蓬莱の島通信ブログ別館

「すでに起こったことは、明らかに可能なことがらである」
在台日本語教師の東アジア時事論評あるいはカサンドラの眼差し

何かがまた近づいているのでは(2)・・・:それは近いかもしれない

2012年07月03日 | 20110311東北関東大震災と政治
(写真:倒壊寸前の福島第4号核反応装置
1.何をどう言えば・・・
 台湾は夏休みに入った。ただ、いくら気温が上がっても子どもの頃に見たような透明な青い空に入道雲が広がる景色は最近は見られない。毎日、秋の雲のようなすじ雲が、白味がかった灰青い空にかかって、辺りは熱気に包まれている。蝉の声も今年は少ないようだ。私達の世界はもうかつての世界ではない。

 シンクロニシティー(共時性)について前に書いた。今回も書いておきたい。
 何かがまた近づいているのでは・・・:21世紀の社会的衰退の共時性について
 秋口に何かが起こるかもしれない。何が起こるだろうか?起こらなければそれに越したことはない。「烏鴉嘴」と思って読んでいただけばよいだろう。
 もし原発に関係があれば、以下のような、福島原発の事故処理失敗が引き起こす第二の爆発に関係があるかもしれない。

2.福島原発に迫る第二の危機
 大本営発表に墮した日本の既成メディアや原発利権に身を売った研究者は、官僚や原子力企業に支配された次の政府の選挙対策のために「福島原発では、すでにすべての問題が解決した」と主張している。しかし、海外の冷静な目、日本の原発利権が操作できない海外の研究者は事態を極めて冷静に判断している。まずは、第二の事故の規模と影響である。

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カレイドスコープさん:福島第一原発のセシウム137はチェルノブイリの85倍以上 2012年4月9日
 「…………チェルノブイリの85倍以上」。
 大変、ショッキングなタイトルです。
 これは、米国放射線防護審議会(NCRP)の正確なデータを基に、使用済み燃料の世界的な専門家、ロバート・アルバレス氏が計算した数字です。
 前の記事では、参院予算委員会の公聴会で、公述人として国会議員の質疑に応じた元スイス大使、村田光平氏たちによる、福島第一原発事故収束に向けての、さまざまな政府への働きかけについてご紹介しました。
 その村田光平氏が、日本と世界を救うため、福島第一原発の4号機建屋の使用済み燃料プールについての危機的状況を、多くの海外の政治家、官僚たちに訴え続けてます。
 この記事は、村田光平氏と協力し、世界中の著名な核科学者と連携を取って、一切のしがらみとは無縁の「完全な独立評価チーム」の設置を訴えている元国連職員・松村昭雄氏のブログからのものです。
 独立評価チームとは、机上の空論をもてあそぶ人たちのことではありません。
 どの組織、機関からも一切の干渉を受けることなく、福島第一原発の事故収束に向けて、正確な構造計算や、リスク低減にかかるコストの算定、現場の勇士たちの健康管理等々まで、冷静かつ客観的に評価し、確実で安全に工程を組み立てる清廉で世界的なエキスパート集団のことです。
 当カレイドスコープにも、幾度となく連絡をいただいております。
崇高なお二人の日本人のご尽力に深く感謝いたします。
当然、当事者の私たちが、このまま日和見を決め込んでいていいわけがありません。

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福島第一原発:
セシウム137は、チェルノブイリの85倍より多い
Fukushima Daiichi Site: Cesium-137 is 85 times greater than at Chernobyl Accident
 元スイス大使の村田光平氏は、3月22日の参議院予算委員会の公聴会で、福島第一原発事故について話すよう求められました。
 委員会で、村田・元大使は、地上30mのところにある使用済み燃料プールに1535本の燃料棒が冷却されている、すでに壊滅状態となっている4号機建屋が崩壊した場合、敷地内にある6つの原子炉すべてがシャットダウンするだけでなく、4号機建屋から50m離れた場所にある6375本の燃料棒が収納されている共用の使用済み燃料プールにも影響を与えることになると、強く訴えました。
 4号機の使用済み燃料プールの燃料棒も、共用プールに収められている燃料棒も、すでに格納容器によって保護されておらず、大気と直接触れ合っている危険な状態にあります。
 これは、私たちが過去に経験したことのない、世界的なカタストロフィーを引き起こすことになるのは確実です。
世界に対する日本の責任は、計り知れないほど重大です。
 そのような災害が起これば、今後、何世紀にもわたって、私たちすべてに影響するでしょう。
 福島第一原発にある使用済燃料の総数が、11,421 本(396+615+566+1,535+994+940+6375)であると彼は言いました。
 私は、使用済み燃料の第一人者、ロバート・アルバレス氏から驚くべき返事を受け取りました。それは以下です。

