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映画と渓流釣り

重すぎる領域外の事実

タイトルになったこの直訳の意味が恐ろしい
変な和製英語よりも意味がわかり辛いからより一層不気味だ

美しい庭には子供たちの嬌声が響き、色とりどりの花はこの邸宅に住まう奥さんの丹念なガーデニングの賜物だ
そんな美しい庭にも隣の煙突からは昼夜問わず煙が立ち上り、乾いた銃声と獣の唸り声に似た断末魔が切りなく聞こえる
プールではしゃぐ壁の向こう側では人をモノとして扱う焼却処分が昼夜問わず行われている

奥さんの母親(おばあちゃん)は訪問当初、恵まれた娘の生活を褒めそやすがいつしか人知れず去ってゆく。側からみればそれが真っ当な感覚なのだけど、塀の内側にしか興味のない人にはその異常さは理解できないのだ
昨日までの当たり前を疑わず今日を生きてしまうと、きっと誰しもが明日も同じ一日を生きるのだろう
わたくしもその通りに流されながら生きている

決して長尺な作品ではない。しかし、倍以上に感じるこの憂鬱な感覚
暗視カメラのような映像に女の子が収容所と思われる土手にリンゴを埋めるシーンが何度か登場するのがよく分からなかった。終盤の舞踏会のシーンもわたくしには理解不能。その部分が不満として残る

平穏な家族の何不自由のない日常が淡々と描かれるから、塀の向こうで行われたおぞましい記憶は世界中の誰にも居心地の悪さを植え付ける。日本人には到底考えられない世界かと思いきや、先の大戦中大陸や占領地では多かれ少なかれ似たようなことが行われていたのだろう

そして、今日わたくしの家の壁隔てた隣でも目を覆いたくなるような悲劇が進行しているかもしれない。わたくしが呑気にこんなブログを認めているこの時間に起こっているかもしれないのだ
わたくしも塀の外には何の関心も持たないそんな一人だ

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