5月1日付のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、オバマ政権の反対にもかかわらず、日本政府が核燃料再処理工場(六ケ所村)の操業を準備していることに、アメリカ政府が懸念を示していると報じた。これを読んだときは、すぐ日本のメディアでも広く紹介されると思っていたが、どうもそうではないようなので、ここで紹介する。
アメリカ政府は、日本が核燃料再処理工場の操業にむけ準備を進めていることに懸念を示している。北アジア(中国、韓国、台湾)や中東で核技術、ひいては核兵器の広範な開発競争を招く可能性があると懸念しているからである。
六ケ所村の再処理工場は、年に約9トンのプルトニウムを生産することが可能で、これにより2,000発の核爆弾の製造が可能になる。日本政府は、プルトニウムを発電(MOX)に使用するとしているが、原発の稼働数減少などもあり、(使いきれずに余った大量の)プルトニウムを保管する必要が出てくるものと見られている。オバマ政権は、「日本がプルトニウムの利用計画に関する明確な展望のないまま大量のプルトニウムを保有することを許してしまえば、その他の世界に対して悪しき前例を作ることになる」と、この数週間、日本政府に懸念を伝えている。
(核兵器を持たない国で、大規模な核燃料再処理工場を保有しているのはいまのところ日本だけだが:引用者の補足)、韓国はアメリカに対して、同様の施設の建設を求めており、六ケ所村の操業開始は、そうしたプレッシャーを高めることになる。また、中国はすでに数千発の核弾頭を所有しているが、日本が大量のプルトニウムを保有することになれば、中国も核兵器に転用可能な核分裂物質の生産能力拡大に動く公算が大きいとみられる。
なお日本は、 この核燃料再処理工場の建設のため、これまでに210億ドル(約2兆円)を投じている。(以上)