松村昭雄氏が、元・米エネルギー省長官のシニア・アドバイザー、ロバート・アルバレス氏から受け取った手紙

最近では、福島第一原発の使用済み燃料の状況に関して、より多くの情報が知られるようになりました。
(4号機の)使用済み燃料プールにある1535本の核燃料集合体のうち、304本の燃料集合体が未使用の状態であると私は理解しています。
1231本の燃料棒が4号機のプールで置き去りの状態にあり、それは、およそ3700万キュリーの長命の放射能(~1.4E+18ベクレル)を含んでいます。
4号機のプールは、地上約30mの高さに設置されており、構造上のダメージを受けており、戸外に露出されています。
もし、地震、その他の出来事によって、プールの水が排出されてしまった場合、破滅的な放射能火災が起きるでしょう。そのときには、チェルノブイリ事故のときに放出されたセシウム137の総量の、およそ10倍の量が出て来るでしょう。
他の3つの原子炉と同様に、これを安全に取り外すことのできるインフラストラクチャーが破壊されてしまいました。
使い切った原子炉核燃料というのは、通常の積荷のように、単純にクレーンで外に吊り上げることができないのです。
過酷な放射線被曝、火災、爆発を防ぐために、常時、水中、または厳重にシールドされた構造物の中で、ドライ・キャスクの中に移し変える作業をしなければなりません。
損傷を受けている福島第一原発のプールから、使用済み燃料を取り出す作業は、かつて行われたことがないわけですから、構造的な再改造を行う必要があり、これは非常に時間と手間をかけて努力しなければなりません。
それは、未知の水域で進路を決めるようなものです。
福島第一原発の敷地で、きわめて大きな破壊があったにも関わらず、少量の使用済み燃料を保持するためのドライ・キャスクは、無傷だったようです。
米国エネルギー省のデータによると、合計11,138本の使用済み燃料集合体は、ほぼすべてが福島第一原発のプールの中に格納されていると見られます。
それらはおよそ3億3600万キュリーの長命の放射能(~1.2 E+19Bq)を含んでいます。
そのうち、およそ1億3400万キュリーはセシウム137で、それは、米国放射線防護審議会(NCRP)が見積もったとおり、チェルノブイリ事故のときに放出されたセシウム137の総量の約85倍に相当します。
福島第一原発にある全使用済み燃料には、すべての大気中核実験、チェルノブイリ、世界規模の再処理工場(~270、100万キュリーあるいは~9.9 E+18ベクレル)によって放出されたセシウム137の総量の、ほぼ半分が含まれています。
福島第一原発のような何十年間も運転し続けている原子炉は、地球上において、最大濃度の放射能を何度か生成していることを公衆の人々が理解することは重要なことです。


 多くの読者は、福島第一原発の全使用済み燃料が、チェルノブイリ事故のときに放出されたセシウム137の総量の約85倍もの量を含んでいるということが何を意味するのか、しっかり把握できているにも関わらす、その全体像の本当の意味を理解することは難しいことが分かったと思います。
 それは世界の環境と私たちの文明を破壊するでしょう。
 これは、原子力発電所に関するロケット科学でもなければ、打ち合いの討論とは関係のないことなのです。
 これは人類の生存関わることなのです。

 3月26日、27日の両日、ソウルで核セキュリティ・サミットが開催されました。
 村田元スイス大使と私は、4号機原子炉の世界を破滅に導く大災害について、核セキュリティ・サミットの54ヵ国の参加者たちに知らせてくれる人を全力で見つけようとしました。
 私たちは、何人かの参加者に、この緊急の問題に対処するために、広く国際的な専門家のグループで構成される独立評価チームを編成するという考えを共有してくれるよう、お願いをしました。
 ここで、村田元スイス大使が国連事務局長パン・ギムン(潘基文)氏へ緊急メッセージを伝えるために書いた手紙をご紹介したいと思います。
 また、この手紙は、日本のリーダーである野田総理にも送られました。(総理への手紙のpdfファイル)
 村田氏は、この先例のない挑戦に取り組むためには、人類の英知を集めるべきであると、その声明の中で強調しました。
 核セキュリティ・サミットは、北朝鮮の核の問題や、テロ攻撃に対する共通の防衛手段の問題に焦点が当てられていたように思えます。
 4号機の独立評価の必要性についての訴えは、喫緊の課題とは見なされなかったようです。
 私たちは、このサミットの性質に照らして、おそらくこうなるだろうことは予測していました。
 おそらく日本との外交関係に荒波を立てないよう、このデリケートな論争を生じさせないようにとの決定をしたのでしょう。
 しかしながら、私は、ほとんどの参加者が、自分たちの国に影響を与える、この潜在的な災害について、十分、理解してくれたに違いないと考えています。
 私は、日本における、この問題を押す際の村田・元大使の勇気によって心を動かされました。
 特に、私の祖国において、元キャリア官僚がこうしたことを行うことが、どれほど難しいことか分かっています。
 村田光平氏の場合もそうであるように、現政府高官であろうと、元政府高官であろうと、彼らの行動は等しく制限されています。

