玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

緑地事務所職員と現地視察会

2022-10-03 15:04:21 | 最近の動き

記念撮影

2022年10月3日、懸案である「黒柵」の現地視察会をしました。黒柵とは小平監視所下流に新しく設置された柵で、高さ1.1メートル、縦棒の間隔が11 cmで、その棒が直径5 cmほどの太いものなので、強い威圧感があり、斜めから見ると黒い塀があるように見えます。


 しかもこの黒柵が鷹の台の方にも延長される計画があると聞いたので、それはなんとしても思い直してもらいたいということで、これまで二度、担当の建設局の東京都西部公園緑地事務所に出向いて我々の考えを伝えました。一度目は管理計画に従った計画であり、変更するつもりはないという対応でしたが、二度目は大きく変わり、市民の意見を聞きながら進めたいという対応になりました。
 その後、小平市議の水口さんが働きかけて一緒に現地を見てもらおうということになり、現地視察会が実現しました。これと並行して要望書を書きました(こちら)。これは水口さんも一緒に作ったのですが、市議の立場で出すよりも市民の意見として出した方がいいということになり、玉川上水みどりといきもの会議と「ちむくい」で出すこととし、今日緑地事務所に手渡しました。

 さて、10時に玉川上水駅に10人ほど*が集合し、そこから下流に向かって歩きました。この辺りは上水の幅も広く、水量も多くて、印象が違います。太いアカマツやナラ枯れのコナラがあったので、この辺りには数は多くないが太いアカマツがあり、樹齢は相当高そうだこと、ナラ枯れは太い樹木に偏っていることなどを話しました。

小平監視所の少し上流で説明をする

 小平監視所を脇に見ながら「清流復活の碑」のところまでいき、そこを降りて、玉川上水の下まで行きました。松山さんにここから下流は処理水である説明をしてもらいました。CODが5程度で、水質も良いそうです。ここで記念撮影をしました(冒頭写真)。

*参加者 
永田課長、わたなべ、松浦(以上東京都建設局西部公園緑地事務所);大塚、尾川、小口、加藤、岸、澤口、高槻、辻、長峰、松山、水口、リー

 歩道に戻るとすぐに黒柵が見え、しばらく歩いたところで意見交換をすることにしました。


続く黒柵、撮影加藤嘉六

 初めに、花マップの冊子、いきもの会議で作った鳥類調査の報告パンフレットと、玉川上水のアンケート冊子を永田課長に手渡しました。

野鳥調査の結果を説明する高槻(中央)、撮影加藤嘉六

 ここで水口さんが要望書を手渡しました。

要望書を手渡す水口さん(左)と受け取る永田課長(撮影加藤嘉六)

 私から、「この柵には強い違和感がある、玉川上水駅のあたりから上流にはこれより高い柵があり、安全上の問題はないし、縦棒が細いので視界の閉鎖もない。それに比べるとこの黒柵は威圧感があり、我々と中の植物の間を隔離するような印象がある。このあたりは玉川上水全体の中でも緑が豊かで歩く人も多いので、これを延長しないで欲しいという思いが強く、そのために現地視察会をすることになった」という説明をしました。その後、皆さんから次のような意見がありました。

大塚さん:杉並区は横柵で、自然と親しみやすいが、三鷹市上流は縦柵が多い。縦柵は外来種を取りにくく、外来種が増えている。悲しい思いをしている。親しめない。

大塚さん(中央)

リーさん:こういう高い柵では子供が中を覗けなくなる。


リーさん(中央)撮影、加藤嘉六

岸さん:小平4小の子供に玉川上水で歴史や自然の教育をしているが、こういう柵ができると子供の目に入らず、自然との距離ができてよくない。

岸さん(右)撮影、加藤嘉六

澤口さん:近所に住んでいるが、この柵は柵というより塀のように感じ、気持ちが暗くなる。
長峰さん:花マップでこの区画を分担しているが、この柵ができてから中を覗く気がしなくなった。

長峰さん(右)

 これらは自然観察とその子供むけの教育にとって黒柵が適していないという意見でした。私が黒柵と玉川上水駅上流の柵との単価を聞いたら、黒柵の方が高い(詳細は不明)ということであった。その後、リーさんから泥の跳ね返りがあって見栄えが良くないという意見がありました(「続く黒柵」の写真参照)。
 それから鷹取さんから意見がありました。鷹取さんは長年玉川上水を見てこられ、半世紀前は木などあまりなかったが、それが今日まで大きく変化した。東京都にはこの緑地をどのようなものにするかのビジョンを示してほしいという意見がありました。また現在の歩道も、以前は畑で分断されるので、歩く人は大きく迂回しないといけなかったこと、上水に水がない時代があり、お子さんが玉川上水の底に降りたという話、1975年の条例によって保存樹林とされた樹林が小平には32カ所あったが、今は20カ所しか残っていないなどの話も聞きました。

