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大阪北部地震から3年「停電」から学ぶ「医療の危機」命に関わる「非常用電源」点検大切さ

2021-06-19 | 大橋二三子
最大震度6弱…病院で起きていた「停電」
大阪北部地震発生時 登校中の女子児童に倒れたブロック塀(大阪府高槻市)

今日6月18日
最大震度6弱を観測した大阪北部地震から3年を迎えました。
倒れたブロック塀の下敷きとなり
登校中の女子児童が亡くなるなど
6人が死亡
462人が負傷したほか
6万棟を超える住宅に被害がでました。
この地震をきっかけに
浮かび上がった課題があります。

大阪北部地震から3年
ブロック塀の安全見直し
高槻市では小中学校のブロック塀を全てフェンスに❣

地震による停電のために転院する患者

吹田市の国立循環器病研究センターでは停電が発生。
非常用発電機は作動したものの
通常の電源に戻る際に不具合で電気が止まり
重症の患者ら40人を別の病院に搬送する事態となりました。

非常用発電機
法律で年に1回の点検が定められていますが
センターは地震発生までの少なくとも5年間
点検を実施していなかったのです。

これを受け
国は
点検を改めて徹底するよう通知を出しました。
地震発生から3年が経った今、点検は、徹底されているのでしょうか。

1回の点検に「数千万円」…病院にのしかかる巨額の点検費用
『災害拠点病院』 国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)

災害時に多くの重傷者を受け入れる『災害拠点病院』に指定されている国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)を訪れました。
この病院では地震の前から月に1回
非常用発電機を動かす点検を行っていましたが
発災後は点検ルールをさらに厳しくしました。
年に1回
通常の電源と非常用発電機とを切り替え
電気が病院全体に行き渡るかどうかをテスト。
この時不具合があると電気が止まってしまい
患者の生命に関わる事態となるため
医療機器用のバッテリーを確保するといった準備も行っています。

「点検の際に、停電を伴うとなると現場からは不安視される。
点検する側としても二の足を踏んでしまう
慎重になってしまうというところがある。」(国立病院機構大阪医療センター 西川俊之企画課長)

消防管理協会 宮田孝清代表理事

病院側の負担が大きい非常用発電機の点検。
去年行われた調査で
その普及の難しさが浮き彫りになりました。

点検の啓発活動を行っている『消防管理協会』が2020年に行った調査によると
大阪市内の病院や高齢者施設471施設のうち
およそ6割にあたる275施設で非常用発電機の点検を行っていませんでした。

「6月18日で、3年になりますが、全く進まない、進んでいない。災害が起きているにも関わらず、それを活かせていない。」
(消防管理協会 宮田孝清代表理事)

点検を実施していない病院に聞いてみると…
「点検をする時には停電させる必要があり、薬を保管する冷蔵庫や空調も止まる。停電を避けるためのバッテリーを準備すると費用がかさむ。」
「今の点検が不十分だとしても、消防署から強く言われない限りは変えるつもりはない」
…などと、費用面での負担のほか、病院の点検について、消防の確認や指導が十分ではないことが浮かび上がりました。
災害時に不可欠な非常用発電機 点検はどうすれば進むのか…?
国立病院機構大阪医療センターの「非常用発電機」

一方
点検を行っている大阪医療センターでも
建物の老朽化という課題に直面しています。

「老朽化しているほど手間と技術がかかって費用もどんどんかかる。年に1回の大きな点検にかかる費用は2~3000万円かかります。そういう意味では行政なり、どこかから点検に対する補助があったら非常に助かります。」(国立病院機構大阪医療センター 西川俊之企画課長)

また
防災行政に詳しい専門家は
自治体が補助金制度を作るとともに
消防による積極的な指導を行うべきだと指摘します。

「補助金などの財政措置を検討する必要がある。消防も(点検の)届け出が出ていない医療機関に対しては、再度早急に行うよう警告ないしは通知をする必要性がある。」(関西大学社会安全学部 永田尚三教授)

新型コロナウイルスの感染が拡大する中で
非常用発電機の重要性はますます高まっています。

ワクチンを管理する冷凍庫や
人工呼吸器を停電から守るためにも点検は欠かせません。

「今も地域によっては医療体制が非常に逼迫している。特に地域によっては、停電まで起こったら、救える命もいよいよ救えなくなるので、絶対にそのような状況だけは避けて頂きたい。」(関西大学社会安全学部 永田尚三教授)

災害時の生命線となる非常用発電機。被害を最小限に抑えるために、国や自治体などもともに、対策を考えていくことが求められています。

引用→(かんさい情報ネットten.)
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