村田・元スイス大使から国連事務総長への送られた手紙

東京、2012年3月25日
拝啓、事務局長
尊敬すべき潘基文様
あなたからの2012年3月2日付けの思慮深いお手紙には、心から感謝申し上げたいと存じます。
(私たちが提唱している)国連倫理サミットに対する、あなたの精神的な支持は、私が持続的に活動を行う上で、大きな励みの源になっています。
原子力の安全性とセキュリティを、より強く固めようとされている、あなたの素晴らしい貢献に対して、敬意を払わずにはおれません。
ソウルで開かれる今回の核サミットが、昨年の9月に、あなたが召集した高官レベルの会議から非常に多くの収穫を得ていることは疑いのないことであります。
私は、参議院の予算委員会の公聴会で3月22日に述べるように依頼されました。
そこで、私は重大な問題を提起しました。
それは、福島第一原発の1535本の燃料棒を抱えている4号機原子炉についてのことです。
それは、このまま余震が続けは、致命的な破損を受ける可能性があります。
さらに、そこから50m離れた場所には、6つの原子炉のための共用冷却プールがあり、6375本の燃料棒が収納されています。
日本の運命、そして全世界の運命が、この4号機原子炉によって左右されると言っても過言ではありません。
このことは、これは、アーニー・ガンダーセン博士、あるいは小出裕章氏のような最も信頼できる専門家によっても確認されています。
核セキュリティ・サミットに、福島第一原発4号機-この重大な問題を取り上げさせようと尽力されている元国連職員(管理人:松村氏のこと)によるイニシャティブについて、あなたにお伝えさせていただきたいと思います。
彼は、独立した評価チームの設置を求めています。
この重大な問題に、世界の指導者に注意を払っていただくことは必要不可欠なことであると考えており、それゆえ、彼の努力は非常に意義深いものであると考えております。
この問題が、李明博大統領の個人的な注意に値するものであることを、私の韓国の知人数人に手紙を書き、彼と協力しています。
私は今日、野田佳彦首相へ手紙を書きました。
その中で、前述した「独立評価チーム」の設置を十分考慮しながら、福島原発4号機の問題に対処するために、最も広い範囲から人間の英知を総動員すべく、その先鞭をつけることを考慮していただくよう野田総理にお願いをいたしました。
世界は、とても弱く、脆弱なものになりました。
国連の役割は、ますます重大になっています。
あなたの高貴な使命において、より一層のご活躍をお祈り申し上げます。
以上、どうぞご査証ください。
潘基文様。
深厚の敬意を表して。

(ここまで)

ここから管理人:
原発は事故収束・廃炉コストの面から考えても、一日も早く廃止すべき
 多くの人たちは、使用済み燃料プールや共用プールの中にある使用済み燃料棒を取り出す作業は、空気中でクレーンに吊り上げて行われると思っています。
 燃料棒を下に落さないように用心深くオペレーターが重機をリモートコントロールすれば、スイスイ作業ができると思っているのです。
 プールから一瞬でも空気中に燃料棒が出てしまえば、クレーンのオペレーターは致命的な被曝を被ってしまいます。
燃料棒の取り出し、移送作業の全工程は、非常に神経をすり減らすような作業で、水に完全に浸かった状態で行わなければ破局が訪れます。
 それは、ドライ・キャスクという重さ100トンもある冷却機能の付いている樽を、使用済み燃料プールの中に水没させて、その中で、まるでUFOキャッチャーのように燃料棒を移し変える作業です。
 取り出すだけでも、何年もかかるのです。
 それも、順調にいった場合に限りますが。
 福島第一原発の場合は、使用済み燃料が全部で11,421 本もあるのです。
 このうち、地上の共用プール施設では、6400本弱が冷却されていますが、そのプールでさえ、数十年経てば劣化しますから、やがて共用プールの建屋ごと建て替える必要が出てくるでしょう。
 また、ドライ・キャスク自体の性能劣化も進むので、これも時期が来れば大きな予算をかけて交換する必要があります。
 つまり、福島第一原発の使用済み燃料の後処理だけでも、毎年、巨額な国家予算を必要とするのです。
 これが、日本には54基もあります。
 使用済み燃料の安全保管には、途方もない国家予算が投入され、それが、おそらく何百年も続くでしょう。
 比較的、近い将来、ウランは枯渇します。
 核燃料サイクルも幻想でした。
 その結末は、これ以上は書くのが憚れるほどです。
 4月7日、細野原発相は、原子力安全・委員会の委員全員を留任させることを決めました。
 斑目春樹委員長は、原子力規制庁発足前でも3月末に「委員長を辞める」意向を正式に表明していました。 
 しかし、その口の端も乾かないうちに、退任の意向を撤回して、一転して続投を表明。
 やはり、この委員長のデタラメさは、まったく衰えを知りません。
 おそらく、彼が記者会見で委員長退任の意向を語った直後に、細野豪志が、斑目春樹委員長始め、他の原子力安全委員会の面々に慰留し、内々で続投が決定していたことになります。
 班目春樹委員長を含む安全委員会24人に、東電を筆頭とする電力会社、原子力関連企業から計8500万円の寄付(=ワイロ)がわたっていたということが発覚したのに。
