映画と渓流釣り

2020 秋の夜長に観るドラマ



夏ドラマに引き続き、変則的な番組編成は致し方ない。
撮影の中断や放送話数の変更などで計画されていたスケジュールは白紙状態だろう。加えて主要キャストとして撮影が進んでいた三浦春馬の死は想定外の事であり、辛い舵きりを否応なくする羽目になった制作現場の苦労は十分推し量ることができる。
9月スタートから11月初旬スタートまで6本の連ドラを観るつもりだけど、このところ絶好調のTBS系が1本しかないのとNHK夜ドラにも食指が動かなかった。見てくれの割に内容がお粗末なフジ系のドラマが多いのも不安ではあるけど、ひとあたりはしてみる。

「おカネの切れ目が恋のはじまり」
三浦春馬、突然の出来事で実質3話で物語は終わってしまった。10話くらいの流れで組み立てられていただろうから、二人の恋はこれから始まってゆくはずだったのに。4話で急遽着地させた物語の落とし方は、松岡茉優の一人芝居でどうにかそれらしくなったけど、お金の価値観と恋愛をどのように描くのか興味があったのから残念だった。
三浦春馬の屈託のない笑顔のどこに魔物は潜んでいたのだろう?
最後まで爽やかな好青年のまま他界した俳優の冥福を祈るしかない。

「あのコの夢を見たんです。」
芸人山里亮太の夢想を10人の女優で描く面白い企画。山里役の中野太賀も脂ののった演技で楽しませてくれる。
オムニバスだから設定もバラバラで連続性はないけれど、主役が同じだから違和感はない。
女優は実力も実績もある中堅から、経験の浅い新人まで千差万別だけど中条あやみ(1話)芳根京子(2話)森七菜(3話)山本舞香(6話)大友花恋(7話)白石聖(8話)池田エライザ(10話)と楽しみなキャスティングだ。

「35歳の少女」
第一印象は柴咲コウふけたなぁ〜という実直な感想。最近「オレンジデイズ」と「GO」を配信で観たばかりだからか、それとも役柄上ノーメイクに近いからなのか。本人の歳相応(39歳)ではあるけれど、ちょっとショックだった。
それでもやっぱり上手いな。最初あざとく感じた小学生の女の子演技だったけど、2話終わってみるとしっくり馴染んでる。その辺りもノーメークに見える見栄えが、加齢と幼さを対比させるための演出だと気付く。25年も眠ったままの心は小学生をいきなり女優然とした美しさで登場させては白けちゃうし。映画「メゾンドヒミコ」で不細工な地味女を好演した柴咲コウならではの出で立ちではある。
脚本の遊川和彦がこの先、微量の毒を内服したこの物語をどんなふうに展開させてゆくのか、期待をもって観てゆこう。「同期のサクラ」のように失速しないよう、「過保護のカホコ」のように物分かりの良い人情ドラマで終わらないよう願うばかりだ。

「ルパンの娘2」
前作を観ていないのにチャンネルを合わせてみた。それでもこの手のお気楽ドラマは、どこから観始めてもそれ程違和感なく溶け込めるものなんだな。深田恭子を楽しむドラマとしてはとても良く出来ている。映画にも沢山出ているけど「下妻物語」以外に褒めたくなるようなものはなく、頃合の良いテレビ女優だと思う。それでももうすぐ38歳になるというのに、このイノセントな可愛らしさは素晴らしい。
荒唐無稽な設定をマンガチックに楽しいで観るには面白い企画だ。挿入されるベタベタなミュージカルシーンも脱力するほどバカバカしくて良いんじゃないかな。

「姉ちゃんの恋人」
岡田惠和脚本は安心して観ることができる。映画脚本の作品もそこそこ観ているけど、面白いのは断然テレビの連続ドラマだ。あまり気にしたことがないけど主演の有村架純との相性が良いようだ。
その二人が組んだホームドラマ、フジ系だから危惧していたのだが初回の立ち上がりは良く出来ていた。往年の名作ドラマ「ひとつ屋根の下」お姉ちゃん版のような温かみがあり、有村架純も丸い顔で弟三人の親父+お袋っぷりを楽しそうに演じている。お嬢様役よりちょっと蓮っ葉な姉御っぽい役の方が彼女には合っているのかもしれない。
これから姉ちゃんの恋人になる林遣都との絡みが多くなるのだろうけど、職場の仲間や弟たちとの話も手を抜かずに作りこんでいって欲しいものだ。岡田惠和作品だから期待している。
ご時世だなと思ったのは、ちゃんとコロナによる背景を描きこんでいたことだ。今だからこそ、そこから培われる人々の絆を温かく観させてくれると嬉しい。

「監察医朝顔2」
前シリーズから左程時間が経っていないからか、登場人物にそれ程の変動がないからか、あまりご無沙汰感も無いし新鮮味に欠けるスタートだった。これを三月まで引っ張るのはきつくないだろうか。法医解剖のドラマはこの十年あまりにも多く作られ過ぎたので、観る方が慣れてしまいそうそうトリッキーな死因も量産できるわけなく何となく袋小路に入っている。
刑事ドラマの方はリアルさがまるでないし、父娘夫婦孫娘の三世代家族も今のところありきたりだ。あの震災で津波にのまれた母親の行方探しもセカンドシリーズになると蛇足感が漂う。
本筋の法医解剖から紐解く被害者人生の哀惜に焦点を当てるべきだろう。
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