玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

玉川上水の柵設置についての要望書

2022-10-03 16:58:12 | 資料
 2022年10月3日
玉川上水の柵設置についての要望書
東京都西部公園緑地事務所様

1. この要望書は玉川上水の小平市部分に設置された柵(写真1、本要望書ではこれを「黒柵」と仮称します)があまりにも景観的になじまず、威圧感があり、貴重な玉川上水の自然と市民の関係にとって問題が大きすぎるため、今後さらに増設することを見直してもらいたく、市民の声をまとめたものです。
2. いうまでもなく東京都は行政に都民の声を反映することを行政の基本精神としています。玉川上水の管理においてもこのことが大前提であると理解しています。
3. 東京都は「生物多様性基本法」に基づき、東京都の生物多様性の保全と持続可能な利用を重視してきました。そこには大都市ゆえの自然環境の劣化、人と自然の関係の希薄化、自然の価値・魅力の認識不足という背景があります(東京都環境局の「生物多様性地域戦略の改定に向けて」)。玉川上水は東京の都心部を流れる連続的水路・緑地として格別価値の高いもので、膨大な人数の都民に親しまれています。したがって、その自然を良い状態で次世代に引き継ぐことは我々の重大な責務です。
4. 2009年(平成21年8月)に策定された「史跡玉川上水整備活用計画」は基本的な考え方として、1)玉川上水を見せる 、2)玉川上水への理解を深める 、3)より多くの人に親しんでもらうことをあげています。しかし「黒柵」はこのすべてに全く反します。これを実際に見た小平市民は「これは柵ではなくて壁だ」、「これでは玉川上水の景観が台なしだ」、「玉川上水の植物を見ようにもこれでは見えない」、「市民が玉川上水に親しめない」、「自然観察をしてきたが、これでは観察がしにくく、市民に理解を深めてもらえなくなる」などの意見が噴出しています。
5.「玉川上水整備活用計画策定についての提言」のうち、「管理施設(フェンス)のデザインの規格化」には次の記述があります。「規格化に当たっては、フェンスの機能や景観との調和に加え、保安施設としての強度・耐久性、部材・製品の調達の容易さ(汎用性)をも考慮すべきである」。ここでは、景観との調和が最重要であるが、それだけでなく保安機能も重要であることと、具体的な材質にも言及しています。私たちも市民が玉川上水に転落するなどの事故は未然に防ぐことは不可欠だと考えます。景観を重視することと安全性はときにバランスの問題が生じ、そのバランスは玉川上水の場所によっても違いがあります。この「提言」にも「フェンスの外側の土地の利用状況(周辺環境)等はさまざまであり、それぞれフェンスが果たすべき役割や求められるデザインが異なる」とあります。実際、小平監視所よりも上流では水管理が特に重要であり、柵も高さ2メートル以上ありますが、小平地区では多くの場所で高さ1メートル程度となっています。小平市の小平監視所から小川水衛所までの間は樹木も豊かであり、状態の良い自然があるため、多くの市民が散策をする箇所です。
6. 以上の背景に基づき、以下に私たちの疑問と要望を記します。
1)崩落タイプ類型と柵の形状
①鷹の橋~久右衛門橋間
「玉川上水整備活用計画」9ページの図2は、中流域における法面の崩落タイプを「オーバーハング状」「直壁状」「傾斜状」「その他」に分類しています。一方、同計画の28ページでは、玉川上水のフェンスの高さについて、「公園施設設計施工基準」に準拠し、法面の状況に応じて、オーバーハング状又は直壁状法面の箇所には転落防止柵(高さ110㎝)とする、としています。「玉川上水整備活用計画」9ページの図2では、鷹の橋~松影橋間は、オーバーハング状でも直壁状でもない「その他」区間とされています。「その他」区間に該当する鷹の橋~久右衛門橋間は、転落防止ではなく立入防止柵としてください。
②新小川橋~鷹の橋間
この区間はオーバーハング状であり、西部公園緑地事務所は、危険であるために転落防止柵が必要としていますが、他の場所と比較して、特に危険であるとする理由が不明です。どういう危険性があるのかを明確にしてください。特に危険と言えなければ新設する根拠は弱いはずです。
また、区間を他の区間に優先させて柵を新設する理由も不明なので説明してください。例えば、幸橋~新橋左岸の柵は傾いており、「柵が傾いています。通行注意」の掲示があります。このような区間の方が優先度は高いのは理解できますが、水道局は、2022年7月14日の整備作業説明会で、新小川橋~鷹の橋の区間に計画したのは柵が古いからだろうと説明していましたが、その根拠は不明です。説明を求めます。
2)計画されている柵の形状などについて
小平監視所~西中島橋の左岸に新設された「黒柵」は非常に威圧感があり、整備活用計画の重要なポイントである玉川上水を市民に親しんでもらうという趣旨に真っ向から反しています。具体的には「黒柵」は縦棒が太く、その感覚が狭いため、斜めからみると柵全体が真っ黒に見えるため、強い威圧感があり、景観に馴染みません。自然観察をするものからすると、柵の向こう側が見えにくく、植物などが見にくいです。もし新設の必要があるなら、最重要である景観とのバランスがある別の形状のものにしてください。例えば兵庫橋~岩崎橋の左岸に設置されている太い横柵が3本並び、真ん中と一番下の横柵の間の裏に6㎝×10㎝の金属製網が設置されているタイプ(写真2)であれば、安全性も十分で、威圧感は小さく、向こう側をみることができるので、整備活用計画にかなり沿ったものになるし、安全上も問題がないと思われます。

