【国には何故、排他性が必要か】

　「国家の定義」も様々在るが、「国家」の意義について一つの観方を、

「【国家 state】とは、 一定の境界線で区切られた地縁社会に成立する政治組織で，そこに居住する人々に対して『排他的な統制』を及ぼす統治機構を備えているところにその特徴がある。

　そして、一般に［国家の機能］として、社会内部の異なる利害を調整し，社会の秩序と安定を維持して行くことにあるが，こうした機能の達成の為には，社会の組織化が必要と成る。国家は，政治の機能を遂行する為に造られた社会の組織に外なら無い。社会の構成員が国家という組織の中では，国民あるいは公民と呼ばれる。 」

と纏めて置こう。

　すると、当然のこと乍、外国人は国家の構成員とはならず、国家の統治の外に置かれるものである。従って、国家の構成員としての国家統治の対象外に置かれ、国家に対する義務も無ければ権利の享受を要求出来るものでは無いのだ。然も、国家の生来要件の「排他性」から、外国人が其の国家の領域で暮らす場合は義務とは別の制限を科されることに成る。

　此の制限の根元は国家の構成員、詰まり国民の永続的限定性から来るものである。然し、米国の様に建国の最初から、移民を以て国民を構成し始めた国と、一つの国家として長い歴史を持った粗単一民族で構成されて来た日本のような国とは制限の在り方は大きく異なる。然し、米国のような国家創設の経緯を辿って来た国であっても、軈て国家構成員の永続的限定性はより厳しいものと成って行くだろう。其れは、国家の根源的要件である排他性から生じる「排外主義」に繋がって行くものである。

　国家の構成員が「排外性」を持つのは国家存立維持の必要十分条件である。何故ならば、其の構成員に対する何らかの限定をせずに、絶えず変化をさせるようでは、擋、国家の存立維持は儘ならず、国家存立の目的すら果たせ無く成るのは細かく説明する迄も無く、誰でも理解出来るところである。