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消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

若者のエビフライ離れ

2018-07-17 23:13:21 | 表示に関する話題
近年、若者の○○離れ、と書けば記事が簡単に仕上がると言う話をよく聞きます。
一方で、そのフレーズ使いすぎ、とも言われています。
今日はそんなおなじみのフレーズで、若者が離れていると思われる、エビフライについて語りたいと思います。

エビフライ、昔は魅力的な洋食だったと思います。
が、近年、ファミレスで何かの横にちょこっとつけられている程度の存在だったり、お弁当にちょこっと入っているだけだったりします。
というか、多分別に若者だけではないんじゃないかと思いますけど、離れているの。
みなと新聞の記事(みなと新聞…あまり聞いたことがないんですが)によると、「エビフライ市場縮小 16年4%減204億円」だそうです。
因みにみなと新聞は調べたところ、「漁業、水産業のニュース・情報サイト」とのこと。
ああ、業界新聞ですね、食品メーカーに居ると会社で購読しているものを読めたりして楽しいんですよね。

閑話休題。
私はエビフライが結構好きなんですけど。
正直、いまどきのエビフライは「衣食ってるんだろうか」みたいな気持ちになるため、正直買う気がしません。
いや、わかるよ、揚げ物の薄い衣ははがれやすいです。
しかも衣付けてすぐ揚げてすぐ食べるなら問題ないですけど、時間が経つと具材から水分が出てべろりとはがれます。
今時お弁当などで衣がはがれていないエビフライの方が本来不自然ですものね。
でも、衣が食べたいわけじゃない!
自分で作るしかないじゃない!
自分で作れないなら食べれないのは仕方ないじゃない!となりました。
うーん、そりゃあ消費も落ち込みます。

ちなみに「エビフライ」「衣率」あたりで検索をかけたところ「林先生が驚く初耳学!」でエビフライと衣の割合の話が紹介されていたと思しき記事がヒットします。
すみません、うちテレビないんですよー。
最近のCMの話題とかおかしなテレビの話題とかできないんで、このブログもなかなか更新できません。
さて、話は戻って。
価格ドットコムさんのテレビ紹介情報のページにたどり着いた私が見た林先生が驚いたかもしれない初耳学とは?
「冷凍エビフライの衣の割合は重量の50%以下という規定があり、これには涙ぐましい歴史がある。」
2017年の放送だったようで、残念ながら公式の情報は残っていなくてですね~というか、番組の内容がここまで細かく公式サイトに載っていたとも思えませんが。
残念ですが、衣の割合が50%を超えるエビフライは実在します。

では、法律を紐解いていきましょう。
見るべきは、消費者庁の一元化サイトより「食品表示基準 内閣府令[PDF:1.4MB]」
いらっとしませんか、この縦書き。
実はとある都道府県から横書きのPDFが公開されています。
確かに皆喉から手が出るほど欲しいものかと思いますが、これ、改正の時どうするんですかね?改正されているのかしら?どきどき、と思います。
なので特にリンクは貼りません。
因みに消費者庁のリンク先のPDF、検索しようとすると、ページの切れ目とかにあって検索しきれない文字が沢山有ります。
電子化の意味!
一元化前の法令の位置からたどるとわかりやすいとかいう
一元化の意味!
こんな時のeGOVでしょうか。
しかしeGOVとてリアルタイム反映ではないので注意が必要です。


では、わざわざ見難い消費者庁のPDFでみます。(ページ数は2018/7/17現在)
言ってみればこれが元凶…じゃなかった大元ですからね。

別表第三(第二条関係)が177ページから様々な食品の定義を紹介していますが、269ページにやっとエビフライ出てきます。
あっ、ちなみにここに出てくるエビフライは冷凍エビフライのみです。
加熱後エビフライの表示についての定義は無いです。
うーん、まぁ、揚げた常温流通のエビフライは日持ちしませんし、どこかで詰めて流通させるということがあまり現実的でない…?のでしょうか。
その場で揚げてその場で売る食品についてはあまり細かい表示の規定がないため、あまり細かい定義が無かったりします。
一応事業者の人達は良心に基づいて、そのものズバリの法律が無い場合は、似たような食品から推定してもっともらしい一般的な名称をつけることが多いのではないでしょうか。
ともかく冷凍えびフライについて言えば「冷凍フライ類のうち、頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの(細切し、又はすりつぶしたものを除く。)をフライ種としたものをいう。」とあります。
衣が50%なんて一言も言っていません。