鷹取さん(中央)(撮影、加藤嘉六)

 予定の時間になったので、玉川上水駅に戻ることにしました。そこから小川で乗り換えて鷹の台駅に行き、そこから鷹の橋を渡って東鷹の橋から下流を歩きました。この辺りは最も林の状態が良いところで、低木類(シラカシなど常緑樹の低木やムラサキシキブなどの落葉低木)が豊富であるため、鳥類にとってもすみ良い林であることなどを話しました。またこの辺りは去年、今年でかなりのコナラがナラ枯れになったので、その話もしました。

 最後に緑地事務所の永田課長から以下の見解を聞きました。
1)皆さんの意見を聞いて、このあたりの玉川上水では自然観察活動が盛んに行われており、あのような柵はその妨げになることの認識を持った。
2)柵の高さについては、安全性だけでなく景観を考慮しないといけないと考えている。安全性ということでは計画書にある考え方から高さ1.1メートルなどは順守することになる。ただし柵の形状などは景観にも配慮したい。この辺りでは「平場」が広いが、だから柵が低くても良いことにはならないと考える。
3)柵内作業のための門扉については水道局は不要という考えなので、もし必要であるというのであれば水道局に要望してほしい。
4)東京都の縦割りの問題は認識しているが、現状整備計画に基づいている。
5)黒柵の延長を後倒し(今年度は行わないことにした)にしたことについて。水道局との話し合いの中で、考え方や具体的な場所の状況などについて検討すべきことがあること、またみなさま市民の声も考慮して、急いで今年度は実施すべきでないと考え、今年度は実施しないことにした。

説明する永田課長

4)については高槻が、計画は10年で終わったので、税金を使って実施したのであれば、終了時点で評価した上で、継続なり修正なりするのが常識であり、評価なしにずるずると継続するのはあり得ないと発言した。しかし建設局としては、水道局が継続しているので、それに従うしかないという意見でした。
 またどのような柵にするかは今後検討し、市民の意見を聞くつもりだが、その場合に皆さんの望むものと違うものになる可能性もありうるが良いかという確認がありました。高槻は民主的であればそれで良いと返事しましたが、尾川さんは、「この過程の中で決まるならいいか」と言われたが、どういう情報提供をして、誰にどういうふうに意見を聞くかによって、プロセス自体の意味が異なるので、そのままいいとは言えないと発言しました。リーさんはアンケートをする場合、写真を見せるだけではわからないこともあるので、現地を見るなどの必要があると発言しました。最終的には、「アンケートは質問の仕方によって回答も違うから、客観性を持たせてほしい。その場合、これまでのように建設局だから安全性を優先するというのではなく、市民にとっては安全性だけでなく、自然を大切にしたいという声が多いのだから、景観や生物多様性も含めて総合的に判断してほしい」ことを伝えました。
 辻さんは「歩道を挟んで玉川上水の方には柵があるが、用水の方には何もない(これについては用水は小平市が管理しているので違いがあるということでした)。しばらく前までは私たちが意見を言っても、とりつく島がないという感じだったが、こうして現地に来て、意見を聞いてもらえるなんて思ってもいなかったので、大変ありがたい」という発言をしました。

 最後に私が次のように言いました。「私もこれまで行政に働きかけても、聞く耳は持たず、<たくさんの声があるから皆さんの意見もその一つで、決めるのは私たちです>というような姿勢をとられてきて失望することが多かった。それが今回、このような形で現地視察が実現したことは驚きでもあり、喜びでもあります。我々にとっては玉川上水がどうなるかは東京都に期待するのであって、その中がいくつもの局に分かれていて、この問題はウチの担当ではないと言われても困るので、ぜひ都民の声を聞いて総合的な考えでどうすべきかを考えてほしいと思います」

説明する高槻(右)(撮影、加藤嘉六)

 そしてお礼を言って解散にしました。

写真公開は了解を得ています。加藤さん撮影の写真を使わせてもらいました。内容の一部は尾川さんのメモで確認、修正させてもらいました。


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