玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

水道局による説明会 井の頭コミュニティセンター(高槻)

2022-10-05 23:53:27 | 最近の動き
2022年10月4日に井の頭コミュニティーセンターで水道局による説明会があり、そこに参加したので私の感想を報告しておきます(高槻)。


 20人ほどの市民参加があり、会場はほぼ満席でした。水道局境浄水場課長代理の加藤さんが説明をし、井の頭の下流の2カ所で崩れがあるのでこれを防止するための工事をするということで、その必然があることの説明でした。私はそれを聞きながら、次のことを考えました。

1)該当場所に工事の必要があるのはわかるが、なぜそれ以外の場所が必要がないと言えるのかがわからない。
2)当該の2カ所でも一方は崩壊が起きているが、もう1カ所は崩れはあまりなく、むしろ斜面下方で体積があるという違いがある。なぜそういう違いがあるのか。
3)3本の樹木を伐採するとしているが伐採は崩れを促進するから不適切である。
4)植生シートに種子が入っているというが、これは外来種であり、望ましくない。
5)同じような説明にだらだらと時間をかけすぎる。

 説明が終わった時すでに7時15分で、残り時間が15分しかありませんでした。質疑に入り、鈴木さんが発言しました。鈴木さんは私が感じた2)の問題を突き、崩れの状態が場所によって違うので、その違いが生じる原因を解明しなければ解決できない、今行っているのは表面的なことであり、これまでの整備計画で「崩れを抑止するには樹木を伐採するのがよい」としてきたことを検証する必要があるという発言をし、会場から拍手が湧きました。また、土壌流失について多くの場所で調査をした上で工事箇所を決めるべきだということも言いました。一方、鈴木さんは説明会が7月についで今回も行われたこと(こちら)を評価し、自分たちはなんでも反対しているのではなく、良い玉川上水にするために発言をしているのであって、多くの意見を聞いて欲しいという発言もして、これにも拍手がありました。

 私も発言を求め、3)と4)について説明しました。3)についてはたまたま先週、朝日新聞に連載されていた「山が崩れる」の記事を取り上げ、水道局にこれを読んだかと聞きましたが、読んでいないということでした。そこには日本の林学、砂防学では、樹木が伐採されれば土砂崩れが起きるというのは常識であり、1本の木があるだけで葉が雨を受け取り、根が給水して蒸散させる、また下草や落ち葉さえも雨滴が土壌を叩くのを防いで表土流失を防ぐことが書いてあります。そういうことも知らないで、崩れたから工事のために樹木を伐採するというのは、不適切なことです。加藤氏は「よく勉強させてもらいます」という返事でした。3)については外来種ではなく日本の植物だということでしたが、それでも「国内外来種」であり、問題であることに間違いはありません。これについては植物を検討するという返事でした。

 次に田村さんという建築士で土木工事の専門家が発言され、松影橋で起きているのは伐採によって保定力を失い、表面浸食だけでなく表層崩壊(地すべり)が起きている、危険な状態にあり、崩れれば水を止めることになる、伐採して何年経過したのかと聞きました。8年くらいという返事があり、田村さんはその間放置して崩壊するような状態にしたのは問題であり、崩壊が起きたら誰が責任を取るのかと、強い調子で迫りました。これに対する返事はなかったと思います。このことは鈴木さんの質問や私の1) とも関係し、全体を広く見て状況を把握した上で工事の必要どの優先順位を決めるというステップを踏まないで、我々にはわからない基準で2カ所が取り上げられ、その場所の説明だけされており、いびつな状況だと思います。この後有賀先生が植生シートは実験をしたのかなどの質問をし、これには別の場所で実績があるという返事がありました。

 この辺りですでに7時半になり、水道局は打ち切りたいようでしたが、フランシス・コーザさんが会場にきた多くの人の意見を聞くべきだと発言し、自身で次のような発言をしました。玉川上水の樹木は伐採しすぎている、樹木伐採は地球温暖化などにも悪影響があり、むしろ木を植えるべきであり、我々の税金を使って伐採をするのは税金の無駄使いだと言いましたが、この発言中に、「自分の考えだけが正しいようなことを言うな、私は玉川上水の近くに住んでいて木が伸びすぎて困っている。自分の庭にある木は切るはずで、木は切らないといけない」という発言があり、私はその発言自体に驚くとともに、会場には樹木保護だけでなく伐採推進派も来ていることにも驚きました。この会は地元の人向けの説明をするものであるかもしれませんが、私は玉川上水全体の問題の一つと位置づけて参加しました。また水道局の考え方を知りたいという気持ちと、会場での意見交換を見たいとも思って参加しました。地元の人からすれば、外から来て勝手なことを言うなという気持ちもあったかもしれません。しかし、玉川上水を良い状態で次世代に引き継ぐという大きい目的は都民全体のことであり、都市の緑をどう守るかという普遍的な問題でもあります。いずれにしても伐採推進派を含む多様な意見を持つ人が参加した集まりであれば、なおさら十分な時間をとって納得できる意見交換がして欲しかったと思いました。

