かつて参加していたSNSに沈めていた、好きな記事です。そこがまもなく大改悪されて、見つけることが難しくなりそうなので、こちらに一部内容を改訂の上、再投稿。
おおよそ15年前の懐かしい話。
晴れた日の夜、新幹線で神戸から東京へ向かっていた。
京都から、日本人としてはややちょっと雰囲気が違うなっていう感じの女性が、私の隣の通路側の席に座った。車内販売に対して、彼女は丁寧すぎるきれいな日本語で話していた。異常に丁寧すぎるので出自の判断に迷った。
その後私はビールを軽く飲んで暫く寝た。起きたとき新富士の駅を通り過ぎるところだった。
その隣の女性がにこっと笑っていった。
「富士山はどちらの方向ですか。」
「こちらの窓側ですよ。だけど暗くて見えませんよ。」
「私は夕闇の暗い空の中で、富士山が青白くくっきりと映える写真を見たことがあります。 ライトアップしているから見えるでしょ?」
「えーっ」
ちょっと寝ぼけていたこともあったが、私は混乱してしまった。
彼女は畳み掛ける。
「暗い中で、山肌が非常にくっきり見えていましたよ。きれいな山ですね。」
しどろもどろに、私は話し始めた。
「富士山は約3800m近くあって、こっからかなり離れたところにあるのですよ。大きな山ですからライトアップなんてとてもできませんよ。」
「ああ、そうですか・・・」
なにか疑わしそうな目で、私を見た。そして暫く座っていたが、やがて立ち上がってデッキのほうに歩いていった。
多分 出入り口の両側の窓から外を眺めようと思ったのだろう。
やがてがっかりしたように帰ってきて、その後は何も話さなかった。
私のほうは、この人はなぜこんな誤解をしているのだろうということ、また本当に富士山をライトアップできるのかって、一生懸命考え出した。
前者に関しては、確かに、暗い中で富士山だけが白く光っている写真を見たことがある。多分ある程度暗くなってから、コントラストを強めて撮ったのだろう。もしくは月光の中、長時間露光すれば、そんな写真になるだろう。でもそれはカメラや画像処理によって作られた写真で、人間が直接見ることはない。
この人はやはり外国の人で、富士山をディズニーランドの中にある小山みたいに考えているのじゃないだろうかと思った。海外で日本観光用の紹介記事を見たことがあったけど、富士山と東京タワーが隣り合わせに描かれていたあんな感じかな?
富士山は独立峰だから比較対象がないので、確かに写真などからサイズは読みにくく、そして作ったかのように美しすぎる。
後者のライトアップの可能性。これは考えるととっても楽しい。
将来観光日本の目玉にしたいくらい。
先ずは、富士山の周辺の雲を制御して、観光ベースで山容を眺めることができるようにしなければならない。
続いてライトアップ。
現在、地球から月まで届くレーザーがあるくらいだから、光を当てることは可能。しかし問題はどの程度の面積を明るくさせるかである。
面積を広げると、大量のエネルギーを要する。
先ずは頂上近辺にするかとか、時間制限をすればいいやとか・・・
非常に短い点滅にすると残像が残って、ずーっと輝いているように見えるかもしれない。
山腹のいろんなところから水蒸気を噴出させると、乱反射が起きて小さな面積の照射で、広い範囲が明るくなるかもしれない・・・
そして雷の利用。雷は高電圧大電流だから、その時にエネルギーを蓄えるシステムを作ってそれを使うようにしたら・・・
いろいろ考えている間に、東京駅につきました。
このお隣さんの話、その後、暇な時よりもむしろとんでもなく忙しい時に思い出して、必要な電力量とか大土木工事のイメージなど、楽しく考えさせていただきました。