てんちゃんのビックリ箱

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二葉館訪問 名古屋文化のみち

2022-01-04 08:35:38 | 美術館・博物館 等
 


 先日、名古屋文化のみち 旧豊田佐助邸の記事を掲載したが、その時文化のみちの拠点施設である二葉館も訪問したので、今回はそちらを紹介する。
二葉館は日本最初の女優として世界から認められた川上貞奴の住居を再現したものであり、現存したものの移築、分解されていたものの再建、過去の写真や設計図から新規に再現した部分からなる。
ここは入館料300円が必要で、内部の1階に貞奴の記録の展示とともに、文化のみちの紹介展示がある。そして2階には愛知にかかわりがある文芸家の人の展示がある。また文化のみち全般を紹介するボランティアさんたちが数人いる。

なお最初の写真は、展示室にあった貞奴の表札。

1. 外観
二葉館は大正9年に作られ、大正12年まで福沢桃介と一緒に住んでいた。その後桃介が東京に戻るとともに拠点をそちらに移したが、昭和12年までは所有し、時々使用していた。
外観は赤い屋根のきれいな洋館で、当時の街並みなら華やかさで浮き上がっていただろう。桃介は中部電力の基を作ったこの地域の電力王だったので、夜もサーチライトで照らされていたとのこと。2人を訪ねてくる人で、大賑わいの二葉御殿であったらしい。

<二葉御殿>



日ノ本の
儲け話も
海外の
噂話も
二葉御殿にて



2.1階の様子
 1階、2階ともに洋室と和室で構成されていて、入口近くは洋室。

(1)洋室
a.全体的な様子
 洋室は、大広間と展示室がありともに鮮やかなステンドグラスに囲まれた部屋となっている。そして2階へあがる螺旋階段と暖炉もあるし電灯も明るい。ここに通された人が、有名人の貞奴に応対されたら、天にも昇る気になっただろう。



一階の大広間(名古屋市HPから)


 そして、螺旋階段。



 ステンドグラスは再現されたそうだが、きっとヨーロッパ公演での教会訪問等を思い出したことだろう。

<欧羅巴の光>





欧羅巴の
光りなつかし
七色の
ステンドグラスに
夢は彷徨う



b.展示
 洋室の展示には、貞奴がアメリカとヨーロッパを公演旅行した時の衣装、また帰国後の女優として、また実業家や劇団を率いた時の活動を示す展示がある。下記は舞台衣装。

<硝子の中じゃつまらない>



つまらない
硝子け破り
令和でも
ドラマチックに
踊ってみたいよ


 川上音二郎との海外公演旅行は波乱万丈であったようだが、各地で評価が高く、アメリカでマッキンリー大統領、イギリスでビクトリア女王に謁見し、1900年にわたったフランスではちょうどジャポニズムが盛んな時で、大統領官邸に招かれてそこで公園するとともに芸術文化勲章を授与された。ポスターが作られピカソもスケッチを残している。

 
以下は、パリ万博での公演ポスター。

 


次はピカソ製作のポスター



 帰国後音二郎とは死別し、福沢桃介のパートナーとなった。一見お妾さんのようなものだが、彼女はエネルギッシュに会社を経営したり桃介を補佐したりと実業家として活動している。女性や子供のための劇団も作っている。たぶん明治大正の時代の枠にはまらない女性で、自分のやりたいことのできる環境としてそうしたのだろう。


(2)和室
 つながっている和室は落ち着いた部屋で、和服とともにいろいろな生活道具が展示されている。洋室の華やかさからしっとりとした和室が隣り合わせで、この部屋にくると落ち着く。以下は彼女が使った火鉢。華やか。



 以下は貞奴の和服と、その紋。

 


 鮮やかな火鉢や文箱、髪を整える道具など、そして旅行時につかった革のカバンなどが展示されている。

<化粧箱>



もう一度
世界一周に
連れて行って
誰と会おうと
美しくする


そして旅行に用いられた革のカバン。




(3)その他
  桃介が電力王であったことからその頃の最高の電気設備を整えていたが、配電ボックスがそのまま残されている。また電灯のデザインも素敵である。




3.2階の様子
 2階も洋室と和室で構成され、トイレ等の水回りも展示されていた。ただしそれぞれの部屋の中は、最初に書いたように、名古屋・愛知の文芸家の紹介。
 家屋として魅力だったのは、大きく光を取り入れたベランダと廊下。



 文芸家の展示としては、城山三郎の書斎の移設、文芸家紹介のパネルおよびそれらの有名な著書の本棚などがあった。

<城山さん 居心地は?>



居心地は
いかがですかと
尋ねたい
端正な家に
穴倉作り



 確かに文化のみちの基幹施設としてこういった文芸家の紹介はしたいだろうが、この建物の意味と離れていて、私としてはがっかりした。
 貞奴の業績として、見せたいものは十分にある。一階は情報が詰まりすぎている。極端に言えば一階は女優貞奴として、二階は実業家貞奴の姿、そしてこの周辺の文化のみちの施設案内もしくは明治大正の姿を並べればいい。文芸家はパネル1~2枚があればいい。
 もし名古屋市が文芸家を本も含めて市外の人に紹介したいならば、近くに文化のみちのゲストハウス兼ボランティア事務所を作ればいい。それよりもむしろ名古屋市内の人に紹介することが重要で、むしろ図書館に置いた方がいいのではないかと思う。



4.終わりに
 大正時代に30歳台で女優として欧米を公演旅行し、アメリカ大統領、イギリス女王、フランス大統領に謁見するとともに、帰国後実業家として活躍した川上貞奴の破天荒さが、よくわかった。帰国後についてはやや偏見を持っていたが、あの時代の女性としてエネルギッシュに生き抜くやり方だったと思う。もっと実業家や劇団主催者としての業績がもっと再評価されるべきとおもった。


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2 コメント

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2022年 (カンサン)
2022-01-06 19:50:10
てんちゃんへ、明けましておめでとうございます。
私の映画のブログにコメントをありがとうございます。
らせん階段のある建物はおしゃれ度がアップしますね。
きょうのニュースで新型コロナやオミクロン株の広がりなどがあり、一気に深刻になりましたね。
注意して過ごさなければなりません。
返信する
カンサンさん (てんちゃん)
2022-01-11 17:43:55
寒中 お見舞い申し上げます。
なかなかコロナの脅威から脱出できませんね。
お互い注意しましょう。
返信する

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