消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

機能性食品は食べてはいけないのか?

2017-09-20 21:23:27 | 表示に関する話題
さて、コンビニで「食べてはいけない」系の本を見かけたのですが。
表紙に「効果が無い機能性食品」みたいなアイキャッチがあったので思わずパラ見したくなって手に取ったのですが、帯っぽいビニールが巻かれていたため断念。
買えよ、と言う話なんですけど。
「買ってはいけない」「食べてはいけない」系の本はそれ自体買っても無駄みたいな本が多いような気がしてこれこそ「買ってはいけない」本なんじゃないだろうかと思います。
まぁでも、人様のご意見を伺いたいならやはりお金を出してナンボですよね。
というわけで、その方の主張を見るのはあきらめました。

というわけで、いまさらですが、「機能性食品は効かない」もしくは「機能性食品は効果が無いものがある」的な発想が世の中にはあるようです。
一歩踏み込んで「機能性食品は危険」という人もいますね。
私個人の意見としては、機能性食品を買うのであれば市販薬を買った方が良いと思います。
「論文とか読むの大好き!統計も詳しいし作用機序とかワカル」みたいな方は公開されている機能性食品の届出内容を確認して納得される商品を購入するのもありかもしれません。
但し、メーカーがきちんとまともな資料を揃えているかどうかはわかりません。
私もレビューした訳ではないですが、消費者庁が「個別審査を受けたものではない」とわざわざ商品に記載させる辺り、事業者にもろもろ丸投げする気マンマンに感じます。
こう言ってしまっては難ですが、企業側は届け出に足る資料が揃えば良いわけで、その資料の妥当性をきちんと考えているのか?疑問です。
また、消費者庁側も個別に審査しない、という事ですし、「届出」という形をとっている以上、せいぜいガイドラインに沿った書類がそろっているのか、とか、ガイドラインで禁止されているものはないか、程度の確認ではないかと推測します。

事業者の責任に於いて証拠を揃えて機能性の表示を行う、というのが消費者庁のスタンスです。
ですので、有事に医薬品副作用の救済のように、国が立ち上がってくれるのか?というと、どうなんでしょう。
凄い健康被害が出れば別かもしれないですけど、そこまで健康被害が出るような健康食品を販売出来たらそれはそれで凄い気がしますが(あれ、これ死亡フラグですかね?)
ただ、健康被害が出た、と思った場合、「機能性食品が原因だ」という証明をするのは難しいような気がします。

機能性食品を食べる人たちは「健康を気にするけど、医薬品はちょっと」みたいな層かな?と思います。
そういう方たちが、一種類の機能性食品しか食べていない、ということは少ないような気がします。
あくまで食品枠ですので、何か問題が起こった時に真っ先に疑われるものでもないように思います。
また、単独の機能性食品の問題ではなく、併用している別の健康食品との食べ合わせや、医薬品との相乗効果的な問題の可能性もあります。
医薬品であれば臨床試験や市販後の調査などで副作用がある程度明らかになり、市販薬であれば添付文書の相談窓口、処方箋薬であれば医師や薬剤師を通してメーカーに連絡が行き、メーカーは所定日数内で国に報告し、事例が蓄積すれば添付文書などがどんどんアップデートされていきます。
しかし、健康食品であれば、どうなのか???という問題があります。
原因となる健康食品があったとして、「これが原因だ」と消費者が判断できるものなのか?
メーカーや消費者庁に連絡したとして、事例を系統的に積み上げてフォローしていく仕組みがあるのか?

真面目にやっているメーカーさんもいる事とは思います。
しかし現実問題として、機能性食品周りは相当ごたごたしていると思います。

機能性食品が出来た時、多くの食品メーカーが「届出とあるが、届出の要件等が消費者庁から全く明かされない」と相当やきもきしていたはずです。
第一号をとったメーカーはどこだか忘れましたが、目玉となる第一号を取るために、各メーカーがしのぎを削って情報収集をしていたはずですが、消費者庁からなかなか情報は出ませんでした。
その後も、
株式会社リコムの「蹴脂粒」トクホで安全性に問題アリと却下された商品が機能性食品として届け出られ、消費者庁の形式的なチェックを通り抜け受理されました。
商品名も変えずに、と思いますが、トクホの審査に余程不服だったのか、それとも余程自信があるのか、はたまた消費者庁の健康食品への施策への闘いなのか。
望み通りなのかわかりませんが、一部でそれなりに話題になりました。
その後も、
(株)インマイライフ「チアフル酵母」で「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に掲載されている成分を使用しているのに、うっかり発売されてしまいました。
これは薬機法(厚生労働省管轄)違反ですね。
恐らくメーカーさんもうっかりしたんでしょう。
この頃の機能性食品ガイドラインには「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」掲載の原材料は使っていないこと、というものは確か無く、メーカー側が取り下げをして闇へ葬られたと記憶しています。
機能性食品の管轄は消費者庁、自分の管轄ではないと言っても、さすがにその辺はチェックしてほしいですね…ということで、その後チェックされることになったようです。
と、スタートからごたごた、その後もごたごたしています。
まあ、食品表示法自体が物凄い急ピッチで取りまとめられ、そこに急きょ盛り込まれた制度なんで、こんなもんなんですかね(イライラ)という気持ちでした。

