なんでもぐもぐもぐ= (なんでも-も)+(も+ぐ)+もぐもぐ

専門のマシン知能に限らず、身辺で感じたこと、なんでも、なぜ、という観点から
もぐもぐもぐ(深堀り)を試みるブログです.

血栓ものがたり

2010-06-28 19:48:42 | 日記
前回のブログでも血栓に関することを述べたのですが、
動脈硬化を引き起こす血栓とは何か、関心があります.

また、血栓はうつなど、思考能力等に悪影響を与える恐れ
もあり、血栓を未然に予防し、できる限り血栓
をおさえたいところです.

まず、血栓とは、血管の中にできる血の塊をいいます.

血栓ができる仕組みは、まず血管が破れ出血が起こると、
そこに血液中成分のひとつである血小板が集まり
互いに集まって互いにくっつき合って固まります
(とりあえずの止血、血小板血栓という).

しかし、これだけでは止血は不十分として、次に、
正常では血液に溶けているフィブリノーゲンという
タンパク質が「フィブリン」(線維素ともよぶ)という
固形に変化して、さらにしっかりと血管の破れた場所
を止血します(血液凝固).

実は、このフィブリンというタンパク質こそが血栓
をつくる正体といわれています.

一方、生体の仕組みでは、このフィブリンを溶かす仕組み
があります.これを「線溶系」といいます.

「線溶系」というシステムが壊れると血液がスムーズ
に流れなくなってしまいます.

「線溶系」は、血栓を溶かす酵素をもっていますが、
加齢により、この酵素の働きがおちて血栓を溶かせず
血栓症がおこりやすくなるようです.

一方、線溶系がアクティブ(活発)になると出血
しやすくなるようです.

因みに動脈硬化とは、この血管が破れ止血するときに
生ずる血液凝固作用が、血管の内側である内皮細胞の
損傷時にも作用するときに動脈硬化となると考え
られています.

また、動脈硬化は50歳を過ぎると3人に1人といわれ
老化現象の一つとみなされてましたが、ここ数十年に
若い世代にもに広がっていると警鐘が鳴らされています.

こうした現状に対し、どういう対策が有効なのか?

治療法として詰まった血栓を血栓溶解薬(tPAなど)
で溶かす方法と血管内に細い管(カテーテル)を入れ、
詰まった部位を風船(バルーン)でふくらませる
「風船療法」(PTCAなどと呼ばれています)
があります.

血栓溶解薬は、確かに有効ですが、出血性疾患、
たとえば胃潰瘍などがあると、止血していた血栓まで
溶かすため、使用には十分配慮する必要がありますね.

風船療法の再開通成功率は約95%と高いのですが、
心臓カテーテル室を持った施設でなければ行うことが
できない、という点が厄介です.

最新の方法で有効なのは、血栓溶解薬と風船療法を
両方用いる療法のようです.

血栓溶解薬か治療に十分かどうかためし、必要に応じて
風船療法を用いる方法ですね.

仮に、血栓形成を渋滞のそれにたとえるならば、血栓
の出来かけなどを物理的に調べる方法を使って、血栓
のできる確率を未然に下げる、と有効だと思います.

そうすると、線溶系のメカニズムそのものをもぐもぐ
しなければなりません.

たとえば、フィブリノーゲンが問題になるのであれば
それを抑制、つまり、発動するのを阻害する仕組みが
あればよいのではないか、と思われます.

通常、発動の仕組みには、受容野(レセプター)が
関与しているので、フィブリノーゲンレセプター
を阻害する物質(アンタゴニスト)Tetrafibricinが
存在するようです.
(これは以前、このブログで紹介した免疫機構の
メカニズムに近いです.)

つまり、Tetrafibricinは、血小板抗血栓薬であり、
血小板内部の活性化経路を遮断することにより、
凝集を阻害する目的があります.

実は、もう少しもぐもぐしてゆくと、

アレルギーなどで起こる炎症というものと、血栓を
起こす血液凝固作用には高い相関がある、という
ことがわかります.

平たくいえば、血液が凝固するとき、炎症が起こる
ということです.

これは、生体は、カゼなどで、体内に炎症が起きた
時に、血液凝固を促進させ、血管内を閉塞させ局所の
酸素濃度を低下させ、病原体の増殖を抑制したり、
全身に拡散しようとする病原体を局所に隔離したり、
毒素などが全身に拡散しないようにするようです.

生体の仕組みは、ある意味で戦略的ですが、
そうすると血液凝固にも意味があって安易にそれを
止めるわけにはいきませんね.

また、アレルギーで以前に述べた、IgEやヒスタミン
血液拡張や収縮、そして、免疫システムへの繋がり、
血栓追求から、いろいろ広がります.


このあたりの仕組みも興味深いので、もぐもぐして、
血栓物語といきたいところです.
コメント
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