よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

06:第2章 ケインズによる批判:価格による労働市場均衡の否定  古典派にも、現代正統派にもこれといった理論はないのだが

2021年07月31日 | 一般理論を読む
第2章 古典派経済学の公準よみがえる一般理論と現代正統派理論の空疎さ  助走がすんだところで、いよいよケインズの論理展開を追ってみよう。 古典派の公準とは、雇用理論を考える上での前提であった。その雇用理論は、第一公準は雇用の需要関数を与え、第二公準は雇用の供給関数を与える。賃金は労働力商品の価格だから需要と供給の二つの関数の交点が雇用の均衡点となる、というものである。古典派の雇用理論とは 図では  . . . 本文を読む

07:第2章 古典派への宣戦布告

2021年07月28日 | 一般理論を読む
第2章 古典派経済学の公準その失業は自発的か?非自発的か? 今までは、ケインズは古典派理論の前提(公準)を明らかにし、その前提はおかしいのではないか、と言っているだけである。根本的な批判にはなっていない。その根本的な批判のためには何が必要か、この項の最後に出てくる。 その前に、ケインズは「完全雇用の定義」を示すが、その表現は少々難解である。が、ここを理解しておかないと次章で???となるので解説して . . . 本文を読む

08:第3章有効需要の原理 の前に  「有効」って何?  

2021年07月25日 | 一般理論を読む
有効需要:EFFECTIVE DEMAND とは? 有効需要という言葉は多くの方が知っておられると思う。ではお聞きしたい。 有効需要って、何に対して≪有効≫なの? 英語では EFFECTIVE DEMAND である。demandは需要でいい。 effectiveは「有効」でいいのだろうか?  辞書を引いてみると「効力のある,有効な」という訳語が一番に出てくる。次に類語との区別が重要である . . . 本文を読む

09:第3章の前に 凝り固まった信念は恐ろしい:       一般理論へのハイエクらの”今も昔も変わらない”反論 今も昔も変わらない

2021年07月22日 | 一般理論を読む
この不信心者め!あらゆる規制は撤廃して神の手に委ねよ! 今回から2回、ほぼ全文引用となる。 一般理論は85年前の書物だが、一般理論への反論も同じように「古く」、しかも変わっていない。ハイエク・ロビンズなどによるケインズ・ピグーなどへの反論(引用元 http://econdays.net/?p=258  コメントも)[訳者] 1932年の英タイムズ紙に掲載されたケインズやピグーなどによる支出を薦め、 . . . 本文を読む

10:第3章の前に 凝り固まった信念は恐ろしい:アメリカ経済学会会長ルーカスの”正気”

2021年07月19日 | 一般理論を読む
合理的期待という”神”ロバート・ルーカス アメリカ合衆国の経済学者でシカゴ大学教授。1995年にノーベル経済学賞を受賞した。2002年アメリカ経済学会会長。合理的期待仮説の提唱者。 吉川洋はルーカスの次のような発言を直接聞いて報告とともにコメントしている。ケインズ―時代と経済学 (ちくま新書) 新書– 1995/6/1 より「一九七七年私はイェール大学の大学院生 . . . 本文を読む

11:第3章 有効需要の原理ー第一の難関:使用費用という概念

2021年07月16日 | 一般理論を読む
第3章 有効需要の原理有効需要の概念は誤解されている   今回から第3章突入である。全四回の解説となる。一般理論「第1編序論」はこの章で終わる。 ケインズの有効需要の原理の重要性は、いくら強調しも強調し過ぎることはない。なぜか? 前回触れたセイの法則を否定しているからである。 ゆえに、この章は難解である。難解である理由は、ほとんどの人が「商品が売れないと企業は市場から淘汰され、結局は需要 . . . 本文を読む

12:第3章 有効需要の原理―需要は雇用の関数である 

2021年07月13日 | 一般理論を読む
第3章 有効需要の原理雇用の理論の探求はここから始まる 需要は雇用の関数である。とは 雇用が増える⇒賃金が増える⇒需要が増える と理解した人。全然違います。 ケインズは総供給価格と総需要価格=期待売上収入について次のように書いている。「N人を雇用することによる産出量の総供給価格をZとすれば、ZとNの関係は、Z=φ(N)と書くことができる。これを総供給関数と呼ぶことにする . . . 本文を読む

13:第3章 有効需要の原理ーケインズによる要約

2021年07月10日 | 一般理論を読む
  第3章 有効需要の原理ケインズ自身の手になる「この理論」の要約を引用する。 流動性選好、資本の限界効率、利子率理論、長期期待理論がなくてもここまでは論述できる、ということである。有効需要の原理の射程は長いのだ。 消費性向と投資誘因、流動性選好、資本の限界効率、利子率理論、長期期待理論は、なぜ完全雇用は達成不可能なのか、を説明するための概念となる。    引用は少々 . . . 本文を読む

14:第3章 なぜ完全雇用は達成できないのか?あるいは、なぜ貯蓄は社会を貧しくするのか?

2021年07月07日 | 一般理論を読む
第3章 有効需要の原理経済学には様々な目的があり、その目的によって立場があるが・・・  一般理論を読み進めているうちに分かってくるのは、「貯蓄が失業を作り出だす」ということである。  第2編で展開されるが、第1編でもケインズはそのことを主張しているのだ。 借金の返済も貯蓄の一種である。投資や消費に回ることのない貯蓄は資金の余剰であって、その分だけ現在での雇用を減らし将来の所得を減らす。貯 . . . 本文を読む

15:第3章 リカードが完膚無きまでの勝利をえた理由:なぜ正統派は成功し、今も成功しているのだろうか?

2021年07月04日 | 一般理論を読む
第3章 有効需要の原理経済学の不在 45年前、経済学部に籍を置いていたころ、マクロ経済学は空白であった。ケインズを講ずるわけでもなく、さりとてフリードマンもまだ猛威を振るってはいなかった。その頃、マルクスもケインズも「過去の人」扱いであり、彼らが提起した問題は「解決済み」とされていた。それどころかマルクスやケインズは「成長神話」を前提にしているとすら言われていたのである。 焦点は原油価格革命、貿易 . . . 本文を読む