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消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

黄色と黒は勇気の印

2017-02-02 23:46:09 | 表示に関する話題
はい、昔、「24時間戦えますか」で一世を風靡した「リゲイン」。
現代でも売っています。
しかし、2014年、それは衝撃的なコピーライトで蘇ります「3,4時間働けますか」。
これで、世間の評判は「昔は24時間戦えますかだったのに、現代ではブラックだし、3,4時間になったんだろうなぁ」などと言われていましたが。
だが、待ってほしい。
「24時間戦えますか」は医薬部外品であり、「3、4時間戦えますか」は炭酸飲料、つまり普通の食品である。

さも、同じ「リゲイン」をブラック批判の現代にコピーを変えたかのように思い込んでいる人が私の周りに何人かいたけれど。
実際医薬部外品のリゲインは一日1本程度しか飲めないはずなので、言ってみれば24時間分の量です。
一方食品である炭酸ドリンクの「リゲイン」は別に1日一本という制限もないし、滋養強壮などの効果もないので、せいぜい3、4時間分の糖分が入っている(実際にはエナジードリンクなので、カフェインとかを強調したかったのでしょうけど)程度なのでしょう。

穿った見方をすれば、かつて24時間戦えますか、で一世を風靡したブランドを使うことで、強力なイメージを持たせつつ、でも食品なので効果効能と取られない程度にキャッチコピーもライト化した、ということではないでしょうか。

個人的に実写化ラムちゃんがかわいいので、まぁ別にいいんですけど。
ちなみに当時東京駅前でラムちゃんコスプレのお姉さんがリゲインの販売促進をしていて、生ラムちゃんだー!と思いました。
ちなみにちなみに、当時CMに出ていた実写ラムちゃんと若干違って、露出がやや少なめでした。(ホットパンツだったり、上も布面積がかなり広かったです)

消費期限、賞味期限、懐かしの品質保持期限

2017-02-01 23:34:29 | 表示に関する話題
その昔、食品の「ここまで食べられます!」の表示は三種類ありました。
消費期限:おおむね5日以内の期間で、品質が急速に劣化しやすい食品に表示
賞味期限:JAS法、期限表示を表示する食品であって消費期限を表示する食品以外の食品に表示
品質保持期限:食品衛生法、期限表示を表示する食品であって消費期限を表示する食品以外の食品に表示

最後の一つは、もうなじみのない人も多いかもしれませんね。
食品衛生法では「品質保持期限」、JAS法では「賞味期限」という、縦割り行政が産んだ悲劇、というべき用語の不統一がありました。
ご意見募集等もあり、結局「賞味期限」に統一することに落ち着きました。
多分、自分の会社で「賞味期限」を使っている人は「賞味期限」推しで、「品質保持期限」を使っている人は「品質保持期限」推しだったのでしょうが。
JAS法は一般消費者に販売する人達が守っているものでしたので、こういうシーンでは一般ユーザー向けの事業者の勢いの方が強いということでしょうか。

因みに、「食品表示法」が出来たときに当然のように「消費期限・賞味期限」が引き継がれましたが、「おおむね5日以内」というのは消えてなくなりました。
賞味期限、消費期限についての定義は、食品表示基準、内閣府令に定められています。
縦書きで非常に読みにくいですが、3ページ、二条の七と八ですね。
「七 賞味期限 定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。」
「八 賞味期限 定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。」
つまりどういうこと?
消費期限:切れたら腐ったりして食べられない
賞味期限:切れたらおいしくなくなったりするかもしれないけど、切れたら直ちに食べられないとは限らない

消費期限は「割と長いし、一日位OKだろう」とかいう甘い考えはあまり持たない方が良い、ということですね。
賞味期限は、まぁものにもよりますが、例えば、五年保存できます!!というミネラルウォーターの賞味期限が一日くらい過ぎたところで、もう飲めない、ということはないのでは?という。
でも、メーカーに「賞味期限きれてからどれくらいいけますか?」と質問したら、多分「賞味期限が切れているものについて品質の保証はできかねます」と答えられると思います。
店先に、消費期限が切れた商品はおけないけれど、賞味期限については、「期限内に販売することが望まれます。」とのこと。
↓食品表示法のQ&Aより
「(加工-38)表示された期限を過ぎた食品を販売してもよいのですか。
(答)
~中略~
まず、消費期限については、この期限を過ぎた食品については飲食に供することを避けるべき性格のものであり、これを販売することは厳に慎むべきものです。
また、賞味期限については、期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではありませんが、期限内に販売することが望まれます。」

まぁ、賞味期限切れについては、何かあった時に、誰が責任を持つの?という話もありますからねぇ…。
メーカーは当然、保証期間が過ぎたものについてまで責任を負えない、となるでしょうし。
販売店も廉価で販売したとしても、顧客から対価を受け取っている訳ですが、かといって利益が出ているとは限りませんし(処分代を抑えて一応対価を貰っているから、儲けているともいえる?)。
消費者も「賞味期限がきれた」と承知して「通常より廉価」で手に入れた、という、いわば特殊な取引?
買った後に賞味期限がきれたものを食べたならば、完全に消費者の自己責任となりますが、店舗で販売している段階できれていた場合、どうなるんでしょうね?