 細野は、ワイロをもらって国民を大量被曝させた犯罪者そのものである安全委の連中を解任・更迭するどころか、さらに“慰留”したのです。
 その一方で、政府は原子力規制庁の発足をわざわざ遅らせた上、野田総理の指示によって、たった2日でまとめ上げた即席の新安全基準に従って、大飯原発の違法再稼動に向けてまっしぐら。
 野田政権は、すでにアナーキスト集団と言われています。
 「このままでは、日本は世界から馬鹿にされる」。
 いや、もう馬鹿にされているのです。
 連日、国民の生命を守る上でもっとも大切な情報である放射能防護関連のことなどまったく触れずに、北朝鮮のミサイル問題、東南海地震、首都直下型地震の特番を連日放送する、れっきとした政府のプロパガンダ放送局・NHKを始めとする日本のメディアも、その視聴者であるに日本の国民も、すでに馬鹿にされているのです。
 海外メディアを流し読みすれば、あちこちに「皮肉めいた小見出し」が踊っています。
 「日本の国民はこんな災禍に見舞われても、まだ原発を止める気がないようだ」という論調で。
 「パニックを防ぐためにSPEEDIを公開しなかった」という細野、「悪魔の連鎖を避けるため」に、「ただちに」、「今すぐに」を連日繰り返した枝野は、こんなに巨大地震の恐怖を連日、新聞、テレビが煽るように流しても、今度は何も言わないのです。
 これは、明らかにNHKなどのテレビ、そして新聞が原子力独裁組織に懐柔されたことを意味します。
 原子力独裁とは、メディアにとって神様である大企業、特に経団連加盟企業(実質、東電が支配している)です。
 大マスコミは、明らかに現政権が、原発を世界中に輸出しようとしていることを意図的に報道しません。
 野田政権は、昨年末に、ヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアの4ヵ国と原子力協定を結びました。
 さらに、トルコ、リトアニアなどとも政府は協議を開始しています。
 とどまるところを知らない日本の原発輸出攻勢。
 ワイロをもらって安全策などそっちのけだった原子力安全委員会の委員を全員を留任させ、原子力安全・保安院とて、看板を付け替えただけで、実質、世界中の人々を被曝させた連中が、そのまま細野の環境省に横滑りするのです。
 なぜ、これほどまで破廉恥なことができるのでしょう。
 もし、このまま原発立地の首長たちが、枝野、野田、細野の姦計に引っかかって、大飯原発の再稼動を食い止められなければ、たった2日で作成した即席インチキ新基準が前例となって、国際的にも効力を持ってくるのです。
 そして、その悪しき前例を上手に適用するのは、野田政権が原発を輸出しようとしている発展途上国に対してなのです。
 細野が福島第一原発立地周辺の住民を、必死になって帰したいのも、日本列島を放射能まみれにしても、瓦礫処理を急がせたいのも(瓦礫は、確実に処分場が決まるまで、そのままでも全然、問題ないのです)、すべては原発輸出企業、そして電力会社のために働いているからです。
 まさにストレス・テストは「新たな安全神話」づくりに使われたのです。やはり、心配していたとおりのことが起こっているのです。
 日本のマスコミは、本当に何も分らないようです。わたしは、こちらのほうが恐ろしい。
 そして、私がもっとも恐れているのは、福島第一原発で、4号機建屋に、さらなる構造的ダメージが加わるようなことが起これば、それこそ、世界中が日本政府に対して、一斉に補償を求めてくるであろうことです。
 しかし、それは当然のことなのです。
 完全に国家としての倫理を失い、国際社会から相手にされなくなった国は、袋叩きに遭うことは必至です。
 野田首相は、「消費税増税は未来の国民に借金としてのツケを回さないため」という理屈を繰り返します。
しかし、同時に彼は、「世界中の人々に、健康、生命、そして違伝子の破壊」という「取り返しのつかない将来のツケ」を回そうとしていることには、まったく思い至らないようです。
 もし、そのような次の大惨事が起きれば、日本の国土・国民はもちろん、世界のGDPの1割を占める巨大な経済は壊滅します。
その場合は、IMFでさえ日本に来たくなくなるでしょう。手が付けられないからです。
 最悪の場合は、旧ソ連とは、そのプロセスは異なるものの、日本は身売りして分断統治せざるを得なくなるかもしれません。
 そのときは、確実に日本が消えます。
 これが最後のチャンスでしょう。
 一日も早いうちに、すべての原発を止めること。
 それは、国民の生命、世界の人々の生命を守るだけでなく、日本の経済、世界の経済を守ることになるのです。
 ソウル核セキュリティ・サミットで、その無定見のせいで各国首脳たちから村八分状態にされた日本の総理は、このことが分かっているのでしょうか。
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 カレイドスコープさんの報道にあるように、日本の腐敗支配階級は、原発利権という目先の金と権力に目がくらんで、地球人類の今後の時間を破滅の淵に投げ込もうとしている。彼らが何をするか分からないという状態は、大日本帝国の腐敗軍事官僚の姿と重ねてみれば、よく理解できよう。支配階級の腐敗とは、文字通り、「気違いに刃物」、「白痴東電に原発」、「無能野田に権力」であり、破滅の大道、悲惨な末路なのである。
 