続いて冷凍えびフライの表示事項について。
別表第四(第三条関係)が313ページから様々な食品の表示を紹介していますが、424ページでやっと「調理冷凍食品」が出てきます。
しかし別に衣がどうということはありません。
ここは共通表示部分の個別事項ですのでね、わかりにくくて仕方ない法律ですが仕方ないですね。

別表第十九(第四条、第五条関係)が543ページから食品に個別の表示を紹介しています。
この583ページでやっと出てきます。
「衣の率(冷凍魚フライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍えびフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント、食用油脂で揚げたもの以外のもので頭胸部及び甲殻を除去し、又はこれから尾扇を除去した一尾当たりのえびの重量が六グラム以下のものにあっては六十パーセント)、冷凍いかフライにあっては五十五パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍かきフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍コロッケにあっては三十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては四十パーセント)及び冷凍カツレツにあっては五十五パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント)を超えるものに限る。)」

大事なことなので抜粋
「冷凍えびフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント、食用油脂で揚げたもの以外のもので頭胸部及び甲殻を除去し、又はこれから尾扇を除去した一尾当たりのえびの重量が六グラム以下のものにあっては六十パーセント)」を超えるものについては「衣の率」を「表示する義務」があります。
ここから衣の重量が50%云々の話が出てきたのでしょうか?確かに50%以下が望ましい、そうでない場合は衣の率を表示しなさいと言った趣には感じられますが、別に禁じられている訳ではありません。
例えば、衣の重量が80%のえびフライを作っても、「衣の率:80%」と表示し、「頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの」が丸々入っていればえびフライと言えそうです。
実際揚げていないえびフライで、衣の率が55、60%のものは見たことがあります。
なぜ55、60かというと、「実比率を下回らない五の整数倍の数値により、パーセントの単位をもって、単位を明記して表示する。」という規定があるからでしょう。
つまり5の倍数かつ50%を超えるもので、そこまで衣を増やさないでいるとこれくらいになるのでしょう。

つまり、6割衣みたいなえびフライが普通に流通していても別におかしくは無いのです。
(ていうか、「食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント」とあるので、普通に65%で衣の率が表示されていないパターンが存在しますね)
それが悪いかどうかと言われたら、別に悪いとは言いませんが、個人的に美味しいとは思わないので、買わない、買わない客が増えすぎると売れない、売れない結果利益も上がらない、となります。
事業が継続できないと意味がないですので、利益を確保することは大切ですが、二度と買わないような商品設計の商品が巷に溢れすぎると結局商品から顧客が離れるという結果を招くという実例なのではないでしょうか。
しかしながら正直、エビフライは衣を増やすか値上げをする以外に利益を確保する手段が無いような気がします。
えびは養殖するとしても、そんな格安に増えるものでもないですし。
殻を除去し、かつ、身がもげないようにし、でもしっぽは取れないようにし、生き物一匹まるごと使うけどサイズは均一にし、など、ハードルは相当高いです。
肉であればカット時に多少調整は効くでしょうし、本体のサイズを小さめのものを作るのもたやすいでしょう。
ひき肉や、魚介類のすり身であれば自由度はもっと高いでしょう。
消費者の、美しさ、均一さなどを求める姿勢も、えびフライメーカーを追いつめる原因かもしれませんね。


えーっと、一応最後に復習です。
冷凍えびフライの定義は、「冷凍フライ類のうち、頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの(細切し、又はすりつぶしたものを除く。)をフライ種としたものをいう。」
冷凍えびフライの衣の制限は無いけれど、一定割合を越えたら衣の率の表示が義務です。
その場で調理されたえびフライは、上記の限りではありません。(そもそも調理されたものをその場で提供する飲食物は義務表示事項が少ないので、仕方ないですね)