因みに若かったころに、コンビニでバイトしていたら、売り場の調味料の賞味期限が切れていてビックリしたことがありました。
消費期限のおにぎりやサンドイッチなどは、必ず時間が来ると全てチェックして期限切れを廃棄していましたが。
そのコンビニでは、当時、賞味期限の長い調味料などを一体誰が管理していたのか不思議です。怖い。
因みにそのコンビニはいつの間にか潰れて怪しげな団体の拠点になっていました。怖い。
私の10年後にコンビニ(別の店)でバイトをしていた人に話を聞いたところ、「そんな杜撰な管理してないっすよ!」と杜撰管理を全否定されました。

現代では、製造年月日を何故表示しないのか!といったご意見も見受けられますね。
昔は逆に製造年月日表示だった気がするんですよね…。
そんでもって、製造年月日を一日でも新しく!と工場で早朝製造…。
深刻なブラック化…。
という嫌な事件があったような…。

昔の消費者教育では、「賞味期限ができるだけ新しいものを買いましょう!捨てる食品を減らして賢い消費者!」みたいな状態でしたが。
現代の消費者教育では、「すぐ食べる物については、無理に賞味期限が新しいものを買う必要はない、無理に新しいものを買うと販売店での廃棄が増える可能性もある」とか言われているように思います。
そこまで周りに気を遣うんだー、とも思いますが。
実は食品の一部には「美味しい食べごろ」があるものがあります。
・タイの刺身は新鮮なものより、少し時間が経つと熟成されて旨みが増す(他の魚に比べて腐りにくいそうです、アジやサンマはあしが速いですよね…)
・オイルツナ缶は製造後暫く経った方が油がなじむので、新しいものより美味しい
・納豆は期限内でも味が変わっていく、賞味期限近くなると臭いが強くなり、旨みが増すので、納豆嫌いは新しいものが良いが、重度の納豆好きはむしろ切れたぐらいが美味しいかも
・ヤマ○キのナイススティックは消費期限内でも味がうつろうので好みのタイミングで食べると良い
・ホールのカマンベールチーズは、新しいものは全体的に柔らかいが、古いものは周囲が固くなり中央部がクリーミーになる(私はこのクリーミー部分が好きです…)

色々な時期の食品の味わいを試してみるのもまた一興?かもしれません。
ただ、期限切れの商品を食べる場合は、自分の舌を過信しないようご注意ください。
香料がきつく、着色料がふんだんに使われている食品などは、割とわかりにくいです。
明らかに腐っているはずの洋生菓子からバニラの臭いしかしない…!という驚愕の経験をしたことがありますので。
鍛えていけばわずかにまじる腐臭に気付く、りっぱな官能評価員になれるかもしれませんが、万年鼻炎の私にはやはり難しいかもしれません。

果物のスライスの絵は果汁100%でないと表示できない、というのは嘘

2017-01-31 21:05:44 | 表示に関する話題
はい、やっとここから個別のよもやま話に入っていきます。
まず、トリ○アの泉的な番組で紹介されていたような気がします、このトリビア…じゃない、表示マメ知識。
「果物のスライスの絵は100%果汁のジュースにしか使えない」というのは、嘘、というか、全くの嘘ではないですが、実は厳密にいうと正確ではありません。

「スライスの絵は100%以外の場合NG」、この情報の根拠としてあげられるのは、「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」です。
公正競争規約は、まぁオフィシャルな決まりではあるのですが、ざっくばらんに言うと、事業者団体が予め、「これさえ守れば景品表示法などに引っかかって摘発されることは無いですよ」という決まりを作ったものです。
勿論、業界団体内だけで決めたのでは自分勝手なルールもできるので、きちんと行政や消費者へのご意見募集などして、適正と思われるものを作って、消費者庁や公正取引委員会に認めてもらいます。
この内容を守っている限りの表示内容では、直ちにしょっ引かれることは無い、というものです。
しかし、逆に、守らなくても「直ちに違法」ではないのです。
言ってみれば、厳しめ自主ルールです。

「事業者団体が自主的に作っているルール」なので、そのルールの集いに参加していない企業は守る必要が無いですし、ルールの集いから脱退することを不当に制限してはいけない、とされています。
なので、「うわ…このルール…厳しすぎ…」と思ったら、その集いから抜け、独自の行動をとっても「直ちに違法」ではないのです。
先ほどから「直ちに違法」ではない、と言っているのは、結局多くの事業者が守っているルールを突然破ってやり過ぎな表示を行った、などの場合、景品表示法に基づき、行政サイドからお叱りをうける可能性があるからです。
果汁10%のジュースに、果実のスライスからあふれんばかりの果汁が迸る写真などを載せたパッケージなどを載せ始める業者が出たら、誰かにこっそり通報されて課徴金(罰金みたいなものですが、罰金とはちょいと違う)を取られても、多分あんまり文句は言えないと思います。
公正競争規約に参加しなければ、他の事業者と比べ、著しく良い感じの広告が出来なくもないけれども、他の事業者が敢えて言わないことをことさら強調すると、「優良誤認です!」などと言われて制裁が入る可能性がある、ということです。
まぁ、参加していない事業者も、自主的に守っているところが多いと思います。

