先に書いた通り、上院共和党は先週木曜にオバマケア改版案を発表。
先週のブログに書いていなかった新しい内容としては、
(1)メディケイド(貧困者を対象とした公的医療保険)の受給者が生涯に受けられる連邦政府の補助金に上限を設ける(上限を超えて以降は、すべて州の負担となる)。
(2)医療保険がない人が新たに保険に加入するときは6か月待たなければならない仕組みを導入する。
一時、上院は下院案を大幅に見直すとの報道もあったが、出てきた案は基本的に下院案とあまり変わらないものだった。
トランプ氏が大統領に就任してから、共和党が前職だった4つの下院補欠選挙ですべて共和党候補が勝利。トランプ氏の支持率が低迷する一方、民主党への支持も伸び悩んでいることが明らかになってきた中での法案発表だった。
しかし月曜に議会予算局(CBO)が、上院案が実現すると10年間で赤字が3210億ドル(35兆円:1ドル=110円)減る一方、2,200万人の人が新たに無保険になるとの影響分析を公表すると、その影響の大きさにアメリカ中が騒然となった。
こうした中、政府補助金のさらなる削減を求めるクルズ氏ら保守強硬派だけでなく、州への(メディケイド用)補助金削減に憂慮する穏健派からも批判が噴出。
とくに3人の穏健派議員は、法案審議を始める投票にも反対すると明言しており、今週木曜に予定されていた上院本会議での投票は延期となった。
今後は、法案に反対する議員の賛成を取り付けるために法案修正がおこなわれる予定。その修正内容が注目される。