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俺流「ジャズアーティスト分類グラフ」

2005-11-15 14:20:44 | ジャズの話題
今日は僕がジャズのアルバムを収集するに当たってよくやる、軽いお遊びを紹介しようと思う。
「風雨来記2」をやっててネタがないので、簡単に済まそうってのが大きいんだけど(笑)。

まず方眼紙をなどを使って、10×10の升目の紙を用意する。外側に余白がある程度あった方がいいでしょう。
それの縦横の中心線に線を引き、十字を作る。
で、その中心線の十字の上端に「プロデューサータイプ」と書き込む。
同様に中心線の十字の下端に「プレイヤータイプ」と書き込む。
同じく中心線の十字の右端に「インプロヴァイザータイプ」と書き込む。
さらに中心線の十字の左端に「コンポーザータイプ」と書き込む。
これ、なんだか分かります?。
ジャズのアーティストごとの傾向を分類するためのグラフね。
活動の傾向や演奏の傾向を鑑みて、その人がこのグラフ上のどこに位置するか、点を打って分類するために使う。
縦の軸は、そのアーティストが楽器やメンバーの構成から曲、企画からサウンド全体に至るまで構築することを好む「プロデューサー」タイプか、それとも純粋にその楽器を演奏することに打ち込む、所謂「プレイヤータイプ」か、を表す。
横の軸は、そのアーティストのアドリブソロが、感覚的に降って湧いたフレーズを畳み掛ける「インプロヴァイザータイプ」か、頭から終わりまでの構成を意識して、曲になったソロを取るような「コンポーザータイプ」かを表す。作曲能力がどうとか、どれだけ曲を書いているかはまったく関係なく、あくまでアドリブソロのみをクローズアップしての話ね。
10×10の升目なので、中心をゼロとして縦横それぞれ5段階評価、外周に近づくにつれてその傾向が強いということになる。
このグラフだと、中心軸の十字に対して右上の範囲に属するアーティストは「感覚派バンドリーダータイプ」と分類する。左上の範囲に属する人は「知性派バンドリーダータイプ」と分類。同じく右下の範囲に属する人は「感覚派演奏家タイプ」、左下は「知性派演奏家タイプ」に分類される。
誤解の無いように言っておくと、この「感覚派」「知性派」というのは、別に感覚派に知性が無いということではなく、あくまでアドリブの傾向を表してのことね。

実際に分類してみると、例えばジャズの帝王Miles Davis(マイルス・デイヴィス、tp)は、この人は間違いなくプロデューサータイプだよね。縦の軸は中心から上方3としておこう。
横の軸は、この人のソロは、パラパラと感覚的に吹き流す感じではなく、メロディの秩序や構成を気にかけたものが多いように感じるので、中心から左方3あたりにしとくか。
つまり僕の分類だとMilesは左上、「知性派バンドリーダータイプ」に属するわけだ。
同様に色々なアーティストをグラフ上に打点して見ましょう。
Milesバンド卒業生の3大ピアニスト、まずHerbie Hancock(ハービー・ハンコック)は、この人はソロやトリオでのアルバムは圧倒的に少なくて、伴奏者としての位置を好む。時代ごとにいつもある程度編成のある、コンセプト色の濃い活動をしてるよね。ただ、ソロに関してはどちらかというとセンスで弾いてるように聴こえる。上方4、右方2の「感覚派バンドリーダータイプ」だ。
次、Chick Corea(チック・コリア)。この人は活動が極めて多岐に渡るのでちょっと難しいんだけど、やっぱバンドリーダー色が強い。で、ソロに関しては、とびっきり構成を考えて曲になったソロを取ることが多い。だから上方3、左方4の「知性派バンドリーダータイプ」となる。
Keith Jarrett(キース・ジャレット)、この人はヨーロピアンカルテットなんかの活動もあったけど、もう長い間トリオとソロを中心にしてる。ソロの演奏を聴くとよくわかるけど、アドリブは極めて感覚的、というよりこの人が「なにものにも方向性を左右されない純粋な創造」なんてものを目指しちゃったりしてる。つまり極めてインプロヴィゼーションを重視する。下方4、右方4の「感覚派演奏家タイプ」。
だいたいイメージつかめました?。
40年代の、Charlie Parker(チャーリー・パーカー、as,ts)をはじめとしたバッパーたちは、ほとんど右下の「感覚派演奏家タイプ」が多いと思うんだよね。Stan Getz(スタン・ゲッツ、ts)なんかもこのタイプでしょう。
逆に「知性派バンドリーダー」タイプは、例えばDuke Ellington(デューク・エリントン、p,com)とかかな・・・・・Wynton Marsalis(ウイントン・マルサリス、tp)はとびっきりの「知性派演奏家タイプ」でしょう。
まあこんなふうに使うのね。

「そんなもん、1人のアーティストでも色々な活動してるんだから、簡単に言えることじゃねぇだろ」なんていう突込みがありそうですが、それはその通り(笑)。これはあくまで「どの傾向が強いか」を表したものに過ぎない。
で、アーティスト個人をもっと深く掘り下げてみたい場合は、そのアーティストのアルバムそれぞれに対してこの分類を適用するのね。
その人のキャリアの各アルバムごとにグラフ上に点を打っていってみる。で、アルバムの録音年月日順に点を線で結んでいってみると、そのアーティストの音楽的変遷が一目で分かって面白かったりする。さらに、自分の好きなアルバムの傾向も、これによって分かってきちゃったりするのね。
活動があまりに多岐に渡っていて、上下にグリングリンと線が行き来しちゃうミュージシャンもいるだろうけどね(笑)。

僕は暇なときにこんなお遊びをしてるんですね。
あくまでくだらないお遊びなんだけど、数年たってから同じアーティストや同じアルバムに対して分類をやり直してみると、自分の感性が大きく変わっていることに気づいたりする。
結構面白いですよ。

ではでは。