大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

トランプ大統領、再選の可能性は?:民主党大統領に黄色信号 

2019年11月07日 | 政治

 ニューヨークタイムズ(2019年11月4日)は、来年の大統領選挙(2020年11月3日)まで残り1年となった時点での世論調査の結果を公表した。

 アメリカの大統領選挙は、人口に比例して州ごとに選挙人(538人)が割り当てられ、もっとも多くの票を獲得した候補者が州の全選挙人を獲得する仕組みになっている(一部州は得票数に比例して選挙人を割り当て)。

 多くの州は、民主党か共和党どちらかの勢力が圧倒的で選挙前から結果がわかっている。

 大統領選挙の結果を決めるのは、両党の勢力が拮抗し、選挙によって異なる党の候補を選ぶスイングステーツ(揺れる州)だとされている。

 そしてNYTは、スイングステーツ6州の世論調査から、トランプ氏への支持がクリントン氏と対決した2016年と同じないし拡大しているとの分析を先日公表した。 

 同紙によると、選挙まで1年の時点で、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、フロリダ州、アリゾナ州でバイデン氏トランプ氏を1-2%リード。ノースカロライナでトランプ氏バイデン氏を2%リードしている(投票可能性の高い人)。

 同紙は、民主党候補(バイデン氏)の優位は2016年(クリントン氏)と同じないし小さくなっているとしている。

 さらに同紙は、最近関心が高まっているウォレン氏について、アリゾナ州でトランプ氏とタイ、その他の5州でトランプ氏に4-2%のリードを許しているとしている。

 同紙は、投票1年前の調査結果は実際の選挙結果と近似的であることがこれまで多いとし、トランプ氏の再選可能性が高いと判断している。

 ちなみにトランプ氏最大の支持基盤は大学の卒業資格をもたない白人。有権者の半数近くを占めるこの層では、トランプ氏の支持率が圧倒的に高くなっている

 格差縮小をめざすウォレン氏の政策は残念ながらこうした層に届いていないようだ。

 またトランプ氏に嫌気して共和党から離れた富裕層が多いが、こうした人たちにウォレン氏の政策は急進的すぎるようだ。

 とはいえ、一昨日は共和党の地盤州(ブルーステーツ)であるケンタッキー州で、トランプ大統領の政策を強く支持してきた共和党の現職知事が民主党新人に選挙で敗れるということもおこっている。

 来年の大統領選挙はどのような結果になるのであろうか。注意してみていきたい。


アメリカの知事、州議会選挙で民主党が善戦

2019年11月06日 | 政治

 2019年11月5日(火)、アメリカ南部3州で知事選、州議会選挙がおこなわれ民主党が善戦している。

 ケンタッキー州では知事選がおこなわれ、大接戦で最終結論はでていないが民主党候補が共和党現職をおさえ当選の見込み。

 バージニア州では、上院、下院の両方を民主党がおさえた。民主党が両院で過半数をこえるのは1994年ぶり。

 一方、ミシシッピー州では知事選がおこなわれ、共和党候補が当選した。


UAW会長、休職へ: 汚職捜査進む

2019年11月06日 | 経済

 2019年11月2日(土)、UAW(全米自動車労組)ゲーリー・ジョーンズ会長の休職を認め、ローリー・ギャンブル副会長を会長代理とすることを決定した。

 現在、UAWの現旧役員について組合資金の使い込みなどの捜査がおこなわれており、これまでに12人が起訴され10人が罪を認めている。

 2019年11月1日(金)にも、ゲーリー会長を補佐していたエドワード・ロビンソン氏が、ゲーリー氏の後をついで南西地域(リージョン5)の責任者になったバンス・ピアーソン氏ら6人と共謀して組合資金の使い込みをしたとして再起訴されるということがおこっている

 ゲーリー会長はいまのところ起訴されていないが、デトロイトニュースは、これまでの裁判で重要な共犯者人物A」として頻繁に出てくる人物がゲーリー会長と報道。その去就が注目されていた。 

 

2019年11月20日追記

 ジョンーズ氏はUAW会長を辞職した。

2019年12月9日追記

 2019年12月5日(木)、UAWはローリー・ギャンブル会長代行を会長に選出した。任期は2022年まで。


10月自動車販売、大巾減少

2019年11月04日 | 経済

 2019年10月1日に消費税が8%から10%に引き上げられた。

 この影響で2019年10月の自動車販売台数が大幅に落ち込んでいる。

 2019年10月の乗用車販売台数は164,672台で前年同月(227,172台)から27.5%の減少となった。

 軽四輪乗用車販売台数も95,233台と前年同月(119,702台)から20.4%の減少となっている。

 1月から10月の累計販売台数はいまのところ前年並みをたもっているが、11月以降も販売減少が続くと年間をとおした販売台数も前年比で減少に転じることになる。

 2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられたときは、駆け込み需要の反動が1年近く続いた。

 今回の販売減少はどのぐらい続くのであろうか?注意してみていきたい。


米共和党、中低所得の白人労働者の政党に

2019年11月02日 | 政治

 現在、アメリカの民主党はリベラルな北部で高い支持をえ、共和党は保守的な南部で高い支持をえている。

 しかし、昔は逆だった。

 南北戦争で奴隷解放のため戦ったのはリンカーン大統領ひきいる北部の共和党

 南部の民主党は合衆国から独立して奴隷制度を維持しようと北軍と戦った。

 この関係が南北戦争後、逆転して今にいたっている。

 このような政党の劇的な変化がふたたびおこりつつあるのであろうか。

 アメリカではこれまで長く、民主党が労働者の代表と思われてきたが、ウォールストリートジャーナル共和党が白人労働者に大きく依存するようになっていると指摘している。

 同紙とNBCの共同調査によれば、2018年において共和党員の59%が白人労働者(2010年は50%)。

 選挙区を住人の所得水準で上下ふたつにわけた場合、共和党は所得の低い方の選挙区で58%の議席を獲得(10年前は39%)。逆に、所得の高い方の選挙区では34%の議席獲得にとどまっている(10年前は43%)。

 共和党は郊外に住む富裕層を代表する政党と思われていたが、そうした層の支持が低下し、中間ないし低所得の白人労働者の支持が伸びている。

 WSJ紙は、共和党は中・低所得の白人労働者、人口の少ない地域に大きく依存する政党になったとしている。

 こうした支持層の変化を理解すると、トランプ大統領のもとで共和党がこれまでの政策とは真逆の保護貿易主義や反グローバリゼーションの主張をおこなうようになったことがよく理解できる。

 問題は、これが一時的なものか、長く続くものかどうか。この点については、トランプ氏の次に誰が共和党の大統領候補になるかで判断がくだせそう。