遺産分割調停後 更正の請求・更正処分 裁決事例 相続税

2020-02-16 12:25:47 | 相続・贈与(税)

 遺産分割調停の成立に基づきされた他の共同相続人からの更正の請求に係る減額更正処分の後に、請求人に対して行われた相続税法第35条第3項第1号の規定に基づく増額更正処分に違法はないとした事例

 請求人は、共同相続人らが共同で提出した相続税の申告を修正等する場合には、共同相続人らの間で協議の上、共同で修正申告又は更正の請求をすることが社会通念に合致するもので、請求人の同意がないままに先行してなされた他の共同相続人に対する相続税の還付手続は誤りであり、請求人に対する更正処分も誤りである旨主張する。

 しかしながら、本件では、遺産が未分割のまま申告が行われた後、遺産分割調停の成立により共同相続人らの相続税額に増減が生じたため、他の共同相続人が更正の請求をし、原処分庁は、同人に対する減額更正処分をした後に、相続税法第35条第3項第1号の規定に基づき、職権で請求人に対する更正処分をしたのであり、その過程に何ら違法な点は見当たらない。
 
 相続税法は、同法第27条第4項で、共同で申告することができる旨を定めているに止まり、共同で修正申告又は更正の請求をしなければならない旨の規定はなく、また、同法第35条第3項第1号は、「更正の請求に基づき更正をした場合において」と規定し、減額更正処分が先行することを予定しているから、請求人に対する更正処分に先立ち、請求人の同意を得ずに他の共同相続人による更正の請求及び同更正の請求に対する原処分庁による減額更正処分がなされたとしても何ら違法ではない。

 平成22年1月5日裁決

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