じゃあやっぱり、事実上果物のスライスの絵を果汁100%以外で表示している商品は存在しないんじゃないか?
という疑問が起こるかもしれませんが、そんなことは無いです。
実際、輸入食品などは、現地の法律に基づいてパッケージが作られていたりするので、スライスやしずくなど、公正競争規約で禁止されている手法が100%果汁でなくとも平気で使われている場合があります。
輸入業者がそのルールの集いに参加していなければ、パッケージ部分のスライスやしずくを隠さなくても「直ちに違法」ではないです。
この表示に騙されやすいのは、実は「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」に詳しい人の方かもしれません。
スライスが100%しか使えない、という規約を知らなければ、きちんと果汁のパーセンテージを見て購入するかどうかを決める訳ですが。
私なども、「スライスだから100%だ~」と安易に思って輸入品の100%でないジュースを買いそうになったことがあります。
結果、カゴに入れた後、違和感を感じて裏面のシール貼りの表示を見て、「100%じゃないじゃないか!安いと思った!」と絶望した記憶があります。
まぁ、買う前で良かったですけど。

海外で日本専用に作っている輸入食品なども増えていて、その場合は輸入元などが割と厳しく表示をチェックしていたりする場合もあります。
しかし、現地の既存品にシールで必要な表示を貼っているものなどは、優良誤認の可能性を秘めているものが割とあります。
輸入食品については、なんとなくうすぼんやりしたバリアみたいなものを感じますが、それは多分、日本向けに作っている場合は兎も角、現地で仕入れたものをなんやかんや改造しにくい(現地製造者への配慮??)、何か隠せば消費者に不信感を持たせる、といった、なんともならない事情があるのかな、と思います。
というわけで、日本国内で、「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」に参加している事業者に限り、「果物のスライスの絵は100%果汁のジュースにしか使えない」というのが当てはまります。
例外商品が実在しますので気をつけましょう。

また、大体このトリビアを紹介している記事には、どの範囲で、というのが書いていないことが多いですね。
「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」は実は飲料全てに適用される訳ではありません。
他の公正競争規約でルールが決まっている乳飲料や、酒税法で決まっている酒、粉末飲料、紅茶飲料などの例外があります。
乳飲料だと、いちごオレ的な飲み物で、しずくやスライスが見られることがあります。
あ、スライス、というのは、断面全て含みます。レモンの薄切りのようなものだけに限らず、です。
紅茶飲料などは、大胆にフルーツがスライスされて投入されている絵などがありますね。
粉末飲料に至っては、スライス写真+しずくとか、これでもかとフルーツアピールしてきたりします。
飲料で100%果汁じゃないのに、スライスの絵があるじゃないか!と思ったときに、この、対象外、の飲み物である場合もあるので、掲題のトリビアはある意味、ちょっと情報不足な感じが否めませんね。
※因みに炭酸飲料は除外されないので、炭酸飲料も「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」に参加している事業者がパッケージを作る際は、100%でない場合はスライスの絵は使いません。

なぜこれらが対象外なのか、というと。
これらは「果汁がたっぷりだと誤認しようがない」からだと思います。(邪推)
乳飲料は「乳」が主体で、混ざる果汁はサブです。紅茶もそうです。
粉末飲料は、そもそも粉末にそんなにたっぷり果汁が入れられる訳がないし、粉末になった時点で味は落ちてしまう。
でも、ペットボトルや瓶、パックに入った果汁味を主張する飲料は、にわかに「果汁がたっぷりなのかそうでないのか」の判別がつきません。
「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」とは別に、景品表示法に「無果汁の清涼飲料水等についての表示」という決まりがあります。
昔、無果汁だったり、少量の果汁が入った飲料を不当に売ったメーカーを取締った名残でしょうね。
これを元に、もっと色々な果汁濃度の飲料を適正に表示しようと試みたのが、「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」なのかもしれません。

世の中の決まりの中でも、直ちに違法、事情が勘案される場合、など、様々なパターンがあるので、思い込みによって判断してしまわないように気をつけることも大切ですね(自戒
掲題のトリビアについてですが、穿った解釈をすると、「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」の中では、100%でない場合には「ジュース」と呼びませんので、「ジュース」といった時点で100%果汁(又は果汁と野菜汁の混合)しかありえないから矛盾は無いのだ!とか言えないこともないですが、もはやここまで来ると何を伝えたいのか訳がわからなくなるので自重します。