玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します。

水道局による説明会 井の頭コミュニティセンター(高槻)

2022-10-05 23:53:27 | 最近の動き
2022年10月4日に井の頭コミュニティーセンターで水道局による説明会があり、そこに参加したので私の感想を報告しておきます(高槻)。


 20人ほどの市民参加があり、会場はほぼ満席でした。水道局境浄水場課長代理の加藤さんが説明をし、井の頭の下流の2カ所で崩れがあるのでこれを防止するための工事をするということで、その必然があることの説明でした。私はそれを聞きながら、次のことを考えました。

1)該当場所に工事の必要があるのはわかるが、なぜそれ以外の場所が必要がないと言えるのかがわからない。
2)当該の2カ所でも一方は崩壊が起きているが、もう1カ所は崩れはあまりなく、むしろ斜面下方で体積があるという違いがある。なぜそういう違いがあるのか。
3)3本の樹木を伐採するとしているが伐採は崩れを促進するから不適切である。
4)植生シートに種子が入っているというが、これは外来種であり、望ましくない。
5)同じような説明にだらだらと時間をかけすぎる。

 説明が終わった時すでに7時15分で、残り時間が15分しかありませんでした。質疑に入り、鈴木さんが発言しました。鈴木さんは私が感じた2)の問題を突き、崩れの状態が場所によって違うので、その違いが生じる原因を解明しなければ解決できない、今行っているのは表面的なことであり、これまでの整備計画で「崩れを抑止するには樹木を伐採するのがよい」としてきたことを検証する必要があるという発言をし、会場から拍手が湧きました。また、土壌流失について多くの場所で調査をした上で工事箇所を決めるべきだということも言いました。一方、鈴木さんは説明会が7月についで今回も行われたこと(こちら)を評価し、自分たちはなんでも反対しているのではなく、良い玉川上水にするために発言をしているのであって、多くの意見を聞いて欲しいという発言もして、これにも拍手がありました。

 私も発言を求め、3)と4)について説明しました。3)についてはたまたま先週、朝日新聞に連載されていた「山が崩れる」の記事を取り上げ、水道局にこれを読んだかと聞きましたが、読んでいないということでした。そこには日本の林学、砂防学では、樹木が伐採されれば土砂崩れが起きるというのは常識であり、1本の木があるだけで葉が雨を受け取り、根が給水して蒸散させる、また下草や落ち葉さえも雨滴が土壌を叩くのを防いで表土流失を防ぐことが書いてあります。そういうことも知らないで、崩れたから工事のために樹木を伐採するというのは、不適切なことです。加藤氏は「よく勉強させてもらいます」という返事でした。3)については外来種ではなく日本の植物だということでしたが、それでも「国内外来種」であり、問題であることに間違いはありません。これについては植物を検討するという返事でした。

 次に田村さんという建築士で土木工事の専門家が発言され、松影橋で起きているのは伐採によって保定力を失い、表面浸食だけでなく表層崩壊(地すべり)が起きている、危険な状態にあり、崩れれば水を止めることになる、伐採して何年経過したのかと聞きました。8年くらいという返事があり、田村さんはその間放置して崩壊するような状態にしたのは問題であり、崩壊が起きたら誰が責任を取るのかと、強い調子で迫りました。これに対する返事はなかったと思います。このことは鈴木さんの質問や私の1) とも関係し、全体を広く見て状況を把握した上で工事の必要どの優先順位を決めるというステップを踏まないで、我々にはわからない基準で2カ所が取り上げられ、その場所の説明だけされており、いびつな状況だと思います。この後有賀先生が植生シートは実験をしたのかなどの質問をし、これには別の場所で実績があるという返事がありました。

 この辺りですでに7時半になり、水道局は打ち切りたいようでしたが、フランシス・コーザさんが会場にきた多くの人の意見を聞くべきだと発言し、自身で次のような発言をしました。玉川上水の樹木は伐採しすぎている、樹木伐採は地球温暖化などにも悪影響があり、むしろ木を植えるべきであり、我々の税金を使って伐採をするのは税金の無駄使いだと言いましたが、この発言中に、「自分の考えだけが正しいようなことを言うな、私は玉川上水の近くに住んでいて木が伸びすぎて困っている。自分の庭にある木は切るはずで、木は切らないといけない」という発言があり、私はその発言自体に驚くとともに、会場には樹木保護だけでなく伐採推進派も来ていることにも驚きました。この会は地元の人向けの説明をするものであるかもしれませんが、私は玉川上水全体の問題の一つと位置づけて参加しました。また水道局の考え方を知りたいという気持ちと、会場での意見交換を見たいとも思って参加しました。地元の人からすれば、外から来て勝手なことを言うなという気持ちもあったかもしれません。しかし、玉川上水を良い状態で次世代に引き継ぐという大きい目的は都民全体のことであり、都市の緑をどう守るかという普遍的な問題でもあります。いずれにしても伐採推進派を含む多様な意見を持つ人が参加した集まりであれば、なおさら十分な時間をとって納得できる意見交換がして欲しかったと思いました。

 有賀先生の奥様が、玉川上水の歴史的背景を知ることの重要性を話されました。自分は40年以上、玉川上水の近くに住んでおり、ずっと見てきた。松影橋は名前の通り、松がたくさんあったが、ある人の要望で伐採されてしまった。そういうこれまでの歴史も考えて管理の仕方を考えなければいけないという内容でした。
 時間がなくなったのでここで強引に打ち切られましたが、このような本質的な発言も担当者にはどれだけ伝わっただろうかと思いました。そういうことよりも、現場の具体的な作業で頭が一杯で、歴史的経緯までは思いが及ばないという印象です。このことは水道局だけでは無理で、東京都の玉川上水に関わる部局が縦断的に取り組まなければ実現しないように思いました。


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1 コメント

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Unknown (藤本昌子)
2023-12-21 11:47:35
以前、講演会に参加した者です。昭島市の玉川上水沿いで巨大物流倉庫の計画が進行中です。玉川上水と一体になって緑を形成しているいるゴルフ場が巨大なコンクリートの建造物になろうとしています。反対運動に立ち上がる市民もいますが、なかなか世論が盛り上がりません。こちらの運動と繋がるすべはないでしょうか?
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