非 五祖は此のように彼が鋭く突っ込まれても、即答出来たので彼を受け入れ弟子にした。勿論五祖は別に少数民族を軽蔑していた訳では無く、態と意地悪く質問して、六祖の素質を測ったのだ。五祖の眼鏡に適った六祖は軈て南方に帰って、仏法を広め、南方に文化を齎し発展させる為に、精魂尽して尽力した。百を超える野蛮な地を拓き、害虫を駆除して、暴風の向きを変える為熱帯の木々を伐採し、生臭い匂いのする生物を食べるのを止めさせ、悪い風習を改め、此の上の無い功を揚げたのだ。ところが浮世はそんなに簡単なものでは無い。人間世界は行い正しく、清廉に生きるだけでは面白味が無いのだ。清潔過ぎる押し付けの社会は息苦しく、発散の場が無く為るのだ。 多少毒の在る世間の方が面白い。否、好んで毒を飲む者もいる。雅に正道は長くは続かず、邪道は幅を利かせ易い。楽しいことをしたいと思うのは自然なことなので、お堅い風紀が変わるのをじっと待っていたのだ。案の定、六祖が亡くなり数百年経つと、広南の風習は元に戻って仕舞い、甚だしきに至っては仏教界にさえ邪悪が入り込んだのだ。
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【魂魄の宰相 第一巻~第一話 狢未だ虎を獲ず】 其の2
2017-04-04 12:59:32 | 魂魄の宰相の連載
此処で言いたかったのを、「世の中は清廉過ぎては生きる価値も無い」ということに力点を置いてることだと察知して貰いたい。仲良く生きようとする者が、言葉を幼児性丸出しに針小棒大に人種差別の讒言と膨らますのは、疚しさを隠す瞞着が看て取れるのだ。
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