3.全ては連関している
 前回、ロシアや中国に日本政府が避難場所の打診をしているという噂をお知らせした。それと連動させてみると、以下の記事は、噂の確実度を飛躍的に高めることがわかるだろう。
 ウラニウムとプルトニウムに汚染された日本社会の近未来(2):それはすでに始まっている
 もし福島核反応施設に貯藏されている大量の核燃料に異変が起これば、私達の日本列島は元より地球全体がただではすまない。

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週刊現代:何もできないから、運を天に任せるで、いいのか 福島第一原発4号機が「爆発する危険性」をどう考えるべきか3000万人に避難勧告、そして日本は終わる「週刊現代」2012年6月9日号より
 原発がないと電力が足りない! 再稼働の是非に揺れる日本を、世界が危ぶんでいる。「フクシマ4号機」をなぜ忘れたように放置するのか。そこで異変が起きれば、明日にも日本は消滅するというのに。
おおむね安全?
 「福島第一原発4号機の使用済み燃料プールが崩壊すれば、〝最悪の結果〟を招きます。たとえプール自体が倒壊しなくても、冷却システムの損傷や漏水などでプールの水がなくなってしまえば、非常に重大な事態に陥るでしょう」
 そう語るのは、元米国エネルギー省長官上級政策アドバイザーで、使用済み燃料問題の第一人者であるロバート・アルバレス氏だ。
 福島第一原発の事故について、政府は昨年12月の段階で「収束宣言」を出した。事故の被害がこれ以上拡大することはなく、福島第一は「冷温停止」の状態となり、あとは事故の後片付けだけすれば大丈夫・・・・・・というのである。
 だが、「収束」など日本国内どころか、海外でもまったく信用されてはいない。それを象徴するのが、4月に来日して福島第一の事故現場を視察した米国のロン・ワイデン上院議員が、その直後にこう訴えたことだった。
 「福島第一の原子炉建屋が再び地震や津波に襲われれば、それらが崩壊して、当初の事故より大規模な放射性物質の放出が起こる恐れがある」「日本は動きが遅く、危険な核燃料棒を原子炉から取り出していない」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本版)
 ワイデン上院議員は、こうした趣旨の書簡を、藤崎一郎駐米大使のほか、ヒラリー・クリントン米国務長官、スティーブン・チュー米エネルギー省長官らに送付。さらに、同氏へのインタビューをもとに、彼の地元の(オレゴン州)メディアも、こう報じている。
〈Another bomb waiting to go off(炸裂寸前のもうひとつの爆弾)〉
〈ワイデン上院議員は、ヒラリー・クリントンらに書簡を送り、福島第一原発4号機の脆弱性を指摘した〉
〈同氏は、また大地震が起きたら、オレゴン州や西海岸まで致命的なリスクを与えるような大惨事となるのではないかと恐れている〉
 こうした意見を、〝原発安全派〟は笑い飛ばすだろう。東京電力は「福島第一4号機がいつか倒壊する」との懸念を払拭しようと、4月26日に公式見解を発表。
「4号機原子炉建屋は傾いておらず、燃料プールを含め地震で壊れることはありません」
 と火消しに躍起だ。同時に復興庁の中塚一宏副大臣も、5月21日に外国特派員協会での会見で、
 「東電の分析では、4号機の建屋は昨年3月11日の揺れにも耐えられる」
 などと語った。
 だが、そんな楽観論が通用するのか。東京電力の説明では、4号機建屋は耐震補強工事を施したことにより、震度6強の揺れにまで耐えられるという。しかし、もしそれを超える地震が起きたらどうなるのか?
 東京近郊では現在、M7クラスの直下型地震の危険性が指摘されている。もしもそれが起きた場合、想定される最大震度は7以上。福島第一原発の直下にも、「双葉断層」と呼ばれる要注意活断層があることが知られている。「震度6強までOK」と言うが、それが絶対的な安全を保証するとは、到底思えない。
 この疑問は21日の中塚副大臣の会見でも外国人記者たちから指摘されたが、中塚氏も、同席した原子力安全・保安院の担当者も、最後まではっきり答えることはできなかった。
東京も居住不可能に
 米国スリーマイル島の原発事故の調査に参加した経験もある原子力技術者のアーニー・ガンダーセン氏は、こう警告する。
 「事故から1年以上が経過し、東電はようやく4号機に覆いをかけ、使用済み燃料を取り出すための準備に取り掛かっていますが、あまりに対応が遅すぎます。
 4号機の燃料プールに問題が生じたら、チェルノブイリ以上の大惨事になることは確実です。そうなれば、周囲の広大な土地は居住不能になり、日本はその居住不可能エリアによって、北と南に大きく分断されてしまうでしょう」
 列島分断〟---。これは決して大袈裟な表現ではない。実際、昨年3月の事故直後、近藤駿介・原子力委員会委員長が菅直人首相(当時)に対し秘かに提出したシミュレーションでは、福島第一が制御不能となり、4号機プールの燃料がすべて漏出した場合、
 「半径170km以内は強制移住」
 「同250km以内も避難の必要性」
 との衝撃的な結論が示されていたことが明らかになっている。
 福島第一から半径170kmというと、北から岩手・宮城・山形・新潟・群馬・栃木・茨城・千葉・埼玉までの、広範な土地が含まれる。さらに250kmとなれば、東京・神奈川・山梨や、長野の一部なども避難区域となってしまう。事実上、なんと3000万~4000万人もの人が、自宅を捨てて逃げ出さねばならなくなるのだ。
またしても甘い見通し
 こうした恐るべきシナリオに対し、「そんなことは起こるはずがない」という根強い声がある。しかし、「あり得ない」と思っていたことが、一瞬にして現実のものとなる---それが、昨年の大震災と原発事故から我々が学んだことではなかったのか。
 4号機の燃料プールには、使用済みと未使用のものを合わせ、1500本、400t以上の大量の燃料棒が置き去りになっている。
 東京電力では、まず原子炉建屋に放射性物質飛散防止の巨大な覆いを被せた上で、プールに沈んでいるガレキを撤去、その後、来年末から燃料棒の取り出しを実施する予定としている。
