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映画と渓流釣り

人の心も渇水しているんだ



40年も前の話だが、半年ほどこの映画の舞台である前橋市に住んでたことがある
新卒で就職した会社の配属先である支店(お店)が市の中心部にあり、バイクで通勤できる程度の郊外に居を構えた。半年で転勤したからうろ覚えだけど、四月から九月までの暑い季節は過ごした筈なので記憶に残るほどの酷暑であれば何らかの断片記憶があろうに、クーラーもない部屋でひと夏を過ごせるくらいの節度ある暑さだったということだろう
40年前は今ほど殺人的な夏ではなかったのは間違いない

都道府県庁所在地の中でも最も暑い街として知れた前橋だから渇水の街として舞台になったんだろうけど、実際は水資源には恵まれている。群馬県は利根川水系の水源地だから神奈川を除く首都圏に住む人々の水瓶になるべく巨大なダムがいくつもあるので、当然一番美味しいところは当たり前だけど優先的に頂戴している。そんな事を知っているのは地元ピーだけだろうからちょっと触れてみた


「誰も知らない」に似た育児放棄の話だけど、給水制限と使用料未払いのため苦悩する水道職員に焦点は注がれる。日本において水道はわたくしの知る限り民営化されておらず、県や市町村が運営する公営事業だ。よってこの映画の主人公は公務員ということになる
女の子二人の母親が憤るように、安定した小役人に何がわかるんだとの感慨を持たれる方もあろう。規則通りに未払い案件の給水弁を閉じる仕事は感情的に対処していては成り立たないザ・役人の領分だ

生田斗真はその辺を淡々と演じていて臭い人情物にしてない。見捨てられた女の子も是枝演出には及ばないにしろ結構自然体の存在で好演していた
この手の話になるといつも思うのは、悪者がネグレクトしている母親だけだということ。父親の無責任とかは結局語れなかった。底辺にうごめく子供たちの家庭環境は、単純に親の無知と怠慢が生み出した悲劇でしかないけど、見て見ぬ振りしているわたくしの様な偽善者が悪いのも確かだ

施設に入居する姉妹は今日飢えることもなくなり、明日のために公園の水道栓を開く必要もない
それは幸せなことなんだろう
そうなのかな?



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