2018年10月15日(月)、USスティールと全米鉄鋼労組(USW)は4年間有効の労働協約について暫定合意に達した。
シカゴ・トリビューンおよびウォールストリートジャーナルによるとそのおもな内容は次のとおり。
(1)2018年に4%、2019年と2020年に3.5%、2021年に3%の賃上げをおこなう。ちなみに、過去3年は賃金が凍結されており、実質賃金が低下していた。
(2)4千ドル(44万円)の協約締結一時金(ボーナス)を支給する。
(3)新規採用者の最低賃金を現在の時給20.45ドル(2250円:1ドル=110円)から2023年9月までに24.66ドル(2700円)に引き上げる。
(4)詳細は不明であるが、そのかわり医療保険にかかる労働者の負担割合を引き上げる。USWは賃上げの多くは医療費の引き上げで相殺されると説明している。
ちなみに、鉄鋼関税の引き上げによりアメリカでは鉄鋼価格が上昇。USスティールの第2四半期の売上は1年前より15%増加して36億ドル(4千億円)、純利益は18%減少して2.14億ドル(240億円)となっている。
アメリカでは景気拡大が続くなかで賃金が上昇しないことが大きな問題になっているが、とくに製造業で賃金の停滞がめだっている。今回の賃上げが、製造業全体の賃金底上げのきっかけになるか注目される。
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