 有賀先生の奥様が、玉川上水の歴史的背景を知ることの重要性を話されました。自分は40年以上、玉川上水の近くに住んでおり、ずっと見てきた。松影橋は名前の通り、松がたくさんあったが、ある人の要望で伐採されてしまった。そういうこれまでの歴史も考えて管理の仕方を考えなければいけないという内容でした。
 時間がなくなったのでここで強引に打ち切られましたが、このような本質的な発言も担当者にはどれだけ伝わっただろうかと思いました。そういうことよりも、現場の具体的な作業で頭が一杯で、歴史的経緯までは思いが及ばないという印象です。このことは水道局だけでは無理で、東京都の玉川上水に関わる部局が縦断的に取り組まなければ実現しないように思いました。


緑地事務所職員と現地視察会

2022-10-03 15:04:21 | 最近の動き

記念撮影

2022年10月3日、懸案である「黒柵」の現地視察会をしました。黒柵とは小平監視所下流に新しく設置された柵で、高さ1.1メートル、縦棒の間隔が11 cmで、その棒が直径5 cmほどの太いものなので、強い威圧感があり、斜めから見ると黒い塀があるように見えます。


 しかもこの黒柵が鷹の台の方にも延長される計画があると聞いたので、それはなんとしても思い直してもらいたいということで、これまで二度、担当の建設局の東京都西部公園緑地事務所に出向いて我々の考えを伝えました。一度目は管理計画に従った計画であり、変更するつもりはないという対応でしたが、二度目は大きく変わり、市民の意見を聞きながら進めたいという対応になりました。
 その後、小平市議の水口さんが働きかけて一緒に現地を見てもらおうということになり、現地視察会が実現しました。これと並行して要望書を書きました(こちら)。これは水口さんも一緒に作ったのですが、市議の立場で出すよりも市民の意見として出した方がいいということになり、玉川上水みどりといきもの会議と「ちむくい」で出すこととし、今日緑地事務所に手渡しました。

 さて、10時に玉川上水駅に10人ほど*が集合し、そこから下流に向かって歩きました。この辺りは上水の幅も広く、水量も多くて、印象が違います。太いアカマツやナラ枯れのコナラがあったので、この辺りには数は多くないが太いアカマツがあり、樹齢は相当高そうだこと、ナラ枯れは太い樹木に偏っていることなどを話しました。

小平監視所の少し上流で説明をする

 小平監視所を脇に見ながら「清流復活の碑」のところまでいき、そこを降りて、玉川上水の下まで行きました。松山さんにここから下流は処理水である説明をしてもらいました。CODが5程度で、水質も良いそうです。ここで記念撮影をしました(冒頭写真)。

*参加者 
永田課長、わたなべ、松浦(以上東京都建設局西部公園緑地事務所);大塚、尾川、小口、加藤、岸、澤口、高槻、辻、長峰、松山、水口、リー

 歩道に戻るとすぐに黒柵が見え、しばらく歩いたところで意見交換をすることにしました。


続く黒柵、撮影加藤嘉六

 初めに、花マップの冊子、いきもの会議で作った鳥類調査の報告パンフレットと、玉川上水のアンケート冊子を永田課長に手渡しました。

野鳥調査の結果を説明する高槻(中央)、撮影加藤嘉六

 ここで水口さんが要望書を手渡しました。

要望書を手渡す水口さん(左)と受け取る永田課長(撮影加藤嘉六)

 私から、「この柵には強い違和感がある、玉川上水駅のあたりから上流にはこれより高い柵があり、安全上の問題はないし、縦棒が細いので視界の閉鎖もない。それに比べるとこの黒柵は威圧感があり、我々と中の植物の間を隔離するような印象がある。このあたりは玉川上水全体の中でも緑が豊かで歩く人も多いので、これを延長しないで欲しいという思いが強く、そのために現地視察会をすることになった」という説明をしました。その後、皆さんから次のような意見がありました。

