒キノコとか、自然の中にいくらでも毒はありますし、「自然に近い方法で行われた品種改良だから大丈夫!」ということはないのではないかと。
既に昔から食べているから信じられる?でも続々、交配による品種改良は、何の安全性の証明もなく行われ続けていると思うんですよねぇ…。
所謂「自然に古来から存在する食品」に安全性の検査や販売の申請などが義務付けられていない以上、消費者は「売られたものを信じる」しかないんですけどね。
(あ、遺伝子組み換えについては、安全性の審査はありますよ)

一時期「細胞融合」という方法で新しい作物が生み出されようとした時期がありましたが。
トマト+ポテトでポマト とか
オレンジ+カラタチでオレタチ とか
イネ+ヒエでヒネ とか。
ポマトは本来トマトにジャガイモの耐寒性をつけたかったもののようですが。
なぜかマスコミでは「地上にトマト、地下にジャガイモができる夢の植物」のように紹介され、かつ、後にどちらも不完全で駄目だった、ということで、あっという間にマスコミから見捨てられてしまいましたね。
因みに「地上にできるトマトが有毒で」という説を聞いた記憶があったのですが、ネットの海を見てみると、トマト部分にジャガイモの芽に含まれる「ソラニン」という毒が出来てしまうようですね。
(ジャガイモの芽や、日があたって緑色になった部分には「ソラニン」と言われる毒素が含まれるから、食べないように気をつけましょう!)
まぁそういわれてみれば、確かに細胞が混じっているなら、日が当たる部分にソラニンが出来てもおかしくは無いよね…。と思いましたが。
このように、科学技術の進歩に伴い、生まれてすぐに消えた悲しい品種改良の歴史もあった訳ですが。
あのころは「夢の作物」みたいな触れ込みだったのに、遺伝子組み換えはなぜこんなに敵視されてしまったのでしょうね。

ぶっちゃけ遺伝子組み換えについても「絶対安心」と言うつもりはありません。
それは、自然にある植物だってそうです。
何年も、何十年も経ってから毒性が見つかったらどうするんだ!と思うかもしれませんが、それは何にでも言えることです。
昔「魚卵はDNAが沢山入っていて体にいい」とか、「魚卵ってDNAが沢山入っているんでしょう、怖いわ」と言ってきた人も居ましたが、あらゆる生き物にはDNAが含まれていますので、口からとったところでただちに何か起こる訳ではないんですよねぇ…という…。
まぁ、不安というものは、頭でいくら考えても払しょくできないものもありますし、そもそも「選択肢に入れたくない」という人はその事象に対して前向きに取り組んで不安を解消しよう、という動きをしません。
遺伝子組み換えを送り出す側は、割と努力をしているようにも見えますが、まあ、事業者と消費者の間にはいつも深刻なギャップが存在するものです。
理解されないのは仕方がないし、理解できるような説明がされているかも疑問ですが。
ただ、「相手に理解してもらおうと、説明を単純化する」などの作業は、時に意図を離れ「作為をもって騙そうとした」と捉えられ、関係が悪化する可能性もあるので、専門的な話になると「単純化すればいい」というものでもないので、正直難しいですね。
ああ、そのうち、安心、と安全についての違いに関する記事も書こうと思います。
遺伝子組み換え食品を「安心」して食べられるになる時代が、いつかくるのでしょうか?
難しいように思いますが、様々な状況を勘案すると、安心できなくても食べ続けるしかないんじゃないですかね…。

一カ月遅れの福袋の話をしよう

2017-02-06 21:38:58 | 表示に関する話題
はい、今日は「今更?」状態ですが、福袋の話をしたいと思います。
私は食品系の福袋を買ったことが二回あります。

1回目は子供の頃です。
1000円かそこらだったと思いますが、大きな紙袋に、中には何が入っているかわからない状態で、お菓子の福袋、と銘打って売られていました。
そこそこ大きかったのですが、お菓子だけあって軽く、「スナック菓子でも入っているのかな…」と思っていました。
家に帰って開封すると、なんということでしょう。
半分くらいを占める大きな物体、それは中国産殻つき落花生でした。
別に中国産が気に入らないとかそういう訳でもなかったのですが。
「お菓子」と銘打っているのに、ほぼからつき落花生…。
詐欺的だな、しかし、福袋というものは外れたものはこういった運命が待っているものか。
と、当時は「アタリ福袋(中身が高額)」と「ハズレ福袋(額面程度もない)」があると思っていた私は、「やはりギャンブル的な購買行為は良くないな」と反省したものです。

まぁ、現代では、福袋は在庫処分を兼ねて販売促進を行うところが多いような気がするので、余程の事が無い限りハズレすぎる福袋というのは存在しないかなと思います。
昔と違ってNoと言える日本人が増えましたので、容赦なくクレームが入ります。
なんなら店名入りでSNSに晒されて商売が成り立たなくなる可能性も出てきました。
ハズレ福袋の存在は、閉店時の売り逃げとか、さびれた中古ゲームショップにのみ許されるのかもしれません。

さて、懲りずに買った二回目の食品系福袋です。
これは割と最近ですが、某コンビニの新規店舗オープン時の開店記念福袋でした。
「○○○円相当の商品をなんと○○円でご提供」と言ったものでした。

話が度々それますが、「5万円相当」と書いてあるのに、正札で2~3万分しか入っていないとき、返品や交換を求めることができるのか?という記事を見たことがあります。
余りに額の差が大きい場合、債務不履行にあたる可能性があるそうです。
店舗の売り方によっては、ハズレ福袋を返品することもできるかもしれませんね。