7. 結語
開かれた行政として市民の声を聞いていただけることに感謝します。我々は必要な設置には反対するつもりはないのですが、現状では必要性に疑問があること、小平監視所~西中島橋に新しく設置された威圧感のある柵を延長することだけは受け入れがたく、この点を見直していただくことを強く要望します。

共同代表
リー智子・高槻成紀

付記:柵の下の部分の雨水止めようなものは、生物の往来の妨げになる可能性がないか、生物への影響も十分に考慮して検討してください。


川崎平右衛門定孝 略歴

2021-10-16 11:05:29 | 資料

川崎平右衛門定孝 略歴(主に 代官川崎平右衛門の事績―渡辺紀彦著より抜粋)

元禄7年3月15日(1694年4月9日)押立村(現在、府中市)川崎家7代目の長子として生まれ、長じて八代目の名主役をつとめる。

元文4年(1739年8月8日)「南北武蔵野新田世話役」。

農政家・井戸の設置、・御救普請、・玉川上水福生村の掘り替え工事「新堀」開削(元文5年1740)代官坂上安左衛門の元、担当。

寛延2年(1949年)美濃国郡代のち代官、治水事業。

明和4年(1767年4月15日)石見国の銀山奉行。

明和4年6月6日(1767年7月1日)病没、73才。


小金井桜についての東京新聞の記事

2021-05-01 08:42:16 | 資料

「東京新聞」の「名勝小金井桜 復活の光と影」

上 2021.4.30  こちら 

中 2021.5.1  こちら 

下 2021.5.2 こちら 

 

 この一連の記事では、「上」で桜派の主張が、「中」で自然派の考えが紹介され、その最後には亀山氏の見解が書かれました。そして「下」で今後のことに触れ、小平市は桜並木復活に消極的であることが書かれました。

 構造的に言えば、両者の立場を客観的に出して今後のことを考えさせるような作りになっており、その意味では「噂の東京マガジン」と共通していると言えます。

 「中」で書かれた表現は「自然破壊」などやや強い調子で、我々はそれほど強行ではなく、現実を踏まえ、目に余る皆伐は抑制してほしいと言っているのですが、対立図式にするためにはやや強調するものになるのだと思います。

