大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

スペースX、来週にインターネット通信衛星60基を宇宙に放出

2019年05月17日 | 日記

 2019年5月16日(木)、マスク氏が創設したスペースXは、衛星に搭載するソフトウェアのアップデートなどのため予定されていたインターネット通信衛星の打ち上げを来週以降に延期すると発表した。

 ニューヨークタイムズによれば、今回、スペースXはファルコン9をもちいて60基の小型衛星(各約250キロ)を地上300キロから1,100キロの低軌道上に投入する予定になっている。

 低軌道衛星には、地上からの距離が近いため通信の遅滞がほとんどおこらないメリットがある。

 その一方で、低軌道では衛星のスピードが速くなるため、(地上から見て)遠ざかる衛星から近づいてくる衛星に途切れることなく通信機能をリレーしていく技術の確立が求められている。

 スペースXによると、今回と同規模の打ち上げを12回おこなえばアメリカの大半をカバーでき、それが24回になれば世界の人口密集部をほぼカバーできる。さらに打ち上げが30回(約2000基)おこなわれれば、世界全体をカバーすることができるとされる。

 マスク氏は、衛星を使うことでこれまでインターネットが利用できなかった地域でも安価にインターネットが利用できるようになるとしている。

 またマスク氏はよく知られているように火星への移住を計画しているが、インターネット衛星事業はそれに不可欠でもある。すなわち、ロケット打ち上げの売り上げは30億ドル(3300億円:1ドル=1w10円)までの増加が見込まれるが、インターネット衛星事業の売り上げは300億ドル(3.3兆円)に達する見込みで、火星移住計画に必要な莫大な費用をうみだすことができると考えられている。

 以前のブログで述べたように、これまで試みられた衛星通信事業はどれも失敗してきた。衛星小型化など技術進歩を背景に、マスク氏が衛星事業を軌道にのせることができるかどうか引き続き注目していきたい。

 

2018/02/17 スペースX、低軌道に1万基の衛星打ち上げを計画: 地球を覆うインターネット網の構築めざす