"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“日本の現場力は世界一”

2012-01-03 22:43:43 | 日記

致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。

(転載開始)

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     致知出版社の「人間力メルマガ」

                【2012/1/3】 致知出版社編集部 発行
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   このメールマガジンでは、
   月刊誌『致知』より
   皆さまの人間力を高めるエピソードを
   厳選してご紹介しています。

       * *

   本日は現在発行されている『致知』2月号より、
   早稲田大学ビジネススクールで教鞭を執る一方、
   コンサルタントとして日本の一流企業を
   成長に導いてこられた
   遠藤功氏の記事をご紹介します。
   
   
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        「花王、ヤマト運輸、オオゼキの“現場力”」
      
       
          遠藤功(早稲田大学ビジネススクール教授、
              ローランド・ベルガー会長) 


             『致知』2012年2月号
              特集「一途一心」より
          
http://www.chichi.co.jp/monthly/201202_pickup.html#pick2

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私が見てきた企業の中で、例えば花王などは
現場力の塊のような会社である。

二〇〇六年まで二十四年にわたり連続で
増益し続けたのは有名な話だが、二十四年とは約四半世紀である。
この間、経営環境も著しく変化する中、なぜそれが可能だったのか。

例えば、洗濯洗剤の『アタック』は
二〇一二年で発売から二十五年目になるが、
いまなお毎年商品改良を続け、新しい価値を加え続けている。

加えてコスト削減の努力も続けている。
商品改良によって新たな価値を加え、
一方でコストを削減すれば、当然利益が生まれる。

要するに、花王の現場はルーチン業務をこなしているのではなく、
利益を創造しているのである。

毎年少しずつの改善・改良を地道に続けてきたからこそ、
二十四年もの間、増益を続けられたのである。
その継続性、執着性こそ花王の競争力の源である。


サービス業でいえば、例えばヤマト運輸である。

いま、宅配便は当たり前のように指定した時間内に届けられるが、
この背景には並外れた現場力がある。

日々、交通事情も違えば荷物の個数も違う。
ヤマト運輸のセールスドライバーは
「きょうこの個数を午前中に届け切るにはどうしたらいいか」
と常に考え、工夫し、動いている。

現場の知恵があるからこそ、時間指定配達は可能なのだ。

そもそも昔は時間指定などなかったが、
それを生み出したのも現場である。

配達時、不在であれば再度足を運ばなければならないから
時間もかかるし、コストもかかる。

また、お客様からも「○時に届けてくれたら助かる」
という声もあっただろう。

新しいサービスを「やる」と決断するのは経営陣だが、
それを実現するのは現場の力である。

ヤマト運輸にはセールスドライバー用のマニュアルがあるが、
「マニュアルどおりにしたらクレームになる」と言われている。
ここが欧米の現場との決定的な違いだ。

たとえマニュアルどおりにやったとしても、
時間内に配達できなければ、お客様満足は実現できない。
だから、ヤマト運輸の現場では日々の状況を見て、
自分たちで考え、いまどうすべきかを工夫しているのだ。

また、このデフレ下でも、ものすごく高い利益率を出している
スーパーマーケットがある。

スーパーのオオゼキである。
ここは個店主義を展開しており、
それぞれの店の立地から自分たちで品揃えを考え、
自分たちで売り場づくりを行っている。

製造業でも、サービス業でも、小売業でも、
すべての業界において、現場が自発的にアイデアを出し、
進化し続けている企業は圧倒的に業績がいい。
現場力はそのまま業績に結びつくのである。
http://www.chichi.co.jp/monthly/201202_pickup.html#pick2

(転載以上)


ここでは3社の日本の会社を紹介しています。

“花王の現場はルーチン業務をこなしているのではなく、
利益を創造しているのである。”

“継続性、執着性こそ花王の競争力の源である。”

“ヤマト運輸のセールスドライバーは
「きょうこの個数を午前中に届け切るにはどうしたらいいか」
と常に考え、工夫し、動いている。”

“新しいサービスを「やる」と決断するのは経営陣だが、
それを実現するのは現場の力である。”

“スーパーのオオゼキである。
ここは個店主義を展開しており、
それぞれの店の立地から自分たちで品揃えを考え、
自分たちで売り場づくりを行っている。”



海外に住んでいると、こうした日本の「現場力」は世界一だと感じます。

海外では、会社の作るマニュアルがとても大切で、そこに入っていない内容について従業員の方々に動いてもらうのはなかなか大変なことです。

“「マニュアルどおりにしたらクレームになる」”

そう考えて従業員の方々が自ら動く日本の現場力の凄さは、ある意味、それが当たり前になっている日本にいるとなかなか理解しづらい面もあるかも知れません。

「暗黙知」とも言われますが、日本の現場の強さは、まさに人から人へと直接伝達される生きた経験や知識なのだと思います。

 

正月に、こちらで放送されたNHK番組を見ていたら、日本の会社の強さを示す例として、ホンダさんの小型飛行機開発の様子が出ていました。

そこには、屋内スペースを広げるために、エンジンを羽の上につけてしまうという常識をひっくり返す発想がありました。

その発想もさることながら、空気抵抗が増えてしまうので、そんなことは不可能と言われていたことを、それこそ無数の試行錯誤、実験を繰り返して、抵抗が減る唯一のポイントを探すことが出きたこと、それこそがたゆみない努力を続ける日本の現場力を表すものだと思います。

私たちは、世界に誇るものをすでにたくさん持っています。

大切なのは、そのことに気づき、その強みを発揮していくことだけなのだと思います。