大塚さん:杉並区は横柵で、自然と親しみやすいが、三鷹市上流は縦柵が多い。縦柵は外来種を取りにくく、外来種が増えている。悲しい思いをしている。親しめない。

大塚さん(中央)

リーさん:こういう高い柵では子供が中を覗けなくなる。


リーさん(中央)撮影、加藤嘉六

岸さん:小平4小の子供に玉川上水で歴史や自然の教育をしているが、こういう柵ができると子供の目に入らず、自然との距離ができてよくない。

岸さん(右)撮影、加藤嘉六

澤口さん:近所に住んでいるが、この柵は柵というより塀のように感じ、気持ちが暗くなる。
長峰さん:花マップでこの区画を分担しているが、この柵ができてから中を覗く気がしなくなった。

長峰さん(右)

 これらは自然観察とその子供むけの教育にとって黒柵が適していないという意見でした。私が黒柵と玉川上水駅上流の柵との単価を聞いたら、黒柵の方が高い(詳細は不明)ということであった。その後、リーさんから泥の跳ね返りがあって見栄えが良くないという意見がありました(「続く黒柵」の写真参照)。
 それから鷹取さんから意見がありました。鷹取さんは長年玉川上水を見てこられ、半世紀前は木などあまりなかったが、それが今日まで大きく変化した。東京都にはこの緑地をどのようなものにするかのビジョンを示してほしいという意見がありました。また現在の歩道も、以前は畑で分断されるので、歩く人は大きく迂回しないといけなかったこと、上水に水がない時代があり、お子さんが玉川上水の底に降りたという話、1975年の条例によって保存樹林とされた樹林が小平には32カ所あったが、今は20カ所しか残っていないなどの話も聞きました。

鷹取さん(中央)(撮影、加藤嘉六)

 予定の時間になったので、玉川上水駅に戻ることにしました。そこから小川で乗り換えて鷹の台駅に行き、そこから鷹の橋を渡って東鷹の橋から下流を歩きました。この辺りは最も林の状態が良いところで、低木類(シラカシなど常緑樹の低木やムラサキシキブなどの落葉低木)が豊富であるため、鳥類にとってもすみ良い林であることなどを話しました。またこの辺りは去年、今年でかなりのコナラがナラ枯れになったので、その話もしました。

 最後に緑地事務所の永田課長から以下の見解を聞きました。
1)皆さんの意見を聞いて、このあたりの玉川上水では自然観察活動が盛んに行われており、あのような柵はその妨げになることの認識を持った。
2)柵の高さについては、安全性だけでなく景観を考慮しないといけないと考えている。安全性ということでは計画書にある考え方から高さ1.1メートルなどは順守することになる。ただし柵の形状などは景観にも配慮したい。この辺りでは「平場」が広いが、だから柵が低くても良いことにはならないと考える。
3)柵内作業のための門扉については水道局は不要という考えなので、もし必要であるというのであれば水道局に要望してほしい。
4)東京都の縦割りの問題は認識しているが、現状整備計画に基づいている。
5)黒柵の延長を後倒し(今年度は行わないことにした)にしたことについて。水道局との話し合いの中で、考え方や具体的な場所の状況などについて検討すべきことがあること、またみなさま市民の声も考慮して、急いで今年度は実施すべきでないと考え、今年度は実施しないことにした。

説明する永田課長

4)については高槻が、計画は10年で終わったので、税金を使って実施したのであれば、終了時点で評価した上で、継続なり修正なりするのが常識であり、評価なしにずるずると継続するのはあり得ないと発言した。しかし建設局としては、水道局が継続しているので、それに従うしかないという意見でした。
 またどのような柵にするかは今後検討し、市民の意見を聞くつもりだが、その場合に皆さんの望むものと違うものになる可能性もありうるが良いかという確認がありました。高槻は民主的であればそれで良いと返事しましたが、尾川さんは、「この過程の中で決まるならいいか」と言われたが、どういう情報提供をして、誰にどういうふうに意見を聞くかによって、プロセス自体の意味が異なるので、そのままいいとは言えないと発言しました。リーさんはアンケートをする場合、写真を見せるだけではわからないこともあるので、現地を見るなどの必要があると発言しました。最終的には、「アンケートは質問の仕方によって回答も違うから、客観性を持たせてほしい。その場合、これまでのように建設局だから安全性を優先するというのではなく、市民にとっては安全性だけでなく、自然を大切にしたいという声が多いのだから、景観や生物多様性も含めて総合的に判断してほしい」ことを伝えました。
 辻さんは「歩道を挟んで玉川上水の方には柵があるが、用水の方には何もない(これについては用水は小平市が管理しているので違いがあるということでした)。しばらく前までは私たちが意見を言っても、とりつく島がないという感じだったが、こうして現地に来て、意見を聞いてもらえるなんて思ってもいなかったので、大変ありがたい」という発言をしました。

