"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“イタリア、そしてスペインの国債について”

2011-11-19 04:43:21 | 日記
週刊ダイヤモンドオンラインより、野村證券シニアエコノミスト岸田英樹さんの記事です。
 
タイトルは、
 
金利急上昇!狙われたイタリア国債
ユーロ第3の大国は金融支援に追い込まれるか です。
 
 
最近イタリアの国債金利が急上昇しました。
確かに、累積の政府債務は、GDP比で120%となっていますが、年間の財政赤字は決して大きくはないのですが。
 
“11年にはイタリア一般政府のプライマリーバランス(利払費を除く財政赤字額)は黒字化し、同年のイタリア一般政府財政赤字対名目GDP比率は4.0%と、ユーロ圏全体の4.1%を下回る見込みである。”
 
ではなぜ、イタリアの国債が狙われてしまったのか?
 
岸田さんは、その主な理由に以下三点を挙げています。
 
①“政府が高水準の債務を抱えるため重い利払い負担に直面する一方、景気低迷の長期化により、債務残高対名目GDP比率の上昇が止まらないのではとの懸念が高まっていること”
 
②“ESM(欧州安定メカニズム)が13年6月以降金融支援を実施する際、投資家に負担を求める姿勢を有していること”
 
③“10月末以降のギリシャ政府の債務不履行懸念の急激な高まりを通じ、財政懸念のあるユーロ圏諸国の国債が一斉に売られたこと”
 
私が言うのも変ですが、よくまとまっていてポイントをついていると思います。
 
是非本文もお読みください。
 
あともう一つ加えるとしたら、ベルルスコーニプレミアムでしょうか(笑)。
 
 
私自身は、今のユーロ危機は、統一通貨ユーロの構造的な欠点が表に現われて来たものだと思っていますので、それを修正して行かない限り根本的な解決は難しいと考えています。
 
ユーロ危機は、政治の混乱によるものという論調が多いように思いますが、それはあくまでも、目先のキャッシュ不足をどうやって補うかという意思決定に関するもので、根本的な対策に関するものではないように思います。
 
ユーロからの退出基準を設けることや、ユーロ諸国共通のユーロ債を発行する等の根本的な対策を、ユーロがスタートする時はもちろん、今でも用意していないということは、やはり政治力不足ということになるのかも知れませんが、目先のキャッシュ不足がなかなか解決されないという点で、責任を政治に押し付けるのは酷なような気がします。
 
今は、だれが首相になっても難しいときだと思っているからです。
 
他の国にお金を出すことは、国民も、その国民に選ばれる政治家もいやだからです。
 
お金を受ける方も、それが自分の生活に影響してくるのはいやだからです。
 
 
しかし、それを割り引いても、やはりベルルスコーニ前首相には、問題が多かったと思っています。
 
 
直近では、スペインが狙われています。
 
スペイン10年国債利回りとイタリアの同利回りは、もともとスペインの方が高かったのですが、イタリアの危機説が出てから、イタリアの方が高くなり、最近ではスペインを1%近く上回っていました。
 
それが、今日(18日)には、一時再び逆転して、スペインの利回りの方が高くなってしまったのです。
 
 
スペインでは、この日曜日に総選挙があります。
 
そこで、現サパテロ首相の与党社会労働党が、野党第一党の国民党に負けることが予想されています。
 
ラホイ党首率いる国民党は、過半数の議席を占めると言われています。
 
 
政権交代による不透明感もあると思いますが、国民党は中道右派と言われています。
 
中道左派の社会労働党よりも、今後さらに緊縮政策を取ると見るむきが多く、その結果、国民の不満が溜まり、景気も停滞するのではないかという懸念が出ています。
 
そうしたことも、今、スペインが狙いうちにあう要因となっているようです。
 
 
スペインの累積政府債務は、今年年末予想でGDP比70%。イタリアの120%はもちろん、ドイツの80%と比べても低い水準です。
 
スペイン経済が不調になったのは、不動産、建設バブルが弾けたからであり、本当は、今は積極的な財政政策を取るタイミングだと思います。
 
そうして需要を喚起することによって、設備投資や消費を伸ばして行き、経済成長を取り戻す。
 
それによって、税収も増えるので少しずつ財政赤字も減らしていく、というステップが取れる国だと思っています。
 
 
しかし、最近のユーロ危機の風潮の中で、それをだれも言い出せない、言い出したら逆にマーケットから狙われてしまうだろう、というところが、なんとも歯がゆいところですし、今後について全く楽観視出来ない状況です。