近年、若者の○○離れ、と書けば記事が簡単に仕上がると言う話をよく聞きます。
一方で、そのフレーズ使いすぎ、とも言われています。
今日はそんなおなじみのフレーズで、若者が離れていると思われる、エビフライについて語りたいと思います。
エビフライ、昔は魅力的な洋食だったと思います。
が、近年、ファミレスで何かの横にちょこっとつけられている程度の存在だったり、お弁当にちょこっと入っているだけだったりします。
というか、多分別に若者だけではないんじゃないかと思いますけど、離れているの。
みなと新聞の記事(みなと新聞…あまり聞いたことがないんですが)によると、「エビフライ市場縮小 16年4%減204億円」だそうです。
因みにみなと新聞は調べたところ、「漁業、水産業のニュース・情報サイト」とのこと。
ああ、業界新聞ですね、食品メーカーに居ると会社で購読しているものを読めたりして楽しいんですよね。
閑話休題。
私はエビフライが結構好きなんですけど。
正直、いまどきのエビフライは「衣食ってるんだろうか」みたいな気持ちになるため、正直買う気がしません。
いや、わかるよ、揚げ物の薄い衣ははがれやすいです。
しかも衣付けてすぐ揚げてすぐ食べるなら問題ないですけど、時間が経つと具材から水分が出てべろりとはがれます。
今時お弁当などで衣がはがれていないエビフライの方が本来不自然ですものね。
でも、衣が食べたいわけじゃない!
自分で作るしかないじゃない!
自分で作れないなら食べれないのは仕方ないじゃない!となりました。
うーん、そりゃあ消費も落ち込みます。
ちなみに「エビフライ」「衣率」あたりで検索をかけたところ「林先生が驚く初耳学!」でエビフライと衣の割合の話が紹介されていたと思しき記事がヒットします。
すみません、うちテレビないんですよー。
最近のCMの話題とかおかしなテレビの話題とかできないんで、このブログもなかなか更新できません。
さて、話は戻って。
価格ドットコムさんのテレビ紹介情報のページにたどり着いた私が見た林先生が驚いたかもしれない初耳学とは?
「冷凍エビフライの衣の割合は重量の50%以下という規定があり、これには涙ぐましい歴史がある。」
2017年の放送だったようで、残念ながら公式の情報は残っていなくてですね~というか、番組の内容がここまで細かく公式サイトに載っていたとも思えませんが。
残念ですが、衣の割合が50%を超えるエビフライは実在します。
では、法律を紐解いていきましょう。
見るべきは、消費者庁の一元化サイトより「食品表示基準 内閣府令[PDF:1.4MB]」
いらっとしませんか、この縦書き。
実はとある都道府県から横書きのPDFが公開されています。
確かに皆喉から手が出るほど欲しいものかと思いますが、これ、改正の時どうするんですかね?改正されているのかしら?どきどき、と思います。
なので特にリンクは貼りません。
因みに消費者庁のリンク先のPDF、検索しようとすると、ページの切れ目とかにあって検索しきれない文字が沢山有ります。
電子化の意味!
一元化前の法令の位置からたどるとわかりやすいとかいう
一元化の意味!