 最後に私が次のように言いました。「私もこれまで行政に働きかけても、聞く耳は持たず、<たくさんの声があるから皆さんの意見もその一つで、決めるのは私たちです>というような姿勢をとられてきて失望することが多かった。それが今回、このような形で現地視察が実現したことは驚きでもあり、喜びでもあります。我々にとっては玉川上水がどうなるかは東京都に期待するのであって、その中がいくつもの局に分かれていて、この問題はウチの担当ではないと言われても困るので、ぜひ都民の声を聞いて総合的な考えでどうすべきかを考えてほしいと思います」

説明する高槻(右)(撮影、加藤嘉六)

 そしてお礼を言って解散にしました。

写真公開は了解を得ています。加藤さん撮影の写真を使わせてもらいました。内容の一部は尾川さんのメモで確認、修正させてもらいました。


三鷹市区域の玉川上水整備に関する説明会 報告(鈴木)

2022-07-09 22:30:08 | 最近の動き
7月8日に井の頭コミセンで三鷹市区域の玉川上水整備に関する説明会があったので内容を報告します。

管理者側参加者
水道局9名、東京水道(株)2名、三鷹市1名(三鷹市緑と公園課)、

境浄水場場長の富永さんの挨拶があったあと、スライド映写で今年度の整備の説明が始まりました。
昨年までは整備活用計画の中身を説明し「それに添って整備します」というような形でしたが、今年は整備活用計画は説明せず、下記の3点を方針として説明しました。

1:台風や強風で倒れた樹木の除去、枯死している樹木の除去
2:成長により周辺住宅、歩行者、車両に影響を与えている樹木の管理
3:警察や道路管理者からの指示による管理

この3点に関して、現地の写真を映写して説明がありました。これまでと同じですが、家屋との接触、歩行者や車両との接触、標識や信号が見えない箇所など、これらの管理は妥当なものと思います。
そして、管理のお知らせは橋に近いところに掲示板を設置して1か月前に告知するとのこと、対象の樹木には赤テープ(伐採)、青テープ(剪定)を巻き、これも1か月前に巻いて知らせるとのこと。
昨年、市民の方からも「告知をもっと徹底して欲しい」という意見が出ていたので、掲示方法などを改善していただいたようです。

去年までは整備活用計画にある『高木は危険だから除去』『法面を壊すから除去』『眺望の確保のために除去』というのを管理の理由として挙げていましたが、今年はその説明はありませんでした。現在の整備活用計画は、玉川上水を文化財として保存することを主目的にしていて、自然の保存は二の次にされている内容です。ところが過去の新聞記事でもわかるように、文化財としてだけでなく『岸辺の雑木林ともども永久保存』というのが本来の玉川上水の保存目的です。こういった過去の経緯が明らかになってきたことや、三鷹市議会や三鷹市長から要望書が出たことも影響して改善していただいていると感じました。

続いて、法面補強の計画がまた出ました。今回は幸橋新橋ではなく、宮下橋上流右岸の20メートルと東橋長兵衛橋間の130メートル(左岸)、135メートル(右岸)で法面補強工事を行う予定とのこと。

宮下橋上流20メートル・・・高密度ポリエチレン工法(重機不要で人力でできる)
法面平坦部と法肩は良い状態(過去に段々にする工法をしてある)なので、法面中部から法尻にかけて施行する。
法面中部と法尻はかつて玉石が積まれていたのが崩れている。
ポリエチレンでハチの巣状の枠を組んで、中に客土して法面を補強し、その上に植生シート(肥料と在来種の種入り)のものを被せる。
法尻は水による浸食を防止するため擬木杭と擬木板をあてる。
このカバー工法のために3本の樹木を伐採する予定。