内閣府令の表を見るのに凄く疲れました…最後の「最後に復習です」の部分だけ書けば簡潔じゃないのという話もありますが、人の言う事をうのみにしてほいほい信じるのは良くない、ということで、元の条文をたどって頂きたくこんな文章にしました。
仕事でこの文章を書くなら、最後に復習です、の内容を最初に書くべきですね。
わかっていてなぜやらない!と思うかもしれませんが、内閣府令を見て辛い思いをした気持ちを少しでも分かちたかった!(酷
内閣府令はつらいから、eGOVを「えびフライ」で検索すると楽ですよ!

クレイマークレイマー

2018-03-19 20:17:57 | 表示に関する話題
さて、世は大クレーマー時代です。
が、クレーマーが増えて、クレーマー対策もマニュアル化してきました。
昔はクレームをつけると、リターンが凄く大きかったのですが、今は「相応額の返金又は交換」でほぼ対応が定まりつつあります。
クレーマーは文句をつけることで得をしよう、という人が多かったから、あまり過剰に詫びてお返しするのも駄目なんでしょうねェ。

正直不良品を着払いとはいえわざわざ発送して~ってなると、面倒この上ないんですけど。
クレーマー長者みたいなことをした人がいたから、まぁお詫びの品がなくなるのも致し方ないです。

私が昔遭遇した面白いクレーマーさんは、コールセンターの女性に散々文句を言い
「あんたみたいな女の子じゃ話にならん!一番偉いやつを出せ!」
一番偉い人が電話にでるも、女性だったため
「女じゃ話にならん!男を出せ!」
当時そこのコールセンターには男性が一人しかおらず、仕方なくその人を出したら
「お前の役職はなんだ」
「ヒラです」
追い求めたものは、という感じですね。

多くの会社でクレーム対応の部署ではこういうクレーマー対策として男性社員を配置している、と昔は聞いたことがありました。
男女平等、とは言いますが、今はどうなんでしょうね。

表示もクレーマー対策として色々書いている、という部分はあると思います。
ぎっちり書かれた注意書きの数々。
クレーマーがそんなの読むわけないじゃない、と思われるかもしれませんが、読んでもらうことが大事なのではなく、書いてあるという事実が大事なんですよね。
悲しいことです。

そろそろじわじわ新表示法

2018-02-14 22:07:16 | 表示に関する話題
最近食品を手に取ると、高確率で新法対応の表示に出くわすようになりました。 新法が出たばかりの頃は「各社しばらく様子見が多いと思います。一部生協は早めに着手するようですので、その手法に従うメーカーなども多いでしょう。」と講師の先生から予言を頂いた記憶もありますが。 ぼちぼち流石に新法対応の表示を見かけるようになりました。 見分けは簡単 ①原材料表示の食品と添加物の間に「/」(スラッシュ)がある。又は添加物が別の欄になっている。 ②栄養成分表示があり、ナトリウムではなく食塩相当量の表示が優先されている。(ナトリウムが併記されている場合もある) ③栄養成分に「推定値」と書いてある ③アレルギー表示が「一部に○○・○○を含む」(「一部に」から始まり、「・」(中黒)つなぎ) スラッシュがあるだけで、あ、新法新法ってワクワクしますね・・・。 添加物が無い場合は使えませんけど。 食塩相当量の桁数が増えている食品(0.01gとか…)も地味に新法を感じさせます(ナトリウム換算で表示下限があるので)。 推定値は言わずもがなですが。 出来た当時は無茶に法律作ったなーと思いましたが、旧法のツギハギが殆どなので、ある意味そんなに混乱をきたさなかったのでしょうか…。 今回の法改正では、メーカーの負担も相当にあったんじゃないかなと思います。 こういうコストをどこで吸収するんだろうか…。 栄養計算だって根拠となるようにきちんと残すにはそれなりの人件費はソフトウェア代などがかかりますし。 包材を変えるのだって、表示を作り直して、確認して、発注して、在庫管理して、古い表示の商品をいやがる取引先を何とかして…。

