やや長くなりますが、昨日の書き込みに関するコメントをいたします。
我々の一連の研究が、「いままでに行徳近傍の被害級巨大地震に関して、学術的に評価できる地震予知3要素を示したか?」と問われれば『ノー』です。それは明白なことで、行徳近傍でそのような被害級巨大地震にまだ遭遇していないので何のデータ蓄積もないからです。そういった意味では、巨大地震を体験するまでは何ら信頼できるデータと予測を提示することはできないと言って過言ではないでしょう。
我々は宗教活動をしているわけではないので、観測データやコメントについて無条件に無批判に受け入れられる事をのぞんではいません。むしろ科学的な批判や検証に晒される事は望むところでありますし、我々の研究を進歩させるもので有難いと思っています。
某掲示板に記述のあった「あてになる、ならない」の1か0かといったご意見は、証拠提示能力や根拠が示されていないという点で少なくとも科学的な議論とは言えません。また、科学研究の評価というものは一般的に そのような1か0かといった単純なものではありません。まして地震予知の研究は未知の領域現象を扱っているのであり、その複雑性は政府をして「東海以外で地震予知は不可能」といわせしめているとおりであります。
我々はweb上(センターだよりや過去データのサマリー)や地球惑星科学関連学会で、研究成果を具体的なデータをあげて発表しています。科学的な反論や反証というものは、これらのデータを引き合いに出して、ご自分の論理展開で根拠を示して行われなくてはならないと思います。できれば言い逃げできる匿名ではなく、実名で堂々としていただきたいですが・・・。
また、ここ行徳での電波観測は、都市環境でとても電波的な好条件のもとで行われているものではありません。つまり電波環境的に地震性以外のノイズを排除できる理想的な環境ではありません。それを大前提として観測を行っています。 ただし、気象や季節性Eスポ、違法無線のパターンなどは読めつつあり、それらをコメントしていくことで、地震と関連ある要素に近いものを抽出できる可能性は残されていると我々は考えています。
観測データに関して疑問を持たれ、もっと電波環境の良い場所で改善された方法でのデータ取得をのぞまれる方は、ぜひご自分で観測に挑戦していただきたいと思います。
一般論で申しますが、地震予知研究に関しては「データはもらうし、もらっていてあたりまえ。批判は具体的なデータを示さず匿名でおこなう」といった風潮がよく見受けられます。こういった態度はこの分野での健全な学問進展を著しく妨げていると考えます。