小平では100メートルあたり160-240本もの高密度の樹木があることがわかり、やはり小平の玉川上水の林は豊かだということが裏付けられました。9月になっていよいよ最後の場所である小金井の調査をしました。北側には五日市街道があり、大きなサクラが点々と並んでいます(図1)。9月1日に、関野橋(関野橋-梶野橋)、平右衛門橋(平右衛門橋-関野橋)、9月8日には陣屋橋(陣屋橋-新小金井橋)、小金井橋(小金井橋-陣屋橋)を調べました。
調査地の景観1. 手前が五日市街道
調査地の景観2. 左側が五日市街道、右側が玉川上水
このあたりでは道路沿いにサクラの大きな並木があり、内側に低い柵があって幅1.7 mほどの歩道と境をなし、上水側には高さ1 mあまりの高めの柵があります。この内側は3-4 m幅の平坦面があり、その奥は急斜面となります。斜面の方同士は10 mほどで、水流は4 m前後です。柵の内側は草原でススキやセイタカアワダチソウなどが多く、場所によっては若いサクラの苗木が植えられています。
小金井の玉川上水の断面図(垂直方向は不正確)
結果をまとめてみると、本数は100メートルに100-130本で、やはり小平の6割程度に過ぎませんでした(表1)。しかも直径ではサクラだけが太く、それ以外は5 cm未満でした。本数では陣屋橋と平右衛門橋ではサクラが最多で、小金井橋ではアカメガシワ、関野橋ではヌルデが最多でした。
表 1a. 小金井橋での平均直径と本数(100m)
表 1b. 陣屋橋での平均直径と本数(100m)
表 1c. 平右衛門橋での平均直径と本数(100m)
表 1d. 関野橋での平均直径と本数(100m)
直径の太い樹木から細いものへ並べると4箇所ともL字型に折れました。他の場所のように低木に常緑樹が多いということはなく、すべて落葉樹であったので、小金井だけサクラとその他に分けました。するとサクラだけが太く、その他は5cm以下でした(図2)。陣屋橋では柵内に若いヤマザクラの苗木が植えられていたので、細い部分にもサクラが多くありました。
図2a. 小金井橋での樹木の直径を大きい順に並べたグラフ
図2b. 陣屋橋での樹木の直径を大きい順に並べたグラフ
図2c. 平右衛門橋での樹木の直径を大きい順に並べたグラフ
図2d. 関野橋での樹木の直径を大きい順に並べたグラフ
以上のような結果は、当然のことながら東京都と小金井市が実施してきた「桜だけを残して、他の雑木は皆伐する」という事業の「成果」がみごとに達せられて、サクラだけが「一人勝ち」でした。そして、他には刈り取られてもすぐに回復できるヌルデやアカメガシワのようなパイオニア種が、春からこれまでに背を伸ばして調査対象に引っかかったということです。このような環境が野鳥に不適切であることは自明のことです。
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