玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

小金井市議会への陳情書について

2021-06-04 16:40:47 | 記録

玉川上水の名勝小金井(サクラ)復活プロジェクトの検証及び今後の整備は、市民の理解と合意を得て進めることを求める陳情書(こちら)を提出したことの背景など

 

小金井玉川上水の自然を守る会 共同代表  橋本承子、田頭祐子  

 

■陳情の要旨

1. 今後の整備のあり方について市民の意向を調査してください。

2. 樹木と法面崩壊の関係などの調査と検証を行い、今後の管理に反映させて下さい。

3. 整備区間のひこばえは皆伐せず、未整備区間の整備は、近隣市とも意識を共有して行って下さい。

 

■陳情書の提出に至った経過・理由

平成22年(2010)から始まった小金井地区の伐採では、毎年現地で市と東京都と共に立ち会い、「法面を守り、桜の生育を阻害しない木は残す」と市は約束してきました。しかし、2021年の正月明けからの伐採作業では、「残せる」と言っていた木が伐られ、市民との約束は守られませんでした。

12月の立ち合いでは残せるはずのコブシの木には、1月になり伐採の印である赤いテープが巻かれました。それを見た近隣住民によって、コブシの幹には「このコブシを切らないでください」と書いたカードが括り付けられました。しかし、この周辺にはたった1本しかないコブシの木は、法面にあったとの理由で蕾をびっしり付けたまま伐採されました。せめて花の咲いた後に伐る、高い枝だけ剪定する、などの手法もあったはずです。このような生物多様性を顧みない強度伐採は、これまで積み重ねてきた市民と行政の信頼関係を損なうものです。玉川上水全域の史跡としての価値へも影響します。このような事実経過が、陳情で訴えなければと思い至った直接の動機です。

 

■陳情の狙い

この10年で玉川上水の小金井区域には、夏の暑さをやわらげる緑陰は無くなりました。ここを見た市民たちの意識も、「小金井なんだから小金井サクラ優先」から「ここまでやる必要はない。やりすぎだ」と変化しています。新たな市民意向調査の実施によって今後の整備は、「桜だけでなく、他の樹木も共存する整備」へとシフトする根拠にしたいと考えます。

そのためにも、樹木伐採による法面の乾燥・崩落との関係などは、現計画を進める立場の専門家だけでなく、多面的に検証して欲しいと期待します。

また玉川上水全体の価値について、史跡保護や生物多様性の視点を持ち、市民参加で議論できる場を作る事も訴えたいと考えています。