東橋長兵衛橋130+135メートル‥‥連続繊維補強工法
この箇所は垂直面が多く、土壌流失が多く、補強が必要。
ポリエステル繊維と砂を混ぜて法面に吹付け、法面と結合させ崩落を防止する。
その後の植生カバーと法尻の擬木は宮下橋の工法と同じ。
要するに井の頭橋~松影橋間でやったのと同じ工法です。しかし、この工事では樹木の伐採は0本でやる予定とのこと。

井の頭橋~松影橋のように、現存する樹木のほとんどを伐採したうえでカバーを掛けることに比較すれば、伐採本数を0本にして計画していることは評価できるものだと思います。しかし、130メートルもの距離の法面が、本当に補強する必要がある状態なのか?は疑問が残ります。
木を切らないとしても石綿のような化学繊維と化学物質の素材を吹き付ければ、多少の草木は生えてきますが、自然環境としてはマイナスになると思います。

続いて昨年出た質問への回答がありました。

1:整備活用計画は当面延長としているが、当面とはどのくらいか?
A:大型台風への対応や法面の補強が必要な箇所があるので整備活用計画は続ける。『当面』はとく期間を定めていない。

2:整備活用計画を見直さないのか?
A:現段階で見直しの段取りは無い。整備をすすめながら検討していく。

3:枯木や倒木が放置されている
A:放置しているつもりはない(でも放置されてるけど)

4:法面の崩落量を実測しているのか?
A:やっていない。しかし法面補強工事をする際には測量し、過去の測量データと比べることで崩落量を把握できる

5:土圧やN値の測定を工事前にやっているのか?やっているなら数値を出せ
A:仮設構築物指針にしたがって測定などやっている

10年計画の「整備活用計画」はもう期限が切れています。そして計画の内容が文化財保存に偏っていること、文化財保存としても科学的にマイナスな内容になっています。この計画を見直さずに「当面続ける」「続けながら検討する」と進めば、文化財の保存も自然の保存も失敗に終わると思います。
計画の見直しは今後も求めていかなければならないと思います。

ここから参加住民からの質問コーナーになりました。

トップで私が質問したのは
私:施行前に測量によって流出量を把握していると説明したが、今回の東橋130メートル区間など、どれくらい流出していたのか?
A:多いところは8年間で1メートル後退していた。
私:私は法面を写真撮影して比較したが、1年経過して流失はほとんど認められなかった。8年間で1メートル後退した箇所は、何か特殊な現象があった箇所だと思う。130メートルの区間が一律1メートル後退しているのか?
A:ほとんど後退していない箇所もある
私:1メートル後退した箇所は130メートルの計画区間の中で何メートルくらいあるのか?
A:それはちょっと把握していない
ということでした。

そのほか市民の皆さんから
●環境局が協議会をネットでやったが、今日環境局が来ていないのはおかしい。
●行政職員は異動があるので話しあいが生かされない
●鈴木都政で清流復活してからは土壌流失していない
●過去に法面補強について住民の詳しい人がアイデアを出すと、検討して実施してくれていた。木製の自然素材とシダを生やすなどで法面を守ろうとしていた。
●上水は人工の構造物だから自然というより適正な管理が必要(里山的な)
●新橋~松影橋のクズの大繁茂はひどい。左岸の竹藪もひどい。
●東橋の崩落箇所は大木のヒノキを伐採した箇所だと思う。いままで大木を伐採するとその周りの崩落が進行していた。何が原因で流失したのか?を正しく把握して欲しい。
●生物のモニタリングなどもして、できる限り小規模に、少しずつやって欲しい。
●大木の根が民地に侵入していると話がある。民地へ伸びている根を調査しているのか?
●私が子供のころはこんなに木々は生い茂っていなかった
●投げ入れられたごみをなぜ放置する?住民も手伝うからごみ掃除しないか?(会場拍手)
などの意見がありました。

市民意見の中でも、上水として運用されていたころを知っているご高齢の方は、ひたすら昔の姿が正しいと感じているようです。一方、近年に玉川上水近辺に家を建てた方は自然環境の良さに魅力を感じて家を建てているので、環境を大事にしたいと思っている方が多いです。市民意見も様々です。
もっと樹木を切って手入れをして欲しい方々からは『行政のみなさんは専門家でプロなんだから、いちいち反対しないでプロに任せればいい』という発言もあり、それには『まったくプロじゃない、ひどい管理だから意見してる』『予算があるから過剰に切っているだけ』というような住民間での不規則発言の応酬も多少ありました。

最後に私が『東橋でカバーするのは何メートルなのかだけ、最後に教えてください』と質問すると
A:まだ具体的にはこれから検討なので言えない
というこということでした。

