先日、ヴィレヴァンで買い物をしていた時に、ふと目に止まって、手にした一冊。
坂口安吾の多くの作品の中から、いくつかのテーマ別に、言葉が抜き出されている。一頁にワンフレーズずつ抜粋されているので、読書の苦手な私にもすんなり読めて、又、大きな文字で、短いフレーズだからこそ、かえって言葉の一つ一つにインパクトがあって、心に深く響いてくる。
教養のない私は、坂口安吾という作家についても、彼の作品についても、全く知識が無かったけれど、彼の作品そのものも、読んでみたいと思った。
今、連日報道されていることについて思うこと。ここに当てはめていいのかどうかは分からないけれど、その中の彼の言葉から。
堕落自体は常につまらぬものであり、悪であるにすぎないけれども、堕落のもつ性格の一つには孤独という偉大なる人間の実相が厳として存している。
即ち堕落は常に孤独なものであり、他の人々に見すてられ、父母にまで見すてられ、ただ自らに頼る以外に術のない宿命を帯びている。
-坂口安吾「続堕落論」より