89歳の日々

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アメリカでの万華鏡大会に出席して

2006-06-14 12:12:27 | アメリカ・海外旅行
              金襴手と立雛の万華鏡
 
 写真の九谷美陶園の壷形の万華鏡は、文中にあるアメリカの万華鏡のコンベンションで説明したものです。壷の蓋を取って中を覗くとアラビアンナイトのような目くるめく万華鏡が見えます。立雛形のも万華鏡で、烏帽子を取るとアイホールがあり、其処から覗くとピンクの桜が色々に変化する万華鏡になります。

 下記は「北陸中日新聞」の平成18年6月9日の「北経随想」に私が書きましたもので少し、堅苦しい 文章かもしれませんが、そのままコピーします。


        アメリカでの万華鏡大会に出席して

去る18年5月11日~14日までアメリカで万華鏡の大会が催されました。アメリカ人を中心にヨーロッパや日本からも万華鏡作家が集まられ、私も参加致しました。

 万華鏡は子供の時に作ったり、おみやげ屋に並んでいたりしていますが、そもそもは、スコットランドの物理学者ブリュースターによって1816年に考案されたものです。しかし其の3年後の文政2年に日本に入り、それがすぐ日本で製作されたと記述されており、江戸時代にも拘らず素早く伝わる事に驚かされます。

 この万華鏡を優れた工芸品、美術品と位置づけ、万華鏡ルネッサンスを起こしたのは、アメリカのコージー・ベーカー婦人によります。息子を亡くした彼女は万華鏡が美しさと共に人々への癒しがあることを知り、1986年に万華鏡愛好家の国際的組織「ブリュースター協会」を設立し、今日の高級な万華鏡のブームを生みました。

 私が参加しましたのも、この世界一の「ブリュースター協会」による大会でした。 今年は、ニューメキシコ州のアルカバーキーにあるホテルのコンベンションルームで催され、大きいホールに4~50人くらいの作家が作品を並べ、業者の方も来らました。私にとっては有名な作家の方々の万華鏡を拝見したり、親しくお話が出来る素晴らしい機会でした。

 次の日には、それぞれの作家は、始めて出品する自信作を持って200人位の業者やコレクターを前に壇上から自作の万華鏡を説明しました。日本人も6人くらい出ましたが、宇宙から見た丸い地球の形で万華鏡を作った方は、通訳付きで詳しい説明もされ人気投票でドイツの方と2人が1位になりました。そのほか金色のガラスを積み上げた素晴らしい金閣寺や、お神楽や折り鶴で万華鏡を作られた方など、日本人の方々も工夫された事等を説明されました。

 私のは九谷焼の金襴手の壷で、蓋をとって覗くと中が万華鏡になっているのを出品しました。このような壇の上から英語で話すのは初めてでしたが、先ず私共の地方の九谷焼で作っていることを申しました。壷の文様の1つは「ヒンズーの神様のアクセサリー(瓔珞文)」で仏教と共に日本に入ってきた事、「金襴手の牡丹文様」は中国明代から伝わったものであり、「らくだに乗っているペルシャの楽人の図」はシルクロードを通って来た8世紀の天皇の遺品からの図であること。万華鏡と共に350年間続いている九谷焼を世界の方にご覧頂きたいことを重ねて説明致しました。

 其のあと、アメリカの有名なコレクターの方が来られ、私の万華鏡の中が豪華に変化する様を詳しくご覧になり、この25万円の品をお求め下さいました。其の上万華鏡の帝王と言われる作家の万華鏡を贈って下さり、私は始めての出展にこのような方にめぐり合い心から感謝致しました。そしてこれからお互いに訪問する事を約束致しました。

 ホテルでは満月を仰いでお庭での夕食会があったり、カラフルな衣装を競うという趣向の晩餐会が賑やかな音楽隊入りで催されたりしました。ここでも3人の日本女性がピンクや青や黄色のかつらを付け楽しさを盛り上げて見事に夕食会の「カラフルの1位」に選ばれました。
 帰りの飛行機の中では、次ぎに創る万華鏡の図案を描いて長い時間を愉しみました。このような愉快で為になるアメリカでの「ブリュースター万華鏡協会のコンベンション」でした。  (九谷美陶園 専務取締役  寺前みつ子)  
                   

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