大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米自動車メーカー、セダン生産を縮小

2018年04月07日 | 日記

 手ごろなガソリン価格が続いていることや好景気なのに低金利が続いていることなどが重なり、アメリカではライト・トラック(SUVやクロスオーバー車など)が自動車販売の2/3を占めるようになっている。

 そのあおりを受けて販売が減っているのがセダン(4ドア車)に代表される乗用車

 乗用車は日韓メーカーとの価格競争が激しく、米メーカーは米国で乗用車(小型車)を生産するとほとんど利益がでない状態と言われている(ちなみに昔とちがって今は、日米韓で品質上の差異はほとんどない)。

 こうしたことから乗用車は早くからメキシコへの生産移管が進んでいたが、ここにきて乗用車の生産車種を廃止・削減する動きが進んでいる。

 2018年4月4日のウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、GMは今年にシボレー・ソニックを、数年以内にシボレー・インパラの生産を中止することを検討している。

 またフォードは、フュージョンの中止を検討。

 フィアット・クライスラーは、クライスラー300ドッジ・チャージャーなどの生産中止を検討している。

 これにはトランプ政権による燃費規制の緩和も影響していると思われる(燃費のよい小型車の車種構成を高める必要が小さくなった)。

 アメリカの自動車メーカーは、ガソリンの安い時期には利益の大きいSUVなどに経営資源を集中し大きな利益を出すものの、ガソリンが高くなると一気に経営危機に陥るということを何度も繰り返してきた(とくに大型車の比率の高いクライスラー)。

 今回もまたおなじことが繰り返されるのか、それとも今回は不可逆的な動きなのか(2010年代初頭にはガソリン価格が高騰したが、これまでと違って低金利の影響か大型車の売り上げはほとんど影響を受けなかった)。日系メーカーの経営にも直結する問題であり気になるところである。



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