
アカデミー賞が発表されましたが、今年のノミネート作品は一つも見ていなかったので、どれにしようと迷った結果この作品にしました。実話だと丁寧に描けばこの長丁場になるのか、久々に3時間越えの映画です。
美しいフェラーリ車が人気があって、ルマンレースで一世を風靡していた時代、一台一台が手作りのフェラーリ社の経営は厳しく、米国大衆車のフォードが業務提携を目論んだが、”醜い車”を作ると一笑に付され、散々に侮辱される。フォード社はなんとかフェラーリの鼻を明かそうと、自社にレーシングカー部門を設立してルマンレースに打って出ようとする。
プライド高いフェラーリに散々にコケにされるフォードの動揺ぶりが面白いです。
フォード社が頼ったのが、米国人でただ一人ルマンを制した経験を持つマッドデーモン扮するカーレーサー、今は引退して車の販売店を開いているキャロル・シェルビー。そしてキャロルがこの男と見込んだレーサーがクリスチャン・ベール扮するケン・マイルズ。キャロルが車を設計しケンが試乗を繰り返しルマンに打って出る。
ところがフォード社内にもよそ者に大きな顔をされたくない幹部がいて、何かと邪魔をする。一匹狼で社風になじまないケンがレーサーチームから外され、結果ルマンで惨敗する。
「ラップタイムでフォード社は時速340キロを超え、フェラーリに脅威を与えた」と言い切るキャロルはかっこいい。
翌年はキャロルも負けずに主張し、チームメイトの協力もあって、ケンをレーサーに入れることが出来、彼は期待に応え、ダントツ一位でゴールしそうになるが、ここでまた例の幹部の横槍が入る。
「会社の宣伝のために、ケンに減速させ、フォードチーム3台を一斉ゴールさせよう」
側で聞いていても実に馬鹿げた発想だと思うのだか、キャロルの社内での立場を思い計って、ケンは従ってしまう。
自動車レースは競馬のように横並び一直線ではなく、縦並びでスタートするので、同時ゴールだと遠い位置からスタートしたものが優勝となる規則があって、ケンは優勝の栄冠を同僚にさらわれてしまう。
ここまで観て、娘が「後味悪い」と評していた意味がわかった。実に理不尽で後味悪い。しかもその優勝者が名前を知っているマクラーレンなので尚更だ。
フォードはその後もキャロルの力で何度かルマンを制している。ただケンは事故死をしてしまってレースで雪辱を期することが出来なかった。
キャロルとケンの男の友情がとてもいい感じなのに、実話という制限では完全なハッピーエンドに出来ない。悲しいね。
190分という長い映画だが、カーレースのスピード感と爆音に圧倒されて長くは感じませんでした。