 しかし、それが予定通りに進むのか、現時点で誰も断言できない。
 「プールの中には事故の影響で大量のガレキが沈んでおり、燃料棒が詰まった『燃料集合体』を吊り下げるラックなどが破損している可能性があります。また、水中に置いたまま、特殊な『キャスク』と呼ばれる容器に収めなければなりませんが、4号機の場合、燃料集合体が破損している恐れがあり、その場合は専用のキャスクを作り直さなければなりません」(京都大学原子炉実験所・小出裕章助教)
 4号機のプール内には、大量のコンクリート片のほか、爆発で壊れて吹き飛んだ階段や通路・デッキなど大型の構造物までが落下したままになっている。しかも、それらは事故当初に冷却のため海水を投入した影響もあり、燃料集合体ともども、腐食して脆くなっている可能性がある。
 高放射線量の環境で、まずはこうしたガレキを取り除くための設備を作り、安全かつ完全にガレキを除去し、その上でさらに、燃料棒の取り出し作業に取り掛かる・・・・・・それが至難の業だということは素人でも想像がつく。
 「核燃料は、ただクレーンを作って引っ張り上げればいいというわけではありません。万が一、燃料棒が空気中に露出すれば、近寄った人間が即死するほどの放射線を発します」(前出・アルバレス氏)
 たとえ完璧な設備状況であっても、細心の注意が必要な作業を、最悪の条件のもとで実行しなければならない。
 「来年末に燃料棒の取り出しにかかるという東電の見通しは甘いのではないか」
 と、アルバレス氏は語る。
 しかも、この極度に困難な作業は、同時に「時間との勝負」なのだ。
 前述のように、4号機は「震度6強」の地震まで耐えるとされている。だが、京都大学防災研究所の遠田晋次准教授の研究によれば、茨城・福島付近における東日本大震災の余震は、なんと「100年以上」続くことが予想されるという。
 燃料棒取り出しに手間取り、4号機プールに燃料が残っている間に次なる巨大地震が起きたら、一撃で日本はおしまいだ。
 「燃料プールが倒壊したり、水が漏れ出したりすれば、燃料棒の金属被覆(ジルコニウム)の温度が上がり、約800℃くらいで発火、火災が発生して大量の放射性物質を撒き散らします。これは大変深刻な事態で、4号機で火災が発生すれば、計算上チェルノブイリ事故の約10倍のセシウム137が撒き散らされることになる」(アルバレス氏)
 いったんこの〝爆発的火災〟が発生したら、もはや完全にコントロール不可能となり、逃げ出す以外に方法はない。燃料棒の取り出し作業をすべて終えるには、最低10年、あるいはそれ以上の時間が必要とされるが、その間、一度のミスも許されないのだ。
 もしも、作業中に再び大地震が起き、プールから大量の水が抜けて燃料が露出する事故が起きたら? 作業のために設置した重機が倒れ、プールや燃料集合体を破壊するようなことになったら? 地震や津波が二度と来ないという保証はなく、事故が起きる理由は無数に存在する・・・・・・。
世界が怒っている
 加えて、海外の複数の核専門家からは、NRC(米国原子力規制委員会)の調査などをもとに、〝予測不能な火災〟が起こる可能性まで指摘されている。
 燃料棒やその集合体は、通常、核分裂が起きないよう緻密に計算され配置されている。だが、それが地震などで変化していた場合、無視できないレベルの崩壊熱が出続けたり、うまく冷却されなかったりすることで燃料が予想外の反応を始め、突発的に火災を引き起こす恐れがあるというのだ。
 「かつてチェルノブイリでは、原子炉に必要な分厚いコンクリートや鋼鉄の防護壁を十分に備えていなかったことの愚かさが明らかになりました。
 福島第一の事故の場合、地震多発地帯でいくつもの原発を動かし、地上高くにある脆弱なプールに大量の高放射性・使用済み燃料を貯蔵することの愚かさを、世界に露呈したと言えますね」(アルバレス氏)
 十数年前から脱原発を訴えてきた元駐スイス大使の村田光平氏はこう語る。
 「〝フクシマ〟の問題は、4号機の危機を軸に、国際的に広がりつつあります。米国のワイデン上院議員の訴えもそうですし、欧州ではイタリアの市民グループが対処を求め、世界規模での署名活動に乗り出しました。4号機燃料プールが崩壊したら日本だけの問題では済まなくなることを、今や世界中が知っています。
 そして各国は、日本政府に疑いの目を持っている。このままでは自分たちも日本の巻き添えにされる。そんな危機感が燃え広がっている。日本政府は、それに気がついていない」
 この4月に村田氏や小出氏、アルバレス氏ら日米の識者、72のNGOは、国連の潘基文事務総長と野田佳彦首相に向けて、
(1)国連は福島第一4号機の使用済み燃料プールの問題を取り上げる原子力安全サミットを計画すべき。
(2)同4号機に関して独立アセスメントチームを作り、プールを安定化するための国際的支援をコーディネートし、起こりうる大惨事を防ぐべきである。
 との趣旨の緊急書簡を送付した。
 4号機プールの安定化に向け、国際社会は自分たちの危機を取り去る意味でも、日本への協力を惜しまない姿勢を見せている。
 ところが、肝心の日本政府に、もっとも危機感が欠如している。あとたった一度〝不測の事態〟が起きれば、日本が終わるどころか、世界中が放射能汚染の恐怖に晒されるというのに。
 原発の再稼働など議論している場合ではない。4号機で異変が起きれば、この国の未来など完全に閉ざされてしまう。
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 結局、日本の腐敗支配階級は、大日本帝国の無能腐敗軍事官僚がそうであったように、自分の利権を守り、特権を維持すること以外に何の関心も持てなくなっている。
 「死」の「收容所」列島日本を超えて3:特権階級・腐敗公務員が跋扈する無法国家に次の天の怒りが
 なぜ「日本国」は衰退するのか2:日本型人材育成の惨敗
 だから、2012年7月、大飯原発はいい加減な手続きでいい加減に再稼働された。かつてのガダルカナル島の戦いミッドウエー海戦のように。