しかしメーカー側も真面目にやらないところはまじめにはやりません。
某機能性表示食品のサポート企業のウェブサイトを見たところ
「(前略)1-DNJは、その高いαグルコシターゼ阻害(血糖値抑制効果)があるため、医薬品成分として指定されています。
これを関与成分とすると薬事法違反となるので、機能性表示食品にできません。
1-DNJは、桑の葉などにも入っているので、桑の葉も、1-DNJを関与成分として、機能性表示食品にすることはできません。」
「しかしながら、もともと入っていることは構いません。新たに追加してはいけないと言うことです」←この辺から風向きがおかしい
「(中略)おすすめしているのが、トクホや機能性の血糖値上昇抑制(保健機能)成分を追加で入れて、そちらを関与成分にする「レンタル作戦」です。」
「ありものの関与成分を入れ、それに頼るのが、一番確実な方法です。」
すごいこれは…。確かにそうなんですけど、それネットに載せたらダメなやつだと思います。
ていうか、本質的にダメなやり方だと思います…。
つまり彼らは「実は1-DNJを使った血糖値抑制の機能性食品を作りたいけど、これだと薬事法違反になっちゃうよ!」
「じゃあ、同じ効果を持つ他の成分を使って機能性表示したらいいんじゃね?そしてさり気なく『桑の葉』もパッケージでアピールして、わかる人には『こっちが本命!』みたいな」
実際彼らが効果があるほどの桑の葉を入れようと考えているのかどうかわかりませんが、桑の葉の効果が出るほどでも出ない程でも結果ダメな気がします。

しかしこの「レンタル作戦」が実行されているのかは定かではないですが、「後光作戦」は既に行われています。
突然出てきた後光作戦に困惑されている方もいるかもしれません。
当然です、私が今作りました。
後光作戦とは、いまとなっては比較的古式ゆかしい「栄養機能食品」で他の成分を前面に押し出していく作戦の事です。
「○○ポリフェノール」とかいった商品名なのに、栄養機能食品の対象の栄養はビタミンである、とかそういった商品です。
商品説明にも最後のしめが「ポリフェノールが摂取できます」
絶対ビタミンは「栄養機能食品」ってつけたいためだけに入れてますよね。
あわよくばポリフェノールの栄養機能みたいに誤認させたい気持ちでいっぱいですよね。
というような商品が市場にはパラパラ見られます。
気を遣っているメーカーは一応、商品名には「ポリフェノール&ビタミン」みたいに併記するとか、パッケージ等にもバランスよく書くとかしている様が見られますが、そもそも何の効果も謳えない状態の他の成分をデカデカ書いてさもビタミン同様健康に寄与します!みたいにされるとザワザワします。

まぁ、健康食品に関しては、いかがわしい製品が野放しになりすぎていて、規制もおいついてないし、まじめにやっていたら売れそうにないし。
ノウハウも販路もない会社であれば、真面目に健康食品やるくらいなら、ラムネ菓子にでも手を出した方がまだ儲かるんじゃないだろうか…。とか思います。

因みに機能性食品、副作用で検索すると、目系の機能性食品が原因で肝炎が発生する疑いがあるという記事がチラホラ。
うん、まぁ、昔から健康食品で肝炎って割とポピュラーだったような気がします…。
医師の所見を印籠のように掲げていますが、まぁ、患者さんのバイアスが入っていないかとか、そういうのもありますし、多くの医師が揃って健康食品の影響だと断じているかと言えば、セカンドオピニオンとかしているかわかりませんし…。
症例を集めてみないと何ともと思いますが、集める仕組みが多分ないという恐ろしい世界です。
ソフトカプセルとかタブレット型の栄養食品は手軽に沢山摂れてしまうので、過剰になりやすいという難点がありますよね。
それは用量を守らない消費者が存在するということも発生しますし、守っていてもそもそも1日量の設定が多いという場合もありますし。
肝機能が落ちていれば肝炎が生じやすいけれど、健康な成人大人を基準に設定されていれば、実際市場に出たときに健康被害が出てもおかしくないという。

誰が言っていたか忘れてしまいましたが。
効果がある、ということは、体に何らかの作用をもたらしているということ。
何らかの作用をもたらしているならば、それが悪い方向に作用したとき、副作用となって発現するのは当然のこと。
食品だって、ノーリスクではない。
しかし、普通の食品であれば、毎日食べ続けたら大抵飽きてしまうので、そんなに過剰に取ることは無いから大丈夫。
だけど健康食品は・・・
とかいう話でしたが。
薬で言うならば、市販薬であれば、○日服用しても効果が無い場合は病院へ、とか記載があり長期服用前提でないものが多く、過剰摂取と言うほど摂取するものではないでしょう。
処方薬も効果が無いとか副作用があれば薬を変えたりしますし、何より専門家が経過を見守っています。
健康食品は、一回2粒1日3回を毎日服用など毎日のように摂取する前提で、先が限られておらず、延々と摂取し続けられて、リスクについて把握している監督者も不在、という結構あやうい状況だと思います。

まぁ、効果がないならまだ御の字。
効果がある場合は副作用が心配。
というのが、健康食品への私の考えです。

健康食品買う位なら医薬品買います、と言ったものの、医薬品もそれなりに副作用があります。
何の変哲もないように見える頭痛薬だって重篤な副作用が起こることがあります。
自力の力で治るものは何かに頼らない方がいいのかなぁ、と言うのもありますが、我慢することで悪化する、ストレスが貯まって悪化する、とかもあるんで難しいところです。

食品も医薬品も「リスクはある」しかし、自分の生活の質等を考えて「どのようにつきあっていくか」という考えを自分で持つことが大切かな、と思います。

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