賞味期限の切れたパン、配ったら…ニュースになりました。

2017-10-25 23:25:04 | 表示に関する話題
台風の影響により、新幹線の車内で夜明かしすることになった乗客に対し、駅の備蓄賞味期限5年パンを配ったところ、一部賞味期限が切れていたということでニュースになっていました。
賞味期限5年に対し、超過は2ケ月、安全係数を考えれば騒ぎ立てるほどのことではないのでは?という意見も見ましたし、
消費期限と賞味期限の区別がついているのかが問題ではないか、という意見も見ましたし、
言い出しっぺの乗客が苦情的に申し立てたのか、それともJRの判断で回収にして大事にしたのか、などなど、様々な意見を見ました。

まず、消費期限や賞味期限が切れた食品を売っても良いのか。という話から始めたいと思います。
おなじみの消費者庁の「Q&A」です。
「(加工-38)表示された期限を過ぎた食品を販売してもよいのですか。
(答)食品の販売が禁止されるのは、当該食品が食品衛生法上の問題がある場合、具体的には食品衛生法第6~10条等に違反している場合ですので、仮に表示された期限を過ぎたとしても、当該食品が衛生上の危害を及ぼすおそれのないものであればこれを販売することが食品衛生法により一律に禁止されているとはいえません。
しかしながら食品衛生を確保するためには、消費期限又は賞味期限のそれぞれの趣旨を踏まえた取扱いが必要です。
まず、消費期限については、この期限を過ぎた食品については飲食に供することを避けるべき性格のものであり、これを販売することは厳に慎むべきものです。
また、賞味期限については、期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではありませんが、期限内に販売することが望まれます。」

端的に言うと、
「消費期限切れの食品は食べられない物だから、販売は絶対ダメ」
「消費期限切れの食品は、絶対食べられない訳じゃないけど、販売しないでほしい(強制」
といったところでしょうか。


では実際に、消費期限や賞味期限が切れた商品を売って食中毒が起こったら???
「(加工-49)期限を過ぎた食品を販売して食中毒が発生した場合、消費者に対する民事上の責任は、製造業者、販売業者のどちらにあるのですか。
(答)期限を過ぎた食品を販売して食中毒が発生した場合の消費者に対する製造業者や販売業者の民事上の責任は、それぞれについて、発生原因や過失の有無等表示以外の種々の要素も勘案し、民法や製造物責任法等に照らして最終的には裁判所が判断することとなりますので、一般的かつ択一的に、どちらに責任があるかということはいうことができません。
なお、製造業者については、食品の欠陥による製造物責任等が、販売業者については、民法による債務不履行責任、不法行為責任等が問われることとなり、原因の如何によっては、両方の責任が認められることもあり得ます。実際にどちらが消費者に対して賠償を行うかは、被害を受けた消費者の選択によることとなり、また、製造業者と販売業者のどちらがどの程度最終的に負担するかは、原因に対する寄与の程度や契約関係等により判断されることとなります。」

端的に言うと、ケースバイケース、という事です。

また、このひとつ前のQAでは製造者の肝を冷やす内容が記載されています。
「(加工-48)消費期限又は賞味期限前に販売された食品を購入した消費者が、その期限を過ぎた後に当該食品を喫食して食中毒が起こった場合、消費者に対する営業者の民事上の責任はあるのですか。
(答)適正な消費期限又は賞味期限の表示を行っていた食品で食中毒が起こった場合、その期限の前か後かということは、営業者の民事上の責任を判断する上で、一つの考慮事項になるものと考えられます。
しかしながら、賞味期限の表示そのものが衛生的な要因のみならず、味や香りといったことも勘案して設定される場合もあり、必ずしも、期限を過ぎた後の喫食を避けるような表示をしているとはいえません。
すなわち、食中毒が起こった場合の営業者の消費者に対する民事上の責任は、民法や製造物責任法等に照らし、表示のみならず種々の要素を勘案して、営業者に過失があったか、商品に欠陥があったか等を考慮して最終的には裁判所が判断することとなります。期限後の食品であることをもって、直ちに営業者が免責されることにはならないと考えられます。」

