近所の区立図書館に「ご自由にお持ちください」コーナーがあります。
館で廃棄処分になった雑誌や、市民が持ち込んだ「値のつかない」本がほとんどです。
いつもは素通りするのですが、なんとなくのぞいてみました。
そうしたら。
トロツキー著「ロシア革命史」藤井一行訳、角川文庫。全6巻揃い。
紙は焼け、傷んだ風情が、並ではない存在感を放ち、しかし誰からも相手にされない、
その有りように、私は強く惹かれて、自分が引き受けなければならないような、そんな気がして、頂いてきました。

家に帰ってページをめくると、傍線や書き込みがぎっしり。
熱心に読み込まれた本でした。
奥付は第一巻昭和34年(1959年)6月20日 三刷発行
第六巻昭和35年(1960年)8月15日 初版発行

そして、第4巻の巻末には、万年筆で
「一九六〇、六、二五 安保斗争の敗北感の中で。」という書き込みが……。

1960年6月15日、改定安保条約批准を阻止しようと学生等約7000人が国会に突入。樺美智子22歳死亡。
同6月19日、新安保条約成立。