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ジャズの歴史番外編”ジャズのジャンル分け?”

2005-11-22 23:36:40 | ジャズの歴史
このところ「こういったジャズが聴きたいんだけど、それはジャズのなかでなんというジャンルになるの?」なんていう趣旨の質問を、いくつかの場所で数人の人からもらった。
これ結構難しい質問なんだよね。
ジャズのジャンルって何で分けるのかという定義が曖昧で、好き勝手な基準でバラバラに区分けされてて、さらに1人のアーティストがいくつものジャンルをまたいで活動をしていたりするもんだから、ややっこしいこと甚だしい。
だから今日はジャズのなかの各ジャンルが、いったい何を指す言葉なのかということを、思いつくジャンルを片っ端から羅列して、その意味を明らかにしていってみようと思う。

■ニューオリンズジャズ
これは「生まれたてのジャズ」そのもののことね。
20世紀初頭、創世記のジャズそのものを指す。ジャズが生まれたときにはジャズと言えばこれしかなかったとわけで(笑)、ズバリ「初期のジャズ」そのものを指す言葉と言っていいでしょう。

■ディキシーランドジャズ
ニューオリンズジャズと同時代、それを「白人が模倣したジャズ」のこと。つまり「動向」を指す。
「初期の白人ジャズ」を指す言葉と言っていいでしょう。

■アーリージャズ
ニューオリンズジャズ、ディキシー双方の、ジャズの創世記の「時代」を指す言葉。

■オールドジャズ
モダンジャズの対義語として、「モダンより前のジャズすべて」を指して使われる。つまり「時代」を指す言葉。
ジャズの誕生から後述のスイングジャズまでのジャズをこう呼ぶのね。

■スイングジャズ
「30年代に隆盛した、ビッグバンドによるダンスミュージックとしてのジャズ」を指す。つまり「動向」を指す言葉でしょう。
キーワードとして「30年代、ビッグバンド、ダンスミュージック」の3つがポイントでしょう。

■モダンジャズ
オールドジャズの対義語として、「ビバップ以降のジャズすべて」のこと。まぁ「時代」を指す言葉としていいでしょう。
後述する「ビバップ」の誕生がジャズにとってあまりに革命的な大事件だったので、それ以前と以降を分けて考えるようになった。つまりこれ以降に述べるジャンルは、一応すべてモダンジャズと言っていい。

■ビバップ
これは完全に「演奏法」を指す言葉だね。
40年代に起こった流れで、コードをなぞるアドリブ、振り幅の激しいフレージングなどが特徴。これ以降はモダンジャズの時代に突入する。

■クールジャズ
40年代に、クールで知的な雰囲気のジャズを志向していこうとした「動向」を指す言葉。
演奏法としてはビバップを基本におくものと、ビバップとは異なる独自の手法での往き方を採っていた派閥とがあって、この辺はややこしい。

■ウエストコーストジャズ
50年代前半に、ハリウッドを中心とした西海岸で起こった白人を中心としたジャズの隆盛、つまりは「動向」を指す言葉。
クールジャズからの影響を受け、演奏の雰囲気にひとつ傾向は認められるが、独自のスタイルといえるほど固定されていたわけではないし、またシーンには黒人も多数いたので、定義づけるのがかなり難しい言葉。年代と地理で区切るのが妥当か・・・・・。

■ハードバップ
ビバップに、アンサンブルやヘッドアレンジ、長尺なソロなどの、形式的な洗練を加えていったスタイル。つまりは「演奏法」を指す言葉。
年代としては50年代の中頃から始まった。

■ファンキージャズ
ハードバップのうち、黒人色を前面に打ち出していった、「ハードバップのなかの一分野」をこう呼ぶ。つまり「動向」指すと考えるといいでしょう。
演奏法としてはハードバップなわけだ。同様なハードバップの支流として「ソウルジャズ」もある。

■中間派ジャズ
スイングジャズの巨匠たちが、50年代に入ってスモールコンボで活動を繰り広げていった「動向」を指す。
オールドジャズとモダンジャズの中間に位置するとして、こう呼ばれる。

■ジャズロック
60年代、ハードバップを基本としてロックの手法、主にリズム(8ビート)を導入して演奏されたジャズ。ただし以降の年代にロックにアプローチしたものをジャズロックとは呼ばない。よって演奏法ではなく「動向」を指す言葉と捉えたほうがすっきりする。
ムーブメントとしては小さいもので、後世のロック調のジャズに影響を与えたとは言い難い。