消費者が消費期限切れの食品を食べて食中毒を起こしたら流石に自己責任では?と思ってしまう私ですが、直ちに免責されない、つまり、事情によっては裁判沙汰という事です。
そしてこういうあやふやな態度を取る消費者庁は救済とかしてくれないんですよね、きっと、と思ってしまう私です。
例えば同じ日に作られた製品が、期限内に消費された場合でも食中毒を起こしていた人がいた場合は責任が生じる場合がある、とかそういうことなんだろうとは思いますけど。(商品に欠陥があったか等を考慮して、のあたり)
賞味期限を過ぎたところで食べられないとは言ってないからさぁ、責任とってもらうかもよ?みたいな理論は、金をかけて保存試験を行っている企業の努力を無に帰す発言だから少々配慮に欠けるのではと若干思います。

因みに食品メーカーサイドの考え方としてありがちなのは、コールセンターでの良くある模範解答
客「賞味期限が切れちゃったんだけど、食べても大丈夫かしら?」センター「弊社では期間内のみ品質が保持されることを確認しておりますため、喫食はお勧めできかねます」
客「今日買ってきて、今食べようと思ったら保存温度間違えてました!食べられますか?」センター「弊社では表示温度帯でのみ(以下同文。直ちに健康被害が起こることは無い、が付け加えられる場合もあり」

いくら消費者庁が「賞味期限切れても直ちに食べられない訳じゃないよ」と言ったって、現代社会の加工食品の腐敗・変敗をつぶさに消費者が捉えられるとは限りませんし。
メーカーも、実際これだけ保存がきくであろう、という期間が判明したうえで、安全係数というのをかけ合わせて少し短めに賞味期限等を設定するわけですが。
なぜそんなことをするかと言えば、流通中に過酷な条件下におかれる、等、試験の状態と同じ程度に良い状態を保てる保証はないからです。
例えば「常温保存」としている商品が、灼熱の倉庫内に置かれる可能性はゼロではありません。
温度が上がれば変質が早くなるケースが多いです。
また、「-18度以下で保存」と言う場合に、家庭の冷凍庫は開け閉めにより温度が下がりきっていない状態が発生しがちです。
理論と実際、というところを考えると、問題があったら困るから短めにしているという単純な問題でもないのです。
実際に危険が生じる可能性があるから短めに設定されることもあるのです。
(いや、実際には保存庫の関係で試験が長期出来ない場合もあるかもしれませんけど、特に新商品)


まぁそんな訳で、
消費期限だろうが賞味期限だろうが、切れたものを販売するのはNGみたいなスタンスが見えます。
無償で提供ならばOKかというと、それは無いと思います。
無償で配布しようが健康被害が生じる可能性があるものはフォローしろというのが行政のスタンスです。
販売がNGであれば、無償でもNGとの判断が出る可能性は大きいと思います。
期限切れの商品の無償提供がOKであれば、産業廃棄物となる賞味期限切れの商品を無償で放出することにより費用を抑える、その結果健康被害が起こる、といったケースが生じる可能性も考えられます。
食品ロスも減るし、消費者は無償で商品ゲットだし、事業者は費用を削れるし、と三方良しのように見える「賞味期限切れ食品無償提供」ですが、
行政がGOを出してしまえば、悪用してエスカレートしていく業者が現れるような気が凄くします。

ただ、今回ニュースになったケースについては、悪意がある訳ではない・自主的に回収を行っている・健康被害が起こる可能性も低そう(JRの保管庫がある程度適正な保管条件だろうこと、賞味期限で、かつ切れてからそんなに経っていないと考えて)、というところから、消費者庁的には特に何か問題にするようなことはないのかなぁと思いました。

