Jacarandaの木の下で

2004年〜2006年
ザンビア共和国での在外公館派遣員の記録

Dear Mrs.Shumba

2006-06-06 03:51:10 | Weblog
この国にいるのはもうたくさんだ。
今朝、心底そう感じた。

いつものように朝の支度を終え、トイレに入る。
おしりを拭こうとしたその時、僕の携帯電話がなった。
朝の電話は大抵ろくな事はない。
電話に出ないわけにもいかず、拭くのは二の次にして、誰にも見せられない姿で電話を取る。

電話はスティーブン。大使館の現地職員で、写真の人。
このブログでも書いたけれど、数ヶ月前に何度か彼の農場にも遊びに行った。
超のつくいい人。

「妻が他界した。」
彼はひどく弱い声でそう言った。
午前2時、病院で息をひきとった。
彼女を直接は知らないけれど、写真は見たことがあるし、農場で彼らの子供と遊んだことはある。

電話を終えた後、僕は思った。
「この国にいるのはもうたくさん」

僕が赴任してから現地職員の親類が何人亡くなっただろう?
ある人は兄弟を、ある人は親を、そして妻を。
幸い、といったら語弊があるけれど、職員本人を亡くしていないのはまだマシなのかも。
その度に、いつもバカみたいに笑ってる職員の悲しい顔を見ている。
立場上、誰よりも先に報告を受けるから。
かける言葉なんてないし、何もしてやれない。
彼女の運命、途上国の医療事情、先進国の援助・・どれを責めても仕方がない。
やりきれない。
こんな想いもうたくさんだよ。

決して裕福とは言えない家庭だったから、せめて天国では、不自由のない暮らしができることを祈っています。