化学繊維や化学物質を混ぜたものを吹き付けてカバーするのが1メートルなのか?、100メートルなのか?で大きな違いです。私はもし法面の流失が著しい箇所があれば、その原因を特定し、適切な補強工事は必要だと思います。しかし、流失していないならカバーを掛ける必要はありません。私が「カバーする距離を言えないようでは、工事を説明したとは言えない』と発言したら、会場の方々が拍手してくれました。

三鷹市長が要望で『法面補強や樹木などの伐採等を実施するにあたっては、時期、方法などについて、地域の住民や自然保護団体から事前に意見を聴く場を設け、また、十分な周知や説明をするなど、丁寧な対応をお願いします。』と要望しているのだから、今後も「カバーする必要がなるのか?無いのか?」市民が納得できるまで説明して欲しいと思います。

井の頭自然の会
鈴木浩克

アンケートのお願い

2022-07-09 07:26:46 | 最近の動き

みなさま

 さまざまな形でお伝えしていますが、玉川上水の現状は深刻な課題を抱えています。その中でも最大の問題は過度な伐採が進められていることです。そのことを玉川上水の管理の歴史を通して眺めてみると、元々は自然と史跡をバランスよく守ろうとしていたのに、途中から自然が軽んじられるようになったことがわかりました。

 私たちは玉川上水が保存が決まった当時の意図通りに、玉川上水の自然の価値と歴史的価値が共存する形を望んでいます。私たちの考えと、広域の皆さんの考えが一致するのか、違うのか?全体の意思を調べたいと考えアンケートを実施することにしました。

ご回答よろしくお願いいたします。

https://forms.gle/qs97qKhNBNnFD75S8

また、人数が多いほど力になりますから、皆さんから知人に拡散していただければ幸いです。高校生などでも歓迎します。

 どうぞみなさまのお力をお貸しください。

 

● 2022年4月15日で一区切りをつけてまとめました。こちら

ただしアンケートはそのまま継続していますので、回答をお願いします。


史跡玉川上水整備活用のための作業説明会(大塚)

2022-07-09 06:21:52 | 最近の動き
ご報告 7月8日18時30分から20時三鷹市井の頭コミュニティセンターで、史跡玉川上水整備活用のための作業説明会がありました。参加者は30名前後、昨年の説明会より参加者は少なかったですが、活発な質問や意見などがありました。
 はじめに富永境浄水場長から、上水は地域ごとに植生が多様であり、維持管理に理解協力を願いたいというご挨拶がありました。次に三鷹市緑と公園課1名、水道局からは、施設管理、経理部用地担当、経理部管理課、浄水部、小平事業所10名ほどの自己紹介がありました。維持管理の小松さんもいらしていました。
 次に例年どおり、樹木処理作業、法面整備箇所についてスライドをみながら水道局からお願いがありました。また、三鷹市の法面整備予定箇所は、東橋から長兵衛橋、宮下橋と説明がありました。次に昨年度の説明会における質問への回答がありました。
 そして、質疑応答に入りました。出席した方の10名以上半分近くが意見や質問をしました。まず、鈴木さんが、昨年行った質問「崩落量の調査を行っていますか」について回答「崩落量調査は行っていないが、測量を行い、その結果で対策箇所・範囲を決めている」それについて、鈴木さんが異議を唱えました。水道局は、8年で1メートル後退している東橋を整備箇所に決めたそうですが、鈴木さんが何箇所も法面を1年調べた結果、1ミリも後退はしていなかったそうです。
 私も東橋が気になっていたので、状況を伝えました。ヒノキの大木の伐採した後に崩落量は増える。どの箇所も大木を伐採したあとに法面崩落がおき法面整備になる。法面整備は幅が広いほど環境へ影響あるし、お金もかかる。狭くてすむよう植生管理はできないか。東橋は周辺の竹林から上水内に入っていたが、ヒノキ伐採後に竹林が拡大した。竹林は法面に影響あるので抑えたほうがよいと小平事業所に伝えてある。これについては、現地確認するそうです。また、外堀浄化の取り組みで施設整備や伐採は必要だが、多く続くと生物多様性の確保や水路の生物、カモ、トンボ、カメなど減っている。モニタリングもないので、それらが見られる環境であるようにと伝えました。
 皆さん、それぞれ熱い思いを行政に伝え時間が足りないほどでした。

大塚 惠子

以下は大塚さんから送られてきたスライドの一部です(高槻)