こんな時のeGOVでしょうか。
しかしeGOVとてリアルタイム反映ではないので注意が必要です。
では、わざわざ見難い消費者庁のPDFでみます。(ページ数は2018/7/17現在)
言ってみればこれが元凶…じゃなかった大元ですからね。
別表第三(第二条関係)が177ページから様々な食品の定義を紹介していますが、269ページにやっとエビフライ出てきます。
あっ、ちなみにここに出てくるエビフライは冷凍エビフライのみです。
加熱後エビフライの表示についての定義は無いです。
うーん、まぁ、揚げた常温流通のエビフライは日持ちしませんし、どこかで詰めて流通させるということがあまり現実的でない…?のでしょうか。
その場で揚げてその場で売る食品についてはあまり細かい表示の規定がないため、あまり細かい定義が無かったりします。
一応事業者の人達は良心に基づいて、そのものズバリの法律が無い場合は、似たような食品から推定してもっともらしい一般的な名称をつけることが多いのではないでしょうか。
ともかく冷凍えびフライについて言えば「冷凍フライ類のうち、頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの(細切し、又はすりつぶしたものを除く。)をフライ種としたものをいう。」とあります。
衣が50%なんて一言も言っていません。
続いて冷凍えびフライの表示事項について。
別表第四(第三条関係)が313ページから様々な食品の表示を紹介していますが、424ページでやっと「調理冷凍食品」が出てきます。
しかし別に衣がどうということはありません。
ここは共通表示部分の個別事項ですのでね、わかりにくくて仕方ない法律ですが仕方ないですね。
別表第十九(第四条、第五条関係)が543ページから食品に個別の表示を紹介しています。
この583ページでやっと出てきます。
「衣の率(冷凍魚フライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍えびフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント、食用油脂で揚げたもの以外のもので頭胸部及び甲殻を除去し、又はこれから尾扇を除去した一尾当たりのえびの重量が六グラム以下のものにあっては六十パーセント)、冷凍いかフライにあっては五十五パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍かきフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍コロッケにあっては三十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては四十パーセント)及び冷凍カツレツにあっては五十五パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント)を超えるものに限る。)」
大事なことなので抜粋
「冷凍えびフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント、食用油脂で揚げたもの以外のもので頭胸部及び甲殻を除去し、又はこれから尾扇を除去した一尾当たりのえびの重量が六グラム以下のものにあっては六十パーセント)」を超えるものについては「衣の率」を「表示する義務」があります。
ここから衣の重量が50%云々の話が出てきたのでしょうか?確かに50%以下が望ましい、そうでない場合は衣の率を表示しなさいと言った趣には感じられますが、別に禁じられている訳ではありません。
例えば、衣の重量が80%のえびフライを作っても、「衣の率:80%」と表示し、「頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの」が丸々入っていればえびフライと言えそうです。
実際揚げていないえびフライで、衣の率が55、60%のものは見たことがあります。
なぜ55、60かというと、「実比率を下回らない五の整数倍の数値により、パーセントの単位をもって、単位を明記して表示する。」という規定があるからでしょう。
つまり5の倍数かつ50%を超えるもので、そこまで衣を増やさないでいるとこれくらいになるのでしょう。
つまり、6割衣みたいなえびフライが普通に流通していても別におかしくは無いのです。
(ていうか、「食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント」とあるので、普通に65%で衣の率が表示されていないパターンが存在しますね)
それが悪いかどうかと言われたら、別に悪いとは言いませんが、個人的に美味しいとは思わないので、買わない、買わない客が増えすぎると売れない、売れない結果利益も上がらない、となります。
事業が継続できないと意味がないですので、利益を確保することは大切ですが、二度と買わないような商品設計の商品が巷に溢れすぎると結局商品から顧客が離れるという結果を招くという実例なのではないでしょうか。
しかしながら正直、エビフライは衣を増やすか値上げをする以外に利益を確保する手段が無いような気がします。
えびは養殖するとしても、そんな格安に増えるものでもないですし。
殻を除去し、かつ、身がもげないようにし、でもしっぽは取れないようにし、生き物一匹まるごと使うけどサイズは均一にし、など、ハードルは相当高いです。
肉であればカット時に多少調整は効くでしょうし、本体のサイズを小さめのものを作るのもたやすいでしょう。
ひき肉や、魚介類のすり身であれば自由度はもっと高いでしょう。
消費者の、美しさ、均一さなどを求める姿勢も、えびフライメーカーを追いつめる原因かもしれませんね。
えーっと、一応最後に復習です。
冷凍えびフライの定義は、「冷凍フライ類のうち、頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの(細切し、又はすりつぶしたものを除く。)をフライ種としたものをいう。」
冷凍えびフライの衣の制限は無いけれど、一定割合を越えたら衣の率の表示が義務です。
その場で調理されたえびフライは、上記の限りではありません。(そもそも調理されたものをその場で提供する飲食物は義務表示事項が少ないので、仕方ないですね)
内閣府令の表を見るのに凄く疲れました…最後の「最後に復習です」の部分だけ書けば簡潔じゃないのという話もありますが、人の言う事をうのみにしてほいほい信じるのは良くない、ということで、元の条文をたどって頂きたくこんな文章にしました。
仕事でこの文章を書くなら、最後に復習です、の内容を最初に書くべきですね。
わかっていてなぜやらない!と思うかもしれませんが、内閣府令を見て辛い思いをした気持ちを少しでも分かちたかった!(酷
内閣府令はつらいから、eGOVを「えびフライ」で検索すると楽ですよ!