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電力逼迫の夏に再稼働間に合わず? 大飯原発フル出力に6週間(2012年5月24日午前7時15分)
需給が最も逼迫する時期にフル稼働できない公算が大きくなっている大飯原発3、4号機(手前の2基)=5月8日、福井県おおい町大島(本社ヘリから撮影)
 今夏、関西圏の深刻な電力不足が懸念される中、政府が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を判断した場合でも、需給が最も逼迫(ひっぱく)する7月後半までに2基のフル出力が間に合わない公算が大きくなってきた。関西の首長の「理解」が進まず、西川知事の判断が6月にずれ込む可能性が高い上に、再稼働の作業を始めてからフル出力までに約6週間かかるからだ。(伊豆倉知)
 定期検査中の原発は通常、起動準備状態から発電まで約10日かかる。しかし、大飯3号機は昨年3月、同4号機は7月から定検に入り、長期間停止しているため、2次系の配管は水を抜いた状態。再稼働には不純物を洗浄した後、補助ボイラーの蒸気を使って水質を調整しなければならず、フル出力まで約3週間を要する。
 しかも、補助ボイラーでは1基分の蒸気しか作ることができない。1基を稼働させた後、もう1基の作業に入るため、2基をフル出力にし、計236万キロワットの供給力を確保するまでには約6週間かかる。
 関電の需給見通しでは、2010年夏並みの猛暑を想定し、節電などを織り込んだ場合、7月後半から8月に需要が最大で2987万キロワットになる。一方、供給力は7月後半が最も厳しく2517万キロワット。8月に入ると他社からの応援融通が40万キロワット増え、やや改善する。需給ギャップは7月前半がマイナス225万キロワット、7月後半が同470万キロワット、8月が同445万キロワット。
 7月後半までに大飯3、4号機をフル稼働させるには、5月中に政府が再稼働を最終判断する必要があるが、日程的に難しくなっている。関電が10年比で15%以上の節電を要請する期間の開始日7月2日については、フル稼働が間に合わないのは確実だ。
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 しかも、故障続きで大飯原発は真夏の電力需要には実は、まったく役に立たない。大日本帝国の白痴軍事官僚が、でたらめな作戦での壊滅で戦果報告を捏造し続けたのと同じように、日本国の白痴官僚や無能電力会社幹部もデータの「創作」に血道をあげるだけだろう。