■フリージャズ(演奏法を指す)
50年代中頃から始まった、楽理による束縛を排除して演奏しようと試みたジャズ。つまりは「演奏法」を指す。
純粋に演奏法を指す言葉なので、↓の「ニュージャズ」とは区別したい。

■ニュージャズ
50年代から60年代にかけて、それまでのジャズを古いジャズと捉え、新たなジャズの動向としてフリージャズに取り組んでいった派閥の「動向」を指す言葉。
つまりニュージャズ派の演奏する音楽はフリージャズなのね。

■モードジャズ
脱ビバップとして50年代中頃から試みられた、コードによらず音階によりメロディを組み立てて演奏するジャズ。つまり「演奏法」を指す。
これも純粋に演奏法を指す言葉で、↓の「新主流派」とは区別したい。

■新主流派
モードジャズを基本として、ニュージャズ派の影響も取り入れつつ形式的な洗練を目指していった「動向」をさす言葉。つまり演奏法ではない。
60年代のジャズ界に大きな派閥として隆盛を極めたので、新しいジャズの主流としてこう呼ばれた。

■フュージョン
ジャズミュージシャンが、ロックやポップスのみならず民族音楽や電化など、世界の様々な音楽の影響を取り入れて、新たに作り上げていった音楽。演奏法としての方法論は一定ではなく、「動向」を指す言葉としていいでしょう。
ここら辺からジャズの拡散は加速度的に広がっていき、収拾がつかなくなる(笑)。

■ロフトジャズ
70年代後半に、プロモーターの意向に縛られずに演奏したいという動機から、ロフト(ミュージシャン運営のスタジオやクラブ等)において行われたジャズの演奏活動。つまり「動向」を指す。「年代と演奏の場所」で定義できるかな。
演奏法としてひとつに括れるスタイルは無い。

■新伝承派
80年代に起こった、伝統に根ざした4ビートジャズ復興のムーブメント。「動向」を指す言葉ね。
フュージョンによって限りなく取り留めない広がりを見せていたジャズシーンを、「本道はここだ!」と、ジャズがジャズたる道筋を示しなおしたという意味で、ジャズ史において極めて重要な動きだといえるんだけど、なぜか最近は死語になりつつある。

■M-Base派
80年代に、あくまでジャズをベースとしてファンク、ロックやラップなどを取り入れていこうとした「動向」を指す言葉。フュージョンが脱ジャズ志向だったのに対して、これはジャズが基本にあるのね。
共鳴するミュージシャンたちがブルックリン近辺に居を構え、近しく活動していったことから「ブルックリン派」と呼ばれていたこともある。

■アシッドジャズ
80年代中盤くらいからかなかな・・・・・Hip Hopの影響によって、過去のジャズの音源のサンプリングやリズムパターンを用いたりした、ダンス色の濃いジャズ。
これを純粋に演奏法であるとするのは、個人的にちょっと抵抗がある。「動向」を指す言葉としておきましょう。

■コンテンポラリージャズ
80年代後半くらいからかな・・・・・年代を区切るのはちょっと難しいけど、フュージョンに傾倒したジャズアーティストたちが、ストレートアヘッドなジャズに再び戻ってきたところから始まる。またそれらの影響を受けた若手の台頭も含めて、4ビートジャズを推進していった流れ。つまり「動向」を指す言葉だね。
新伝承派との違いは、伝統色がこちらの方が希薄なこと、かな。派閥としても違うし、音楽的な傾向も明らかに異なる。

■スムースジャズ
コンテンポラリージャズの延長線上に生まれた、「耳に引っ掛かりが無い」をコンセプトにした、イージーリスニング的なジャズ。
音楽的な傾向はかなり明確だけど、演奏法としては一定じゃない。つまりこれも「動向」を指す言葉だね。

こんなとこかな・・・・・思いつくだけ全部書いてみたんだけど、まだひねり出そうと思えば出そうだな。
同じジャズでもこんなにジャンルがあるのかよ(笑)。
このなかでジャズ史を解するに重要だと思うものは、「ジャズの歴史」本文に載せるし、各ジャンルの代表的なアルバムの紹介なんかも歴史シリーズの最後にやるつもりでいます。
とりあえず今回は、ジャズがこんだけ色々あってわけ分からん音楽なんだってことで(笑)。

ではでは。

1 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-03-19 18:36:59
「動向」というより「意向」なのでわ
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