一方で、そのフレーズ使いすぎ、とも言われています。
今日はそんなおなじみのフレーズで、若者が離れていると思われる、エビフライについて語りたいと思います。
エビフライ、昔は魅力的な洋食だったと思います。
が、近年、ファミレスで何かの横にちょこっとつけられている程度の存在だったり、お弁当にちょこっと入っているだけだったりします。
というか、多分別に若者だけではないんじゃないかと思いますけど、離れているの。
みなと新聞の記事(みなと新聞…あまり聞いたことがないんですが)によると、「エビフライ市場縮小 16年4%減204億円」だそうです。
因みにみなと新聞は調べたところ、「漁業、水産業のニュース・情報サイト」とのこと。
ああ、業界新聞ですね、食品メーカーに居ると会社で購読しているものを読めたりして楽しいんですよね。
閑話休題。
私はエビフライが結構好きなんですけど。
正直、いまどきのエビフライは「衣食ってるんだろうか」みたいな気持ちになるため、正直買う気がしません。
いや、わかるよ、揚げ物の薄い衣ははがれやすいです。
しかも衣付けてすぐ揚げてすぐ食べるなら問題ないですけど、時間が経つと具材から水分が出てべろりとはがれます。
今時お弁当などで衣がはがれていないエビフライの方が本来不自然ですものね。
でも、衣が食べたいわけじゃない!
自分で作るしかないじゃない!
自分で作れないなら食べれないのは仕方ないじゃない!となりました。
うーん、そりゃあ消費も落ち込みます。
ちなみに「エビフライ」「衣率」あたりで検索をかけたところ「林先生が驚く初耳学!」でエビフライと衣の割合の話が紹介されていたと思しき記事がヒットします。
すみません、うちテレビないんですよー。
最近のCMの話題とかおかしなテレビの話題とかできないんで、このブログもなかなか更新できません。
さて、話は戻って。
価格ドットコムさんのテレビ紹介情報のページにたどり着いた私が見た林先生が驚いたかもしれない初耳学とは?
「冷凍エビフライの衣の割合は重量の50%以下という規定があり、これには涙ぐましい歴史がある。」
2017年の放送だったようで、残念ながら公式の情報は残っていなくてですね~というか、番組の内容がここまで細かく公式サイトに載っていたとも思えませんが。
残念ですが、衣の割合が50%を超えるエビフライは実在します。
では、法律を紐解いていきましょう。
見るべきは、消費者庁の一元化サイトより「食品表示基準 内閣府令[PDF:1.4MB]」
いらっとしませんか、この縦書き。
実はとある都道府県から横書きのPDFが公開されています。
確かに皆喉から手が出るほど欲しいものかと思いますが、これ、改正の時どうするんですかね?改正されているのかしら?どきどき、と思います。
なので特にリンクは貼りません。
因みに消費者庁のリンク先のPDF、検索しようとすると、ページの切れ目とかにあって検索しきれない文字が沢山有ります。
電子化の意味!
一元化前の法令の位置からたどるとわかりやすいとかいう
一元化の意味!
こんな時のeGOVでしょうか。
しかしeGOVとてリアルタイム反映ではないので注意が必要です。
では、わざわざ見難い消費者庁のPDFでみます。(ページ数は2018/7/17現在)
言ってみればこれが元凶…じゃなかった大元ですからね。
別表第三(第二条関係)が177ページから様々な食品の定義を紹介していますが、269ページにやっとエビフライ出てきます。
あっ、ちなみにここに出てくるエビフライは冷凍エビフライのみです。
加熱後エビフライの表示についての定義は無いです。
うーん、まぁ、揚げた常温流通のエビフライは日持ちしませんし、どこかで詰めて流通させるということがあまり現実的でない…?のでしょうか。
その場で揚げてその場で売る食品についてはあまり細かい表示の規定がないため、あまり細かい定義が無かったりします。
一応事業者の人達は良心に基づいて、そのものズバリの法律が無い場合は、似たような食品から推定してもっともらしい一般的な名称をつけることが多いのではないでしょうか。
ともかく冷凍えびフライについて言えば「冷凍フライ類のうち、頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの(細切し、又はすりつぶしたものを除く。)をフライ種としたものをいう。」とあります。
衣が50%なんて一言も言っていません。
続いて冷凍えびフライの表示事項について。
別表第四(第三条関係)が313ページから様々な食品の表示を紹介していますが、424ページでやっと「調理冷凍食品」が出てきます。
しかし別に衣がどうということはありません。
ここは共通表示部分の個別事項ですのでね、わかりにくくて仕方ない法律ですが仕方ないですね。
別表第十九(第四条、第五条関係)が543ページから食品に個別の表示を紹介しています。
この583ページでやっと出てきます。