賞味期限が切れてる、と気づいた時点で、消費者には「黙って食べない」という選択肢も存在しますし、提供された、と言っても賞味期限が確認できない訳ではないですので、騙した、と言うほどではないとは思いますが。
今回は企業がやった行動、ということで、善意悪意を問わず、結果論として健康被害が生じないかどうかも問わず、問題とされてもやむなし、ということかな、と個人的に思います。
隣のおばちゃんがくれたお菓子の賞味期限が切れていた、なら、「あのおばちゃんいつもそうなのよね~」で済みますが。
企業という看板を背負ってしまっている以上、近所のおばちゃんより断然信用はある訳で、「善意で無償だから」では逃れられない責任が生じると思います。
今回のケースも、もし客がSNSで「配られたパンの賞味期限が切れてた」とかアップして、それが拡散した後に回収になったとしたら、ネットの論調がどうなっていたかわからないような気もします。
私も一瞬「パンの期限切れ」と見えた瞬間に「パンだと消費期限だったりしないのか?」とはっとした記憶がありますので。
速やかな謝罪と回収が無ければ、問題の一部を切り取って炎上、という最悪のシナリオが発生した可能性もゼロではないと思います。

今回の件については、食品の法律的な問題ではない部分として、長期保存食品の備蓄は計画的に入れ替えましょう、という問題が潜んでいると思います。
東日本大震災から6年。
あの頃備蓄され始めた長期保存食品が、今後続々期限を迎えるのではないでしょうか。
一旦期限が切れてしまうとJRの二の舞になってしまいますので、早めに何らかの形で放出していかないと怖いなぁと思いました。
災害時に食中毒も起こしたらシャレになりませんし…。

機能性食品は食べてはいけないのか?

2017-09-20 21:23:27 | 表示に関する話題
さて、コンビニで「食べてはいけない」系の本を見かけたのですが。
表紙に「効果が無い機能性食品」みたいなアイキャッチがあったので思わずパラ見したくなって手に取ったのですが、帯っぽいビニールが巻かれていたため断念。
買えよ、と言う話なんですけど。
「買ってはいけない」「食べてはいけない」系の本はそれ自体買っても無駄みたいな本が多いような気がしてこれこそ「買ってはいけない」本なんじゃないだろうかと思います。
まぁでも、人様のご意見を伺いたいならやはりお金を出してナンボですよね。
というわけで、その方の主張を見るのはあきらめました。

というわけで、いまさらですが、「機能性食品は効かない」もしくは「機能性食品は効果が無いものがある」的な発想が世の中にはあるようです。
一歩踏み込んで「機能性食品は危険」という人もいますね。
私個人の意見としては、機能性食品を買うのであれば市販薬を買った方が良いと思います。
「論文とか読むの大好き!統計も詳しいし作用機序とかワカル」みたいな方は公開されている機能性食品の届出内容を確認して納得される商品を購入するのもありかもしれません。
但し、メーカーがきちんとまともな資料を揃えているかどうかはわかりません。
私もレビューした訳ではないですが、消費者庁が「個別審査を受けたものではない」とわざわざ商品に記載させる辺り、事業者にもろもろ丸投げする気マンマンに感じます。
こう言ってしまっては難ですが、企業側は届け出に足る資料が揃えば良いわけで、その資料の妥当性をきちんと考えているのか?疑問です。
また、消費者庁側も個別に審査しない、という事ですし、「届出」という形をとっている以上、せいぜいガイドラインに沿った書類がそろっているのか、とか、ガイドラインで禁止されているものはないか、程度の確認ではないかと推測します。

事業者の責任に於いて証拠を揃えて機能性の表示を行う、というのが消費者庁のスタンスです。
ですので、有事に医薬品副作用の救済のように、国が立ち上がってくれるのか?というと、どうなんでしょう。
凄い健康被害が出れば別かもしれないですけど、そこまで健康被害が出るような健康食品を販売出来たらそれはそれで凄い気がしますが(あれ、これ死亡フラグですかね?)
ただ、健康被害が出た、と思った場合、「機能性食品が原因だ」という証明をするのは難しいような気がします。