 私自身はこの記事を評価したいと思います。というのはこれまでの新聞記事の多くは(すべてかもしれない)、小金井桜を称賛し、桜あっての玉川上水だと言わんばかりでした。もしかしたら、玉川上水の価値は自然そのものにあると伝えたのはこの記事が最初かもしれません。しかし、普通の人にとって「自然のにぎわい、多様さ」が大切だというのはごく当たり前のことです。むしろ小金井桜こそ玉川上水のあるべき姿だという主張の方が偏っていると言えます。その当たり前のことを記事にしたという意味で価値があると思います。

 おそらく - そして望むらくは - この当たり前の多様性の評価が徐々に取り上げられるようになる時代が確実に来るだろうと思います。 高槻成紀


小金井市民へのアンケート

2021-04-05 22:05:26 | 資料

 

小金井市民への玉川上水の伐採についてのアンケート結果

  • 2021年3月7日に小金井しみん活動まつり −

 

2021年3月7日に「小金井しみん活動まつり」で「小金井玉川上水の自然を守る会(こだま)」がアンケートを実施しました。質問は2つで、30名から回答がありました。年齢分布は30代から80代まで広く、やや高齢に偏っていました。

Q1は伐採後の景観についての感想(詳しくは下をご覧ください)で、77%が「ふさわしくない」と答え、ふさわしいと答えた人はわずか15%でした。

 

Q2はサクラと雑木が共存するイラストを示して、共存か皆伐かを問うたものですが、85%の人が共存が望ましいと答え、雑木は排除した方がよいと答えた人はわずか4%でした。

 

 

 これらの結果は、回答した人の大半と言ってもよい多くの方が、現状の樹木皆伐は切りすぎで樹木に対して申し訳ない、景観を損ねていると感じていること、そして桜も良いが同時に自然に生える樹木も桜に迷惑にならない程度に共存するのが望ましいと思っていることを示しています。これは私たちの思いと同じであり、勇気づけられました。ただし、回答者数が30人と少ないので、これが小金井市民の全体の考えであるということはできません。またQ1の写真が伐採直後の冬の景色だったため、殺伐とした印象が強すぎるという批判もありました。こうした点への反省も含め、より客観性を持ったアンケートを多数の市民に行いたいと思います。

 

 以下には、自由に記述した内容を紹介します。内容は大きく分けて桜を守るべきという「桜派」と、雑木も含めて共存した方が良いという人に分かれましたが、後者には自然全体を守ってほしい傾向が強い「自然派」と、桜も雑木もあってよいという「共存派」があったので、全部で3つに分けました。それぞれの意見を列記します。()内は当方で補足したものです。

 

桜派

  • 名勝小金井サクラを将来の世代に残したい。サクラと他のバランスが大事。 
  • 見通しが良くなった。もともと上水は人工物だ。サクラを植えたのは土手の保護のため。

 

自然派

  • 木がかわいそう
  • ひどい切りかた
  • やりすぎ
  • どうしてこんな風になっちゃったの?
  • どうしてケヤキじゃだめなの?
  • 野草、草花、サクラ以外の花も楽しみたい
  • ひどい。なんとかして欲しい。偉い先生をつけて発信して欲しい
  • ランナーは夏は暑くて走れない。

 

共存派

  • 切った上での共存を考えて欲しい。
  • (ほかの木もあれば)サクラの良さも生きる。けんかしない木と一緒に(育ててほしい)。
  • きめ細かく判断して欲しい。うまく自然を残す存在を考えて欲しい。
  • サクラのためにも多様性が大事。法面はかえってこわれるだろう。(伐採の景観は)無残だ。
  • サクラ一色はよくない。緑の中のサクラが美しい。
  • (サクラと雑木の)両方あると良い
  • 生態的な理由があれば(ほかの木を残してもよい)
  • マユミやクララ(?)など小さい木を残して欲しい。大きい木は剪定で良い。
  • これは切りすぎ。五日市街道を通る時サクラは楽しみだが・・・。

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Q1

Q2