大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

USW(全米鉄鋼労組)、USスティールでスト権を確立

2018年09月12日 | 日記

 2018年9月10日(月)、USスティールと労使交渉をおこなっているUSW(全米鉄鋼労組)は圧倒的多数の賛成でスト権を確立した。この結果、USWは48時間前に事前通告すればいつでもストライキに突入できる体制となった。

 USWは今年の7月からUSスティール(組合員1.6万人)およびアルセローナ・ミッテル(同1.5万人)と労使交渉をおこなっている。しかし、9月1日に両社の労働協約が期限切れとなっても交渉はまとまっていない。

 ウォールストリートジャーナルによれば、USスティールは1年目に4%、2年目と3年目に3%、4年目に1%の賃上げをおこなうとともに、税引き前利益と連動して上下するボーナスを新設することを提案している(ちなみに2018年8月のインフレ率CPIは3%、平均時給の上昇率は2.9%)。同紙は、これが実現するとボーナスを除く最低賃金が現在の年6万3千ドル(約700万円:1ドル=110円)から2024年には7万2千ドル(約800万円)にアップするとしている(あくまで同紙の試算)。

 これに対しUSWは、過去3年間、賃上げが凍結されてきたことから、より高い賃上げを求めるとともに、USスティールが要求している医療保険の負担増や職場ルールの柔軟化に強く反対している。

 WSJによれば、トランプ大統領が主導した輸入鉄鋼への25%の関税により、今年に入って鉄鋼価格は30%上昇。USスティールは、今年、税引き前利益が60%増加するとみられている。

 減税などにより米企業の税引き前利益は大きく上昇しているが、それに反してこれまで賃金上昇はおだやかなものにとどまってきた。とくに製造業で賃金の停滞が目立っている。今回の労使交渉で、こうした傾向をうちやぶるような動きが生まれるかどうか注目される。

参考:WSJによれば、USスティールとアルセローナ・ミッテルは圧延鉄鋼でアメリカの40%のシェアを握っている。

2018年9月19日追記

  2018年9月18日、USWはアルセローナミッテルでもスト権を確立した。

 


香港ハンセン指数、弱気相場入り

2018年09月12日 | 日記

 2018年9月11日(火)、香港のハンセン指数1月につけた直近高値から20%の下落を記録し、弱気相場入りした。

 欧米では、直近高値から20%下落を弱気相場入りと定義している。

 フィナンシャルタイムズは、米中貿易摩擦の解決の糸口がみえないなか、テンセントなど中国本土のハイテク企業でとくに株価の下落が目立つとしている。