機能性食品を食べる人たちは「健康を気にするけど、医薬品はちょっと」みたいな層かな?と思います。
そういう方たちが、一種類の機能性食品しか食べていない、ということは少ないような気がします。
あくまで食品枠ですので、何か問題が起こった時に真っ先に疑われるものでもないように思います。
また、単独の機能性食品の問題ではなく、併用している別の健康食品との食べ合わせや、医薬品との相乗効果的な問題の可能性もあります。
医薬品であれば臨床試験や市販後の調査などで副作用がある程度明らかになり、市販薬であれば添付文書の相談窓口、処方箋薬であれば医師や薬剤師を通してメーカーに連絡が行き、メーカーは所定日数内で国に報告し、事例が蓄積すれば添付文書などがどんどんアップデートされていきます。
しかし、健康食品であれば、どうなのか???という問題があります。
原因となる健康食品があったとして、「これが原因だ」と消費者が判断できるものなのか?
メーカーや消費者庁に連絡したとして、事例を系統的に積み上げてフォローしていく仕組みがあるのか?

真面目にやっているメーカーさんもいる事とは思います。
しかし現実問題として、機能性食品周りは相当ごたごたしていると思います。

機能性食品が出来た時、多くの食品メーカーが「届出とあるが、届出の要件等が消費者庁から全く明かされない」と相当やきもきしていたはずです。
第一号をとったメーカーはどこだか忘れましたが、目玉となる第一号を取るために、各メーカーがしのぎを削って情報収集をしていたはずですが、消費者庁からなかなか情報は出ませんでした。
その後も、
株式会社リコムの「蹴脂粒」トクホで安全性に問題アリと却下された商品が機能性食品として届け出られ、消費者庁の形式的なチェックを通り抜け受理されました。
商品名も変えずに、と思いますが、トクホの審査に余程不服だったのか、それとも余程自信があるのか、はたまた消費者庁の健康食品への施策への闘いなのか。
望み通りなのかわかりませんが、一部でそれなりに話題になりました。
その後も、
(株)インマイライフ「チアフル酵母」で「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に掲載されている成分を使用しているのに、うっかり発売されてしまいました。
これは薬機法(厚生労働省管轄)違反ですね。
恐らくメーカーさんもうっかりしたんでしょう。
この頃の機能性食品ガイドラインには「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」掲載の原材料は使っていないこと、というものは確か無く、メーカー側が取り下げをして闇へ葬られたと記憶しています。
機能性食品の管轄は消費者庁、自分の管轄ではないと言っても、さすがにその辺はチェックしてほしいですね…ということで、その後チェックされることになったようです。
と、スタートからごたごた、その後もごたごたしています。
まあ、食品表示法自体が物凄い急ピッチで取りまとめられ、そこに急きょ盛り込まれた制度なんで、こんなもんなんですかね(イライラ)という気持ちでした。

しかしメーカー側も真面目にやらないところはまじめにはやりません。
某機能性表示食品のサポート企業のウェブサイトを見たところ
「(前略)1-DNJは、その高いαグルコシターゼ阻害(血糖値抑制効果)があるため、医薬品成分として指定されています。
これを関与成分とすると薬事法違反となるので、機能性表示食品にできません。
1-DNJは、桑の葉などにも入っているので、桑の葉も、1-DNJを関与成分として、機能性表示食品にすることはできません。」
「しかしながら、もともと入っていることは構いません。新たに追加してはいけないと言うことです」←この辺から風向きがおかしい
「(中略)おすすめしているのが、トクホや機能性の血糖値上昇抑制(保健機能)成分を追加で入れて、そちらを関与成分にする「レンタル作戦」です。」
「ありものの関与成分を入れ、それに頼るのが、一番確実な方法です。」
すごいこれは…。確かにそうなんですけど、それネットに載せたらダメなやつだと思います。
ていうか、本質的にダメなやり方だと思います…。
つまり彼らは「実は1-DNJを使った血糖値抑制の機能性食品を作りたいけど、これだと薬事法違反になっちゃうよ!」
「じゃあ、同じ効果を持つ他の成分を使って機能性表示したらいいんじゃね?そしてさり気なく『桑の葉』もパッケージでアピールして、わかる人には『こっちが本命!』みたいな」
実際彼らが効果があるほどの桑の葉を入れようと考えているのかどうかわかりませんが、桑の葉の効果が出るほどでも出ない程でも結果ダメな気がします。

