魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【政府の行うマクロ経済政策⑦】-(2)

2018-02-06 15:47:11 | マクロ経済の基礎の基礎

【政府の行うマクロ経済政策⑦】-(1)からの続き

 連邦準備銀行(以下、連銀)は、連銀設立時に払い込まれた当初の金額について6%の配当を支払うことを約束されてる。もし連銀が此れより多くの利潤を上げる成らば(現に上げている)、超過利潤は総て財務省に支払われる⇒現状では、政府証券の連銀保有分の増加は財務省から連銀への利子払いを引き起こすけれども、此の利子は軈て財務省に還って来るのである。もし財務省が新たに通貨を発行し、其れを預金と引き換えに連銀に与えるならば、財務省は将来に於いて利子を支払う必要は無い。然も、譬え財務省が利子付き証券を連銀に与えても、財務省が将来に於いて利子を与える必要が無いということも、事実なのである。政府証券の利子率が5%であれば、連銀保有の政府証券の20億$の増加は、1億$/年だけ財務省から連銀への支払いを増加させるであろう。然し、連銀は軈てこの貨幣を連銀に還すであろう。赤字を賄うのに必要な現金と引き換えに、連銀に対して必要な現金と債券の孰れかが与えられ様と、同じことに成るのである。

 財務省が直接連銀に証券を売ることを禁止する様な伝統と規制がある。もし政府が赤字を賄う為に貨幣を創出することが出来無いか、或いは其れを希望し無いならば、政府は赤字を賄う為公債を増加させなければ成らないことを意味する様に思われる。然しそう成ら無い☜財務省は赤字を賄う為に債券を公開市場で売却する様に議会から強いられて居ると想定すれば、此の場合には公債は増加するであろう。

 もし財務省が100億$の減税を貨幣に依って賄えば完全雇用を十分達成出来ると信じて居て、且つ財務省は減税を可能にする為公衆に100億$の証券を売却するとすれば、此の時国民所得は増加するであろうが、其の増加は完全雇用を達成するのに必要な増加よりも少ないであろう。新しい貨幣に依って賄われる100億$の減税が完全雇用を達成するのに丁度十分ならば、債券の売却に依って賄われる同額の減税では十分では無いのである。公債、詰まり債券の売却に依って賄うものは、市場で資金を巡る競争が起こり、此れが利子率を押し上げ証券の利用可能性を低めることに成る。詰まり、投資需要は減少することに成る。債権の売却に依って賄われる100億$の減税では不十分であることが明白であるにも拘らず、もし財務省が減税額を増やさ無いならば、総需要は完全雇用を実現するには不充分である。経済はより多くの雇用を持つであろうが、其れは尚完全雇用より少ないであろう。そして公債は増加することに成ると思われる。

 此処での解析は此れで終いに成った訳では無い。連邦準備局自身(以下準備局という)も完全雇用の維持に対しては責任を持たされて居るのだ。其の時の経済状態に対する準備局の評価が議会及び財務局の其れと一致するならば、準備局は信用のコストを引き下げ其の利用の可能性を高める為に公開市場買操作を行わざるを得ない⇒連銀は財務省が売った証券を買い入れることに成る。

 準備当局と財務省との間に連銀が買い入れなければ成らないという確約は必要無いということを注意すべき。彼等が経済状態を同じ様に評価するならば、彼等は完全雇用を達成する為に何れだけの総需要が必要であるかの見解が一致して居る筈である。彼等が共に此の目的を追求するならば、準備当局は、完全雇用を達成する為に生じた財務省の赤字を自動的に賄うことに成る。準銀には新しい債券が累積するので、財務省は此れに利子を払うが、利子は財務省に還って来ることに成るので、此の様な債務には何ら負担は無いことに成るだろう。

 今迄述べて来たことに依って、「『公債が存在する理由は全く無いのだ』ということを意味したものである」ということを考えるべきで無い。此処迄で主張して来たことは「完全雇用という目標を追求することは必ずしも債務が増加することを意味し無い」ということだけである。何等かの理由で総需要が過剰で在れば、貨幣当局は信用のコストを引き上げ其の利用可能性を低める為に、債券を売るかもしれない。其の場合には公衆保有の債券は増加し、財務省はより多くの利子を支払わなければ成らない⇒今迄還って来た利子が還ら無く成る。「公債は過剰な総需要を統御することから生じるのであって、十分な需要を助長することに依って生じるものでは無い」ということを述べることに依って、此の回の叙述を纏めることが出来る☜公債を増加させること無しに総需要の不足を排除することが可能であるのだ。


つづく

 

 ※ 本投稿文中の綴りや語句の使い方や理論分析の誤りは、適当に解釈して貰うか、コメント欄で指摘して頂きたい。


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