さて、閑話休題。
子供の頃の福袋経験ですっかり買う気を無くしていた私ですが。
流石に新規オープンの店が堂々とハズレ福袋を量産するはずもないし、中身の値段が大体判明していることから、買ってもいいかもしれない、という判断に至りました。
限定○○個、となっている割に、全く在庫がはける気配のない福袋を1個購入しました。
尚、一応店舗の予定期間の間にははけたようですが、なかなかの売れ行きの悪さでした。

さて、これは全く表示に関係ない話ではないか、とそろそろ疑われかねない長さになってきましたが、ここからが本番です。

家に帰って福袋をオープンする前に、しげしげと袋を眺めてみました。
袋の口はしっかりとステープラーで留められており、中を見ることは殆どできません。
「○○ ××店オープン記念 福袋」以外の文字らしい文字もありません。
つまり、外観からでは、賞味期限もアレルギー物質も何もわからない状態で販売されていました。

開封すると、中からは、通常店舗に陳列されているような、きちんと表示された商品が5個くらい出てきました。

はて、これはどうでしょうか?合法でしょうか?

実は私はこの件に対する答えを持っていません。

基本的に、食品表示が必要な加工食品は「容器包装に入れられた加工食品」が対象です。(生鮮はちょっと違います)
食品表示法Q&A(加工-2)では「消費者に渡す際に紙、ビニール等で包装した加工食品」は容器包装にあたらないとしています。
「小分け包装している製品をダース単位でまとめた加工食品包装」は容器包装としていますが、「まとめた包装をとおして見えれば、新たに表示し直す必要はありません。」とも述べています。
消費者に渡す際の運搬用の容器に入れただけでは、容器包装とはみなさないのです。
では、福袋の紙袋は、前者のような運搬用の容器と言えるのか?
それは言えないと思います。
消費者は中身を知らない訳ですし、単に「運搬用に詰めた」と考えることは出来ないでしょう。
福袋が透明で、中の食品表示が透けて見えるのなら、後者の但し書きが有効となり、合法だと思いますが、私が買ったものは中身が見えません。

福袋で中身が分かったら、楽しさが半減じゃないか。とか。
消費者と販売者の間で合意があれば、別に良いじゃないか。とか。
色々な考えがあるかもしれませんが。
前者はあくまで道義的な考え、後者は契約法的な考えであり、表示の法律とは一切関係のないところで動いていくものです。

四角四面に考えれば、何らかの形で表示を行うべき事案だと思います。
アソート品に準じて、クリスマスブーツのように、中に入っているお菓子すべてについて表示するなり。
同じ商品を例示しておくなり。
もしくは中身が確認できるように、透明な容器にするとか。
ステープラーでしっかり止めていた口の部分を解放しておくか。
福袋の意義が殆どないですが…。

食品表示には二つの側面があります。
「危害を防ぐ」(従来の食品衛生法で重視されていた部分)
「消費者の選択を助ける」(従来のJAS法で重視されていた部分)
食品の法律が一元化されても、法の規定から一つでも間違えれば即刻回収という訳ではありません。
後者にかかる、健康被害などに直結しないような単純ミス等で直ちに大規模な回収が起こることはないと考えられます。
食品の廃棄物を減らすという環境面への配慮等もあるからです。
しかし、賞味期限印字ミスなどは、前者であり、危害が起こる可能性がありますので、回収案件です。

繰り返しになりますが、福袋には賞味期限もアレルギーも表示されていません。
中に入っている容器包装を見て、確認できることではありますが、購入時に見えるように表示するのが原則です。

ただ、まぁ、店の人も鬼ではないと思いますので、「アレルギーがあるのですが」と問えば中身を確認させてくれたかもしれないし、賞味期限が気になると言えば、きちんと出してくれたかもしれない。
悪意があった訳でもないと思います。
悪意があったとしても、開店後短期間のいわばゲリラ販売ですので、当局が取締ろうと行ったところで、もう商品もなくなっているでしょう。
四角四面に話したところで、継続性がない案件については、「かもしれなかったね」という状態です。
とは言え、アレルギーの人達の商品選択をせばめる販売方法ではありますので、全く表示のない福袋はやはり好ましくない、というのがあるのかなぁとも思います。

消費者庁がどこまで個別の事案に突っ込むのかはわかりません。
インターネット販売なんて、何が入っているか、賞味期限はどれ位あるか、なんてわからないことが殆どです。
福袋より性質が悪いと言えばそうでしょう。
そう考えれば、直ちに取締るような内容でも無いように思います。
まぁ、誰かが相談してしまって、「表示を行うように」という指示が出てしまったら、そこで終了ですが。
何もないということは、他に優先度が高い物が沢山あって放置されているのか、あるいは別に福袋については規制しなくて良いという考えなのか、そこはわかりません。

ただ、今後、食品福袋関係で、何か不正があったり、不祥事があれば、「毎年」の「恒例商品」として、取締の矛先がただちに向くことも起こりえるでしょう。
例えば、賞味期限が残り少ない商品を在庫処分的に入れた結果、店舗に賞味期限切れの商品が並ぶことになった、とか。
福袋に入れた商品が回収対象となったけれど、気付かず売り続けてしまった、とか。
中の表示が見えない、というのは、やはり一定の危険を伴うものだと私は思います。
洋服や機械などは、値札がとられていないとか、箱に入ったままであれば、ある程度返品・再販等が可能ですが、食品にはそういった側面もないので、更に難しいと思います。
訳がわからない商品を買うのはその人の自由という考えをする人もいるかもしれませんが、それを食品業界で許してしまうと、さすがに問題が大きすぎるので。
端的に言うと、「安くするために表示をしない、そういう商品でもいいという人だけ買えばいい」というのは通用しません。
個人的にはそういうのがあっても良いような気もしますが、現行法ではそうなっていないので、やはりきちんと表示をするようにしていかなければならないのかな、と思います。