3.共時性の時代
 不幸としか言いようがない悲惨な偶然や、幸運と言う以外にない好機は、すべては共時性と考えられる。

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5-8 シンクロニシティ 明治大学情報コミュニケーション学部教授 メタ超心理学研究室 石川 幹人
 本項では,シンクロニシティの理論と,それを提唱した深層心理学の大家,カール・グスタフ・ユングについて述べる。
<1> ユングと超心理学
 ユングは,患者の深層心理を分析する過程で,何度もPSI現象を体験していた。とくに治療が良い方向へと向かい始めるときに,PSI現象が起きやすいという。その一端は,彼の死後に刊行された『ユング自伝』(みすず書房)にも記されている。
 彼は超心理学にたいへんな関心を寄せていたが,超心理学の論文を著してはいないし,超心理学のコミュニティに積極的に参加することもなかった。ラインは,ユングに対し再三,PSI現象の体験や,それに対する考えを発表してくれるように書簡で依頼していたが,臨床上の知見では,専門外の人は説得できないと,断っていたのである。ユングとラインの書簡の遣り取りは1934年から1954年まであり,ユングの姿勢は次の書簡集からはっきりと読み取ることができる。
 湯浅泰雄著訳『ユング超心理学書簡』(白亜書房)
 ユングは分析のうえで,集合的無意識に注目していた。その集合性とは,我々人間が皆,無意識の深い部分で共有している,歴史的・社会的・生物的部分である。PSIの見方も,集合的無意識との関連性に重きが置かれていたようである。例えば,PSI現象は,被験者個人の性格とは無関係であると断定している。
 そうしたユングが,初めて超心理学を視野に入れて発表した理論が,1952年のシンクロニシティであった(『自然現象と心の構造』海鳴社)。この立論にあたっては,スイス連邦工科大学の同僚であるパウリの影響があった。パウリは量子の排他原理でノーベル賞を受賞した物理学者であるが,自分自身にPSI体験があり,ユングの心理分析も受けていた。
 しかし,シンクロニシティの傍証として取り挙げられたのは「占星術」であり,晩年は,UFOとの遭遇体験は集合的無意識の投影であるとする著書(『空飛ぶ円盤』朝日出版社)も出版したことから,理論化の対象は,PSI現象よりは広く超常現象までに渡ったと言える。
<2> シンクロニシティ(共時性)
 シンクロニシティは「共時性」とも訳され,複数の出来事が非因果的に意味的関連を呈して同時に起きる(共起する)こと,である。シンクロニシティの正確な理解は難しい。何故なら,「出来事」,「因果」,「意味」,「同時」とは何かについて,議論が必要だからである。言い換えれば,解釈の余地が残されている理論である。
 まずは単純な例で考えてみる。「花瓶が割れた」,その時,「病院で祖母が亡くなった」というのが,シンクロニシティであるとしてみよう。出来事というのは,単純な物理現象ではない。祖母が粘土から作って大切にしていた花瓶(歴史性)が突然奇妙な音とともに割れ(状況性),居合わせた人々が不吉に思った(体験)というような事柄全体が,1つの出来事となる。シンクロニシティである場合には,そうした「花瓶が割れた」という出来事と,「病院で祖母が亡くなった」という出来事との間に,通常の因果関係がない(一方が他方の原因になっていたり,共通の原因から両者が派生していたりしない)必要がある。因果から考えると,同時に起きたのは全くの偶然であり,両者は1日違っていても1週間違っても構わない。因果関係がない代わりに,それらの出来事は共起することに,意味があるのだ。花瓶というのは祖母の象徴であり,割れることは形を失うことである。意味的関連が両者の出来事を橋渡ししている。
 シンクロニシティは,それが起きることで「意味」を生成している,と捉えることができる。ユングは,シンクロニシティに現われる意味は,もっぱら元型(アーキタイプ)であると主張した。元型とは,「影」,「アニマ」,「老賢人」などの,集合的無意識に由来する象徴であり,ユング心理学における中核概念である。
<3> 因果性と共時性
 上では,シンクロニシティは,通常の因果関係にない出来事に起きるとしたが,実は因果関係自体が哲学的議論になっている(8-3)。因果関係を科学的に定義すれば,過去の物理事象が未来の物理事象に影響することである。だが,この定義では,心的世界から物的世界への影響は除かれ,「私が手を挙げようと思った」から「私の手が挙がった」というのは,因果関係ではなくなってしまう。我々の日常の直感に基づいて,これも因果関係に入れる拡張した立場もある。シンクロニシティで比較される「通常の因果関係」とは,この拡張した因果関係を指すのであろう。
 ちなみに,心的世界から物的世界への影響は,科学的世界観(唯物論)では認められない(8-3)。だから,「私の手が挙がった」原因は,特定の生理学的脳状態であり,「私が手を挙げようと思った」という意志は全くの幻想であるか,良くてもその脳状態に伴う随伴現象(エピフェノメナ)であって,手の運動には何ら影響を与えることができない,とされる。
 ところが「目的因」という,さらに変則的な因果を考えることもできる。これは古代アリストテレスが提唱した概念で,万物は目的を持ち,その目的が原因となって,目的を達成するように変化するとされる。アリストテレスは,今日の科学的因果関係に相当する「運動因」とともに,2つの因果関係があるとした。この考えを発展させたのが,ライプニッツのモナド論である。モナドは自然界を構成する最小単位であるが,心的性質を合せ持ち,それらは全体として,あらかじめ定められた調和的関係を反映するとした(予定調和説)。中込照明は,このモナド論をもとにした物理理論によって,観測問題が解決できると主張している(『唯心論物理学の誕生』海鳴社)。
 ユングは自ら,モナド論からシンクロニシティの着想を得たと語っている。彼は,過去から未来へと時間発展する因果性と,同一空間を意味で折り合わせる共時性との2つの原理から世界は構成されるとしたのだ。こうした歴史から判断するに,シンクロニシティを変則的因果と見ることもできる。実際,ホワイトマンは,シンクロニシティを上位の階層における目的論的因果関係であると解釈している。ブラウディは,ユング自身が「元型がシンクロニシティを引き起こす」とも述べていることを指摘し,シンクロニシティは因果的理論であると主張している。
<4> 共時性と場の理論
 シンクロニシティにおける「同時」という概念を文字通り取ると,困ったことが起きる。超心理学においては,予知の説明に不都合が起きる。予知を行なうという出来事と,予知された現象の出来事とは同時ではないので,シンクロニシティであると容易には見なせない。物理学においては,そもそも同時性を絶対的に定義することが不可能である。(アインシュタインの)相対論的時空間では,同時刻の現象も,異なる速度で移動する系から捉えれば,異なる時刻になってしまう。
 どうも「同時」とは,何か意味論的な概念と捉えるのが良さそうだ。「同時」を,物理的な「時間軸上の距離がゼロの関係」から脱却し,「抽象空間上の意味距離がゼロの関係」などとするのが,シンクロニシティの本来の意図を汲んだ解釈なのかも知れない。シンクロニシティは本来,共鳴理論であるが,多次元空間理論とも,場の理論とも捉えることができる(5-5)。
 ロルの汎記憶理論は,記憶が世界に広がっていて,広がった先で関連したPSI現象を起こすというものであったが,その記憶主体の出来事と,PSI現象とされる出来事が,記憶の内容を意味的関連にして共起すると見なせば,シンクロニシティに相当する。長期記憶と集合的無意識との間に類似性を見つけるのも難しくはない。また,シェルドレイクの形態形成も,反復性を意味の1つと見なし,同時性を拡大解釈すると,まさにシンクロニシティであると言えよう。
 シンクロニシティは一見突飛な理論に見えるが,深く考えると,超心理学の諸理論と関係づけられ,理論を整理するうえで有効なものである。しかし,理論としての実効性は,あらかじめ「意味」をどう捉えておくかに,大きく依存している。「意味」が(元型などとして)事前定義されていないと,逆にシンクロニシティによって意味の定義を見出すようになってしまう。そうなるとシンクロニシティは,世界を予測する理論ではなく,意味とは何かを定義する手段となる。偶然の一致から迷信を生み出す手段にもなるので,注意が必要である(6-6)。
<X> 付記
 本項の内容はSSPにおけるブラウディ氏とパーマー氏の講演をもとにしている。また,上述の『ユング超心理学書簡』で補っている。
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 2012年7月の大飯原発再稼働がシンクロニシティーであるとすれば、次の偶然は避けがたい。ただ再稼働が人事である以上、それに共鳴する偶然も人間の意思で左右できる。



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