「衣の率(冷凍魚フライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍えびフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント、食用油脂で揚げたもの以外のもので頭胸部及び甲殻を除去し、又はこれから尾扇を除去した一尾当たりのえびの重量が六グラム以下のものにあっては六十パーセント)、冷凍いかフライにあっては五十五パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍かきフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十パーセント)、冷凍コロッケにあっては三十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては四十パーセント)及び冷凍カツレツにあっては五十五パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント)を超えるものに限る。)」
大事なことなので抜粋
「冷凍えびフライにあっては五十パーセント(食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント、食用油脂で揚げたもの以外のもので頭胸部及び甲殻を除去し、又はこれから尾扇を除去した一尾当たりのえびの重量が六グラム以下のものにあっては六十パーセント)」を超えるものについては「衣の率」を「表示する義務」があります。
ここから衣の重量が50%云々の話が出てきたのでしょうか?確かに50%以下が望ましい、そうでない場合は衣の率を表示しなさいと言った趣には感じられますが、別に禁じられている訳ではありません。
例えば、衣の重量が80%のえびフライを作っても、「衣の率:80%」と表示し、「頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの」が丸々入っていればえびフライと言えそうです。
実際揚げていないえびフライで、衣の率が55、60%のものは見たことがあります。
なぜ55、60かというと、「実比率を下回らない五の整数倍の数値により、パーセントの単位をもって、単位を明記して表示する。」という規定があるからでしょう。
つまり5の倍数かつ50%を超えるもので、そこまで衣を増やさないでいるとこれくらいになるのでしょう。
つまり、6割衣みたいなえびフライが普通に流通していても別におかしくは無いのです。
(ていうか、「食用油脂で揚げたものにあっては六十五パーセント」とあるので、普通に65%で衣の率が表示されていないパターンが存在しますね)
それが悪いかどうかと言われたら、別に悪いとは言いませんが、個人的に美味しいとは思わないので、買わない、買わない客が増えすぎると売れない、売れない結果利益も上がらない、となります。
事業が継続できないと意味がないですので、利益を確保することは大切ですが、二度と買わないような商品設計の商品が巷に溢れすぎると結局商品から顧客が離れるという結果を招くという実例なのではないでしょうか。
しかしながら正直、エビフライは衣を増やすか値上げをする以外に利益を確保する手段が無いような気がします。
えびは養殖するとしても、そんな格安に増えるものでもないですし。
殻を除去し、かつ、身がもげないようにし、でもしっぽは取れないようにし、生き物一匹まるごと使うけどサイズは均一にし、など、ハードルは相当高いです。
肉であればカット時に多少調整は効くでしょうし、本体のサイズを小さめのものを作るのもたやすいでしょう。
ひき肉や、魚介類のすり身であれば自由度はもっと高いでしょう。
消費者の、美しさ、均一さなどを求める姿勢も、えびフライメーカーを追いつめる原因かもしれませんね。
えーっと、一応最後に復習です。
冷凍えびフライの定義は、「冷凍フライ類のうち、頭胸部及び甲殻を除去したえび又はこれから尾扇を除去したもの(細切し、又はすりつぶしたものを除く。)をフライ種としたものをいう。」
冷凍えびフライの衣の制限は無いけれど、一定割合を越えたら衣の率の表示が義務です。
その場で調理されたえびフライは、上記の限りではありません。(そもそも調理されたものをその場で提供する飲食物は義務表示事項が少ないので、仕方ないですね)
内閣府令の表を見るのに凄く疲れました…最後の「最後に復習です」の部分だけ書けば簡潔じゃないのという話もありますが、人の言う事をうのみにしてほいほい信じるのは良くない、ということで、元の条文をたどって頂きたくこんな文章にしました。
仕事でこの文章を書くなら、最後に復習です、の内容を最初に書くべきですね。
わかっていてなぜやらない!と思うかもしれませんが、内閣府令を見て辛い思いをした気持ちを少しでも分かちたかった!(酷
内閣府令はつらいから、eGOVを「えびフライ」で検索すると楽ですよ!