しかしこの「レンタル作戦」が実行されているのかは定かではないですが、「後光作戦」は既に行われています。
突然出てきた後光作戦に困惑されている方もいるかもしれません。
当然です、私が今作りました。
後光作戦とは、いまとなっては比較的古式ゆかしい「栄養機能食品」で他の成分を前面に押し出していく作戦の事です。
「○○ポリフェノール」とかいった商品名なのに、栄養機能食品の対象の栄養はビタミンである、とかそういった商品です。
商品説明にも最後のしめが「ポリフェノールが摂取できます」
絶対ビタミンは「栄養機能食品」ってつけたいためだけに入れてますよね。
あわよくばポリフェノールの栄養機能みたいに誤認させたい気持ちでいっぱいですよね。
というような商品が市場にはパラパラ見られます。
気を遣っているメーカーは一応、商品名には「ポリフェノール&ビタミン」みたいに併記するとか、パッケージ等にもバランスよく書くとかしている様が見られますが、そもそも何の効果も謳えない状態の他の成分をデカデカ書いてさもビタミン同様健康に寄与します!みたいにされるとザワザワします。

まぁ、健康食品に関しては、いかがわしい製品が野放しになりすぎていて、規制もおいついてないし、まじめにやっていたら売れそうにないし。
ノウハウも販路もない会社であれば、真面目に健康食品やるくらいなら、ラムネ菓子にでも手を出した方がまだ儲かるんじゃないだろうか…。とか思います。

因みに機能性食品、副作用で検索すると、目系の機能性食品が原因で肝炎が発生する疑いがあるという記事がチラホラ。
うん、まぁ、昔から健康食品で肝炎って割とポピュラーだったような気がします…。
医師の所見を印籠のように掲げていますが、まぁ、患者さんのバイアスが入っていないかとか、そういうのもありますし、多くの医師が揃って健康食品の影響だと断じているかと言えば、セカンドオピニオンとかしているかわかりませんし…。
症例を集めてみないと何ともと思いますが、集める仕組みが多分ないという恐ろしい世界です。
ソフトカプセルとかタブレット型の栄養食品は手軽に沢山摂れてしまうので、過剰になりやすいという難点がありますよね。
それは用量を守らない消費者が存在するということも発生しますし、守っていてもそもそも1日量の設定が多いという場合もありますし。
肝機能が落ちていれば肝炎が生じやすいけれど、健康な成人大人を基準に設定されていれば、実際市場に出たときに健康被害が出てもおかしくないという。

誰が言っていたか忘れてしまいましたが。
効果がある、ということは、体に何らかの作用をもたらしているということ。
何らかの作用をもたらしているならば、それが悪い方向に作用したとき、副作用となって発現するのは当然のこと。
食品だって、ノーリスクではない。
しかし、普通の食品であれば、毎日食べ続けたら大抵飽きてしまうので、そんなに過剰に取ることは無いから大丈夫。
だけど健康食品は・・・
とかいう話でしたが。
薬で言うならば、市販薬であれば、○日服用しても効果が無い場合は病院へ、とか記載があり長期服用前提でないものが多く、過剰摂取と言うほど摂取するものではないでしょう。
処方薬も効果が無いとか副作用があれば薬を変えたりしますし、何より専門家が経過を見守っています。
健康食品は、一回2粒1日3回を毎日服用など毎日のように摂取する前提で、先が限られておらず、延々と摂取し続けられて、リスクについて把握している監督者も不在、という結構あやうい状況だと思います。

まぁ、効果がないならまだ御の字。
効果がある場合は副作用が心配。
というのが、健康食品への私の考えです。

健康食品買う位なら医薬品買います、と言ったものの、医薬品もそれなりに副作用があります。
何の変哲もないように見える頭痛薬だって重篤な副作用が起こることがあります。
自力の力で治るものは何かに頼らない方がいいのかなぁ、と言うのもありますが、我慢することで悪化する、ストレスが貯まって悪化する、とかもあるんで難しいところです。

食品も医薬品も「リスクはある」しかし、自分の生活の質等を考えて「どのようにつきあっていくか」という考えを自分で持つことが大切かな、と思います。