空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

田原総一朗氏の論点スルーの一例

2018-08-05 13:45:04 | ノート
日経ビジネス 来年の参院選は野党が勝てる可能性がある 「安倍1強」の転換点になるか 2018年8月3日(金) 田原 総一朗

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かつては不祥事が起こると、内閣支持率は大幅に落ちていた。中選挙区制のとき、自民党内で複数の派閥があり、内部でも首相を批判できる土壌があったからだ。党内では常にダイナミックな論争が繰り広げられていた
しかし、本コラムでも何度も主張しているように、選挙制度が小選挙区制に変わり、自民党の議員たちが皆、「安倍イエスマン」になってしまった。安倍首相にこれだけ多くの問題が噴出しても、自民党内部から安倍批判の声が出ないのである。
 これは、自民党の劣化だと言わざるを得ない


 とあり、中選挙区時代の状況をよしとすれば、今は劣化状態ではあろう、というのはまあいい。今も派閥があってそれなりに離合集散しているのじゃないか、という点はさておいて。しかし

森喜朗内閣では、2001年にえひめ丸が米国の潜水艦と衝突事故が起こった以後、10%台に落ちている。第1次安倍内閣では、閣僚の不祥事が相次いだ。3人の大臣が事務所の経費に不正が明るみとなり、このうち農水大臣が自殺した事件が起こった。この時、支持率は20%ぎりぎりまで落ちた。麻生内閣では、リーマン・ショックで国内経済が冷え込み、景気を浮揚させることができなかった。そこで自民党内部で麻生降ろしが始まり、支持率は大きく落ちた

 とはいうものの、いわゆる小選挙区比例代表制は1994年成立、1996年実施というではないか。森内閣は前世代の残滓が色濃いのだ、というにしても、麻生はわりとつい最近。にもかかわらず、なぜ当時、小選挙区制のもとでみんなが「麻生イエスマン」になっていないのか―という問題がある。

 安倍第二次が異例に長く続いている理由を「みんなが安倍イエスマンになったからだ」と断じたとしても、その理由を「小選挙区のせいだ」とは、控えめにいって言いにくい。なにしろ同様の選挙制度によって、安倍第二次以前にいくつもいくつもさくさく1年程度で内閣が崩壊しているからだ。

 しかも、民主党(当時)の議員さんたちが「鳩山イエスマン」であり続けなかったあたり、やはり説明が難しい。それはやはり、選挙制度とは別の要素によるだろう。

 やはり、現行の安倍政権は一応それなりに多少は「景気を浮揚させることが」できて、しかもそのスキャンダル群は、「大臣が自殺した事件が起こ」りはしていないあたり、既に田原氏は安倍政権が崩壊しない理由を語っているのでもある。なぜこの論点の矛盾を放置するものだろう? そしてこうした諸点―閣僚の自殺にまで至るような大スキャンダルの連発、景気の決定的な減退など―が”クリア”されなければ、政権支持率の大下落が起きる見込みはさほどなく、野党期待も盛り上がらず、選挙で野党は勝てないだろう。

 彼は既にそうした答えを出しているはずなのに、なぜ「来年の参院選は野党が勝てる可能性がある」というアオリをするものだろう?

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