なんでもぐもぐもぐ= (なんでも-も)+(も+ぐ)+もぐもぐ

専門のマシン知能に限らず、身辺で感じたこと、なんでも、なぜ、という観点から
もぐもぐもぐ(深堀り)を試みるブログです.

知能化の姿:感情と学習の関係

2009-06-20 22:03:41 | 日記
梅雨らしいじめじめした天気です.


これまで専門であるマシンの知能というものについて述べてみました.

一方で、マシンの知能は、人の知能とまったく同一のものではないにしろ、

人の知能というものを取っ掛かりに考えられるもの、ともいいました.


人の知能は、人類が誕生した数十億年前から進化を遂げているわけですが、

米国立精神衛生研究所のポール・マクリーンの説によると、われわれの

脳には爬虫類そのものが潜んでいるといわれます.


それ故、爬虫類で顕著な自律神経活動を持っていて、敵からすばやく身

を処するための行動を作る一方、社会生活でのコミュニケーションに必要

な感情にかかわる機能(感情表出、感情認識)なども自律神経系の働き

として、人類の歴史において獲得されたものだといえるでしょう.


また、その自律神経活動は、人として、見たいものや関心のあるものに

注視する機能とつながっていて、視線の動きと連動するものであること

も述べました.


一方、人の視線の動きは、時に、見たいものだけでなく、見るべきもの

にも注視しなければならず、そうした判断は、より高次の脳処理(大脳)

として進化し、今日にいたるわれわれの脳を作り上げたのです.


しかし、時にこの判断においては、感情は、どちらかというと邪魔もの

扱い、とされることもありえます.


実際、脳と意識の研究で著名なJohn G Taylorは、人の脳では、判断や

決断時において、常に感情とのBattle(せめぎ合い)がある、

といっています.


確かに、デパートへ買い物に行ったときに買いたいものがあったとき、

予算との兼ね合いで、どうするか決めたりしますね.

予算がない場合、クレジットカードを使ってでも買うか、一回払いでは

苦しい場合は、リポ払いで、とかいろいろと考え最終的に判断します.

それでもダメな場合は悔しいけれども泣く泣くあきらめます.


子供は、買いたいものがあれば買う、大人は、買いたいものがあれば、

どうするか、を考える、という点で、感情と戦うためのより高次な機能

が発達したことがわかります.


つまり、人脳の知能とは、ある意味で感情というものをどう脳の中で

扱うか、制御するのかがポイントで、これは、獲得される後天的な

能力である、とみなすことができるのです.


一般に、この後天的な能力を’学習’と呼んだりします.


今までできなかったことができるようになる、という能力です.


最近の脳研究では、実はこの学習には、もちろん、経験的な要素が大切

なのですが、経験的な事柄を増やすための動機、を作る過程において、

感情というものが大変重要な役割を担っていることがわかりつつある

のです.


そういえば、私ごとで恐縮なのですが、学校の勉強は往々にして、知識

を詰め込むもの、と思っていたので、高校までの勉強は、とてもつまらなく、

成績も大変悪いものでした.


が、浪人して大学になんとか入り、何をやりたいか、が明確になったため、

大学からちゃんと勉強するようになって、結局、研究者になりました.

だから、中高校時代の同期は、まさか、勉強嫌いの私が、学問を志すとは

思っていなかったようです.


また、好きであるという感情があったりすると、つらいことも乗り越えられて、

できないことができるようになる、また、人よりも早く習得できるなどの効果

もあるようです.


このように、知能を育む学習は、感情と密接に絡んでいることがわかりますね.


ところで、マシンにおける学習とはどういうものでしょうか.

これは、高尚な数理を使って、与えられた目標関数を最適化するために必要

なパラメタを、経験的に求めるためのもの、といってもなんのことやら

さっぱりわからない人もいるのではないかと思います.


マシン学習の最適性と人の脳との処理の関連性については、まだ確たる検証が

行われているわけではありません.

なので、前出の人型ロボットなどを作り、できるだけ、人に近い行動を学習

させるなどのタスクを設定して、それを行った場合に、結果として、人に

近い行動獲得ができたのかどうかで判断するわけですが、人と身体性の違う

(たとえば筋肉がない)ロボットでものを掴む訓練をさせても、はたして

人と同じようであるべきか否かについては、これも意見が分かれるところです.


このあたりについてはまた機会があるときにでも.

では.


コメント
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